東方太陽録   作:仙儒

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50話

ついに大みそか。

今日が終われば新たな一年が始まる。

どうでも良い話だが月の終わりを「みそか」と言い、一年の終わりだから大みそからしい。

おめでとう。これでまた一つ賢く成りましたね。

とどうでも良い事を考えて居る。

で今は夕日が落ち、早速宴に成って居る。

おい霊夢よ、お前はここに居て良いのか? 仮にも神社の娘だろう?

 

「いいのよ別に、どうせ人なんか来やしないんだから、居ても寒いだけでしょう?」

 

開き直りやがったよ。こいつ。

そしてさらっと人の心を読むな。

はぁ、博霊神社まで雪かきしたのに無駄にしやがって。

まぁ、それでも客は来ないだろうな・・・・きっと。

さて取り敢えずぽち袋を確認する。

入れる値段は面倒なので同じで良いや。

このぽち袋はお年玉として霊夢と魔理沙、ちゆりに渡すのがここ十年間の決まり事見たいに成って居る。

20に成ったらやめるつもりだ。

霊夢と魔理沙は後4年、ちゆりは後2年。

それにしても大きく成った物だな。親代わりをしてもう十年か。

子供の成長は早いものだ。

夕飯の年越し蕎麦を食べながら思い返す。

おお、鰹出汁が効いてて美味いね。

 

 

 

暫くして蕎麦を食べ終えた私は、出掛けて来ると言い残して家を後にする。

向かうのは博霊神社だ。

まだ守矢神社が出来てないからな、もしかしたら来てくれる人も無きにしも非ずだ。

境内の雪を片づけ、能力で薪を出しルーンで火をつけ焚火をする。

外の世界じゃこれ禁止されてて出来ないもんな~

雪のしんしんと降る中で焚火で暖を取るとなんか乙な気持ちに成る。

薪も火事に成らないように調節しながらほおりこむ。

しーんと静まりかえった境内には焚火のぱちぱちと燃える音だけが木霊する。

礼儀作法何か知らないので一応塩をまいて水も凍らない程度にまいておいた。

これで境内が清められただろう。

決まりつけに火だ。

火はあらゆる物を浄化する事で良く使われて居る。

よくは解らんが陰陽の関係上の物だろう。

人形供養や御札なんかも火で燃やす訳だしな。

出て来た時間がいつだかわからんがこうも静かだと時間を持て余すな。

くそ~、ゲームの一つや二つ持ってくれば良かった。

そう言えば魅魔は悪霊だけどこんな事しちゃって大丈夫だったのかな?

一応博霊神社に居る訳だし。

まぁ、人類すべてを恨んだくらいだ、この程度で成仏はしないだろう。

 

そう言えば焚火で思いついたのだが、焼き芋をしよう。

何だかんだで焼き芋する機会無かったし。

そう思い、アルミホイルに薩摩芋を出し火の中に突っ込む。

で、どの位焼けば上手に焼けるのかが解らね~。

しょうがないからちょくちょく加減を杖で見ながらやる事にした。

 

・・・・・・・

・・・・・・

・・・・・

 

それからしばらく経ち焼き芋が良い感じに成ったので取り出して食べる。

ホクホクとしていてとても甘い芋だな。

そう言えば能力でゲームとか出せば良いんじゃね?

衝撃の事実が明らかに成った。

早速能力で出して遊ぶ事にする。

それにしても本当に人来ないな。

途中に用意しておいた御札を張るタイプの結界が無駄に成りそうだ。

そう思いながらゲームを出してやり始める。

そうでも良いが本当に静かだな。ここ。

まるで此処だけが外界から切り取られたかの様な錯覚に陥りそうだ。

因みにやって居るのは一狩り行こうぜ! で有名なゲームだ。

時計も出して見てみるともうすぐ12時に成る所だった。

きつけに一本持ってきた酒のコルクを開け12時に向けてカウントを始める。

5、4、3、2、1、0

 

「ハッピーニューイヤー」

 

そう言って酒を飲もうとした瞬間、

 

「「「「「「「「「お師匠様(セイバー様)(さん)」」」」」」」」」

 

急な呼びかけの声に驚く私。

見れば宴に参加していたメンバー全員がやって来ていた。

 

「水くさいぞ、セイバー。私達にも一言言ってくれれば良かったものを」

 

何処かの誰かさんとは大違いだな、と続ける慧音。

言われたのは無論霊夢だ。

霊夢は気まずそうに眼をそらしている。

結局全員集合だな。

そんな中、永琳が林檎味のミルクセーキをくれたので喜んで飲んだ。

さり気無く私の左手に絡みついてくる永琳。

そんで右側を見たら何故か幽々子がいた。

何故居るし

そう思ってたら「こんな楽しい宴に誘ってくれない何て酷いわ」わざとらしくと泣いたふりをしだした。

心なしか左手の永琳の腕の力が強く成ったような気がする。

ふふふ・・・・・

 

不思議と込み上げて来る笑いに耐えきれずに大声を出して笑ってしまった。

 

その笑い声に全員が何事だ!? と思ったがあまりにも無邪気に笑うセイバーを見て一人、また一人と笑いだす。しまいには全員が笑っていた。

 

「また楽しい一年に成りそうですね」

 

そう呟いた。

 

 

 

ひとしきり笑った後、能力で花火を出して皆でやっている。

初めて見る花火に幻想郷チームは子供のように興奮し、外から来た二人は懐かしがりながら花火に火をつけている。

おい魔理沙、危ないから複数持ちながら振り回すな。

そんな私は打ち上げ花火の設置作業を急ピッチで進めている。

めでたい時にはいっちょド派手にぶちかましても罰は当たらないだろう。

永琳も設置を手伝ってくれてる。

幽々子はそれが何だか解らずに首をかしげている。

あれ? さっきまで花火やってなかったか?

まぁ、良いや。

 

 

・・・・・よし、設置完了。

永琳の方を見たら永琳も此方を向いて頷いている。どうやらあちらも準備が完了したらしい。

じゃあ、いっちょ行きますか!

設置した筒に火薬玉詰め込んで火をつけて耳をふさぐ。

ヒューっと風切り音を発しながら打ちあがり空に見事な火の花が咲く。

それに皆が見とれる。

遅れてやってくる爆発音にちょっと驚いた顔をしている。

永琳に複数の八尺玉を渡す。

一度やってみたかったんだよな、こう言う連続打ち上げ花火を。

此方も筒にどんどん火薬玉を詰め込んでゆく。

去年とかもやっておけばよかったな。そう思いながら次々に火をつけて打ち上げる。

幾つもの打ち上げ花火に皆が見入って居る。

うん、やって良かった。

途中から兎達に任せて幽々子の元に行く。

 

「どうですか? 打ち上げ花火は」

 

「美しいの一言に尽きますわ、ただ後に聞こえて来る大きな音に少しびっくりしましたが」

 

受けは良かったらしい。

やっぱり空気の澄んでいる冬にやる打ち上げ花火は夏にやるのよりも綺麗に思えた。

降り続く雪が合わさり更に綺麗に見える。

冬の花火も乙なものだな。

そう言えば幽々子はさっきから移動する私の後ろを近づきすぎず、離れずの距離を取って居る。

何故そうするのか解らんが、もしかしたら男尊女卑の一番強い時の人だったなと思いだし、苦笑いしながら幽々子の右手を掴んだ。

何故私の後を付いて回って居るかは解らんが一緒に付いてくるならこれ位しても許されるだろう。

 

「あっ」

 

そう言って顔を赤らめてモジモジし始めたけど何か不味い事でもしたか?

繋いだ手はひんやりと冷たかった。

これが亡霊故なのか冬で寒いからかは解らんが後者だった場合は不味いな。

それを考えて焚火のそばに来た。

火は厳禁か? とも思ったが様子を見てみる分には大丈夫みたいだ。

そう言えば何時も側にいた妖夢の姿が見えないな。

 

「西行寺殿」

 

呼びかけるが本人は頬をふくらませている。

 

「幽々子とお呼び下さい」

 

「あ、あのですね西行寺殿・・・・・」

 

「・・・・・西行寺殿?」

 

・・・・・・・

 

「・・・・ユユコ」

 

「何かしらセイバー様」

 

何かめんどい。それに女の人を下の名前で呼ぶのに抵抗がある。

まぁ、良いや

 

「魂魄殿はどうされたんですか?」

 

幽々子が顔を反らした。おいこっちを見ろよ。

と言う事は妖夢今頃幽々子探し回ってんぞ。苦労してんな~あいつ。

まぁ、ここで花火打ち上げ続けているし、騒がしい方に来るだろう。

まだまだ八尺玉は残って居るからな、旨く行けば里からも見えるかもしれない。

そうすれば参拝客とかも来てくれるだろ。

妖夢もきっと気に成って立ち寄ってくれる・・・・・と良いな。

 

 

 

一応甘酒にお汁粉用意しとくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜遅くに何かの爆発音に驚いて何事かと外に出て見た。

言葉を無くした。

この世のものとは思えないほど綺麗な花火が何発も連続で打ちあがって居た。

確か花火なるものだった。私も300年くらい前に一度見た事があるが、それを凌駕した、綺麗に花咲き、変幻自在に形を変えるものなど初めて見た。

幻想郷には花火職人が居ないので初めて目にする人がほとんどではないだろうか?

と、次々に外に出て確認する人たちを見て思う。

冬の雪が舞う中に火の花が咲き乱れる。それはまさしく幻想と呼ぶにふさわしい光景だった。

近所の子供達も、否大人たちもそれを見て凄い凄いとはしゃいでいる。

打ち上げているのは・・・・この方角だと博霊神社か。

そう言えば元旦だ。丁度良い、初詣に博霊神社に行こう。

そう思い出ようとしたら家の使いの者が私を止める。

夜に里の外に出るのがどれだけ野蛮な行為かを知って居るからだ。

しかし、行ってみたい。もっと近くで見ればもっと綺麗に見える筈だ。

私がそれを見たいのだ。

使いの静止を振り切り博霊神社に向かって走り出す。

こんな事が出来るようになったのは全てセイバー様のおかげだ。

感謝しつつ博霊神社へと続く道をたどる。

妖怪に出会わずに運が良いと思いつつ周りを良く見たら御札が一定間隔で張られ、結界を作って居た。

正直驚いている。言っては悪いが今代の博霊の巫女も先代の博霊の巫女もこのような試みは一度としてやった事は無いと記録している。

それに今代の巫女も自分からこう言った事をするような人では無いのを私は知って居る。

では、どうして今に成ってそんな事をしだしたのだろうか?

しかも里の人々にこの結界の事を告げずに。

何と無くだが彼がかかわって居る気がする。

そう考えていると里の人々が私を探しに武器を持っておっかながりながら来た。

その人達に御札を指さし結界が張られてるので大丈夫ですよと告げる。

御札はたぶん博霊神社まで続いているだろう。

その旨を里の者にも伝えて欲しいと頼み、再び博霊神社へと歩みを進める。

そう言えば慧音さんが出てこなかった事に不思議さを感じる。

こう言った事には必ず首を突っ込んでくるのに今日に限って出てこない。

何かあったのだろうか?

少し心配に成る。

博霊神社に近づくにつれて音が激しく成る。

やっぱり博霊神社から打ち上げてるらしい。

長い階段を上りきった先には、妖怪がいて、慧音さんもいて知らない顔も何人かいて、博霊の巫女が居て皆が楽しそう笑っていて花火を見て居た。その中にはやはり、セイバーさんが居た。

やっぱり彼が事の犯人らしい。

そんな彼は此方に気づいてやって来た。

 

「あけましておめでとうございます、稗田殿」

 

そう言って温かい甘酒をくれた。

此方も新年のあいさつをし、渡された甘酒を飲む。

芯から冷えて居た体にしみこむような、温かい物に包まれる様な感覚がする。

するとセイバーさんは私の手を引いて焚き火の前まで連れて来てくれた。

私の事を思ってくれてるんだと思い思わずにニヤケてしまいそうな顔を彼がくれた甘酒が入ったコップで隠す。

 

「あら、阿礼乙女じゃない、素敵な賽銭箱はあちらよ」

 

「相変わらずですね、霊夢さん」

 

でも折角神社まで来たのだ。お参りしとこう。

何を願おうかな? 昔なら健康を祈る所だが、それはセイバーさんのおかげで健康な普通の人と変わらない体を手に入れた。

ならばれ、恋愛について祈ろうかな。ここ十年何にも進展していないのに彼の周りにはライバルが増える一方だ。

それにしよう。

賽銭を入れ願い事をする。

それが終わるとセイバーさんが

 

「ようこそお参り下さいました」

 

と言いながら今度はお椀に木でできた箸を渡して来た。

中身はお汁粉だった。

そうしてる内に里の者達が続々とやって来た。

そして気が付けば皆がお参りをしてお汁粉か甘酒を持ちながら花火を鑑賞している。

そこには皆の笑顔があふれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花火が功を奏したのか博霊神社は里の人でにぎわっている。

ルーミアや幽々子に魅魔と言った連中が居るからどうかな? と思ったけど今見ている限り大丈夫そうだ。

どうやらクレープ屋をやってる時の手伝いで何度か顔を見られていたのが功を奏したらしい。

今は小さな子供達にじゃれつかれて居る。

この光景に霊夢は狂喜乱舞しながら御札やおみくじにお守りを売りさばき、賽銭が入るごとにテンションが鰻登りである。

 

「セイバーさんって商売繁盛の神様だったのね!」

 

だから私はそんな大それた存在じゃないから。

しまいには家で暮らさない? なんて言いだす始末。

無論論外だ。と言った所、「居るだけで良いから~・・・・お願い!」

何て抜かしやがる。

嫌、ね。これをするためにどれだけ苦労したと思ってんのさ。

裏で色々努力してたんだよ、おじさん。

深いため息を吐く。

取り敢えず帰ってお餅お食わなくて良い様にどんどんお汁粉を作る。

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