東方太陽録   作:仙儒

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42話

紫達はもう一人の女性を相手に四苦八苦している。

必然的に私はポニーテイルの娘を相手する事になる。

まぁ、魔理沙も此方の援護はしてくれるが正直あてに成らない。

あいつ、魔理沙のマスタースパークをいとも簡単に剣で切り捨てた。

今、レミリアがグングニルで何とかけんせいしてる所だがこのままではじり貧だろう。

それにこの女、神降ろをして完全に神の力を使いこなしている。

私も負けじと大禍津日神を降ろし対抗する。

もう何度目かわからない突撃をする。

それを相手は澄まし顔で余裕を持ってかわす。

くそっ、紫や月の賢者たちはもう一人の相手で手いっぱいだ。

此方に手を貸してくれる可能性は零だろう。

 

そう考えながらも攻撃の手を緩めない。

 

その時、圧倒的な神気を感じた。

この神気は知っている。

今回助けに来た人物の物だ。

その人物は私の玉串と相手の剣を防ぐように割って入って来た。

 

「双方刃を引け」

 

別に大きくない声だが戦場に響き渡る。

その声におおじるかのようにそこに居た全員が戦闘を中断して驚きの顔でセイバーさんを見て居る。

 

「「お、お兄様、何故此方に!」」

 

相手が明らかに動揺している。

それに構わずにガウェインは周りを見回す。

永琳にルーミア、紫に藍にちゆりに夢見、魅魔にレミリア、咲夜に輝夜達に霊夢に魔理沙まで居た。

 

 

「この方達は我が命の恩人、敵対するのならば私も加勢します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は驚いている。今お兄様の眼は確実に私達を敵としてみている。それに何故お兄様がここに居るのか?

それに私達の天敵である穢れの原因であるものがお兄様の剣から発せられる炎で浄化されていく。

それに身震いする程の神気。

お兄様は本来温厚な方だ。ここまでとげとげしい態度を取るのは珍しい。

少なくとも私やお姉さまは見た事が無い。

 

「話し合いでの解決を所望します」

 

そんな事言われても私達にはこの月の都を守る義務がある。

 

「幾らお兄様の頼みでもそれを承諾する事は出来ません」

 

相手の動きに細心の注意を払い、己が獲物を構える。

本当はお兄様と闘いたく何て無い。

だが綿月家として月の都を守る義務がある。

私の構えにお兄様は「そうですか・・・・」と小さく告げると剣を構えた。

交渉決裂だ。最悪のシナリオに泣きたくなる。

先に動いたのはお兄様だった。

重い剣戟が私を襲う。

私も負けじとタケミカヅチを下ろして戦うがお兄様の猛攻を何とか防ぐのに留まる。

力の差があり過ぎるっ! 数億年間の修業でもまだお兄様には届かない。

自分の力の無さを痛感した。

しかし同時にこんな最悪の気分の筈なのに不思議と心躍る自分が居る。

そう、そうだ、それでこそ綿月家の長男であり、月の大英雄であり、私達が愛し、尊敬した兄の姿だった。

しかし、妙である。やろうと思えば私に攻撃を通す事チャンスが幾らでもあった筈だ。

なのにそれはなされない。

そこで初めて剣のみを攻撃している事に気がついた。

ガキンッガキンッと剣戟が続く。

此方は息が絶えた絶えだと言うのにお兄様は息を乱す所か澄まし顔である。

 

「私にはもうお兄様に抗う力は無い・・・・次の一撃で勝負を決めます」

 

剣を杖にし膝をついた私が最後の力を振り絞り立ち上がる。

それと同時に天照をこの身に下ろす。

お兄様も何も言わないが私が立つのを待っていてくれた。

 

「天照大神よ! 私に最高の力を!!」

 

そう言うと同時に物干し竿が炎に包まれる。

 

忠義の剣閃(ガラティーン)!!」

 

二つの炎の剣戟がぶつかり合う。

炎の鍔迫り合いが続く。凄まじい神気と神気のぶつかり合い。

周りの人物はそれにより此方に介入出来ない。

 

「おおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「はああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

二人の雄たけびも炎の剣戟で聞こえない。

そんな鍔迫り合いがどれだけ続いた事か。長い時間だったか、或いはほんの一瞬だっただろうか? 徐々に押され始め、最後には負けてしまった。

まだまだお兄様は遠いな~、そう思いながら迫りくる炎の剣戟に飲まれそうになったが剣戟はすんでの所で軌道を変え、私のすぐ真横を通り過ぎて行った。

次の瞬間剣を構えて此方にかけて来るお兄様が映った。

 

「強く、成りましたね」

 

その言葉を聞いた瞬間に私は意識を落とした。

 

 

 

 

 

 

 

解りきって居た。こう成る事を・・・・

どうにかならないかお願いして見たが駄目だったようだ。

最初に仕掛けたのは私だった。

しかし初撃を難なく受け止めた彼女は脅威にあたいする。

くそっ、受け止められたか。

敵は確か神下ろしを使って来る筈だ。今思い出した。

きっと武神を下ろしてくるに違いない。

現に動きが先程よりも俊敏に成って居る。

せめてもの救いは聖者の数字が発動してる事だ。

長期戦は出来ない。今が何時か知らないが聖者の数字が切れたら此方が一方的にやられるだろう。

もう何度目かになる激しい剣戟の中で相手が徐々に疲労していくのをガウェインは見逃さなかった。

 

すると相手から次の一撃にて勝敗を決しようと申し出があった。

何時まで発動しているかわからない聖者の数字の事を考えると助けに船だ。

その一撃に全てをかけてガラティーンに魔力を流し構える。

相手は天照を下ろしたらしい。

太陽の女神に太陽の騎士か・・・・、皮肉を感じながらも真名解放をする。

 

・・・・流石は天照と言った所か、最早対界宝具に匹敵する攻撃を真っ向から受け止めるとは。

騎士としてのガウェインはこれぞ戦場の花だと思った。

ここ十年でどうやら心までガウェインに引かれつつあるのかと苦笑い。

 

そして・・・・。

 

勝ったのは私の方だった。一気に近づきジョワイユスの柄で鳩尾を攻撃する。

 

何だろうかこの気持ちは、

私は人知れず

 

「強く成られましたね・・・・」

 

と呟いていた。

 

 

「依姫!!」

 

駆け寄って来た姉妹の姉の方に依姫を渡す。

 

「気を失ってるだけです、すぐにでも目を覚ますでしょう」

 

それを聞いた豊姫は安堵の息を洩らす。

渡した後地上組を能力で帰る事にする。

場所は・・・・博霊神社で良いか・・・・

それに気がついた豊姫は静止の呼びかけをしてくるがそれを聞きいれる訳にはいかない。

下手したら紫が処刑されかねない。友として友人が殺されるのを眺めるほど腐って居ない。

 

そうだ、月に居る間に散々お世話に成ったのだ何か言い残そうと思考を走らせるが浮かび上がってこない。

そう言えばイタチが死ぬ時に言ってたセリフを言うか、かっこ良かったし。

ゆっくりと右手をのばす。相手は目を瞑って構えた。

その動作に構う事無くそのまま人差し指と中指で額を突く。

目を開いて驚いた顔をしている。私は何も言わずに笑顔で

 

「許せ豊姫、依姫。これで最後だ・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

消えていくお兄様に能力で繋ぎとめるが何故か能力が発動しない。

消えていくお兄様を何とか止めようとするが間に合わない。

 

徐に此方を見たお兄様は何を思ったのか

 

「許せ豊姫、依姫。これで最後だ・・・・・・」

 

そう言って笑顔を向けて消え去った。

 

っ!!

卑怯過ぎる。

最後にあの癖を出してくるとは。

あれは我儘を言っても出来ない時のなだめるための癖だ。

それに最後の最後で名前を呼んでくるなんて。

 

消えたお兄様を見送った後、悲しみに打ちひしがれたが、お兄様と師匠の捜索の準備を速球に手配した。

こうなったら自棄だ、とことんお兄様を追跡してみせる!!

 

「あ、あれ? お姉さま?」

 

気絶していた依姫が目を覚ます。

 

「っ! そうだお兄様っ!」

 

急に立ち上がったせいか先の戦闘のダメージが抜けきれない体でそんな事をしたものだから痛さで縮こまる依姫。

 

「無理しないの、お兄様はあいつらに連れて行かれたわ」

 

それを聞いて気落ちする依姫。まぁ無理もない。妹の前だから意地を張って居るが私も随分落ち込んでは居る。

 

「依姫、捜索隊を出すわよ、師匠と同じ、嫌、それ以上にお兄様の事を優先させるわ」

 

 

月の都ではガウェインが地上の者に誘拐されたと報道が流れ、捜索隊が早速編成されたそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すいませんでした」

 

帰ったら問答無用で土下座中だ。

皆からのプレッシャーが半端ない。

理由は言わずもがな。

 

「全くお師匠様は、あれほど外に出る時は十分に注意するか私と一緒にとあれほど言ったじゃないですか」

 

そんでメンバー全員からさんざん文句を言われその日は終わりを迎えた。

 

余談だが永琳を筆頭に次から次へと説教が続き、解放されたのは6時間後だったと言う。




ガウェイン「あっ、足が・・・・・・・」
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