東方太陽録   作:仙儒

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56話

あれから二人で暫く月見酒をしていたのだが途中で紫が眠ってしまった為、紫を部屋に送り、布団に寝かせてからまた縁側に戻って来た。

そう言えば当初は蕾を見て、それを酒の肴にしようとしてるんだった。

いつの間にか月見酒に変わってしまったな。

そう思いながら月を見る。

有明の月か・・・・、そろそろ2月も終わりか。

幻想郷では明治初期段階で外の世界と切り離されたため、明治政府が出したグレゴリオ暦よりも月を見て日時をはかる月読み暦が深くねずいている。

(さく)(真月)から始まり眉月、夕月、弦の月(上弦の月)、十三夜の月、小望の月、望月(満月、又は十五夜)、十六夜の月、立待の月、居待の月、寝待の月(又は臥待の月)、更待の月、二十三夜の月(下弦の月)、二十六夜の月、有明の月、晦日の月(三十日の月)

とまあ、季節によって呼び方が変わる日はあれど大体この感じで呼ばれており、日時を数えて居る。

幻想郷に来て一番最初に直面した問題だ。

これを覚えるのに手間取った。

大体外の世界と一月近く遅いのだ。

外の世界だと3月末と春真っ盛りだ。

解りずらいんだよな、幻想郷の暦は。

そもそも真月に成るにつれて月の出が遅くなるので余計にだ。

昔の人って大雑把だったんだなと再確認した。

因みに家に張られているカレンダーは外の物だ。やっぱりこっちの方がしっくりくる。

東の空が明るみ始めた。酒はとおの昔に無くなったので飲んでいない。

屋根の上にジャンプして暁を眺める事にする。

能力で缶珈琲を出しそれを飲みつつ太陽が昇るのを見守る。

そう言えば永琳にルーミアまだ戻って来てないな。

まぁ、あの二人なら有象無象に負ける事は無いだろうと思い気にしない事にする。

ルーミアとはパスが繋がって居るし永琳は不死だからな。

この時間に成ってしまったからには眠る訳にはいかないな。

恐らく三か月も無断欠勤したんだから寺子屋首に成って居ると思うので新たな職探しからだな。

しかし、私に何ができるだろうか?

力だけは有り余って居るので妖怪退治でも始めようか?

しかし、紫や藍やルーミアが家に居る手前、そう言うのは避けた方がいいか?

幾ら見知らぬ妖怪だろうと同じ妖怪が殺されて良くは思わないだろう。

まぁ、紫の場合バランスキーパーとして妖怪をある程度なら倒して構わないと言いそうだが。

しかし、それは本来博霊の仕事なのであまり部外者が入り込んで良いものではないだろう。

この里にも何人か妖怪退治をする陰陽師が居るのでそちらでまにあっているだろう。

余り私のようなのがしゃしゃり出て妖怪を倒し過ぎると人間が強気に成って妖怪を根絶やし兼ねない。

そう成らないようにのバランスキーパーなのだろうが・・・・・

はぁ、振り出しか。

深いため息をはく。

自警団の中で何か私にも出来そうな仕事を伝手で探してみるか?

まぁ、何がともあれ昼間に成らねば始まらない事だが。

そんな事を考えて居たら太陽が昇りあがっていた。

うおっ、まぶしす。

 

庭に降り、縁側に座る。

夜には蕾だった桜が開花し始めてるのに気がつき、春が来たんだな~と再確認。

今更眠る気はさらさら無い。

太陽が顔を出しちゃったしな。

何より一週間寝て居たのだ。眠くなどない。

それに英霊は別に寝なくても大丈夫なのだ。眠れるから寝るだけで。

今回の件で完全に私は英霊なのだと確信した。三か月も飲まず食わずで寝ても居ないのに平気とか化け物だろ。

まぁ、今回は魔力が枯渇したから眠りについたが本来は眠らなくても大丈夫だと判明した訳だ。

マジで世界の意思とかが介入してこないか心配に成って来た。

しかし、何故十年も私を野放しにしたのかが気がかりだ。

何か目的があると思って間違いない。

十年も野放しにした理由・・・・・もしや幻想郷に世界の意思が介入出来ないとか?

それは無いな。

その証拠に紫は世界を作るのでは無く、結界を用いて外の世界と幻想郷に線を引いただけだ。

外の世界が表なら幻想郷は裏なのだ。

このように完全に一つの世界に出来て無い事こそ世界の意思が存在する事を証明してる。

それにもし私が世界なら私を超え得る力を持つ者を作りだすだろうか?

答えはNOだ。

世界の意思が介入してきた場合、幻想郷に居る全ての者が何らかのペナルティーをつけられる可能性が大きい。

まぁ、これは私の見解であって実際にはどうなるか解った物じゃないけどな。

何かこれ前にもあったようなきがする。

世界の意思は実際に来た時に考える事にしよう。

その時被害が最小限で済むように出来るだけ一人でいた方が良いか?

とも思ったが、親しい人を世界の意思が手を出すとも限らないので離れ続けるのも問題か。

八方塞がり、四面楚歌、状況は最悪か。

うーむ・・・・・・

 

 

 

・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・・

 

あれから暫く考えて居たが考えれば考えるほどに問題が出て来るので余り深く考えないようにした。

 

「セイバー!」

 

声がした方をみたら久しぶりに見る慧音の姿があった。

 

「セイバー、今まで何処に居たんだ! 何故連絡をよこさない。どれだけ心配したと思っているんだ!!」

 

詰め寄って来て体中を触りながら大丈夫か? 怪我は無いか? と続けて言っている。

そんな慧音に大丈夫だと告げるが、倒れて一週間も経っているのを知ってるせいか信じて貰えない。

その事に苦笑いをして終わるのを待つ事にした。

 

 

慧音のそれは朝食が出来たと言う言葉でようやく解放された。

何時ものように上座に座りいただきますとあいさつをする。

何で私何かが上座に座るのかと聞いた事があるのだが、それは私がこの家の主だからとかえって来た。

左右に永琳とルーミアがいつの間にか居た。

何これ怖い。私が部屋に入った時居なかったよね?

ギャグ補正言う奴か。

他の皆が永琳とルーミアを恨めしそうに見ている。

今日も魅魔に魔理沙に霊夢が居るのね。珍しくアリスもいるし。

早速何時もの光景に成ってしまっている。

考えてみると幻想郷の強者の殆どがそろっているとか色々可笑しいよね。

 

「そうだ、セイバー。今日は大事を取って寺子屋は休め」

 

その言葉に驚く。

首じゃ無いのか?

思わずに呟いてしまう。

 

「当たり前だ、筆子達もセイバーが来るのを心待ちにしているぞ」

 

その言葉に思わずに涙が出そうになる。

取り敢えず職は失わずにすんだようだ。

これからは心を入れ替えてより切磋琢磨しようと心に誓う。

とはいえどうやったらいいのか解らないので結局とっつぁん授業だが。

ふむ、今日の予定が開いてしまったな。本来は喜ぶべき所なのだろうが。

外に出て散歩でもしようかとも思ったが寺子屋の教師を休んでいるため気が引けた。

何かあるよね、こういう後ろめたさみたいなやつ。

どうしようかな? 取り敢えずテレビをつけてみる。

ついたテレビを見てふと思う。

電波どうやって居るんだろう。

と言うかここは幻想郷で電波どころか電気すら通って無いのが現状である。

世の中には不思議が溢れてる物だなと思う事にしておく。

恐らくスキマでどうにかしているのだろう。

すげーなスキマ。流石は創造と破壊をするのと同等の能力と言われるだけはある。

その紫が私に対してこれほどに尽くしてくれる意味が分からない。

紫にしてみればメリットが無い。

むしろデメリットばかりだ。

得体の知れない私を幻想郷で野放しにする事。無限の神気を有する私を、だ。

その気に成れば幻想郷をめちゃくちゃにする事位は出来る。

紫が一緒に暮らしているのは私を見張る為だと思っていたがそれも違うみたいだ。

何と言えば良いのか・・・・・見張る為にしては無防備なのだ。

見張る対象が居るのに普通にその側で眠るとかマジでありえないだろ。普通。

それに彼女は神隠しにた人間の一生を見る事を娯楽にする側の者だ。

ここまで肩入れをするのはおかしい。

っと、友を疑うのは良くないな。少なくとも私は彼女を友だと思っている。

彼女が私を友だと思っているかは定かでは無いがな。

チャンネルを変える。時間が早いせいかどのチャンネルもニュースばかりだ。

外の世界は生前とあまり変わらないらしい。

朝食が終わりご馳走様の号令をかけて皆は思い思いの場所へと消えて行った。

一人きりになり息をはく。

つい先ほどまで賑やかなだったのに、それが嘘のようだ。

これほどに朝が孤独な物だったとはな。全く。

生前は人見知りが激しいタイプで賑やかな場所は好きでは無かったんだがな。

そのくせ寂しがり屋と来たものだ。

小学生ならいざ知らず、精神年齢は30超えてるおじさんが寂しがり屋とか笑い話にも成らない。

再度今度は深く溜息をはく。

寝ようかな? 朝に寝るのもどうかと思うがやる事が無いのだ。

自分の部屋に戻り戸棚にしまってあった布団をしき、中に入る。

本来英霊であるこの身は睡眠は必要ないのだが眠る事は出来るので眠る。

一種の趣味みたいな物だ。

食事だって必要無いしな。ただ、食べる事で微々たるものだが魔力が回復するので食事は出来るだけ食べるようにしている。

そう言えば英霊なのだから霊体化出来るのか?

そう思い霊体化しようとするがどうやれば良いのかが分からん。

受肉してるのか? とも思ったがそれは無いだろう。

その証拠に三か月も飲まず食わずに眠らずで過ごして来たし。

うーん、確か騎士王様は下手な召喚をされたせいで霊体化出来なかったのと同じ原理なのだろう。

しかし、だとしたら私は何故ここに居るのだ。召喚された痕跡は無いし、外の世界で忘れ去られる確率は低いだろう。

ガウェインの名は有名過ぎる。それこそ英国男児であれば一度は憧れる騎士の一人に選ばれる位だ。

それに、第一、召喚するのには触媒が必要だ。何かしらの者が、あるいは物が寄りしろにされてる筈なのだがそんな気配は存在する気配はないし、パスが繋がって居るのは式であるルーミアだけだ。魔力供給された気配もない。いや、一応眠って居る間に魅魔に神綺にアリスが魔力供給してくれたみたいだけどそれきりだ。

謎が謎を呼ぶとはこの事を言うのだろう。

まぁ、何でも良いや。寝よう寝よう。

そう言えば武具達には結構無理をさせてしまったな。

後で魔力が満ちて居る魔法の森に置いておいた方がいいかも知れない。

幾ら奇跡が形に成った物でも魔力を枯渇させると使い物に成らなくなってしまう。今回の変換作業のせいで大分無理をさせてしまったしな。

ガラティーンとデュランダルは大丈夫だろうがプライウェンにジョワイユスはそうはいかないだろう。

魔界でも良いのだが魔物の天敵である宝具を置いとく訳にはいかないだろう。

確か神綺にアリスも聖書触れなかった筈だ。

恐らくジョワイユスにプライウェンにも触れる事は出来ないだろう。

さて、案外やる事が多いなと思いながら眠りにつく。

 

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