東方太陽録   作:仙儒

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57話

眠って居る・・・・・

眠りについている。

この光景を私は知って居るような気がする。

 

ううん、違う。確かに知って居た筈なんだ。

 

さあ目覚めよう、そこに真実がある。

 

 

 

 

 

 

夢を見てる。

小さな私は親友と共に学校に初めて行った。

緊張した。

お世辞にも人づきあいが得意な方では無かった。

不安が大きく成り、怖くなって逃げ出したかった。

でも逃げる事は出来ない。

来てしまったのだ、学校に。

初めは保健室通いでも良いと言った両親に自分から学校に行くと告げてしまったのだ。

「呼んだら入って来てね」と言う先生の言葉に「ハイ!」と裏返った声で答えてしまった。

恥ずかしくて逃げ出したかった。

先生は「そう気負わずに、大丈夫よ。かわいいから」と告げて教室に入って行く先生。

しかし、初めて自分と同世代の人が沢山いる所に来たのだ。

気負わない方がおかしい。

騒がしかった教室が静かに成る。

その後先生の声が聞こえて来た。

そして「新しい友達を紹介します!」と言われ呼ばれた。

ぎくしゃくしながら教室に入った。

何を言えば良いのか解らずに名前を言った後シーンとした教室の空気に耐えきれずに泣きそうになった。

そんな時だった。

私の名前を呼びながら立ち上がった生徒がいた。

それは見間違いない。私に世界を見せてくれた親友の姿だった。

その親友の顔を見た瞬間、ホッとしたんだ。

先生は私と親友の席を隣にしてくれた。

後で知った事なのだが私の両親が親友のいるクラスに入れてくれと頼んでいたらしい。

休み時間は大変だった。

ガキ大将だった親友の知り合いと言う事でクラス中の連中が話しかけて来た。

次々に発されるマシンガントークに答えられず泣きそうになった。

そんな時、やはり親友が助けてくれた。

「転校生にそんなに詰め寄るなよ、ほら、困ってるじゃないか!」

本当に親友様々だった。

それから一人ずつ親友が仕切る中で一人一人が質問するようになった。

「前の学校どう言う所だったの?」

その質問に正直に体が弱くて今まで学校に行った事が無いと答えた。

次の生徒の親友との関係は?と聞かれた時に私は答える事が出来なかった。

まだこの時は友とか親友と言う物が解らなかったからだ。

その質問に答えたのは私では無く親友だった。

「友達に決まってんだろ」

その一言にどれだけ救われた事か。

知らない間にもう友を持っていた事に内心驚いていた。

次は女子から「髪の毛さらさらだね、どんなシャンプー使ってるの?」

と聞かれた。

正直シャンプーの種類なんてわからないので親が使っているシャンプーだから解らないと答えた。

そんなこんなで休み時間が終了した。

授業が始まり、隣に座る親友に教科書を見せて貰った。

途中で船を漕ぎ始めた親友に不味いよ~と内心叫びながら突くがなんのその。

案の定先生にターゲットにされて指され、立ち上がりながら聞いてませんでした!と堂々という親友に苦笑いが出る。

今度から気をつけるようにと言われるだけで事なきを得た。

優しい先生で良かったと思う。これで怖い先生だったら間違いなくあの時の私では不登校に戻って居ただろう。

次の休み時間。他のクラスにも転校生の噂が広まって居たせいか注目の的だった。

何処を歩いても何処にいても皆に見られているのは正直怖かった。

「おい、あれが噂の転校生か」「ああ、可愛いよな、ちょっと声かけてこいよ」

何か周りでごにょごにょ話してるのは私からしてみたら悪口を言われているのではないだろうかと心配に成った。

次の休み時間は女子に囲まれた。「綺麗な手だね」とか「肌真白、羨ましい」とかだった。

親友に助けを求める視線を送るが寝て居て助けてくれなかった。

結局休み時間が終わるまでもみくちゃにされたままだった。

そのまま給食の時間に成った。ファミレスや病院以外で食べる初めての家の外での食事だ。

幸い、餅以外に好き嫌いは無かったので別段困ることは無かった。病院食よりは美味しいかな?病院食は味が薄いのが多いからな。

そこで初めてパンを食べた。不思議な感覚だった。病院食ではパンなんか出無かったし家でもパンは出なかった。ファミレスでもパンを見た事は無かった。

食べるのが遅いせいで時間内に食べきれずに給食の半分を残す事になった。

それを親友が当然見て居て大丈夫かと聞いて来た。

元々小食な私からしてみればこれでもたくさん食べた方だ。

そんなこんなで放課後、先生に呼ばれて職員室に行く。

渡したい物があるとの事だ。

職員室の入ったら教科書やドリル何かを渡された。

後、手紙を渡された。

それを真新しいランドセルに入れ込んで職員室を後にする。

昇降口に行くと親友が待っていた。

てっきり先に帰って居るものだと思っていた。

私に気がついて手を振ってくる親友。

どうして先に帰らなかったのか不思議でしょうがなかった。

気が付いたら口に出していた。

どうして先に帰らなかったの?

それに親友は笑いながら理由なんてないと言った。

その後、しいて言うなら友達だからだ。

そう言って来た。

友達・・・・・私と君は友達なのか? そう聞き返すと親友は違うのよ~!と嘆きだした。

何故親友が嘆いているのか私には理解できなかった。

取り敢えず謝った。

そして友と言う物が解らない事を言った。

そうすると嘆いていたのをやめて何だそんな事かと言いだした。

「俺とお前は友達だ」

しかし、友達とは何をすれば友達になれるのか解らなかった。

私はどうすれば友達になれるの?

その疑問に何もしなくて良いと言われて余計に解らなく成る。

「友達ってのは気が付けば出来てるものさ」

しかし、私は気がつかなかった。否気が付けなかった。

そう言って俯いてしまう私。

それにしびれを切らした親友は頭をかきながら「あのな~」と言いだした。

「周りはどうだか知らねえが少なくとも俺はお前の友達だ」

と言って私の手を握り走り出した。

そうか、私と君はもう友達だったんだな。

そう思うと心の底から温かさが込み上げて来る。

気が付けば二人手を繋ぎ笑いながら走って居た。

気が付いたら家の前まで来ていた。

玄関の前で母さんが待っていた。

私が笑いながら走って居たのを見て笑顔のまま涙を流していた。

私は母さんが泣いている事にびっくりして親友の腕を振りほどいて親のもとへとかけて行った。

「どうしたのママ! どこか痛いの?」

私と視線が合うように膝を折って屈みこみ「大丈夫よ」と言って抱きしめられた。

どうしたら良いのか解らず母さんの頭を撫でながら痛いの痛いの飛んでけと叫んでいた。

それに涙を拭いながらありがとうと言いながら逆に撫でられる。

それに嬉しく成る。

その後、「ほら」と両肩を掴まれクイッと回される。そこには親友が鼻の下をさすりながら何処か誇らしげに立っていた。

背中を優しく押される。

親友の前に出される。

何を言えば良いのか解らなかった。

「あの、どうすれば良いのか解らないから」

しどろもどろしていた私に親友はしょうがねーなーと言い。

「またな、って言うんだよこう言う時は」

そう言われて「またね」と言うと大きく頷き、「おお、また明日な」そう言うと彼はかけて帰って行った。

また心の中が温かく成る。心地よい感覚だ。初めての友達。

そんな風に思って振り返ったらまた泣きながら笑っている母さんが目に入って来た。

やっぱりどこか痛いのだろうか?

そう思い聞き返すが違うと言う。

そのまま抱っこされる。

母さんの涙を拭う。

「彼は友達?」

そう聞かれた。

それに力強く頷く。

「初めての友達なんだ」

そう返すと「そう、良かったわね。学校はどうだったのかな?」

そう言われ、思い返す。なんて言うか・・・・

「疲れた」

そう言うと母さんが苦笑いをした。

「でも、悪くは無かった」

そう呟くと母さんは嬉しそうに「そう」と告げた。

その日の夜は何故か私の好きな物ばかり出て来た。そして父さんと母さんにたくさん褒められてたくさん撫でてくれた。

不思議に思ったが嬉しかったので良しとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「セイバー、入るぞ」

 

そう告げてノックもしても返事は帰って来なかった。

障子を開けると布団に入り静かな寝息を立ててるセイバーが居た。

兎達の話だと部屋に入ったきり今日一日一度も部屋から出てこなかったと聞いてる。

この光景を見て休ませて正解だなと思う。

 

「全く、若い内の苦労は買ってでもしろと言うがお前の場合は頑張り過ぎだ」

 

そう言いながらセイバーの頭を優しく撫でる。

それに妹紅の話だと昔からこうだった事位想像に容易い。

その重りの一部でも背負わせてくれたら良いのだが・・・・・・無理だろうな。

話によるともう数えるのも億劫になる程の歳月を重ねて来たのを聞いている。

その間ずーっと孤独だったことも知って居る。

だからだろう。何でも一人で背負いこむ癖がついてしまっているのだ。

今回の衝動も結局一人で背負いこんで無茶をしでかしたわけだしな。

少しずつで良いから私達にその重荷を担がせては貰えないだろうか?

持つ事をさせてはくれないだろうか。

そう考えて居たら不意に、本当に小さな声で母さんと言った。

もう数えるのも億劫な位生きて居るのだ。おそらく両親はこの世の人では無いと考えるのが妥当だろう。

少し不安げな表情に胸が苦しくなるような気がする。

悪い夢なら目を覚まして欲しい。

夢の中まで苦労する必要はない。

それにこの部屋に来た本当の目的を思い出す。

セイバーを夕食に呼ぶ事だ。

セイバーの肩を掴み呼びかけながら揺する。

程無くしてセイバーは目を覚まし懐かしむような目で周りを見回した。

そして慧音と目があうと

 

「おはようございます、ケイネ」

 

「ああ、おはよう。では無くこんばんわだがな」

 

セイバーは夕日が差し込む障子の方を見て少し驚いた顔をしていた。

 

「夕飯の準備が出来てる。後はお前が来るだけだ」

 

そう告げてセイバーの部屋を出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

揺すられる感覚に目を覚ます。

ぼーっとしていた意識が覚醒する。

また生前の夢を見たな。

懐かしい感覚に陥る。

それを振り払うために首を左右に振ろうとしたら慧音がいた。

慧音の指摘で障子を見ると茜色に染まり部屋を優しく照らしていた。

一日中寝て居るとかダメ人間確定やん・・・・

軽くZUーNと成って居たら夕食の準備が出来たとの報だ。

顔を洗ってから行く事にしよう。

念話でルーミアに皆で先に食べ始めてくれと伝え洗面所に行く。

顔を洗い目の前の鏡に映る私を見て二、三回両頬を両手で叩く。良し。

顔を拭きリビングに行ったら皆はまだご飯を食べて居なかった。

食べてていいと言ったのを伝えたが皆がそれを良しとしなかったらしい。

苦笑いしながら何時もの席に座り、いただきますと言うと皆がいただきますと言ってようやく夕食に手をつけ食べ始めた。

別に私の事は気にせずに食べて良かったんだが、というと「一家の大黒柱がそろわなければ食べられるかと」と返って来た。

そこら辺男尊女卑が深く根ずいていると実感する。

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