東方太陽録   作:仙儒

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55話

懐かしい夢を見た。

まさかあの腐れ縁の相棒の出会いを思い出すとはな。

起きあがって周りを見る。

近くには点滴があった。

どれ位眠って居たんだ?

そう考えながら点滴を引き抜く。

てかよく針が刺さったな。この体は英霊なのだ。概念のない物、例えば包丁などは刺さる前に包丁の方が折れてしまう。

まぁ、永琳のなせる技か補正なのだろう。

さて、久しぶりに見る光景・・・・永遠亭か?

一応手元にあったナースコールの紐があったので取り敢えず押して見る。

そうしたら押した瞬間襖がスパーンッて効果音が聞こえて永琳が凄い勢いで入って来た。

 

「目が覚めたのですね、お師しょっ!」

 

周りが暗いので夜だと解って居たので大声を出したとした永琳の口を人差し指で塞ぐ。

月明かりの下永琳の顔は少し赤くなっている気がするが気のせいだろう。

 

「世話をかけましたね、すいません」

 

口を押さえて居た手をどかし頭を優しく撫でる。

永琳は下を向いたまま

 

「ずるいじゃないですか」

 

と呟いた。何がずるいのだろうか?

それよりも私が倒れてからどの位時が経ったか聞いて見た。

一週間寝たきりだったらしい。

これはまた、大勢に迷惑をかけたな。

因みに私が姿を消してから三カ月と言う月日が流れて居るのを聞いて驚いた。

やべぇ、こんだけ無断欠勤してたら教職首だよ、仕事どうしよう。

場違いな事を考えながら精密検査をすると言いだした永琳にそれは大袈裟だと断ったのだが永琳はやる気らしい。

仕方ない。取り敢えず適当に逃げる為にランサーの言葉を使わせてもらう事にした。

 

「英霊に成った連中は元々二度目の生に興味はありません」

 

そう言うと永琳がかたまった。

まぁ良いや。その隙に能力で家に帰る。

 

帰って来たのを確認して庭に面した障子を開ける。

そこにはつくしが生えて居て枝垂れ桜が花を咲かせようとしている所だった。

他の桜も蕾が膨らみそろそろ開花しそうであった。

本当に長い間家を開けて居たものだ。

月下の下で少し早いが花見をしようと思った。

この場合花見じゃなくて蕾見か?

 

「セイバー様?」

 

振り返って見たらルーミアが私を見て居た。

何時からいたし。

何回か目をこする動作をした後、私が夢でも幻でも無い事を認識したようで大声で

 

「セイバー様!!」

 

と言いながら飛びついて来た。

抱き付かれ、顔は私の胸に押し付けられた。

セイバー様セイバー様と繰り返しながら泣きだす私の式に苦笑いで頭を撫でながら言う。

 

「何も泣く事は無いでしょう」

 

しかし、ルーミアは泣く事をやめなかった。

 

 

暫くしてルーミアが落ち着いたらルーミアを離し真剣な顔で告げる。

 

「我が式ルーミアよ、私の式である間は一切の人食いを禁止とする」

 

これはお願いでは無い。

絶対強制のギアスによる命令だ。

妖怪が人間を食べる理由は大きく分けて二つある。

一つは妖力を補うために人間を食べ、その恐怖や負の感情を糧にする事。

二つ目は自分をより上の存在にするためだ。

この概念は英霊にも共通する。

英霊は人の魂を喰らう事で魔力に変換して生前の自分に近づけていくのだ。最も人を喰うのは反英霊が殆どで私は喰う気はさらさら無いが。

そう言えば私の魔力は何処から供給されてるのだろか?

今更な気もする。受肉しているのかとも思ったが、食事睡眠抜きで活動は出来ないだろう。と思い受肉はしてはいないだろう。

おっと話が脱線したな。

取り敢えずルーミアは人間の捕食行為を私の式である間は永久に禁則とされた訳だ。

無論、断る事は出来る。

私の式をやめる事を選べば人間を食べる事はできる。最もそう簡単に人間を食べさせる気はさらさら無いが。

 

「解りました。私は今日より人を食べる事を一切を禁則を誓います」

 

あっさりと許容したルーミアに虚を突かれる。

もう少し抗議の内容が来ると思っていた。

どうしてそんなにあっさり許容したのか訳を聞いて見た。

 

「私がどうこう言っても受け入れないでしょうから。それに対策を練らないでそんな事を口にするお方では無いですから」

 

あの時妖力を私に供給したのがその証拠でしょ? なんてウインクしながら此方を見て来る。

あらら、バレテーら。

 

「それに、それで愛想を尽かされては困るし」

 

「? 何か言いましたか」

 

それにルーミアは何でもないと答えて私に背を向ける。

まぁ、良いや。そう言えば一人で酒を飲むのも寂しいのでルーミアを誘って見た。

ルーミアは笑顔で「はい!」と答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お師匠様が倒れて居たのは魔力の枯渇だった。

魔界神とその娘に悪霊がお師匠様に魔力を送り込んでいたので大丈夫だと信じるしか無かった。

本当は薬で治せれば一番良いのだが霊力、魔力、妖力、気を使った薬はお師匠様には効かないのだ。

そこら辺が歯がゆい部分だ。

悪霊も魔界神もその娘も最初は魔法で回復させようとしたが全て無駄に終わった。

ただ、純粋な魔力の供給だけは出来たので、魔力だけは供給したという。

万が一の事態に備えて永遠亭にお師匠様を移した。

あれから一週間。一向に目覚める気配が無い。

それだけが心配の種だった。

そんな時にお師匠様の部屋のナースコールが鳴った。

私は一目散にお師匠様の部屋へと行く。

お師匠様が目を覚ました事に嬉しさから大声で話しかけようとしたら人差し指で唇をふさがれた。

その後に迷惑をかけたと頭を撫でてくれたのが嬉しかった。

しかし、一週間も起きなかったのだ。眠って居る間に色々検査をしたが心配で、もう一度精密検査をすると言ったらお師匠様は英霊に成った連中は元々二度目の生に興味が無いと言った。

思考が止まる。

英霊ってあの英霊か?

と言う事はお師匠様はもうこの世の者では無いと言う事か?

様々な疑問が頭を駆け巡る。しかし、お師匠様はセイバーと名を改めてこの数億の時を生きて来たお方だ。英雄であれど英霊である訳が無い。

げんに幻想郷に来た時は死にかけて居たのだ。

英霊が死にかける、何て事はあり得るのだろうか?

しかも中身はちゃんと生きて居る人のそれだった。

もしかして自身が死んだと勘違いしているのだろうか?

そう言えば優曇華が前に全ての波長を内包していると言っていたのを思い出す。

ますます解らなく成る。

もしかして私の知って居る英霊と定義が違うのか?

聞き返そうと思考を現実に戻したら等の本人が居なく成って居た。

慌てて居るとベッドに紙が置かれていた。

見てみると家に帰りますと書かれていた。

しまった、逃げられた。英霊と言ったのはこの隙を突く為か。

そう思いながらお師匠様の家へ向かって全速力で飛んで行く。

 

 

そうしたら式と一緒に月見酒をしてるお師匠様の姿があった。

すると、此方に気がついたのかお師匠様が手招きをしていた。

素直に従う事にする。

それでお師匠様の隣に座る式の反対側に着地する。

月を見ながら楽しそうにしてるお師匠様に今まで考えて居た事をやめた。

お師匠様はお師匠様だ。

それだけで十分だ。

ただ気に食わないのは式が反対側からお師匠様にべったりくっついている事だ。

雌豚の癖にお師匠様に触るとはどういう事だ!

引き剥がそうとしたが離れなかった。

それどころか「どうだ」と言う態度できた。

ふふふ、妖怪風情は消さないとね。

そう思い弓を出す。すると周りの景色がガラリと変わる。

どうやらお師匠様に飛ばされたらしい。

 

「せっかく二人きりで良い感じだったのによくも邪魔じてくれたわね」

 

「雌豚風情が私のお師匠様に触れるなんて許されないわ」

 

ルーミアも闇で出来た剣を握り弾幕を張りながら交戦を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

永琳が来てから雲行きいが怪しく成り能力で飛ばしてしまったが、どうやら正解だったらしい。

遠くで爆発音とか微かに聞こえる。

英霊の耳で聞いても微かにしか聞こえないのだ。

近所には聞こえて居ないだろう。

さて、

 

「そろそろ出てきたらどうですか? ユカリ」

 

するとスキマが開き彼女が出て来た。適当に言ったのにまさか本当に当たるとは。

今日は来客が多い日だ。

何故だかは解らんが嬉しそうである。

何か言い事でもあったか? と聞いて見たらやっと名前を呼んでくれた事が嬉しかったらしい。

そう言えば紫の友好関係はお世辞にも広いとは言えない。

だから名前で呼んでくれる友見たいのが欲しかったのだろう。

折角なので紫と酒のみをする事にする。

そうだと思いだし、紫の額を突き妖力を送る。その行為に驚いた紫だった。

 

「これであなたも人を食べなくて済みますね」

 

そう言うと納得した顔に成り。ええと答えた。

 

今宵の月は美しいな・・・・・

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