~後日談~
穂乃果たちのライブの次の日、俺は穂乃果の家に呼び出されていた。
海未からのメールだったのだが、
『お話があります(o^―^o)ニコ』
という件名で、俺は初めてメールに恐怖を覚えた。
…だってあの海未が顔文字を使ってるんだぞ!?
これが恐怖せずにどうしろというんだ…。
これがことりだったら間違いなくすぐにメールを読むのだが、海未のメールは本文を見るのが怖かったため、
『仕事が忙しくて見てなかった。悪い。』
というメールを夜にでも返そうとしていたのだが、
「翔人君、今日海未ちゃんたちと穂乃果ちゃんの家に集まるんでしょ?後のことは私がやっておくから翔人君は帰って大丈夫よ。」
と、斑鳩さんに言われてしまった。
…は?
なんで斑鳩さんがそのことを…?
「斑鳩さん、ちょっと待ってください!」
俺は仕事に戻ろうとした斑鳩さんを呼び止める。
「ん?どうしたの?」
「どうしたの?じゃないです!なんで穂乃果の家に行くってことを斑鳩さんが知っているんですか!?」
「なんでって…海未ちゃんに教えてもらったからよ?」
…はい?
「海未に…?」
「言ってなかったっけ?私海未ちゃんとアドレス交換したって。」
え?
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「何をそんなに驚くことがあるのよ?」
俺が驚きのあまり大声をだすと、斑鳩さんは不思議そうな顔で俺に質問してきた。
「何をって、全部ですよ!なんで海未とアドレス交換なんてしちゃってるんですか!?」
「女の子のプライベートを聞くなんて翔人君はデリカシーがないわね~。」
斑鳩さんはそういいながら笑っている。
こっちが真剣に聞いているってのに…。
「い・い・か・ら!答えてください!!」
「もう…わかったわよ。とは言っても別に変なことはしてないわよ?昨日の音ノ木坂のライブのあと翔人君先に帰っちゃったでしょ?そのあとで海未ちゃんと話したんだけどすごく話が合っちゃったのよ。だから海未ちゃんに『アドレス交換しない?』って聞いたら『もちろんいいですよ』っていうから交換したんだけど…。」
俺が帰ったあと…だと…。
確かに昨日は穂乃果たちのライブに満足して一人で先に帰ってしまった。
それは事実だ…。
そういえば、すっかり斑鳩さんのこと忘れてたな…。
変なことが起こらないように注意してたんだけど…。
「そんなに私と海未ちゃんがアドレス交換したのが不満なの?」
俺が一人でブツブツつぶやいているとずっと待たされていた斑鳩さんがしびれを切らしたのか尋ねてきた。
「別に不満じゃないですけど…。プライベートについて斑鳩さんに知られるのは不安なんですよ。」
「私ってそんなに信用ない?」
「仕事面では絶対の信頼をしてますよ。仕事面では!!」
「やけに仕事のことを押すわね…。」
「じゃあ逆に聞きますけど、仕事以外のことで斑鳩さんが僕に対してどんなことをしたか覚えてます?」
「仕事以外で?…うーん。何かしたっけ?」
これだ…。
これだから嫌だったんだよ…。
「もういいです…。まぁ交換してしまったものはしょうがないですからね。別に何もいいませんよ。」
まぁ例え海未とアドレス交換をしたと言っても余分なことをしなければ何の問題もないのだ。
余分なことをしなければ…!
「そう?ならよかったわ。…それより翔人君急いだ方がよくないかしら?」
急ぐ?
何に?
「さっき私海未ちゃんに『翔人君たった今本日の仕事無事終了!今からそっちに向かうと思うわ』ってメールしたから。」
おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉい!!!!!
いきなりやらかしたぞ!この人!!
勝手に何をやらかしてくれてんだ!!
「斑鳩さん!勝手に何言ってるんですか!?」
「ん?何か悪いことした?海未ちゃんに『翔人君が来る前に準備したいことがあるので翔人君の仕事が終わったら連絡いただけませんか?』って言われてたから返信しただけなんだけど。」
海未め…。
やはりあいつは用意周到だな…。
俺がどんな手を使うかしっかりと理解している。
ずっと幼馴染やってればわかるもんなのかな?
俺は全くそういうことわからないけど…。
…ってどうしよ!?
海未にメール返してないよ…。
などと色々疲れることがあり重い足取りで穂乃果の家へと向かう翔人であった。
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穂乃果の家へと向かっている最中しょうがない…と思いつつ海未のメールを開けてみた。
するとそこには、
『どうせ翔人君は件名をみてメールは読まないと思うので、斑鳩さんに連絡します。』
とあった。
バレバレじゃん…。
っていうかそう思うならあんな件名にするなよ…。
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そんなこんなで俺は今穂乃果の家の前にいる。
足が重いが覚悟を決めるしかないだろう…。
ハァ…。
とりあえずいつも通り店のほうから入ることにする。
「いらっしゃいませー、って翔人君!」
すると店番している雪穂に出会った。
「おっす雪穂。」
「なんか久しぶりだね~」
「そうか?結構頻繁に会ってはいるだろ?家隣だし。」
「そういうことじゃないんだけどな…。そういえばお姉ちゃんたち待ってたよ?」
「…そうか。何か言ってたか?」
「うーん…特には言ってなかったけど海未さんは笑顔だったよ?」
あっ…これだめなやつだ…。
雪穂の言葉を聞いてさらに足が重くなった俺だが、とうとう穂乃果の部屋の前まで来てしまった…。
さて…なんて言い訳しよう…。
そう思いながらドアを開ける。
「…来たぞ、穂乃果。」
「あっ、ひろ君やっと来た。もうー来るの遅いよ!」
開口一番穂乃果はそんなことを言ってくる。
だがこれはいつもの穂乃果だ。
そこで一安心する俺。
「まぁまぁ穂乃果ちゃん。ひー君も仕事だったんだし。」
そう言って俺のフォローをしてくれることり。
ことりもいつも通りだ。
ここでも一安心。
でも…最後は…。
「翔人君、メールは呼んでくれましたか?」
海未さんや、そんなニコニコしないでくれ…。
俺の寿命が縮んでしまうよ…。
「あぁ見たよ…。でも一体何の話なんだ?呼ばれた理由が全く分からないんだけど…。」
海未からメールをもらったときは恐怖してしまったが、よくよく考えてみれば怒られるようなことしてないし、何か別の用事があったとしか思えない。
「…わからないのですか?」
俺がそういうと海未が笑顔から真面目な顔になって俺に尋ねてきた。
…一体なんだ?
俺は何についてわからないため黙ったままでいるとしびれをきらした海未が、
「…翔人君は私たちに隠し事はしてないってライブ前にいいましたよね?」
確かそんな話したな~。
しかしそれが今のことと何か関係あるのだろうか?
「あぁ、それがどうかしたか?」
「どうかしたか?ではありません!!」
俺がそう言うと海未がいきなり大声をあげた。
「ミカから聞きましたよ。今度音ノ木坂のオープンキャンパスでライブをやるそうではないですか!ことりに頼んで理事長に聞いてもらったら本当のことだと言っていますし。昨日斑鳩さんが学校に来ていたのはライブの打ち合わせの類ですか?」
どうやらばれてしまったようだ…。
穂乃果もことりも俺を見て不満そうな顔をしている。
まぁ隠し事してたっていえばそうなんだろうけどここまで怒ることか?
「…まぁそんな感じだ。」
ばれてしまった以上隠し続けてもしょうがないと思った俺は本当のことを海未に告げる。
「とは言っても別に隠してたわけじゃないぞ?ライブが終わったら言おうと思ってたんだ。俺のライブのことを海未たちのライブの前に話してもしょうがないだろ?集中しなきゃいけないときに俺の余分な話してもしょうがないからな。」
言おうと思ってたっていうのは思いっきり嘘です。はい。
でも集中してほしかったのは本当だ。
「余分な話!?翔人君のライブの話が余分な話のはずがないでしょう!それに私たちのライブを見に来るためにそのような話になったと聞いています。それでしたら私たちは翔人君に迷惑をかけてしまっていることになりますし…。」
そう言うとしょぼんとしぼんでしまう海未。
…待て待て。
なんでそうなる!?
「迷惑なんてかけてないだろ?なんでそんな話になるんだ!?」
「だって私たちが無理を言ったからひろ君は無理してまで来てくれたんでしょ…?」
と穂乃果が力のない声で答える。
いやいや…。
それは違うだろ。
確かに穂乃果たちに言われたから見に行ったのも理由の一つだが、一番の理由は俺が見たかったからだ。
穂乃果たちがそんな風に思っていたとは…。
「違うぞ?俺は俺が見たかったから言ったまでだ。確かに穂乃果たちに言われて見に行ったのも理由だが、一番の理由は俺が見たかったからだ。穂乃果たちは俺が無理してるって言ったが、全然そんなことはないぞ?」
「本当に…?」
ことりが聞いてくる。
俺どんだけ信用ないんだよ…。
「本当だ。だから元気出してくれよ、せっかくライブを終えていいところだってのに3人がそんな感じじゃ俺まで調子が狂っちゃうよ。」
「…それもそうだね!ひろ君がそう言うんだし私たちも元気だそうよ、海未ちゃん!ことりちゃん!」
「…そうですね。翔人君がそう言うことですし。」
「そうだねっ!」
どうやら3人とも元気を出してくれたようだ。
よかった…。
「…それよりなんでひー君は昨日先に帰っちゃったの?」
「えっ?」
「そうだよー!せっかく一緒に帰ろうと思ったのに~。」
「あんな風に格好つけて帰る必要はないですね…。」
おいおい…。
急に話が変わったと思ったらひどい言われようだな…。
「すまん…。」
仕方ないのでここは素直に謝っておく。
何事も謝ることは大事だからな。
「昨日あの後色々大変だったんだよ!花陽ちゃんに『さっきの人翔人さんですよねっ!なんで翔人さんがここに!?』って言われたり、ミカたちは『翔人君サインは!?』ってうるさかったし…。」
そういえば花陽ちゃん?には自己紹介してなかったな…。
後ミカにはサインあげるって言っておいてあげてなかった…。
…まぁ今度会うときにまとめてすればいっか。
「それは悪いことをしたな…。今度何かおごるから許してくれ…。」
もうこれくらいしかできることがない…。
「あっ!それなら今から4人で夜ご飯食べに行かない?」
と穂乃果が提案する。
「それはいいですね。最近翔人君を交えての食事はしてませんでしたし。」
「ことりも賛成~。」
まぁ食事おごるくらいならいっか。
最近はずっと一人での食事だったし、たまには誰かとご飯を食べるのも悪くない。
「よし!じゃあ行くか。」
「「「うん!(はい!)」」」
そうして俺たちは晩飯を食べるために外出したのであった。
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~余談~
まさかことりがあんなに食べるとは…。
晩飯だけならなんともなかったのだが、帰りに寄ったスイーツカフェで…。
ことりのデザートだけで軽く1万は超えていた。
それを見て穂乃果と海未もちょっとひいてたし…。
いくらチーズケーキが好きだといってもあれは…。
ことりとの食事の時はしっかり店を考えよう…そう思った翔人であった。
次回からはしっかりと本編に入っていきたいと思います!