東方太陽録   作:仙儒

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間休

日本のある所に不思議な神社がある。

その神社に子供が出来た事を報告すると次の日の朝、玄関の前に米俵にタイに魔除けの札や加護の札や千歳あめが置いてあるらしい。

手紙も添えられていて内容は祝福する言葉が綴られていると言う。

それを見た現地の人は口をそろえて「正刃様の祝福」と声が返ってくる。

最初は現地の人々がグルに成ってやって居るかと思ったが、どうやら違うらしい。

そもそも心の中で告げた事に対してどうやって現地の人が知り得ようか?

神社に奉職する者もしかり。

又、生まれた子供の額には聖なる文字が書いてあるらしい。

その字は一日か二日で消えるみたいだが。

看護婦なんかはそれを見て「良かったですね、この子にもちゃんと正刃様の祝福があるみたいですよ」と笑いながら言うらしい。

また、聖剣の泉と言う大きな湖がある。

この湖は正刃様が持つ幾つもの剣をこの湖に良く浸して居たのが名前の由来とされている。

その正刃様の剣はありとあらゆる物を浄化する力があるらしい。

当時は不治の病とされて居た病気の人がこの湖の水を飲んだ瞬間に病が治ったと言う伝承も残って居たりする。

此処の水はどんな事があろうとも決して汚れる事のない水で、水質調査では飲み水としても問題は無いと報告されて居て、それどころか、ミネラルなど体にいい成分が沢山発見され、今でも夏に成ると水遊びに来た人で賑わっている。

この湖の水で作る豆腐はとても美味しいと豆腐で有名である。

また冬には湖が氷り、諏訪と同じく御身渡りが見れる。

地球温暖化の影響は全く受けて居ないかのように毎年必ず起こる。

現在日本でただ一つ現存する神が居ると言われている場所。

その地域ではめでたい事があると必ず不可解な現象が起こると言う。しかも良い意味で、だ。

大和神話にもちょこっとしか登場しない神。ある一説では北海道のカムイや琉球神話や中国の神話のような物が混ざって出来た神ではないかとも言われているがその実態はよく分かって居ない。また、数少ない文献の中から放浪癖があり、しょっちゅう旅をしていると言う。

旅をする神、東の果てにあり。その神、義を持って己を映す鏡成り。と残って居て、日本各地で旅の人の逸話が各地に残って居てその旅神様では無いか?と旅神様と同一視されている。その他はミシャクジ伝説にてちょこっと出て来たのが確認されているだけだ。

まさに謎の多い神様である。

また、ここら辺の桜は正刃様が友を無くした悲しみを嘆いたせいかそれ以来ここの桜はその悲しみを表すかのように墨染に咲き誇る事で有名だったりする。

その為か春に成り、桜が咲くころに成ると現地の人皆で励ましをする神事がある。

昼はどんちゃん騒ぎで夜に成ると打ち上げ花火が上がるのだ。桜が散るまで花火だけは毎日打ち上げ続けて居る。花火の町としても有名だ。

そうしていると何時も最後に綺麗な花火が数発上がり「ありがとう」と返事が来る事でも有名だった。返事が無い時はまた旅でもしているのだろうと現地の人は笑う。

ここら辺が西行法師と被り、西行法師が正刃様の正体では? と言う説もあるが、西行法師よりも前に存在していたため別人と言うのが有力である。

 

この神社の分社は日本の至る所に作られ、そんな正刃様が休憩できるようにと作られたらしい。

学会はこの神社の事をよく思って無いらしく不可解な事は全部現地に住む住民の仕業だと叫んでいる。

その事からオカルトマニアには注目の的に成り、有名だ。

実際に犯人を見つけ出そうと言うドキュメンタリー番組が放送された。

そこには人の気配は無いのに急に米俵やらタイやら札やらが出て来た決定的瞬間をとらえて居た。

それを切っ掛けにオカルトマニアが謎を解明しようと連日客足が途絶える事は無かった。

学会はこれを巧妙に作られた合成映像だと非難したが合成された形跡が無いのでオカルト会と学会で火花を散らしている。

一部の学会の過激派がとっとと不快な神社を潰せと言いだし行動に移したが現地の人々の声を無視して開拓工事をしようとした所、開拓用の機械や何かが何故か壊れ、過激派が原因不明の病に倒れた。

学会はこれを恐れ、神社を潰す事をやめた途端病に倒れた過激派の病が治ったと言う。

現地の人は正刃様の祟りだと言って強引に行動に出た過激派を強く非難した。

結局良く分かって居ないのだ。

また、正義の神だけあって不正義を咎めるが心の底からその行いを反省するとどんな事でも許してくれる慈悲深い神らしい。

子守の神としても有名でそれが理由でかは定かでは無いがこの辺の昔話で家族減らしの為にこの神社に来ると正刃様が預かってくれると言う伝承が数多く残されてる。

そこに私、東風谷早苗は来ている。

この賑わいに少し羨ましく思う。

家の神社でも似たようなことをやってみようか?

なーんて考えて居る。しかし、幾らセイバー様の御蔭で神気が戻ったと言ってもこの場所のような事をするだけの力がお2柱(二方)には残って居ない。

それにしても9柱もセイバー様の傘下に居る事に驚きだ。

それだけの神を束ねるだけの力をお持ちと言う事に、だ。

ふと気がつくとさっきまでの賑やかさが嘘のように静まり返って居る。

私は移動した覚えは無い。もしかして結界!

それなら納得がいく。早苗も理論だけは解って居る。しかし、実物を見るのはこれが初めてだ。

 

「おい、お前」

 

声が掛けられる。

声のした方向には小さな少女が居た。

しかし、油断はできない。

見た目こそ幼いもののその身にまとっている神気は確かな物だ。

油断ならない。その気に成れば私なんて簡単に消されてしまうだろう。

 

「あー、私が悪かった。取り敢えず構えるのをやめてくんねえか?」

 

そう言われ、戦意が無い事を表すように両手を頭の位置まで上げてこうさんのポーズをする。

 

「何か用ですか?」

 

構えは崩さずに問いかける。

 

「だから悪かったって、お前からセイバーの気配を感じたから声をかけただけだ」

 

どこか拗ねたように言う少女に構えを解く。

本気で戦う気が無いらしい。

しかし、気配か。身に覚えがあるとすれば・・・・髪飾二つを取って見せてみる。

 

「これの事ですか?」

 

差し出された髪飾りを引っ手繰って裏側を見て

 

「このルーン・・・・間違い無いセイバーのだ。お前、これを何処で手に入れた?」

 

嘘を言ったら許さないと言うオーラを出しながら言ってくる。

別に嘘をついてもしょうがないので素直に話した。幼き日に貰ったのと高校の入学祝いに貰ったと。

 

「ふらっと居なくなったと思ったらそんな所に居たのか、今もお前の所に居るのか?」

 

その質問に早苗は首を横に振る。

そんな中、質問を投げかける。

 

「居ないんですか?」

 

「ん? ああ、時々何の前触れもなくふらっと居なく成るんだ」

 

困ったもんだぜと顔を振る少女に不思議に思う。

会った回数こそ少ないものの無責任な人では無い事は十分に理解している。

その事を言ったら

 

「前は何処に行くのも一緒だったからな。それに何でもかんでも一人で背負いこんじまうから心配だったんだ」

 

悪かったな、と言いながら髪飾りを返してくれる。

 

「そうだ、今度会ったら速く帰って来いって言ってくれねーか?」

 

私はその言葉に首を縦に振る。

そうしたら左手を前に出して来た。

何だ? と思って良く見てみると小指が立てられている。

本人は「ん」と言いながら待っている。

これは何だ?

 

「早くしろよ、それとも指切りも知らないのか?」

 

まさか神様から指きりを申しだされるとは思わなかった。

私も小指を絡ませて思う。やっぱりこう言う処が見た目相応だなと。

 

「「指切りげんまん嘘付いたら針千本のーます、指切った」」

 

「それじゃあ悪かったな」

 

そう言ってその場を後にしようとした所、呼びとめてしまう。

 

「私の名前は東風谷早苗ッて言います、その・・・・あなたは?」

 

その問いかけに少し驚いた顔をしていたが空にゆっくり、ゆっくりと上がりながら少女は

 

「名乗る程の者でもねーんだけど・・・・・そうだな、言うなれば鉄槌の騎士、神罰の執行者だ」

 

そう言いながらハンマーみたいなのを此方に向けながら笑顔でそう告げて消えて行った。

少女が居なくなった瞬間さっきの静けさが嘘のように騒がしく成る。

結界が解けたのだろうか?

もっとお話ししてみたかったな。

 

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