例)主人公の場合・・・ゆずは→ユズハ
みたいな感じです。
私は圏外へ出る覚悟を決めた。
……魔法、今の弱い私を変えるためにはこれしかない……。
夕方だったけれど、私はすぐに準備して村を出た。
幸い、魔法の情報を信じている人が少なからずいたようで単独での冒険にはならなかった。
街に向かう人々の一団からはぐれないように周りを見ながら進むこと30分、懐かしのはじまりの街への帰還を無事達成した。
着いたときにはもう日はおちていて夜になっていた。
圏内へたどり着いた安心感からか一気に脱力してきて街の入口から少し離れた人通りの少ない路地にあるベンチに倒れ込んだ。
横になれるほどの長さがあり、ベンチにしては心地が良かった。
そうだ、リンに今回の事言っておかないと。私はメッセージウィンドウを出した。
でも何て言おうかな、リンが魔法の事知ってるとも限らないし……。
長く悩んでいるうちに私はそのベンチで眠りに落ちてしまった。
「あ、起きたのね」
私が目を開けたとき、最初に目に入ったのは空――第二層の底――では無く、一人の女性の顔だった。
赤いフードをかぶっていて、他は私と同じような軽装備のようだった。
私が寝たままの体勢で女性を見つめていると、
「なに見てるのよ…」
と、少し顔を逸らされたので見つめるのをやめて、体を起こす。
「あ、す、すいません!」
知らない人に失礼なことをしちゃったと思って私は座ったまま頭を下げた。
「あ、頭を上げて…ね?それにあなた危ないところだったのよ」
「危ないところ…ですか?私、昨日特に何もしてませんよ?」
「あなた、現実世界の公園のベンチで寝るの?」
「いえ、寝ませんよ。寝られるわけないじゃないですか。」
この人は何を言ってるのだろう、と思った。公園のベンチなんかて寝てたら風邪引くし、何より襲われるだろう。
「あなたはそれと同じことをしていたのよ?」
「でも、SAOの圏内では他人に攻撃できませんし、性的な行為をしたらアラームがなりますから変なことされたり殺されたりはしないと思いますよ?」
「あなた、『メニューについての説明』をしっかり読んだ?」
SAOを始める時にたしかにそのようなチュートリアル項目があることは運営からのメッセージで伝えられている。たしか、メニューを開いてオプションの所に行けばあると書いてあった。
でも、私は早く戦闘をしたかったので、そんなものは読まずにSAOをプレイしているという現状にある。
「いえ、読んでません」
「知らない人からでもあなたのメニューを操作できるのは知ってる?」
「え!?そうだったんですか……」
「信じるかはあなた次第だけど、あなたが寝てる間に数人組の男達があなたを取り囲んでいたわ。男達はあなたの右手を持とうとしていた。私は少し離れた所をあなた達の方へ向かって歩いていたの。そしたら男達が私に気付いて逃げていった」
「男の人達はメニューを操作して何をしたかったんでしょうか?」
「メニューを操作すれば、アイテムのトレードもデュエルの開始もできるから現実世界でいうところの強盗殺人みたいなことができるんじゃないかしら」
「私、殺されかけてたんですね」
「そうと決まったわけじゃないけどその可能性はあるんじゃないかしら」
「その…助けてくださってありがとうございます!」
今度は感謝の気持ちを込めて女性に向かって頭を下げた。
「別に感謝されるようなことはしてないわ。見てただけだし…」
「いえ、あなたがいなかったらきっと私は今頃きっと、大変なことに…………………」
私は女性がいなかったらのことを思うとその先の言葉が出なかった。
「無事だったんだからそれでいいじゃない。それで、あなたはこれからどうするの?」
「私は、その…魔法があるっていう噂が本当かどうかを探してみようかと思います」
「そう…。ならここでお別れね。私は次のフィールドへと進んで行くわ」
「一人だと危ないですよ?」
私は一人でフィールドに出て怖い思いをしたので、それを彼女にも伝えようと告げた。けれど、彼女はフードを深く被り立ち上がりながら、
「どうせ、みんな死ぬんだから一層で死ぬかその先の層で死ぬかの違いだけじゃない」
そう言って彼女は圏外へと歩きだしていった。彼女の言葉は妙に重く、何かを訴えかけているような声音だった。
何故、彼女は私にあの言葉を投げたのだろう。しばらくその場に立ち尽くしながら考えていたけれどその意味はわからなかった。
けれど、その身を危険に晒しても現実世界に帰りたい理由がある人もいる。ということを今朝出会ったばかりの女性と接して改めて思った。
時間は11月9日の6時40分。ここから魔法を探しにフィールドに出るべく、私は圏外へと足を進めた。
「魔法いつでてくるんだ」って思った方...。
恐らく後2~3話で出てくると思います。