東方太陽録   作:仙儒

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54話

外の世界に出てからはガラティーンを出し庭に刺して私の中に神気を溜めて霊力に変換する。

変換の途中で加減を間違えて爆発する。

こう言う展開で爆発するとか世界の鉄則なのか?

そんな事を考えながらもう一度ガラティーンの柄を握り神気を私に流す。

その段階で今度は私の中にある魔力とぶつかり合い変換前に爆発する。

やっぱり一筋縄ではいかないか・・・・・

爆発して吹き飛ばされた体を起こして、何故か刺した位置から微塵も動いて無いガラティーンを見て苦笑いを漏らす。

庭も爆発で綺麗だった日本庭園の面影は残って居ない。

家の一部も壊れて居る。

結界張ってあって良かった。

この爆発も外には見えてないだろう。

改めて結界を張ってくれた紫に感謝しつつまたガラティーンの前に立つ。

まぁ、前代未聞の試みだ、すぐに旨く行くなんて考えて無い。

ガラティーンを握り神気を体に通す。

何回目だろう? なこれで。

 

 

そんな事を何千、何万回繰り返した所でようやく霊力への変換に成功した。

思わずにやったー!! なんて叫んだが目的は霊力への変換では無いのを思い出して今度は魔力に変換をやって見た。

こっちは今までのが嘘のようにすんなりとうまくいってしまった。

その勢いで今度はいよいよ本命の妖力への変換を試みる。

此処に至るまで既に飲まず食わずで一月が経過していた。

 

 

 

あれから数えるのも億劫に成るほど繰り返した。

しかし、ガラティーンではどんなに頑張っても妖力への変換は叶わなかった。

ジョワイユスにデュランダルもだ。

これにはそれぞれの武器の特徴上の事だと思われる。

ガラティーンは人の思いが形に成った物だから無論裏の面、セイバーオルタ見たいに裏の面に成れば良いのだろうが、原型が太陽の炎で鍛えられた為浄化の概念がどうしても残ってしまうのだ。

それ故に妖力への変換が上手くいっても変換したそばから浄化されてしまうのだ。

オルタ化してもその概念だけは変わらんだろう。てか、ガウェインでオルタ化とか考えらんない。

ジョワイユスは存在そのものが喜びなのだ。妖怪の定義の対極にある為妖力に変換するしたそばからまた浄化されてしまう。

デュランダルも聖獣や聖遺物で出来てる為此方も変換できなかった。

残るプライウェンに希望を抱いて出して妖力変換する。

やはり反発が強い。これもダメか?

そう思っていたら盛大に爆発した。

痛い・・・・・

しかし、諦める訳にはいかない。

もうあんな思いは二度と御免だ。

痛む体を無理やり起こしてプライウェンを取りに向かう。

立ちあがるのもやっとだ。今が何時であれから何日経ったかすら解らない。

もう無理だ、諦めろ。

そう言う自分の思いを否定しながら立ちあがる。

二度とあんな光景は見たくない。それだけが体を突き動かした。

そこでふと思いつく。

能力を使えば何とかなるのではないだろうか?

そう思いダメ元で挑戦してみる。

能力との並行作業で妖力の変換は難しくまた吹き飛ばされる。

しかし、手ごたえはあった。プランの変更は無しだ。

それをまた数えきれない位挑んだ。

そして遂に上手く行った。

喜びが込み上げて来る。

これまでの事、全部無駄じゃ無かった。

 

おっと、こうはしてらんないな。

最後の力を振り絞って幻想郷の自分の家に転移する。

久しぶりの幻想郷だな・・・・・

そう考えて居たら慧音がいた。

文句を言って来たが今はそれを聞いてる余裕はない。

愚痴はまた今度聞くから今回は勘弁してくれ。

動こうとしたら体は慧音に向かって倒れて居た。

速く彼女の所に行かなければ。

そう思いながら何とか絞り出した声に何も言わずに聞き入れてくれた慧音に心の中でお礼を言う。

しかし、流石は半獣と言った所か。

私に肩を貸してくれて引きずって行くだけの力があるのか。

そのままでは悪いと思い一生懸命体を動かそうとするがうまく動かない。

暫くするとルーミアが居る部屋にたどり着いた。

私を見たルーミアは凄い驚いた顔をして走って此方に来た。が、途中で手で静止を合図する。

初めて命令と言う形で強引に動きを止めた。

でないと彼女は私に飛びついて来ていただろう。

今の私にはそれを受け止めるだけの力は残って無い。

慧音に貸して貰ってた肩から手を離す。

大きく振れて倒れそうになるが倒れそうになる方に足を出して、そうしたら反対側に倒れそうになるのを今度はそちらの方向に足を出してゆっくり、ゆっくりと歩いて行く。

何時もなら数歩もしなくたどり着く距離が、今の私にはとても長く思う。

 

そしてやっとの思いで彼女の目の前にたどり着く。

静止を合図した手をゆっくりと上げ、ルーミアの額を突く。その瞬間に妖力を送り込む。

 

良かった・・・・・これで人を食べさせずに済む。

 

もう限界だった。体はあちこち悲鳴を上げて居る。

安心して気が緩んだせいか意識が一気に暗転する。

意識が途切れる直前に何か包まれるような温もりを感じた。

 

 

 

夢を、夢を見てる。

 

色々なところを旅する夢。

 

夢を夢だと理解できる夢。

 

夢なのに痛みがあって、ご飯を食べれば味が解って匂いが解る。

ただ、夢の中の自分は私の意志では動く事が無い、人生を体験するような夢。

この夢は今に始まった物では無い。

生前さんざん見て来たものだ。

当時の私は夢の中で旅するこの夢に今日は何処に行くのか? と興奮しながら眠りについていた。

眠ればいろんな所が見れる。

色んな事が知れる。

そう、私にとってこの夢は特別だった。

私の知りえないことを教えてくれる夢。

その夢から教えられた知識は私の知識欲を刺激した。

だから、もっと夢を見たいと眠りについた。

親はその光景が悪い病気なんじゃないか? と心配して病院をいくつも回った。

気が付けば夢を見るのが悪い事だと言われた。

ねえ? どうして? どうして駄目なの?

小さな私は理解できなかった。

そして夢が狂い始めた。

それは親が原因なのか、それとも医者の治療がそうしたのかは解らない。

もしかしたら両方かも知れないし、全然関係ないのかも知れない。

気が付けば夢が私を苦しめてた。

知りたくない知識が入って来た。

人を斬り殺す夢。眼が覚めた私の手にはその感覚が残って居た。

怖かった。ただただ怖かった。人を殺した事に、そして何よりも殺しても何も思わない夢の中の自分に。

その日は最悪だった。一日中泣きながら震えて居た。

ただ母さんの優しく抱きしめてくれるそれだけが救いだった。

夢は加速した。

人が人を殺す事が当たり前に成って居た。

私はそれが現実で起きるのではないかと部屋から出るのが怖くなってこもる様に成った。

眠るのが怖くなって何日も眠れない日々を過ごした。

ただ食事だけは母さんに悪いと思い罪悪感から食事だけはした。

そんな日を過ごしてたら母さんに父さんが一緒に眠ろうと申し出て来た。

眠る事が怖かった私は両親に挟まれて寝転がったまま眠る事が出来なかった。

そんな私に付き合って両親とも眠らずに私と話してくれた。話続けてくれた。

きっとお仕事とか家事とか大変なのにそれでも付き添ってくれた。

そんな事を始めて三日が経過した。そこでようやく眠りにつく事が出来た。

しかし、夢がトラウマに成って学校には行けなかった。

両親もその事については何も言いはしなかった。

そんな時だった。窓の外を眺めていたら野球ボールが飛んできた。

幸い換気の為に窓は開けられていたので窓が割れる事は無かった。

ボールを取りにきた少年は悪びれもなく家に入って来た。

ボールを渡すと帰ると思いきや、ボールを受け取っても帰る気配は無かった。

気が付けば一方的だが話しかけて来た。

答える間もなく次々に話をする私と同じくらいの少年は次々に言葉を発した。

私はしゃべる気にもなれずに黙ったままだった。

暫くしたら他の少年が私にしゃべりかけて来る少年の名前と思われる名前を呼ばれ、家から出て行った。

その日から毎日その少年は学校帰りに欠かさずに私の家へと寄って来た。

両親は私に友達が出来たと思い喜んでいた。

しかし、私の中にあった夢の傷痕のせいで家から出る事が出来なかった。

きっと外は夢であったような光景ばかりなのだと。そう思っていた。

それに毎日遊びに来る少年は私が何の反応をしなくても話続けた。

ある日毎日来る少年に何が楽しいのか聞いていた。

少年は無邪気に楽しいよと胸を張って答えた。

気が付けば夢の話をしていた。

少年はそれを否定したが、私は信じる事が出来なかった。

ある日、医者に行くために外に出た。

拒絶する私を宇宙人を連行するように持ち上げられて車に乗せられた。

泣き叫ぶ私に医者は黙ったまま首を横に振るばかりだった。

その帰りに車の窓から少年の姿を見つけた。

少年も私に気がついたのか手を振りながら此方に近づいてきた。

それに気がついた両親は車を止め、私の座席の扉を開けた。

予想外の行動に驚いていたら少年は私の手を掴んで無理やり連れ出された。

碌に外に出たりしなかった私にはその手に込められた力を振り払うだけの力が無かった。

ただただ怖かった。泣き叫びたかった。しかし、少年は加速する。

引っ張られて行った場所には夢の光景など面影すら無く、空地についた。

そこには私と同じくらいの子達が遊んでいた。

少年が来たのに気がついた子供達は集まって来た。

どうやら少年がリーダーらしい。

 

「新しいメンバーだ。今日は冒険をするぞ!」

 

そう言うと皆が頷いた。

皆に名前を聞かれて名前を呟いた。

知らない公園に吠えて来る怖い犬が居る場所。まさに大冒険だった。

そんな場所を回って居る内に自然と笑っていた。

夢みたいな光景は何処にも無かった。

夕陽が沈む時、少年が私を私の家に送ってくれた。

また遊んでくれる? つい呟いた言葉に鼻の下を指でさすりながらもちろんと帰って来た。

ただそれだけが嬉しかった。

家に入ると両親が笑顔で迎えてくれた。

興奮して私のしゃべる冒険譚を優しい笑顔で聞いてくれた。

その夜、両親に挟まれながら疲れたせいか直ぐに眠りについた。

その夜も夢を見た。しかし、怖い夢では無くテストの夢だった。

次の日に学校帰りの少年がやって来た。

私は夢で見たことを話していた。

そうすると少年はランドセルを開けて私が話した通りのテストを出した。

お前すげーなと言う少年の声に何故か嬉しく成る。

初めて夢を誉められた。

ただそれが嬉しかった。

ねー? 君の名前は何て言うの?

 

「何だ知らなかったのか、じゃあ言うから心して聞け、俺の名前は・・・・・」

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