牙狼〈GARO〉 ~東方魔戒録~   作:響く黒雲

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牙狼を見ていたら、思い付きで出来た…
悪い癖だなぁ~








忘れ去られた者達が集う楽園幻想郷… まさかこんな所にもホラーが現れるとはな… どうやら俺様達が出張らなきゃならないみたいだぜ。

ん? 称号を受け継いだ者は誰かって? フフフ… それは秘密だ。


第一話  楽園


新たなる黄金騎士伝説が始まる!!


楽園

光あるところに漆黒の闇ありき。

 

古の時代より、人類は闇を恐れた。

 

しかし、暗黒を断ち切る騎士の剣によって

 

人類は、希望の光を得たのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幻想郷……

そこは忘れ去られた者達が集う最後の楽園。

人間、妖怪、神等さまざまな種族達が共存する、正に楽園である。

 

 

 

博麗神社…

ここは幻想郷にとって重要な人物が住んでいる、由緒のある神社。

 

その境内で、一人の少女が箒で掃き掃除をしている。

彼女の名は博麗霊夢。

この物語の主人公で、幻想郷の結界を維持する、博麗の巫女である。

 

「ふぁ~…… 今日もいい天気ね~」

 

晴々とした青空を眺める霊夢。

すると、彼方から一つの影が彼女の元に降り立った。

 

「霊夢!! 霊夢!! 大変なんだぜ!!」

 

「なによ、朝っぱらから騒々しい…… どうしたのよ魔理沙」

 

この少女の名は霧雨魔理沙、霊夢の親友である普通の魔法使いである。

 

「実はな、最近人里で失踪している人がいるんだぜ」

 

「別に失踪なんて珍しく無いじゃない? 博麗大結界が安定してから妖怪達は人を食べたり、襲ったりしなくなったから、珍しいって言ったら珍しいけど」

 

「それが毎晩一人は必ずいなくなっているとしたら?」

 

「………」

 

「可笑しいだろ? これはきっと異変だぜ!!」

 

異変……

それは、幻想郷に住む実力者が自らの手で特異な現象を起こしたりする、一種のイベントの様な物である。

 

しかし、結界が安定してからは異変を起こす者は無くなり、今は弾幕ごっこがたまにある程度である。

 

故に霊夢は違和感を感じる。

ここまでに小規模で人的被害の大きい事件は今までにあっただろうかと…

 

「でも可笑しいじゃない。異変ならもっと変な感じになっている筈でしょ? 今までだって、紅い霧が出たり、春が冬のままだったり、花が咲き乱れたり」

 

「ん~ 確かにそうだな。でも人が消えているのはマジだぜ?」

 

「そうよね…… 分かったわ、一応調査してみる。異変と分かったら直ぐに駆けつけて貰うからそのつもりでね」

 

「分かったぜ!! それじゃあな!!」

 

そう言って魔理沙は勇ましく箒で飛んでいった。

 

「さて…… 私も掃除が終わったら行くか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

掃除が終わった霊夢は、魔理沙の言っていた失踪事件を調査するために、人里へ降りた。

里の門を潜り、情報を求めて商店を歩く。

 

「霊夢ちゃん!今日はなにか買い物かい?」

 

「ううん、違うの。また新しい事件が起きたみたいだからその調査に」

 

「そうか… そりゃまた物騒だな…」

 

「おじさんはなにか知らない?」

 

「最近人がいなくなっているっていうのは聞いたけどな…」

 

「そう…… ありがと。またお魚買いに来るね。」

 

「おう。霊夢ちゃんも気をつけてな」

 

「うん」

 

魚屋との世間話を終え、次に情報を求めて立ち寄ったのは甘味処だった。

こうした飲み食いする場所は、必然と情報が集まる物である。

 

「こんにちは」

 

「あら、霊夢ちゃん。いらっしゃい」

 

甘味処の女将は霊夢を温かく迎える。

 

「今日はどうしたの?」

 

「最近、人が消えているって聞いてね。ちょっと調査に」

 

「大変ねえ~ 博麗の巫女の仕事も」

 

「なにか知らない?」

 

「そうね… 最近、夜な夜な獣の呻き声が聞こえるって噂を聞くけど…」

 

「それどこら辺!?」

 

「たしか… 里の近くの森の中じゃなかったかしら」

 

「そっか… ありがと、行ってみる!!」

 

「気をつけてね霊夢ちゃん… 貴方までお母さん見たいになるのは嫌よ?」

 

「うん… 分かってる。ちゃんと気をつけるから」

 

女将の忠告をしっかりと聞いた霊夢は、その例の森の中に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方になり、博麗神社へと戻って来た霊夢は決意を秘めていた。

現場には、失踪した人の血や衣服、更にはそれを行ったであろう犯人の爪痕も見つけた。

それも幾つもである。

 

また犯行が行われるのなら、きっとまた彼処で殺るつもりだ。

そう確信した霊夢は、監視用の札を張り帰路へ就いた…

 

すると、霊夢は神社に違和感を覚える。

 

まるで、知らない誰かが神社にいるような… そんな感覚が霊夢を襲う。

 

急いで、霊夢が神社の境内に上がるとそこには……

 

「…… 貴方は…… 誰?」

 

「ん?」

 

黄金の三角形の紋章が付いた黒いコートを着て、髑髏の不気味な指輪を填めた少年がいた。

 

「君は… この神社の巫女さん?」

 

「え、ええそうよ。」

 

「なら一つ訪ねたい事があるんだけど…」

 

「なにかしら?」

 

この独特の雰囲気を持った少年を霊夢は警戒していた。

 

そんな霊夢を他所に、少年は自分の聞きたい事を訪ねる。

 

「ここはどこ?」

 

「はぁ? 」

 

ここはどこかと聞いてきた少年をみる。

よくみると、格好はこの幻想郷でも見たことの無い格好だった。

 

「もしかして…… 貴方外来人?」

 

「外来…… 何だって?」

 

「外来人よ。外からこの幻想郷に来た人の事をそう呼ぶの」

 

「幻想……郷?」

 

霊夢はこの外来人の少年に懇切丁寧に幻想郷についての説明をした。

 

「成程ね… つまり俺は外から迷い混んだ訳だ」

 

「そういう事ね。 どうする? 今ならまだ帰れるけど」

 

「う~ん 、そうだな…」

 

少年が悩んでいると…

 

「霊夢!いる!?」

 

突然空間が裂け、その隙間から金髪の美女が現れた。

 

「うわぁっ!? ビックリした!」

 

「あら? お客さん?」

 

「それよりどうしたのよ、紫」

 

彼女の名は八雲紫、この幻想郷を創ったスキマ妖怪で、霊夢の育て親でもある。

 

「ああ、そうだ!! 霊夢、直ぐに準備なさい!! 人里を襲っていた犯人が現れたの!」

 

「うそ! ごめん!! 貴方の事は後でちゃんとやるから待っていて!!」

 

紫から連絡を受けた霊夢は少年を神社に置いて、人里へ飛び去っていった。

 

誰も居なくなった神社に一人たたずむ少年。

 

〈おい、砕牙〉

 

すると、少年以外に誰も居ない筈の神社から、誰かの声が聞こえる。

 

「なんだい? ザルバ」

 

少年は指輪を着けた左手を顔の近くに持っていき、指輪に話し掛ける。

 

〈あの嬢ちゃん達が向かった方角に邪気を感じるぜ〉

 

すると、髑髏の口の部分がカチカチと動く。

どうやら声が出ているのはこの指輪からの様だ。

 

「…… 分かった」

 

指輪の言葉を聞いた少年は、霊夢達が飛び去っていった方角に目を向け、その場所へと走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人里に着いた霊夢達を待っていたのは、暖かい人々の歓迎…… ではなく人々の悲鳴だった。

 

「これは…」

 

「酷い…」

 

「霊夢!」

 

すると、帽子をかぶった一人の女性が霊夢の元にやって来た。

 

彼女は上白沢慧音、人里で寺子屋をやっている半人半妖である。

 

「慧音!! 一体何があったの!? 」

 

「分からない… 一瞬過ぎて何が何だか……」

 

慧音自身、茫然としている様子で、怒りに震えていた。

 

「俺は…… 俺は見たぞ!! その半妖が化け物になって人を食っちまったんだ!!」

 

すると、何処からか慧音に向かって野次が飛んでくる。

みると、その野次を飛ばしたのは、霊夢が昼間出会った魚屋だった。

 

「今まで、何もしなかったのは子供を手懐けて俺達を安心させる為だったんだ!」

 

人という生き物は極限状態に陥ると、考えもつかない行動や考えに出る。

 

普段なら冷静に考えれば、慧音がそんなことをする者では無いことなど容易に分かる筈なのに、襲われた事でパニックになっていた人々は、その根も葉もない言葉を信じてしまった。

 

「ち、違う! 私はやっていない!!」

 

「冷静になって皆!! 慧音がそんなことをする人じゃない事位分かるでしょ!?」

 

慧音が何れだけ弁解しようと、霊夢がどれ程説得しようと、紫が何れだけ抑えようと、収まらず、次第に人々は慧音を罵倒し始めた。

 

「消えろ!!」

 

「死ね!!」

 

「殺せ!!」

 

「違っ…… 私は……やって…」

 

ここまで来るとどうしょうもなくなっていた。

霊夢達には見えていなかったが、この時魚屋のおやじは下種な笑みを浮かべていた。

 

そう、この魚屋のおやじこそが、今回の事件の犯人だった。

 

この事件はこの男が、厄介な博麗の巫女や大賢者を誘き寄せて喰らい、自らの力を蓄える為に仕組んだ事だった。

 

勝利を確信したおやじは紫と霊夢を喰らおうと手を伸ばしたその時、

 

「はぁっ!!」

 

「ぐほぁっ!?」

 

手を弾かれ、顔面を蹴り飛ばされた。

 

「え?」

 

「貴方… 神社で待ってろって…」

 

おやじを蹴り飛ばしたのは、霊夢が神社に置いて来た少年だった。

 

少年の登場に、辺りはざわつく。

 

「てめえ… 何しやがる!!」

 

「………」

 

怒るおやじを他所に、少年は懐からライターの様な者を取りだし、おやじの目の前で火を着ける。

 

ライターから緑色の炎が着き、おやじの目を照らす。

すると、おやじの目が真っ白になり変わった文字が浮かび上がった。

 

「あんたがホラーか」

 

「貴様…… 」

 

「ホラー?」

 

「そんな…… 何で!?」

 

聞き覚えの無い単語に困惑する霊夢だが、紫は思い当たる節があるらしく、珍しく狼狽えていた。

 

「ふざっけんなぁあ!!!!」

 

激昂したおやじは人間とは思えないスピードで、少年に迫る。

 

しかし、少年は慌てる事なく、それを避ける。

 

「うがぁぁああ!!!!」

 

「危ない!」

 

またもや、人間には不可能な動きで少年を追撃するおやじだが、霊夢の言葉に反応したのか、体を宙に浮かせ、反転させた反動でおやじを蹴り上げた。

 

「はっ!」

 

「ごはっ!?」

 

地面に叩きつけられたおやじは息を切らせながら、少年に答う。

 

「貴様…… 魔戒騎士か!?」

 

「魔戒…騎士?」

 

しかしそれに答えたのは少年ではなく、少年の着けている指輪だった。

 

〈唯の魔戒騎士じゃあないぜ。こいつは黄金騎士だ〉

 

「何!? お、お前は… ガ、ガロ!?」

 

「そうなるな」

 

「よくも…… 黄金騎士め……!」

 

おやじは突然、体を震わせた。

その瞬間、おやじの体を醜悪な異形へと変わった。

 

「グルルル……」

 

〈魔獣ファントマ、人を言葉で操り、絶望した奴を食らう奴だ〉

 

「分かった。 巫女さん! 皆を避難させて!」

 

「!? う、うん!分かった!皆!! 早く逃げて!!」

 

おやじが異形に変わったのを見た人々は、次々に逃げていき、残ったのは少年とおやじ、そして霊夢と紫と慧音だった。

 

〈さあ…… やるぞ!! 砕牙!!〉

 

「おう!」

 

少年はいつの間にか持っていた赤鞘に赤柄の細身の剣を抜き、天に掲げる。

 

「何をする気なの?」

 

「黙って見ていなさい霊夢、これから貴女は伝説を見るのよ」

 

霊夢達が見守る中、少年は掲げた剣で円を描く。

その軌跡が光の円となり、ライトの様に少年を照らした。

そして、円の中の空間がガラスが割れる様に裂け、少年を包み込む様に光は少年の姿を消しさる。

 

「グルルル…… ウガァ!!!!」

 

ファントマは少年の行為を阻止しようと突撃するが、既に時遅し。

ファントマは光の中から現れた、黄金の腕に弾かれた。

 

光が止み、少年が姿を現す。

しかし、そこに居たのは少年ではなく騎士。

黄金の鎧を持ち、紫の瞳をした黄金の狼の仮面を被った騎士だった。

 

「何…… あれ…」

 

「あれこそ、古の時代よりホラーを狩ってきた魔戒騎士の最高峰、黄金騎士 牙狼〈GARO〉よ」

 

神々しい姿を現す牙狼、そんな牙狼を恐れる様にファントマは魔力の球体を打ち出してくる。

 

しかし牙狼はそんなものをものともせず、ゆっくりと球体を弾きながら歩み寄る。

 

「ガァァァァァァァァッ!!!!」

 

ファントマは半狂乱になりながら球体を連続で打ち出すが、黄金の鎧にそんなものは効かぬとばかりに近づき、再びファントマを突き飛ばす。

 

『魔獣ファントマ!! 貴様のその腐れた陰我、俺が断ち切る!!!!』

 

牙狼は自身の剣、牙狼剣の黄金の鞘を引き抜き、刀身を顕にする。

 

牙狼剣を構え、牙狼はファントマに向かって飛び上がった。

 

『ハァァァァァァ……… ハァッ!!』

 

牙狼剣はファントマの体に突き刺さり、ファントマはその体を四散させた。

 

牙狼は牙狼剣を鞘に収め、鎧を解いた。

 

「ふぅ… お疲れ様、ザルバ」

 

〈ああ、黄金騎士の戦いにしちゃ盛り上がりが欠けたがな〉

 

「別に盛り上がらなくてもいいでしょ?」

 

〈それもそうだな… しかし砕牙、少し妙なんだ〉

 

「何がさ」

 

〈魔導刻が動かなかったんだ〉

 

「何だって!? 魔導刻が!?」

 

魔導刻とは、魔戒騎士が鎧を装着できる時間、99.9秒を計測する魔導具である。

それが動かないとなると、魔戒騎士としては致命的だ。

 

「困ったな…… 帰る方法が分からないし…」

 

「ねえ」

 

「ん?」

 

すると、霊夢が少年に話し掛ける。

 

「貴方は… 一体何者なの?」

 

それは結局霊夢が一番聞きたくても聞けなかった事だ。

 

少年は半身の状態から霊夢の正面に向き直り、静かに答えた。

 

「俺の名は道外砕牙(どうがいさいが)、魔戒騎士だ」

 

これが、少女、博麗霊夢と、少年、道外砕牙の出会いだった。

これから長い付き合いになって行く事をまだ彼らは知らない……




私は知らなかった。 自分の住む世界が偽りだと言うことを。

私は迫られた。 覚悟を持つ事を…


次回 砕 ~ Saiga ~


そして私は知る、道外砕牙という男を…




牙狼の次回予告ぽくなってればいいんですけど…
これからは、ザルバと霊夢、交互に予告していきます。

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