前回のラブライブ!
日奈子さんにライブ当日入れるようにお願いしに行ったのだが断られてしまった俺。
そんな日奈子さんに俺は取引を申し込む。その取引の内容は俺が音ノ木坂でライブをするというものだった。
日奈子さんはその話にのってきたので、これにて一件落着と思ったのもつかの間、生徒会長もとい絢瀬絵里さんがやってきた。そんな絢瀬さんに俺と共にオープンキャンパスを成功させてくれるように頼み、部屋を出て行った日奈子さん。つまり絢瀬さんと二人きりの俺。どうする!?
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日奈子さんが出て行って1分ほどたっただろうか。
余りにも急に出て行ってしまったため唖然としている俺と絢瀬さん。
さてどうしようか…。
一応オープンキャンパスの件は日奈子さんに頼まれてしまったためやるしかない、と俺は思う。
そのためには絢瀬さんとのコミュニケーションが重要になってくる。
だからこそ今ここでコミュニケーションをとらねば!
そう思った俺は絢瀬さんに話しかけてみる。
「「あのっ!」」
「「……。」」
かぶってしまった。…きれいにかぶってしまったな。
絢瀬さんも何か話さなければ!と思っていたのだろうか?
いいタイミング?で俺に話しかけてきてくれた。
おぅ…また気まずくなってしまった…。
だがここは何とかして話をしなくては!
「あの、絢瀬さん!自分は後でいいので先に話しちゃって大丈夫ですよ?」
「そう?じゃあお言葉に甘えさせてもらいますね。」
そう言って絢瀬さんは色紙とサインペンを出してくる。
…。
どういうこと?
「妹があなたのファンなんです。よかったらサインをいただけませんか?」
そう言って頭を下げる絢瀬さん。
サインくらいでそこまでする必要ないのに…。
「頭を上げてください絢瀬さん。サインくらいならいくらでもしますから。」
「ありがとうございます!!…でも妹からは翔人さんあまりサインはしないって聞いたんですけど。」
俺がサインすることを承諾すると笑顔でお礼を言ってきてくれた。
さらに俺が普段サインしないことも知っているなんてな…。
妹さんは俺のことをよく知っているようだ…。
「まぁ普段はしませんけど、今日はプライベートで来てますし。それに絢瀬さんとは、これからオープンキャンパスに向けて良好な関係を築いて行きたいですからね。これくらいなら全然OKです。」
まぁ普段サインをしないのは斑鳩さんに『サインなんてしなくていいわよ~。最近はよく転売する人が多いからね。翔人君の価値を下げたくないのよ。』と言われているからである。
最近はサインをしてもオークションなどで売って儲けている、いわゆる転売屋が増えている。サインに限った話ではなくチケットなども対象だ。本当に欲しい人の手に渡ってほしいとはいつも思っているんだが、チケットなんかは抽選のためそうもいかないんだよな。転売屋をなくす方法を考えたいものだよ、まったく…。
…まぁサインするのがめんどくさいっていうのが一番の理由なんだけどな。テヘッ。
だってサインもらったってうれしくなくない?
俺はそう思うんだけど…。
まぁ感じ方は人それぞれだから何も言うまい。
と思いつつ受け取った色紙にサインをして、絢瀬さんにサインを渡す。
「そうですか。なら良かったです。サインありがとうございます!」
「どういたしまして。それで絢瀬さん。ちょっとこれからの予定について話したいんですけど大丈夫ですか?…あと敬語無理して使わなくて大丈夫ですよ。俺のほうが年下ですし。」
「…分かったわ。でもやっぱりアイドルと話すなんてなかなかないことだから、たまにぎこちないところがでるかもしれないけど勘弁してね。」
「そんなに緊張することないですよ。自分はどこにでもいるただの男子高校生ですから。」
「なんか思っていた印象とだいぶ違うわね…。こんなにフランクだなんて思わなかったわ。」
「よく言われます。」
そう言って笑う俺。
これはなかなかいい雰囲気なんじゃないのか…?
絢瀬さんがどんな人かと思っていたけど、話しやすくていい人じゃないか。イメージ的には海未に近いかな?
これなら穂乃果たちとも仲良くできると思うんだけど…。
とは言っても今はまだ無理か。そのうち仲良くなってくれることを祈るしかないな…。
「それでオープンキャンパスについてなんだけど…。」
そんなことを考えていると絢瀬さんから声がかかる。
「はい。その件についてなんですけど一ついいですか?」
「何かしら?」
「自分は普段アイドル活動で忙しいんで話し合いとかは来れないと思うんです…。たぶんメールで話にちょくちょくかかわることくらいしか出来ないかと…。」
そう俺は普段は一応忙しい身なのだ。
穂乃果にはよく『毎日暇そうだね』なんて心外なことを言われたりするが、昼間は仕事、夜は勉強とすることがいっぱいある。
分かってほしいとは思わないが、『暇そうだね』はないだろ…。
「それで十分よ。もともと生徒会ですべて考えるつもりだったし、翔人君からは他校の生徒としての意見がもらえればOKよ。」
よかった。
もしこれでダメなんて言われたら、せっかく良好に思われた絢瀬さんとの仲が崩れてしまう。
そんなことを思っていると、
「翔人君…。別件で一つ聞きたい事があるのだけどいいかしら?」
真剣な表情で尋ねてくる絢瀬さん。
…これは穂乃果たちの話かな?
というかそれくらいしか心当たりがないが…。
「いいですよ。何です?」
「その…、μ'sの3人のことについてなんだけど…。あの3人から私のこと翔人君は聞いてるでしょ?」
やっぱりか…。
でも俺もこれについては一度話したいと思っていたからちょうどいい。
というか聞いたのは希さんからなんだけどな。
「…もちろん聞いてますよ。穂乃果たちの活動について反対してることですよね?」
「…そうよ。」
「もちろん絢瀬さんの言いたいこともわかります。というか絢瀬さんのように思うのがでしょう。自分だって最初は反対でしたから。」
俺がそういうと絢瀬さんは少し驚いた顔を浮かべた。
さらに俺は話を進める。
「でも結局俺はあいつの…穂乃果の熱意に負けました。…絢瀬さんは穂乃果たちが廃校阻止のためだけにスクールアイドルを始めたと思っていますか?」
「もちろんよ。本人たちもそう言っていたし。」
「そうですか…。でもそれは間違っていると思います。おそらく最初は本当に廃校阻止のためにスクールアイドルを始めたんだと思います。…でもね、最近のあいつらの練習を見てると思うことがあるんですよ。」
「いったい何を?」
「それはですね…。好きだからやってるんだなぁってことです。」
俺がそう言うと絢瀬さんはいかにも驚愕しましたよ、というような顔になった。
だがここで俺は止まらない。
「たぶんですけど廃校阻止のためだけならここまで続いてないと思うんです。あんなに早起きして辛い練習をするはずがないんです。俺は昔からの幼馴染ですから、穂乃果がすぐ物事に飽きることを知っています。…でも今回は飽きなかった。つまりそれは自分がそれを好きになったってことを意味しているんです。あいつ好きなことにはとことん突き進むやつですから。」
そう言うと、絢瀬さんは少し悲しいような、昔を思い出しているようなそんな顔になった。
「でもだからと言って絢瀬さんに言うことは何もないですよ?」
「えっ?」
予期していなかったセリフだったのか絢瀬さんが変な声をあげる。
「だから絢瀬さんには穂乃果たちのことで言うことは何もないです。」
「ちょ、ちょっと待って!今の話でなんでそうなるの!?普通なら『あいつらを認めてくれ』とか言うものじゃないの?」
「それは言う必要がないからです。」
「…言う必要がない?」
絢瀬さんが不思議そうに聞いてくる。
確かに穂乃果のことを知らないとおかしく思うかもしれないな。
「先ほど言ったように穂乃果は良くも悪くもまっすぐ進みます。だから障害があれば自分の力でなんとかします。…もちろん一人じゃ無理なときは海未やことり、俺なんかを頼ります。だから今回も俺は穂乃果が自分でなんとかするのを見守りたいと思うんです。」
「…そう。」
俺が色々言っていると絢瀬さんが少し納得したような顔になった。
…多少は俺のこと認めてもらえたのかな?
「でもこれからも私はあの子たちの前に立ちはだかると思うわよ?」
「望むところです。」
俺は笑顔でそう答える。
「高坂さんたちがうらやましいわ。あなたみたいな幼馴染がいて…。」
「俺なんて大したことないですよ。穂乃果、海未、ことりの3人がいれば大抵のことは成し遂げますから。俺はおまけみたいなもんです。」
「…もっと自分に自信を持ったらどう?アイドルなんだし。」
「…それはちょっと難しいかもしれません。自分にもいろいろあったので…。」
「そう…。」
俺がそう答えると場の空気が嫌な感じになった。
過去の話をするといつもこうなる…。
まぁ俺が悪いんだけどさ。
でも俺は過去の話をするのが嫌いなんだよ…。
…とは言ってもいつまでもこの状態でいるわけにはいかない。
「じゃあ絢瀬さん、携帯の番号交換して僕は帰りますね。まだこれからやることもありますし。」
実際はやることなんてないのだが、今はこの空気をなんとかしたい。
「ええ、そうね。」
そう言って俺と絢瀬さんは互いの番号を交換する。
「じゃあ番号を交換したことだし俺は帰りますね。何かあったらいつでも連絡してください。すぐにとはいきませんけど、なるべく早く返信します。」
「分かったわ。でもさっきも言ったけど基本は生徒会で進めちゃうと思うからそんなに心配しなくて大丈夫よ?」
「分かりました。じゃあまた今度会いましょう。」
「ええ、また今度。」
そう言って手を振って俺は逃げるように部屋をでるのであった。
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そのまま学校を出て家に帰る途中、絢瀬さんと話しているときに思い出してしまった過去のことについて考えてみる。
………。
「ハァ…ハァ…ハァ…。」
思い出すのは忘れたくても忘れられないあのときのことだ。
「やっぱりあの時のことを思い出すのはまだ辛いな…。やっぱこれは俺に忘れるなってことだよな…。」
そう言って歩くのが遅くなったことに気が付かないまま自宅へと帰る翔人であった。
次回第14話
「ライブ当日」
お楽しみに~!