東方太陽録   作:仙儒

5 / 111
運命は加速する


2話

あれから数日がたった・・・・・。

認めよう、これは夢ではないと・・、現実なのだと。

最初は夢だと思っていたが一向に覚める気配が無い。

それどころか夢の中で夢を見るなどという体験をし、目が覚めれば永遠亭の病室ということに・・・。

幻想入りヒャッホーイなんて言ってるやつ、実際に幻想入りしてみろ、死亡フラグしかないぞ。

自分が何か特別な能力を持ってない私には少なくとも碌なフラグがしかない

夢があるだろだって?確かに予知夢は見たりするがそれが戦闘に役立つと思うか?

少なくとも損所そこらの名も知らない妖怪に食われてゲームオーバーだよ!!

 

 

 

・・・と思ってた時期が私にもありました。

検査の時に鏡を見せてもらったら白騎士(ガウェイン)だったよ

公式チートじゃねーか!!

これで即バッドエンドは回避できた。

しかし油断はできない、何故ならここは幻想郷だからだ、公式チートの塊だぜ?

正直これ(ガウェイン)でも足りない位だ。

まあ、今すぐ妖怪に食われて終わるというのが無くなっただけでも良しとするか。

もしかしたらガウェインの幸運Aに救われたのかも知れない。

さすがは幸運A、伊達じゃないぜ。

傷も永琳の治療により完全とはいかないが治っており少し位なら歩けるようになった。

今は永琳と一緒に縁側でお茶を飲んでいる。

周りでは兎達が忙しそうに働いているのが見て取れる。

少し・・・嫌、かなり居た堪れない。

 

「お師匠様が気にする必要はないですよ」

 

心を読まれたような気がして聞き返してしまう。

 

「八意殿、私はそんなにわかりやすいですか?」

 

しゃべり方が変なのはガウェイン補正だろう。

そうすると永琳は頬を膨らませて少し怒ったような感じで、

 

「永琳とお呼び下さいと何度言えば・・・・」

 

愚痴じみた感じでまだ何か言っているが無視だ。

そもそも親しくもない女性の名前をいきなり呼び捨てにできるほど肝が据わってるわけでもないし、何よりも失礼だ。

無視してる時点で失礼か、思わず苦笑いしてしまう。

それをみた永琳ははあ、と深いため息をついた。

何を溜息をついているのかと思いもしたが女心のわからない私が下手に言って彼女の機嫌を損ね兼ねないので黙っておく。

その間にこの数日を思い出す。

 

 

最初は鏡を見て驚き、優曇華から尊敬の眼差しで見られサインを求められ、蓬莱山 輝夜からも尊敬の眼差しとサインを求められた。

ガウェインって有名なのか?嫌、地上じゃかなり有名だがこの二人は月の民だぞ?

しかも永琳が師匠と呼ぶのが一番分からない。

そもそも永琳は何憶年も前の存在だぞ?ガウェインを知る機会なんてそもそも無いだろう、ましてや師匠と呼ぶ事はまず有り得ないのだが・・・・・。

とりあえずガウェインは真名で弱点を教えてるようなものだからセイバーと呼んでくれと言うと更にその場が盛り上がったのも謎だ。

まあ、わからない事は分からないので考えるのをやめた。

 

今更だが何故ガウェインなに憑依?したのだろうか?

聞いた話によると頭に大怪我していたのを発見され運び込まれたのだと言う。

頭に大怪我で思い当たるものはガウェインの最後だ。

確かランスロットにやられた古傷を名も無き敵に撃たれての死だった筈だ。

まあ直ぐに死んだわけではなく致命傷を受けてもなお立ち、ランスロットに弟たちと王の妃を奪った事を許すと書いた手紙を書いてそれから死んだのだが・・・・っとこれはどうでもいいな、これは。

と言う事は死して英霊の座に招かれる間に何らかの出来事か事態が起こって幻想入りしたガウェインの死体に憑依と言う形で生き返って今に至ると言うわけか?

大丈夫か?世界の意思が攻めて来たりしないよな?

流石に幾ら幻想郷と言えど世界が敵にまわれば存在が危うい。

幾ら八雲 紫が強くとも世界の意思が介入してくれば勝てないだろう。

幻想郷は世界ではなく結界で現実世界の一部を切り抜いてるのだけの存在である。

あくまで表と裏の存在であり一つの世界ではないのだ。

それに世界が自分の意思で自分に抗うすべを作るだろうか?

自分がもし世界なら自分を殺しえる存在を作る、或いは許容するか?答えはNO。

この世界が幻想郷のことを否定し本気で潰そうと行動に移したら間違いなく能力に何らかのペナルティがかかる、或いは能力そのものが使えなくなるかもしれない。

あれ?もしかしてつんだ?

私一人のために幻想郷滅んだりしないよな?

行先が不安である。

マジで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然だがガウェインになった事で無性に林檎好きに成った。

前から甘い物が好きだったが、その甘い物よりも林檎が好きに成った。

大事な事なので二回言った。

先程の事だが気にしない事にした。

幾ら悩んでもしょうがないので前向きに生きて行こうと思う。

そうしなければやってられない。

 

で、だ。

 

永琳が黄金の林檎を持って来た。

無論私の目は林檎に釘付けに成る。

しかし、どうやったら黄金の林檎何てできるんだ?月の頭脳に出来ない事は少ない?さいですか・・・・・・。

 

私の目が林檎に釘付けに成っているのに気付いた永琳が林檎を盛った皿を左右に揺らす。

無論私の目も左右に動く。

それを見て永琳が苦笑いしながら「本当に林檎が好き何ですね」と言いながら皿をこちらに差し出す。

直ぐにでも食べたい気持ちに刈られるが手を伸ばすのを躊躇ってしまう。

確かガウェインは晩餐会で毒を盛られた黄金の林檎を食べようとしたが別の騎士が手を出して来てガウェインが紳士的な態度を取り、遠慮して林檎を譲る事で毒殺を免れているんだよな~。

・・・・・・毒盛って無いよね?

よくよく考えて見ると毒殺する動機が無いし、もし殺したいのであれば治療などしてくれないだろうと思い、林檎に手を伸ばす。

シャリっと音を立てながら口の中に広がる甘味と香りが実に良い。

ガウェイン補正を抜きにしても今まで食べて来た林檎の中で断トツの旨さだ。

 

どうでも良い話だが林檎はラテン語でアウ゛ァロンと言う意味である。この事から、アーサー王物語はキリスト教の聖書を元に作られた物語である事が解る。

と言う事は、アーサー王の辿り着いた理想郷の先は林檎畑だったのだろうか?

それはそれで理想郷だと思うのは、間違い無くガウェイン補正のせいだろう。間違いない。

恐らく、全て遠き理想郷と言うのは、アダムとイブが最初に居た楽園の事だろう。

確か、そこにある林檎食って追放された訳だし・・・。

気付くと林檎が全てなくなっていた。

考え事をしながらも食続る辺りガウェインは相当、嫌、かなり食い意地張ってるのかも知れない・・・・・・林檎限定で。

 

「ごちそうさまでした」

 

そう言うと永琳がお粗末さまですと言って皿を持って行く。

 

体ももう大分良い感じに成っている。

そろそろリハビリがてら永遠亭の事を手伝おうと思う。

働かざる者食うべからずだ、このままご好意に甘えてしまいたいが私のプライドがそれを許さない。これは騎士であるガウェインと私の共通する思いだろう。

取り敢えず永琳にこの事を伝えると。

 

「お師匠様はそんな事気にしなくて大丈夫ですよ」

 

との事だ。

しかし、こちらが大丈夫じゃない。

せめて掃除位なら自分にも出来ると思い兎達の掃除道具を借り、廊下拭きから始める事にした。

モップを手に廊下を掃除する太陽の騎士・・・・うん、シュールだ。

どうでもいいけど、自分の意思で掃除とかすると後で掃除した場所気になるよね?何でだろう?

 

 

 

 

 

やはり、である。

(何もしなくて良いと言ったのに・・・・)

しかし逆にお師匠様らしいと思う。

自分だけの事だと適当なのに人が係わると全力でするのだ。

悪い言い方をすれば八方美人、

しかし、媚を売ってるように感じないのはお師匠様の人間性である。

昔からそうだった。逸脱した力を持つのにそれを誇る事もしない。

優れた知があるのにそれを誇らない。

八方美人のくせして悪いと思ったら真っ向から敵対するし・・・・。

けして相手を軽んじる事はしないし見下すことも絶対にしない。

そもそもそう言った行為を一番嫌うお方だ。

誰にでも紳士的に接するので軍では理想の上司と言われ、民には騎士の鏡と言われ、女性には理想の男と言われていた。

記憶を無くしても変わらない事からこれがお師匠様の本質なのだと改めて思い嬉しく思う反面、誰にでも紳士的に接するのはやめて欲しいと思うのは惚れた男の弱みなのだろう。

それは自分だけに向けて欲しいと思うのは残念ながら私だけではないだろう

現に優曇華と姫様は今は憧れと尊敬の目で見ているがこれが恋に変わるのは時間の問題だろう。

そして藤原妹紅、彼女は絶対に彼に惚れてる。

それは彼を連れて来た時の態度でわかる・・・・・あの天然たらしが・・・。

しかし、医者としての建前、起きた事を連れて来た者に伝える義務がある。

お師匠様が起きた旨を書いた手紙をてゐに持たせた。

いつもなら悪戯しないか心配だったがあのお方との接し方がいつもと違うので大丈夫だろう。

現にあのお方の名前を言ったところ態度が変わった。

いつもの悪戯お考えてる顔ではなく真剣な顔になり手紙を受け取ると「必ず」と言って飛び出した。

まるで忠犬(兎だけど)に見えた。

後でそこのところを深ーく問いただそうと思う。

 

 

 

 

 

てゐから手紙が来た。

そこにはセイバー様が起きた事と記憶が無いことが書いてあった。

頭が真っ白になる。

なんだって・・・・記憶がない?

私の事を覚えて無いと言う事か・・・・。

 

「本当・・・・なのか?」

 

目の前にいるてゐに問いかけると俯きながら小さく「はい」と告げた。

いつものてゐの態度が違う事から本当なのだろう。

てゐが「では」と言って立ち去った後、

私は地面に座り込んでしまう。

嘘だ嘘だ嘘だ嘘だうそだうそだうそだうそだウソダウソダウソダウソダ!!

感情の暴走はついに抑えきれなくなり、

大声で泣きだした・・・・うそであって欲しかった。

生まれたての赤ん坊が産声を上げる如くただただ大声で泣き続ける。

 

その声はどこか虚しく竹林に木霊するのであった 。




大切な存在に忘れられる・・・・それはとてもとても残酷なこと
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。