東方太陽録   作:仙儒

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53話

今日いきなり慧音から寺子屋が休みだと朝飯の時に言われ、急に予定が狂ってしまう。

まぁ、予定が狂った所で他の者に害がある訳では無いので別に良いのだが。

さて、暇に成ってしまったのでスコップを持って里の雪かきに行きますか。

2、3日周期で里の雪かきをしている。本当にここが北海道では無いか? と疑ってしまうほど降り積もって居る。

持てる英霊の力全てを雪かきに使うので里は2、3時間くらいで終わってしまう。

ちゃんと隅から隅まで雪かきして、だ。

流石は英霊、パナいです。

それで家に帰っても暇なので里から出て博霊神社との分れ道を三途の川の方に雪かきしながら進む。

途中にあった祠を雪の中から掘り起こし、大福をお供えして更に進む。

段々と雪の量が減って行き、無縁塚にたどり着いた。

無縁塚を進んで行くとスーパーファミコンやゲームボーイカラー何が落ちていた。

確か外で忘れ去られた物がここに辿りつくんだっけか?

何か昔の机見たいなゲームとかもあるぞ。

他にも普通のファミコンとかちゅるちゅるとか古い薪ストーブもある。

宝の山だな。

うわぁ、電車もあるよ。見つけた物全てまだまだ使えそうだよ。

 

「----------っ!!!」

 

!!!

 

悲鳴に成らない悲鳴が聞こえた。

悲鳴のした場所へと急ぐ。すると一人の男が走って逃げて居た。

片腕が無く夥しい量の血が出て居た。

不味い速く助けないと。

と出ようとして止まる。

 

 

 

え?

 

 

 

そこにはかいり血を浴び真っ赤に染まった服を着てその男の腕と思われる物をおいしそうに食べるルーミアの姿が見えた。

ルーミアから影が動き男の足を掴んで男がこけた。

必死に助けを求めながら何とか逃げようとあがいていた。

しかし、それは虚しくルーミアが男の前に歩いてたどり着く。

そして男をそれはそれは美味しそうに食べた。

それはルーミアの見たことのない一面だった。

暫くしてルーミアがそこを立ち去り、私は膝をついて居た。

ただただ見ている事しかできなかった。

嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!

そう思いながら思い体を引きずり男が最後に倒れて居た場所に行く。

血だまりに成って居るその場に力無く四つん這いに成って居た。

嘘だと思いたかった。

しかし、その血だまりが現実だと主張していた。

 

「うおおおああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

気が付けばただただ叫んでいた。

クレープ屋をやってる影響か知らないが子供達に囲まれ笑顔で子供達と遊ぶ彼女がこんなことするとは到底思えなかった。

私はぬるま湯につかって居たのだと思い知らされる。

妖怪は人間を食べる。

そう、彼女達にとって人間を食べると言う行為は私達で言う鳥や豚や牛肉や魚の肉を食べるのと同異議なのだ。

むしろ妖怪の存在定義上自分を人間を食べない事は餓える事と同義なのだ。

認めたく無かった。

今まで目を瞑っていたのだ。

行き場のないこの思いに右腕を力いっぱい地面に叩き付ける。

地面は隕石が落ちて来たのでは無いかと言うほどのクレーターになっていた。

涙が頬を伝う。

やる気がうせる。私は何て無力なんだろうか。

ガウェインの力を得て浮かれて居た。

能力で家に戻った。

 

「お帰り・・・どうしたのだ!」

 

玄関で出迎えてくれた慧音に悪いが答える気力が無い。

そのままのそのそと重い足取りで慧音の隣を通り抜けようとした所右手を慧音に掴まれた。

 

「一体何があったんだ!」

 

慧音に掴まれてる腕が痛いが今はどうでもよかった。

 

「何でも有りませんよ」

 

「何でもないわけないだろう! 一体何があった」

 

 

 

・・・・・・・

・・・・・・

・・・・・

 

慧音に全て話した。

ルーミアの事を。

 

「そう言う事か・・・・・難しいな、こればかりは妖怪の関係上避けては通れない道だ」

 

それなら慧音は人を食べるのか?

自然に口から出てしまった。

 

「私はそんな事はしないぞ!」

 

流石は人里の守護者と言うか、後天的に半妖になったからか人は食わないと言う。

そうか、それだけでも救われた気がする。

それを伝えて能力で外の世界の自分の部屋に転移する。

今はただ、一人きりに成りたかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから一夜が明けた。

未だにあの光景を受け入れられずにいた。

騎士道に誉のあった彼女であるから余計にだ。

人思いの娘だった。

封印が解けた自分では闇をコントロールできなくて朝が来ないと、それ故に封印してくれと言いだした彼女が人を食うとは・・・・・到底思えなかった。

否、思いたく無かった。

妖怪だったら紫や藍や萃香や幽香も人を食べるのだろうか?

何時も笑顔が絶えない彼女達からそれを想像したくはない。無かった・・・・・

その幻想をぶち壊されたのが昨日の出来事だ。

どんなに優しくても妖怪は人を食わなければ死んでしまう。

しかし、それでは私が納得いかない。

彼女は私の式だ。ただ一言人を食うなと命令すれば彼女は人を食べないだろう。

しかし、それを命令したら彼女は死んでしまう。

彼女だけじゃない。紫や藍や萃香や幽香にも人を食べて欲しくは無い。

どうすれば良い?

解決策を求めていたらいつの間にか博霊神社に居た。

何時の間に・・・・・まぁ、良いや。賽銭を入れると霊夢が凄い勢いでやって来た。

相変わらず現金な奴だ。文字通り、ね。

 

「こんにちは、セイバーさ・・・・どうしたの?」

 

あはは、自分では隠しているつもりでも顔には出ているらしい。

それから話した。全てを。

それでいい案が無いかと聞いて見た。

 

「神気を妖力に変えて送れば良いじゃない」

 

ワッツ?

神気って妖力に変換出来るのか? どちらかと言えば敵対関係のようなものだぞ?

そんな事出来るのか?

疑問に思っていたら丁寧に説明してくれた。

神でも神と邪神に分かれていてどうたらこうたら・・・・・

途中から難しくて解らなかったから結論から言うと神気から妖力への変換は可能との事。

他にも霊力や魔力、気等に変換する事も可能だと言う。

で、どう変換すればいいのか聞いて見たら急に説明が曖昧に成った。

彼女自身邪神を神卸した時には勝手に成って居るので解らんとの事だ。

 

 

で、博霊神社の境内に出て変換をやってみる。

一応神社なので霊力に変換する。

ガラティーンを出して地面に刺す。

そのガラティーンを通して神気を体に溜め変換をして見る。

だが、中々に難しい。何せ一回もやった事のない試みだ。

これは時間がかかりそうだぞ。思わず苦笑いが出る。

一応礼を言って外の世界の自分の部屋に転移する。

さて、精進しますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セイバーが姿を消して三か月経った。

妖怪の賢者の式が外に様子を見に行こうとすると何故か空間が歪んでいていけないと言う。

他の場所へ転移して外からセイバーの家に入ろうとしたら結界が軋み、膨大な神気が流れだしていて近づけないと言う。

何をやってんだあいつは・・・・・

寺子屋の筆子達も皆心配していた。

まだあの事を気にしているのか?

人一倍情に厚い奴だ。その気持はわからんでも無いがな・・・・・今一、踏ん切りがつかないのだろう。

一応この事はルーミアを除く皆に言ってある。

だから皆が心配だが立ち直るまでそーっとしとく方向で話がまとまった。

そう考えて今日も帰ってこなさそうだと玄関から離れようとしたら転移でセイバーが戻って来た。

 

「おい、今までどうしっ!」

 

話の途中でセイバーが私の方に倒れて来た。

 

「おいどうした! しっかりしろ!!」

 

倒れて来たセイバーを支えながら安否を問う。

 

「ケイネ・・・おねが・・・ルーミア・・・」

 

今一要領の得ない言葉を聞き、取り敢えずセイバーの言うとおりにルーミアの所に肩を貸し引きずって行く。一応彼も必死に歩こうとしているが体を引きずるのがやっとなのだろう。

そのまま引きずりルーミアの元へとたどり着く。

 

「セイバー様!!」

 

彼女も彼を見た瞬間に此方に走って来た。

それを彼はあいている方の手で静止をするように上げた。

ルーミアは思わずに止まってしまう。

そうしてそのままゆっくり静止の合図をしていた手をゆっくりゆっくりとルーミアに伸ばす。

気が付けば私の肩から離れ体を大きく左右に揺らしながら、それでもしっかりとルーミアの方へと進んでいく。

そしてルーミアの目の前にたどり着くとその手でルーミアの額を突く。

その瞬間膨大な妖力を感じた。それこそ大妖怪クラスの妖力だ。

それは全てルーミアに注ぎ込まれていく。

 

「ルー・・・ミア、これ・・・人を食べな・・・すむ」

 

そう言うと笑顔に成りそのまま倒れた。

急いで彼を見ると凛とした表情で静かに寝息を立てて居た。

どんだけ心配したと思ってるんだ! と殴りたい気持ちに成ったが、こんな顔で眠られては殴る気も失せたよ。

取り敢えず文句は起きてからたっぷりと聞いて貰おう。

膝枕したら目の前の人物から殺気を感じた。

ルーミアからだ。

他の連中もいつの間にか集まって居た。

それで羨ましさと恨めしさを混ぜた視線が私に送られてくる。

だが無視する。折角の役得だ。この時だけは許されるだろう。

セイバーが気持ちよさそうに寝て居るので皆が手を出せないで襲ってくる連中はいない。

しかし、やはり彼と一緒に居ると何と言うか、幸せだな。

そこで改めて私はセイバーが好きなのだと再認識した。

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