ソードアート・オンライン 〜再びのBoB〜   作:大路京太郎

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狩りの時間は雑談の時間

 

 

「それでさー、レンちゃんはBoBに出るつもりはないの?」

 

「えっ?」

 

レン――小比類巻香蓮は今、一緒にモンスター狩り(ついでにプレイヤー狩り)をしているピト――ピトフーイに、どういう意味?と問い返した。

 

砂漠での狩りの途中だったが、しばらくトラップには何も掛かりそうもないので会話をしていても問題はない。

 

「や、だってレンちゃんってば強いじゃない。最近はそこそこ有名になってるしねぇ」

 

レンは少し前にSJ(スクワッド・ジャム)で大活躍した。

 

その時の神懸かり的なプレーの数々に観客は湧き立ち、その小さなピンクのアバターとかけ、敬意と畏怖を込めて彼女をこう呼んだ。

 

――ピンクの悪魔と。

 

それから、イベントごとがあると皆口々に噂するようになっていった。

 

――またあのピンクの悪魔が魅せてくれるかもしれないぞ、と。

 

そういった話を酒場で聞いたピトは、面白がり、事あるごとにレンに小さなイベントから大きなイベントまで勧めるようになっていた。

 

まぁ、実はその噂を最初に流していたのはピトだったのだというオチなのだが。

 

今回の話も、そういう冗談や悪ふざけといったところだろうか。

 

「SJでの事だよ、それは。ソロの遭遇戦のBoBなんて怖くて無理無理!」

 

対して、そんな期待を込められた目で見られているレンの方はというと、参加に消極的だった。

 

レン曰く、「SJでの活躍はたまたま」らしい。

 

あの時は勝たなければならない理由があり、極限状態まで追い込まれた結果だとレンは思っている。

 

それにそもそもBoBとSJはルールも違えば、参加するプレイヤーのレベルも違う。

 

BoBは個人での最強プレイヤーを決めるための大会であり、最高レベルの装備や一騎当千の実力を持つ猛者の集まる大会だ。

 

それに対しSJはチームでの最強を決める大会である為、多少のミスは周りがカバーできる。

 

しかも最近できたばかりの、しかも主催者は運営ではなく、とある個人によって行われている小規模な大会なのだ。

 

つまり求められているモノも違えば、参加者のレベルも文字通りプロとアマほどの差がある。

 

ちなみに“文字通り”というのはGGOはRMT、リアルマネートレードシステムが存在するからだ。

 

リアルでのお金を課金する事で強い武器を買えたり、その逆でゲーム内で溜まったお金をリアルマネーに変換――といってもレートは低めだが――する事が出来るのだ。

 

一部の廃人プレイヤーの中にはGGOをプレイする事で生計を立てている――ゲームに命を賭けている者も存在している。

 

「SJではパートナーに頼りっきりだったし、流石に無理ゲーだよ」

 

そんな弱気なレンの言葉をピトは否定する。

 

「あのねぇ、第一回目はともかく第二回の時は今までGGOをプレイした事もないビギナーを育てつつ、その上で準優勝でしょ?もっと自信持ちなよ、レンは。…そうじゃないと、負けていったプレイヤーにも失礼でしょ?」

 

「ピトさん…」

 

「その負け犬一号が私なんだからもっと気を使いなさい」

 

「ええ、いきなりそんなこと言われてもっ!?」

 

堂々と負けを宣言し、その上で気遣いを要求するピトに何も言えないレンの絶叫が広大な砂漠にこだましたのだった。

 

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