牙狼〈GARO〉 ~東方魔戒録~   作:響く黒雲

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今回、オリジナル魔戒騎士の一人目が出ます!!


銅 ~Gladiator~

それは何時の記憶だろうか?

 

「早く来いよ~! こっちーや!」

 

「待ってよ! 後、こっちーや言うの止めて!」

 

ある神社の境内を、一人の男の子と珍しい緑色の髪の毛の女の子が走り回ってる。

 

「はぁ… はぁ… 速いよ… カズくん…」

 

「当たり前だろ? 俺は騎士になるんだ。巫女で女の子なこっちーやに負けるか」

 

「こっちーやは止めて…… 後、巫女じゃなくて風祝!」

 

「どっちも一緒だろ?」

 

「違うよ!? もう全然違う!」

 

「う~ん? じゃあアレか?ゲームで言う2Pカラーか?」

 

「だから違うってば!!」

 

女の子は男の子に誂われる。

会話の内容を省けば、何処にでもある子供の言い合いだ。

 

だが会話の途中、女の子は暗い表情を浮かべ、男の子に訪ねる。

 

「ねえ… 何でカズくんは私と一緒に居てくれるの?皆は私の事、気味悪がって近づかないのに」

 

「家が近いから」

 

「そんな理由!? もっと何か無いの!?」

 

「暇だから」

 

「もっと悪くなってるよ!?」

 

だが真面目な話も、この男の子には通じない。

どんなに暗い話も、一瞬で笑い話になる。

 

「正直分かんないんだよなぁ~? 何で皆はこっちーやの事気味悪がるんだよ? 別に化け物な訳でも無いに」

 

「それは…」

 

ただ、男の子はふざけている訳では無く、ただ純粋に答えただけなのと、分からないだけなのだ。

何故、ただの女の子を皆が気味悪がるのかを。

 

「私がね、神様が見えるんだって言ったら皆が見に来て… でも皆には見えなくて… そしたら皆が私の事嘘つきって…」

 

「へぇ~ こっちーや神様が見えるんだ」

 

「むっ!カズくん信じて無いでしょ… だったら見せて上げるよ!! こっち来て!」

 

「うわぁ!?」

 

女の子は男の子を引っ張って本堂に入った。

 

「諏訪子様ー!神奈子様ー!」

 

女の子が神の名であろう名前を呼ぶと、奥から…

 

「どうしたのー? 早苗ー?」

 

「何かあったのかい?」

 

カエルの帽子を被った幼女と、注連縄を背負った、女性がやって来た。

 

「おや? その子は?」

 

「カズくん! この二人がこの神社の神様です!」

 

しかし、男の子はボーッとするばかりで反応を示さない。

 

「早苗… 無駄だよ…」

 

「普通の人間には、私達が見えないんだって前にも言っただろ?」

 

「うう… だってぇ…」

 

女の子は悔しさで目に涙を貯め始める。

 

「カズくんは見えるよね!? 二人が見えてるよね!?」

 

「早苗!止さないか…」

 

ついには、目からポロポロと涙を溢しながら男の子の肩をガクガクと振る。

そしてそれを諌める、神と呼ばれた女性。

 

しかし、そんなことは何のその、男の子は思わせ振りなことを言う。

 

「どっちだと思う? 見えてるか見えてないか」

 

その言葉に、一緒だけ静まり返る本堂。

 

「え?」

 

「うそ…」

 

「まさか… 坊や、私達が見えているのかい?」

 

「お姉さん達がホントに神様ならね?」

 

そう、男の子には見えていたのだ。

 

「ホント!? ホントに二人が見えてるの!?」

 

「俺、こっちーやに嘘言った事無いんだけどなぁ~」

 

「やったぁ~!」

 

余りの嬉しさに、女の子は男の子に抱き付く。

 

「うわっと!?」

 

しかし行きなり抱きつかれた男の子はバランスを崩し、女の子に押し倒される形で、倒れ込む…

そのせいで……

 

「ん…」

 

「む…」

 

二人は唇を合わせる事になった…

 

「ほほう…」

 

「これはこれは…」

 

「ひゃっ…」

 

「痛てて… いきなり何するんだよ、こっちーやゆるさなえ」

 

「わ、わざとじゃないよ!? それとその名前で呼ばないで!?」

 

何事も無かったかの様に起き上がる男の子。

顔を真っ赤にして、慌てふためく女の子。

そしてそれを面白そうに、ニヤニヤと眺める二神。

 

「でもキスしちゃったもんね~」

 

「はぅっ!?」

 

「これはもう坊やに嫁に貰われるしかないな? 早苗」

 

「ん? なんかくれんの? 貰えるなら貰うよ」

 

「ほう… 言ったな坊や。それなら大人になったら早苗と結婚するんだぞ?」

 

「それって一緒に暮らすって事だろ? いいぞ俺は」

 

何かとんでもない事をさらりと言ってしまう男の子…

女の子は女の子で茹で蛸の様になっていた。

 

「いいの? 私が、カズくんのお嫁さんになるんだよ?」

 

「別にいいぞ。俺もこっちーやの事、騎士になって守ってやるからな」

 

「ねえ… 前から言ってる騎士ってなんなの?」

 

「皆を守る狼の騎士だよ!! 父さんも騎士だから俺もなるんだ! そんで、父さんみたいに皆を守るんだ!」

 

自分の夢を語る男の子の事を女の子は、太陽を見るような眩しさを感じた。

 

「あっ… 忘れてた… 明日から騎士になるための修行があるから、当分ここには来れないや…」

 

「えっ? そうなの…」

 

「でも、何年か経って立派な騎士になったら迎えに来るからな。それまで待っててくれよ?」

 

「うん! きっと待ってる!カズくんも浮気しないでよ!!」

 

「おう!何の事か分からないけどしないぜ!」

 

それが、女の子…… 東風谷早苗の初恋の記憶だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、言う訳なんですよぉ~!」

 

「知らないわよ。それに長い!」

 

霊夢は今、妖怪の山の頂上にある、守矢神社に来ていた。

そこで、早苗が現代にいた頃の話を聞かされていたのだ。

 

「いいじゃないですか霊夢さん!こんなガールズトーク出来るの霊夢さんと咲夜さん位なんですから!!」

 

「なんで私と咲夜なのよ!?」

 

「うふふ… 知ってますよ? お二人に好きな方が居るのは…」

 

「うぐっ…… 何故それを…」

 

「人里の皆さんが話してました。最近の霊夢ちゃんは可愛くなっただの、咲夜さんはますます綺麗になっただの…… いや~ 恋って凄いですねぇ~」

 

「あんたに言われたく無いわ。万年頭の中お花畑の癖に…」

 

「ひ、酷いですよぉ~!」

 

「で? そのカズくんはどうなったの?」

 

霊夢がそれを聞くと、早苗はズゥ~ンと暗くなって体育座りを始める。

 

「ちょっ… どうしたのよ?」

 

「………… ボソボソ」

 

「え?何だって? 」

 

「それから一度も会いに来てくれませんでしたよ!ウワァ~ン!」

 

そして大声を上げて泣き出してしまった。

 

「あ~あ、またやってるよ」

 

「今度はなんだい?」

 

「諏訪子と神奈子」

 

その泣き声に釣られたのか、縁側には守矢の二柱、守矢諏訪子と八坂神奈子が来ていた。

 

「グスッ…… 私だってずっと待ってたんですよ!? それなのにカズくんは一度も会いに来てくれないし…… グスッ… そんなこんなで幻想郷に来ちゃったからもう会えないし…… うぅ…」

 

「ああ、よしよし… 早苗はいい子だよ~」

 

「済まないね霊夢。早苗にその名前は禁句だ。言ってしまうとああなってしまう」

 

「……… なんか、ごめん………」

 

まるで赤子をあやすように早苗を慰める諏訪子と何故かいたたまれなくなってしまった霊夢と苦笑いする神奈子という謎構図が出来上がったのを、どこかの烏天狗が撮影したとか……

 

「それで?霊夢。噂の魔戒騎士殿は何処に?」

 

「ああ… 砕牙なら…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁぁっ!!!!」

 

「でぇぇぇぇぇいっ!!!!」

 

「ギャァァァァァッ!!!!」

 

 

ガキンッ!!

 

ガンガン!!

 

ドン!!

 

 

砕牙と玲司は、妖怪の山から少し離れた山で、獣型のホラーと戦っていた。

 

「な、なんだこいつ!? 硬すぎるぞ!?」

 

「あの甲羅が邪魔だな… ザルバ、なんか方法は無いのか?」

 

〈そりゃあ… 甲羅が砕けるほどの威力を叩きつけるしかないな〉

 

〈でもそんな威力の技、ゼロも砕牙も持っていないでしょ?〉

 

「いや… あるにはあるんだが…」

 

「だったら出し惜しみせずに出せよ!」

 

「ここじゃ狭くて魔導馬は喚べない」

 

砕牙には、轟天を喚んで、牙狼斬馬剣で甲羅を砕こうと機会を狙っていたが、その為には轟天を喚ぶスペースが必要なのだ。

 

今、戦っている山中では、スペースが足りなくて、牙狼斬馬剣でも、甲羅を砕くに至る程の威力は出ないのだ。

 

「取り合えず今は奴を逃がさないのが先決だ」

 

「まっ、だよな…」

 

そう言って、砕牙と玲司は魔戒剣を構える。

 

「ギャオォォォォォン!!!!」

 

「うおぉぉぉぉぉっ!!!!」

 

 

ガキンッ!!

 

 

しかし何度やっても、甲羅には傷ひとつ付くことは無かった。

 

「くっそ!! やっぱ硬てぇな」

 

「切りつけたこっちの手が痺れてるぞ…」

 

「ギャオォォォォッ!!!!」

 

ホラーは嘲笑うかの様に二人を見下ろす。

 

「ふざけやがって…… もう勝った気でいやがるのか?」

 

「まだまだ、ここからだと言う事を見せてやる!」

 

砕牙と玲司は、互いに魔戒剣を天に掲げて、砕牙は金の、玲司は銀の円を二つ描き、己の纏う鎧を召喚した。

 

 

ガルルッ!!

 

グルルッ!!

 

 

二つの円から、唸り声を上げながら、鎧は二人を包み込み、砕牙は牙狼に、玲司は絶狼に変身した。

 

『フゥゥゥ……』

 

『行くぞ!亀公!!』

 

二人は牙狼剣と銀狼剣を構え、飛び上がり、 ホラーに斬りかかる。

 

「ギュァァァァァァ!!!!」

 

しかしホラーは甲羅に手足と頭を仕舞い、その咆哮と共に高速回転を始める。

 

『グァッ!!』

 

『オォアァッ!!』

 

高速回転する甲羅に二人の剣は弾かれ、更には体当たりまで食らって吹き飛んだ。

 

〈ゼロ!! 大丈夫?〉

 

『ハァ… なんとかな… けどどうする砕牙!? コレじゃキリがないぜ…』

 

〈残った方法はひとつだな〉

 

『ああ、奴の甲羅のてっぺんの同じ箇所に二人で同時に剣を叩き込む』

 

『けど威力は足りんのかよ!?』

 

『…… 烈火炎装を使っても五分五分といった所だが… やるしかないだろ』

 

『それもそうだな…』

 

二人は各々の剣に、魔導火を着け、剣のみを烈火炎装した。

 

『タイミングを合わせろよ!玲司』

 

『オーケー! 任せろ!!』

 

そして、絶狼と牙狼はほぼ同時に飛び上がり、ホラーの甲羅のてっぺんに降り立ち、剣を同じ箇所、同じタイミングで突き立てた。

 

『オオオオオオオオオッ!!!!!!』

 

『アアアアアアアアアッ!!!!!!』

 

 

ヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂッ!!!!!!

 

 

突き立てた剣と甲羅がぶつかって摩擦熱で火花が散っていたがそれでも甲羅はビクともしない。

 

『ウオォォォォォォッ!!!!!!』

 

『ハアァァァァァァッ!!!!!!』

 

 

ヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂ…… ピキッ、ピキピキッ!!

 

 

『『「!?」』』

 

しかし、度重なって剣を打ち付けたせいか、甲羅にはわずかに罅が入り始めた。

 

「ギャオォォォォォン!!!!」

 

『ウォッ!?』

 

『ウワァッ!?』

 

だが、異変に気づいたホラーが、二人を振り落とした。

そして、二人はダメージを受けすぎたせいか鎧が解除されてしまった。

 

〈砕牙!〉

 

〈ゼロ!〉

 

「ぐはっ… しまった…」

 

「ごほっ!! 鎧が解けちまった…」

 

「ギュァァァァァァ!!!!」

 

そしてホラーは、二人に興味を無くしたのか、そのまま移動を始める。

 

〈不味いわ!ホラーが逃げる!〉

 

「くそっ…… まて!」

 

〈おい砕牙!あの方向には妖怪の山があるぞ!〉

 

するとザルバは、ホラーの進行方向に妖怪の山がある事に気がつく。

 

「何だと!? あそこには霊夢が!?」

 

「兎に角、急いで追うぞ!」

 

砕牙と玲司は妖怪の山に進行を始めたホラーの後を追っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方人里では……

 

「おっちゃん、ちょっといいか?」

 

「あいよ、なんだ」

 

「東風谷早苗って奴を探して居るんだが… 何処に居るか知らない?」

 

茶色のマントを纏い、網笠を被り、ティラノザウルスの頭部の化石の様なアクセサリーの付いた眼帯を左目に着けた少年がいた。

 

「ああ、早苗ちゃんかい。それならそこの妖怪の山のてっぺんにある守矢神社に居ると思うぞ」

 

「サンキュー」

 

少年は礼を言い妖怪の山へ歩き出そうとした時……

 

 

ゴゴゴゴゴゴ!!!!

 

 

突如として地響きが起こり、大地が揺れた。

 

「お、おい!ありゃなんだ!?」

 

すると、一回り大きい亀が妖怪の山に向けて移動をしていた。

 

「あれは…」

 

少年が、亀を見ていると、

 

〈和真、ホラーだぜ!〉

 

眼帯のアクセサリーの口が動き、テンションの高い声が少年に語りかける。

 

「ああ、行こうぜディルバ。早苗達が心配だ…」

 

少年は足早に、妖怪の山を駆け登っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何なんだ!? こいつは!?」

 

守矢神社では、既に亀のホラーがやって来ていて、神社にいる、霊夢、早苗、神奈子、諏訪子はホラーを迎撃する体制に入っていた。

 

「ホラーよ。砕牙達…… どうしたのかしら…」

 

「コレがホラー…… 思ったよりも大きいんですね…」

 

「あーうー… 背丈が違い過ぎるよ…」

 

「ギャオォォォォォン!!!!」

 

ホラーはひと泣きすると、霊夢達に向かって突進する。

 

「! 離れて!」

 

霊夢は持ち前の感でホラーの動きを察知し、三人に指示を飛ばす。

そのお蔭で、なんとか攻撃を回避することが出来た。

 

「行くわよ! 夢想封印・法!!!!」

 

「私も!神の風!!」

 

「神の力を見るがいい!エクスパンデット・オンバシラ!!!!」

 

霊夢は大量の弾幕を、早苗は風を、神奈子は御柱をホラーに浴びせるが……

 

「ギュァァァァァァ!!!!」

 

魔導スペルカードである霊夢以外の、早苗と神奈子のスペカは全く通用せず、霊夢の技も、硬い甲羅のせいで、ほとんどダメージが無かった。

 

「嘘だろ? 神と現人神の一撃だぞ?それが全くダメージになって無いなんて……」

 

「これ、倒せるんでしょうか!?」

 

「砕牙か玲司が居てくれたら…… せめて二人が来るまで持たせなきゃ!!」

 

「ギャァァァァァッ!!!!」

 

ホラーは回転を始め、霊夢達に迫り来る。

 

「来るわよ!」

 

霊夢の掛け声で、早苗と神奈子は身構える、そしてホラーがすぐそこまで迫り……

 

「八方龍殺陣・堅!!!!」

 

ホラーに効果がある、法力で形成した結界を、何枚も張ってホラーの攻撃とぶつける。

 

「ギュァァァァァァ!!!!」

 

「はぁぁぁぁぁっ!!!! 二人とも!! さっきのスペカをもう一度ホラーの真下に放って!!」

 

「はい!」

 

「分かった!」

 

二人はもう一度スペカを発動させて、ホラーを早苗の風で浮かせ、神奈子の御柱でかち上げた。

 

「ギユァッ!?」

 

かち上げた衝撃でホラーは反転し、ひっくり返って仰向けになった。

 

「やったっ!!」

 

「やりましたね!」

 

「ああ!よくやったよ早苗」

 

「お~い!霊夢ー!」

 

その時、砕牙と玲司がやって来た。

 

「霊夢!! 大丈夫か!?」

 

「ええ、私は大丈夫よ。それより砕牙、来るならもっと早く来てよ!」

 

「ごめん。隙を突かれて逃げられたんだ…」

 

「そこのお二人~ 夫婦喧嘩してないで早く封印しようぜー」

 

「ちょっ!? 玲司!?」

 

「夫婦?誰が?」

 

しかし、ホラーは何時までも黙っている筈がない。

 

「ギュァァァ……」

 

「! こいつ!?」

 

「ギャァァァァァッ!!!!」

 

ホラーはひっくり返ったまま、回転を始め、駒の様に回りだした。

 

「うわっ!?」

 

玲司はその回転に弾かれ、ホラーは……

 

「え?」

 

早苗に向かっていった。

 

「「「早苗!!」」」

 

「ギャァァァァァッ!!!!」

 

「た、助けて…… カズくん!!」

 

目の前の恐怖に目を瞑る早苗。

最期に愛しい者の名を叫んで、早苗はホラーに潰され……

 

 

ガキンッ!!

 

 

無かった。

 

「俺の嫁さんに何してくれる? 腐れホラーが…」

 

眼帯を着けた網笠の少年が早苗の目の前に立って、腕に着けた盾で動きを止めた。

 

「無事か? こっちーやゆるさなえ」

 

「ふぇ…? カズくん?」

 

「ちょっと待ってろ。こいつを片付ける…」

 

少年は腰に差した、中世の騎士が持っている様な両刃剣を抜き、その刃でホラーをかち上げた。

 

「ふっ!!」

 

「ギュァァァ!?」

 

 

ドーン…!

 

 

再びひっくり返えされたホラーは、山の麓まで落ちていった。

 

「ふー… 十年ぶりか?こっちーや」

 

「もう…… 遅いよ…… カズくん!!」

 

カズくんと呼ぶ少年に抱きつく早苗。

彼が霊夢と話していた、早苗の婚約者の様だ。

 

そして……

 

「和真!!」

 

「うん?おお!砕牙と玲司じゃないか!! おひさ!」

 

「おひさ! じゃねえよ!何でお前も幻想入りしてんだ!?」

 

どうやら砕牙と玲司の友人でもあるらしい…

 

「まあ… その話は後でもいいだろ? 今は…」

 

和真と呼ばれた少年が目を向けると…

 

「こいつを討伐するのが先だ」

 

山の麓からホラーが上がってきていた。

 

「だな…… よし… じゃあさっそく…」

 

「まてよ」

 

「何だ、和真」

 

「俺がやる。お前達はボロボロだろ? それにこっちは俺の守りし者を襲われてイライラしてるんだ」

 

実際、砕牙と玲司は先程の戦いで、鎧を纏って戦えるかどうかといった体力だった。

それが分かっている二人は…

 

「分かった…… 任せていいんだな?」

 

「おうよ、期待してな」

 

和真に全てを任せた。

 

「カズくん…」

 

「心配すんな早苗… 直ぐに勝ってやる。だから下がってろ」

 

和真は早苗達を下がらせ、ホラーと対峙する。

するとディルバがホラーについて喋った。

 

〈和真、彼奴は魔獣タールティン。 巨体で雑食、おまけに硬い。だが… 和真なら問題はねえな〉

 

「ああ、勿論だ」

 

和真は、魔戒盾と魔戒剣を天に掲げて重ねる。

そして二つの武器を擦り合わせる。

 

すると盾から光の円が出現し、天に描かれ、和真は盾と剣の上下を入れ換え、剣で円の内側を砕いた。

 

そこから銅色の光が和真を包み込み、赤銅の鎧が召喚されて和真の身に纏われた。

 

「砕牙、あの騎士は?」

 

「彼奴は雨宮和真(あまみやかずま)、俺達の同期で魔戒騎士…… 彼奴が持つ称号は…」

 

『剣闘騎士 義狼〈 G I R O 〉!行くぜぇ!!』

 

和真が変身した義狼は隻眼の金の瞳を輝かせ、銅狼剣と義狼盾を構えてタールティンに突撃していった。

 

『ダァァァァッ!!!!』

 

「ギャァァァァァッ!!」

 

タールティンは牙で、義狼は義狼盾の十字の刃で互いにぶつかりあう。

 

力は拮抗しているのか、互いに動かず、その場に留まった。

義狼は剣を持つ腕を振るって……

 

『オラァァァァァッ!!!!』

 

タールティンの顔を殴った。

 

「えええええっ!? 剣で攻撃しないの!?」

 

「義狼はパワーファイターだ。だから全身が彼奴の武器なのさ」

 

「それが、義狼が剣闘騎士と呼ばれる由縁だ…」

 

義狼は盾で剣で拳で、全身全てを使ってタールティンを叩きのめした。

 

「ギユッ、ギュァァァァァァ……」

 

『んだよ… 骨がねえな… それとも、あの二人にやられてボロボロだったか?』

〈和真、そろそろ決めようぜぇ!!〉

 

『ああ、行くぜディルバ!!』

 

義狼は止めを刺す為に、義狼盾と銅狼剣を合体させ、義狼斬斧にして飛び上がった。

 

『オオオオオオオオオッ!!!!』

 

そして、タールティンの甲羅のてっぺん……

砕牙と玲司が必死に皹を入れた場所に……

 

『ズアァァァァァァッ!!!!』

 

義狼斬斧を叩き付けた。

 

「ギャァァァァァ……」

 

タールティンは弱々しい断末魔を上げて消え去った。

 

その戦闘の荒々しさは正に剣闘士(グラディエーター)、消え去ったのを確認した義狼は斬斧を分割し、和真に戻った。

 

「カズくん!!」

 

戦闘が終わり、真っ先に和真の元に向かう早苗、和真はそれを笑顔で迎えた。

 

「おうこっちーや、怪我ないか?」

 

「もう、こっちーやは止めてって前にも言ったのに……」

 

「あはは!まあ気にすんな! けどまぁ… あれだ… 取り合えずただいま、早苗」

 

「はい!お帰りなさい!和真!」

 

少女の初恋が実った瞬間だった…




お前達、自分の力を試したい時は何をする?

スポーツ、学問、弾幕ごっこ? 何でもいい

だがそれを戦闘で満たす奴が居ることを忘れるなよ?


次回 決闘


まっ、矢鱈無闇に振り回すモンでは無いのは確かだな
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