東方太陽録   作:仙儒

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あらすじ


ガウェイン「そう言えば今年もバレンタインデーにチョコ貰えなかったOTL」


59話

目が覚める。

起きあがろうとすると誰かがもたれかかって居るのが解った。

淡いピンクの髪の毛。

間違いなく幽々子である。そう言えば昨日一緒に寝たんだっけ?

寝ぼけた頭をフル稼働させ昨日の事を思い出す。

結局扇については取り越し苦労に終わった。

その事に喜んでいいやらなんやらだな。

取り敢えず西行法師。あなたの思いはちゃんと娘に届きましたよ。と心の中で告げる。

強制的に成仏させたから此処には来ないだろう。

後で山田さんに会ったら説教されるかもしれないが。

しかし、1000年も娘の事で苦しみ続けた人にこれからも苦しめと言うのは私には出来なかった。

白玉楼は文人の死後にたどり着く場所。きっとあのままだったら間違いなく白玉楼に西行法師が来ていただろう。

そこで幽々子と会ったら幽々子が記憶を取り戻してしまうかもしれない。そうすれば幽々子が消滅してしまう。

また苦しみを味わう事に成る。転生先で能力が発動して苦しむ事に成る。

それにもし幽々子が記憶が戻らなかったとしても西行法師が何と思うだろうか?

1000年も思い続けて居た娘が自分の事を知らない。

それではあまりにも西行法師が報われない。

まぁ、生前と言っても幽々子が4歳の時に出家したので覚えてなくて当たり前なのだが。

以上の考えからジョワイユスで強制的に成仏して貰った訳だ。

これが二人にとって幸せな事だと思ったから実行したのだ。

悔いはない・・・・とは言えないが今の私にはそれしか出来なかった。

これは私の自己満足だ。

その試み通り西行法師が白玉楼に現れた形跡は無い。

まぁ、これから先に現れるかも知れないから注意は必要だろうけど。

妖夢に念話を送って確認して見たら最初は驚かれたがそのようなお方が白玉楼に入った形跡は無いとの事だ。

その事を聞いて安堵の息を零す。

所で妖夢は何をやってるんだ? と聞いたところ、朝の鍛練をしていると帰って来た。

冥界は薄暗くて朝だか何だかわかんないからな。

妖夢が朝と言っているんだから朝なのだろう。

そう思い幽々子をどけようとするがどけらんない。

上半身は完全に私の上に乗って居て右半身の足は幽々子の足がからめられている。

「うーん」と言いながら私の上半身に体を擦りつけるのはやめて頂けないだろうか?

その、たわわに実った男のロマンが私に押し付けられて理性がガリガリ削られてくんだが。

それに良い香り・・・・・ごめん後で首吊ってくるわ。

起こすのも気が引けるし、かと言ってこのままだと私の理性が危ないし。

 

・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・・

 

そうだ、能力が有るじゃないか。何故昨日思いつかなかった!

能力で瞬時に抜けだし、変わりに抱き枕を能力ですり替えた。

その時間わずか1秒。

流石だね!

はだけた布団をかけ直して幽々子の寝顔を見て、何と無く頭を優しく撫で、その部屋を後にする。

さて、この白玉楼の内部構築についてあまり詳しくないので何処にどんな部屋があるのかわからない。

下手に人ん家のあちこちを引っかき回すのも悪いので取り敢えず念話で妖夢を呼ぶ。

律儀に来てくれた妖夢に鍛練中なのに済まないと謝ったら、手合わせをして欲しい。と言いだした。

その程度で済むなら幾らでも受けますよと庭に出て剣を構える。

余りこの日本庭園を崩さないように動かなくてはな。

何て考えて居たらいきなり切りかかって来た。

おいおい、あいず無しかよ。

その刀を右手で白羽取りして、開いた左手で妖夢を殴る。

それを妖夢は短い方の刀で防いで吹き飛ばされる。

吹き飛ばされる途中に弾幕を放ってきたがまだまだ甘い。

殴った時に手放してしまった楼観剣を構えて斬りかかる。

リーチの長さに四苦八苦する妖夢。白楼剣で何とか攻撃を流すのがやっと見たいだ。

此方は普段両手剣のガラティーンを片手で使っている為、必然的に楼観剣の一撃一撃が重たく成る。

それを防ぐので必死なのか弾幕を放ってこなくなった。

しかし、妖夢の顔は笑っていた。間違いなく純粋にこの試合を楽しんでいるのだ。

こんな相手に本気で行かないのは失礼だな。

上段から斬りかかった勢いで離れていく妖夢。その妖夢に楼観剣を投げ渡す。

驚いてる妖夢を無視して幽々子がくれた霊刀「伊吹」を構える。

刀が折れないように魔力を流し強化する。

 

「ヨウム殿、此処からは私も本気で行きましょう。円卓の騎士の二番目と言われた我が武、とくとご覧あれ!!」

 

そこからはワンサイドゲームだった。

ガウェインから放たれる剣戟の嵐。反撃の隙すら無かった。

それでも妖夢は笑っていた。

鋭い突きを放つ。妖夢は白楼剣で何とか防ぐが突きの勢いを殺せずに孤を描き後ろに飛んで行く。

それを気にすることなく楼観剣を両手で握りしめ切りかかって来た。

確かに剣戟は重く成ったがまだまだだ。

そのままお返しに上段からの一撃を放つ。妖夢はそれを楼観剣を斜めに構える事で流し反撃しようとするが甘い。無理やり軌道を変えて剣の腹を思いっきり叩く。

勢いで吹き飛ばされた妖夢は姿勢を立て直すが両手が震え刀を地面に落とした。

急いで刀を拾おうとするが私が近づき片足で刀を踏み伊吹を首筋に当てる。

 

「参りました」

 

そう言ったので伊吹を消す。

妖夢は震えて居る両手を見ていた。

それを見ながら笑っていた。妖夢ってこんなバトルマニアだったっけか?

辻切りみょんを思い出し、少し怖く成ったのは秘密だ。

 

「やはり私はまだまだ見たいですねこの手合わせで身にしみてわかりました」

 

そう言いだす妖夢。

それに久々に暴走するマイマウス。

 

「ヨウム殿の剣戟も中々の物でした。その驕らぬ姿勢も見事です。ヨウム殿に足りないのは実践経験ですね」

 

そう言えばガウェインはどんなに相手が弱くても決して見下すことはなく、その戦意に対して称賛の声を上げる人物だったな。

そしてそれは私に向けて言っている言葉でもある。

実践経験が少ないのは私も同じだ。

何とかガウェインの勘で動いている所が大きい。しかし、第四次聖杯戦争のバーサーカー見たいに無窮の武練みたいなスキルがある訳では無いのでどうしても聖者の数字を頼りにした戦闘に成ってしまう。

後は全てガウェインが冒険で得た勘によって補われている。

こんな状態じゃ、英霊同士の戦闘に成った時に絶対に負ける。

よし、帰ったら鍛練の時間を増やそう。

ようやくガウェインの勘に体が付いてくるようになったのだ頑張ればもっと高みへ行ける。

最も中の私がだめなだけでその高みへと至って居るのだが。

 

「よかったら朝ごはん食べて行って下さい」

 

「解りました。ご馳走に成ります」

 

ゲッシュによる誓いでもあるのだろうか?

誘われた事には殆ど無意識にハイと答えて居る気がする。

ゲッシュの誓いとは〇〇の場合は、けっして〇〇はしてならないのような制約である。ゲッシュを厳守すれば神の祝福が得られるが、一度破れば禍が降りかかる。

また、ゲッシュが厳しいものであればあるほど受ける恩恵も強いと言われる。古来、英雄の破滅はその様なゲッシュに反する事で、多くは事故の形で訪れる。

クー・フーリンの例を挙げると、<犬の肉を食べない>、<自分より身分の低いものからの食事の誘いを断らない>、<詩人の言葉には逆らわない>、<アルスター系の者には必ず一度負けなければならない>と取り敢えずこう言った誓いの事だ。

幸いガウェインのステータスの低下してない為ゲッシュの誓いは破られてはいないのだろう。

そもそもガウェインはゲッシュの誓いをしてないだろうから大丈夫だと思いたい。

伝承でゲッシュの誓いやる所なんて出てこなかったような気がするし。

しかし、ゲッシュの誓いの恩恵を受けて居るクー・フーリンが真正面から戦って勝てる相手では無いと言わせた男だ。しかも聖者の数字が発動してない状態でだ。

ゲッシュの誓いの一つや二つしてそうな気がする。

急に心配に成って来た。

嫌、待て、十年間も幻想郷で過ごして来て何の問題も無かったのだ。

それにアーサー王がゲッシュによる誓いをしていなかったのだ。

きっと大丈夫だろう。

そう言えば家の者に出かけて居る事言ってないな。

ルーミアに念話で外でご飯を食べるから朝食は要らないと告げた。

念話先でルーミアは解ったと言ったのでこれで大丈夫だろう。

妖夢が朝食の支度に白玉楼に消えて行ってから剣を構える。

ガウェインの経験を引き出す。今回は一対多数の戦闘に備えてイメージして剣を振る。

成るべく囲まれないように牽制しつつ確実に倒していく。

最後のイメージの中の騎士を切った所で声が聞こえて来た。

 

「朝から精が出ますね、セイバー様」

 

声のした方向にはのほほんとした雰囲気を醸し出しながら此方を見て居る幽々子の姿があった。

イメージの中の敵と戦っていたため外から見れば適当に剣を振り回してるようにしか見えなかっただろう。そう思うと急に恥ずかしく成る。

が、取り敢えずは

 

「おはようございます、ユユコ」

 

幽々子は笑顔で「おはようございます」と返してくれた。

 

「そろそろ朝ごはんが出来る時間ですよ~、一緒に行きましょう?」

 

そう言うと私の左手を取り足早に白玉楼内を連れてかれる。

たどり着いたのは何時ぞやに苺のタルトを持って行った時に通された部屋だ。

そこにはもう幾つかの料理が並んでいた。

そうだ、時間はどれくらいだろう? 時計を見てみると7時を指していた。

これなら食べて家に帰ってから急いで着替えれば寺子屋に間に合うだろう。

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