ソードアート・オンライン 〜再びのBoB〜   作:大路京太郎

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協力者

 

キリトがログアウトした後も二人はそのまま店に残って話していた。

 

「いやぁ、キリトさん、話してみると案外普通の人だったね!」

 

「男の娘を極めたらきっと素晴らしいアイドルになるとは思ったね、あれは」

 

「うんうん!でも、ちょっと拍子抜けかな?まるで、ファンだった歌手の正体が普段から一緒に遊んでたネトゲ仲間だったくらいに」

 

「――レンちゃん、さらっとリアル割れしそうな情報言うのヤメテ」

 

神崎エルザはピトフーイである。

 

その事実を知った時は、レンよりもその友達の方が取り乱していた。

 

そのおかげか、レン自身は大した動揺もなく、ピトが拗ねてしまったという事を思い出す。

 

――まぁそんな事は置いておいて。

 

レンは先ほど、キリトが居た時のピトの様子がずっと気になっていた。

 

それなりに長い間話していたが、間が持たない――なんて事も無く、初対面とは思えないほど意気投合して楽しく会話をしていた。

 

きっとキリトはそう感じていたことだろう。

 

しかし、レンだけが分かっていた。

 

ピトが――ピトは、一度も本気で笑ってなどいなかったということに。

 

ずっと作り笑いを浮かべてヘラヘラしていたが、レンにはピトが何を考えているのか全く理解できなくて、それが余計に歪さを際立たせているようだった。

 

いや、もしかしたらキリトも気づいていたのかもしれない。

 

彼が話を振る相手はほとんどがレンだった。

 

それはピトを刺激しないための彼なりの配慮だったのだろうか。

 

「さて、ピトさん。それじゃあ私もそろそろ落ちるね!」

 

「今日はずっと暇なんじゃなかったのかな?」

 

「ちょっとやる事ができちゃったから」

 

ピトがおかしくなる原因なんてレンには分からない。

 

でも、分からないなら、それが分かる人に相談すればいいと思う。

 

レンは特に引き止めようとはしてこないピトを最後にチラッと見てからメニューを開き、ログアウトボタンを押す。

 

街中であるため、問題なくアバターが消えていく。

 

残されたピトは手元に置いてある、良くわからない色と味の炭酸系の飲み物を飲み干し、ポツリと呟く。

 

「――あれが“英雄キリト”。………SAOはまだ私の心を掴んで離してはくれないのね」

 

※ ※ ※

 

見慣れた自室に景色が移り変わる。

 

「うわぁ」

 

ログアウトしてすぐに、レン――香蓮は汗でびしょびしょになった服にげんなりするが、ベッドから起きる事なくそのままアミュスフィアを操作。

 

あまり名前の登録されていない連絡帳からある人の名前を探し出し、迷わずタップ。

 

無機質な呼び出し音がちょうど3コール目のところで、相手が電話に出る。

 

「もしもし、豪志さん?」

 

『――――』

 

「突然だけど、“キリト”って名前に聞き覚えはある?」

 

※ ※ ※

 

次の日の午後1時、東京某所にて。

 

少し歩けばそこら辺にもあるような有名喫茶店チェーンの中に入る香蓮。

 

待ち合わせのテーブルにすぐさま向かおうとして、店員の視線に気付いてしまい、適当に安めの紅茶をレジで頼んでからにする。

 

この店に入る前までの勢いを削がれた香蓮は紅茶を受け取るとトボトボと席へ向かう。

 

「ごめん、待った?」

 

「いえ、時間通りですので」

 

と、テンプレートな挨拶を目の前の男――阿僧祇(あそうぎ)豪志(ごうし)と交わす。

 

久しぶりに見るその顔は相変わらず整っていて、女でなければ嫉妬していたかもしれないと思う。

 

身長は175センチくらい。

 

立つと分かるが足も長く、全体的に引き締まった良い体格をしている。

 

髪は黒く、肩くらいまでの長さのウェーブ。

 

その鋭い目つきと合わせ、スポーツ選手か俳優かと最初は思ったくらいだ。

 

「――ジロジロと人の顔を見るのは結構ですが、そろそろ座ってください。香蓮さんは特に目立ちますから」

 

「うぐっ…」

 

今日はやけに嫌味な事ばかり言う豪志だが、その指摘は正しく、周りを見回すと何人かと視線がぶつかる。

 

おそらく、香蓮の身長がおかしいからだろう。

 

183センチ。

 

それがリアルでの香蓮の身長だ。

 

GGOで最小クラスのレンの身長と比べると、30センチも増量している。

 

「…すみません、睡眠不足で気が立っていて。今のは忘れてください」

 

身長にコンプレックスを持っていて、落ち込む香蓮にそう言葉をかける豪志の目元を見ると、うっすらクマが出来ている。

 

おそらく仕事で忙しかったのだろう。

 

そんな中、香蓮の頼み事まで聞いて駆けつけて来てくれたのだ。

 

そう思うとこっちまで謝罪したくなってくるが、話を先に進めるためにそれを呑み込み、豪志の前の席に着く。

 

「どう?昨日言ったこと、何かわかった?」

 

「ええ。といっても、僕自身が体験したことではないので又聞きとなりますが――、聞きます?」

 

そう前置きする豪志に香蓮は頷いた。

 

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