いやぁ、更新しようと思ってたんですけどね、無理でした←
最近、TOVに嵌り過ぎちゃって、小説が二の次になっちゃってるんですよねぇ。
仕事もしてるし、育児や家事だってしなきゃだし?
これでヴェス●リアしてたら、小説書く時間が無くなっちゃうわw←
それにしても、ユ●リ・・・・・・格好良すぎかよ、チクショウ。
これは、あれだな。
ヴェスペ●アクリアしたら、小説書こうかな←
そんな第3話です。
今回は挿絵有りです。
次の更新は4時間後です。
「・・・・・・逃げた方が良いな・・・・・・」
「え・・・・・・?」
バルコニーに居た璃王は、ポツリと呟いた。
隣にいた男性は、璃王の呟きが聞こえていたようで、璃王が何を言ったのか聞き返す。
風に流れてくる鼻を付くようなオイルの臭いを感じ取り、璃王は確信する。
どうやら、グランツは弥王が仕留めたようだ。
弥王は大抵、標的の屋敷やアジトに潜入した場合、その根城を燃やす変な癖がある。
それは、標的の虫の息の根を止める為に行っているらしい。
どうやら、グランツは弥王の逆鱗に触れたようだ。
マズイな。 璃王は考える。
自分一人なら、今この場で姿を戻して飛び降りて脱出する事が出来るが、一般人である彼の前でそれは流石に出来ない。
と言うのも、
なので、それを破ったら例え璃王でも重刑は免れないだろう。
それだけは勘弁したい所だ。
そんな事を考えていると、他の招待客が異変に気付いたらしく、会場内が不穏な空気を孕みつつ、騒然とどよめいた。
そんな中、一人のホールスタッフが招待客に注意と避難を促す。
「二階から火の手が上がっています!
皆さん、慌てずスタッフの指示に従って避難して下さい!」
冷静に避難するように呼びかけるスタッフの声は虚しく、騒然とパニック状態に陥った会場内では、我先にとホールから出て行こうとする人混みでごった返した。
「逃げるぞ」
「あ・・・・・・あぁ」
男性はスタッフの声を聞くが早いか、璃王の手を引いて足早にバルコニーから会場へ入ると、玄関ホールを目指した。
弥王の姿をホールの中に探していた璃王は少し反応が遅れて、半ば男性に引き摺られる様に小走りで走る。
ドレスの重たさに、ヒールの走りにくさ。 璃王は苛つきながら床を踏む。
あぁ、クソッ! 今すぐにスカートを短く裂いてヒールを脱ぎ捨てて走りたいッ!
しかし、今は淑女だ。 そんな事は出来ない。
「うわっ!」
璃王は踵で床を踏んだ時、上手く体重を乗せられずに足を滑らせ、体勢を崩した刹那に白い床に倒れる。
その拍子に男性に引かれていた手が離れた。
この瞬間を利用すれば、バルコニーから脱出できる――!
しかし、男性は手が離れた事に直ぐに気付いて、立ち止まると振り返った。
「大丈夫か!?」
男性の言葉に、璃王は起き上がりながら冷静に頷いた。
足首に鈍い痛みが走る。
こんなにパニックになっている状態なら、呪幻術でどうにか出来そうだ。
しかし、それを使うにはこの男が邪魔だ。
璃王は男性を見上げて、言った。
「足を挫いただけ。 足手纏いはごめんだ。 だから――」
しかし、男性は璃王が言い終わらない内に璃王をひょい、と軽々と抱き上げた。
一瞬、何が起こったのか解らず、璃王は驚いた表情で固まった。
「え――」
状況が飲み込めない。 誰か、説明プリーズ。
気が付いたら、男性の顔がグッと近くに来ていた。
その状況に次第に璃王は内心でテンパる。
これは、この状況はなんだ!?
顔近い! 床からの距離が遠い! 何なんだ、この状況!?
何、この少女漫画的で、今日日の年頃の女が喜び勇んではにかみながら浮き足立ちそうな状況!?
璃王がフリーズしていると、男性は言った。
「なんだ、ドレスが重いのかと思ったら・・・・・・普通に余裕だな」
自分を見上げながら言ってくる男性は、少しだけ微笑んでいる。
「え? あ・・・・・・は、離せッ!」
男性の言葉で我に返った璃王は、男性を咎めるような強い口調で言った。
何でこいつはこんなに構ってくるんだ!? すごくやりにくい!
うすら殺意さえ沸いてくる、と、璃王は内心で舌打ちする。
こう言う自分が危機的状況に陥っているなら、他人を押し退けてでも自分が助かろうとするのが普通なのではないのか?
璃王の言葉を聞いた彼の目つきが鋭いモノへと変わった。
「死にたいのか、お前は?」
「死にたいなら、置いて行ってやる」、と男性は付け足す。
すると、璃王は何も言えずに言葉を詰まらせた。
自分一人で逃げられる方法は幾らでもあるが、それを男性に言った所で怪しまれるだけだ。
そもそも、その方法まで根掘り葉掘り聞き出されそうである。
その力を一般人に口外する事は禁忌である為、勿論、それを隠さなければならない。
となると、何の説明も出来ないし、怪しまれるのも面倒くさいと思ったので、言葉を詰まらせたのだ。
男性は歩き出しながら言う。
「そうじゃないなら、大人しくしてろ」
男性の言葉に璃王は何も言えなくなり、諦めて大人しくする事にした。
別に、男性から逃げる方法が無い訳ではない。 幾らでもある。
しかし、今の璃王はそれを考える余裕がなかった。
見れば見る程、何処かで会った事があるような雰囲気。
不思議と嫌悪感もないし、寧ろ、何処か安心感すら感じる。
何だ?初対面の筈――なのに、どうしてこんなに懐かしい?
璃王は戸惑いながら、そっと男性の顔を盗み見た。
何処か精悍さを漂わせる顔は、割と整っている方だろう。
あぁ、もう、いいや。
何か考えるのも馬鹿らしくて、面倒くさい。
璃王は、考える事をやめた。
* * * *
-レイナス視点-
一曲踊った後、特に話すでもなく、レイナスは少女とバルコニーに居た。
隣の少女は手摺りに腰を掛けて、じっと夜空を見上げている。
「さっきもそうして居たよな」
「・・・・・・高い所、昔から好きなんだ」
ふと気になって声を掛けると、少女はレイナスを一瞥した後、直ぐに視線を夜空へと戻して、ポツリと言った。
随分と大人しい奴だな。 他の貴族の女連中とは偉い違いだ。
故にやけにある意味殺気立った女子が積極的に声を掛けてくるもんだから、ある意味戦場だ。
そんな中で、彼女は壁の花を決め込んでいた辺り、社交界デビューをしたばかりなのだろうか。
何にせよ、五月蝿くないし寧ろ、居心地がいいのでレイナスは、ホールには戻らなかった。
「・・・・・・ホールには戻らないの?」
暫く黙っていた少女が、ふと思い出したように訊いてきた。
まさか、話し掛けてくるとは思わなかったので、男性は少し驚く。
そして、頷いた。
「あぁ。 こっちの方が静かでいいしな」
「ご尤も」
「お前は?」
「ホールに行ったらまた酔うから、終わるまでここで壁の花でも気取ってる予定さ」
「あぁ・・・・・・そうだな」
そうだった。 少女は、人に酔ったからここに来ていたんだった。
レイナスはそれを思い出して、相槌を打った。
また、話題が無くなって沈黙がこの場を支配する。
しかし、その沈黙は決して、居心地の悪いモノではなかった。
暫く沈黙していると、不意に少女が何かに気付いたかのような動作で別の方向に首を捻らせた。
そして、ポツリと何かを呟く。
しかし、それはレイナスには届いていなかった。
すると、少しして鼻を付くような臭いが風に運ばれてきた。 その時には少女は手摺りから降りていた。
それと同時に、ホールスタッフの声がホールから聞こえてきた。
「二階から火の手が上がっています!
皆さん、慌てずスタッフの指示に従って避難して下さい!」
それを聞いたレイナスの行動は早かった。
「逃げるぞ」と言うが早いか、レイナスは少女の手を掴み、その手を引いて足早にバルコニーから会場へ入り、玄関ホールを目指した。
少女は混乱しているのか、生返事に近い返事をすると、走りにくそうに小走りで後ろを引き摺られる様に付いてくる。
「うわっ!」
少女の声が後ろから聞こえて、それと同じタイミングで少女の手が離れた。
「大丈夫か!?」
急いで後ろを振り返ると、少女は身体を起こしている所だった。
どうやら転んだらしく、少女はその端正な顔に若干の苛つきを滲ませていた。
「足を挫いただけ。
足手纏いはごめんだ。 だから――」
早口でそれを言う少女が何を言おうとしたのかが何となく解り、それを言い終える前にレイナスは、少女を抱き上げた。
少女の顔は困惑で固まっていた。
「なんだ、ドレスで重いのかと思ったら・・・・・・普通に余裕だな」
レイナスは、少女が「自分は重たいから、自分の事は放って先に行け」と言いたいのだと思った為に、そんな事を言った。
軈て状況を理解した少女は、強い口調で咎めるように抗議してきた。
「え? は、離せッ!」
その顔は、紅く染まっていた。
突然抱き上げられたモノだから、恥ずかしさを感じているのだろうか。
しかし、今は非常事態だ。
彼女を置いていける筈がない。
「死にたいのか、お前は?
死にたいなら、置いて行ってやる」
レイナスは、強い口調で言った。
今ここで置いていったなら、彼女は死ぬだけになるだろう。
火が何処まで燃え広がっているのかは解らないが、少なくとも現状で彼女を助けられる人間は他にいない。
足を挫いたというのだから、走る事も困難である筈だ。
後日、新聞で「グランツ邸にて火災発生。 10代後半女性の焼死体発見される」なんて取り上げられているのを見たら、幾ら何でも後味が悪い。
「そうじゃないなら、大人しくしてろ」
レイナスがぶっきらぼうに言えば、少女は言葉を詰まらせて黙り込んでしまった。
レイナスは、少女を屋敷より離れた木陰に降ろした。
「失礼」
少女に断りを入れて、長いスカートの裾から少しだけ覗いている右足をそっと触ると、少女は顔を顰めた。
どうやら、怪我は右足らしい。
足首までスカートの裾を上げると、剥き出しになった足首は少し腫れていて、ヒールを脱がせてみたら、ヒールに覆われていた腱が赤く切れており、痛々しい傷口から赤黒い血が滲み出ていた。
これは痛い筈だ。 こんなんで尚更、歩ける訳がねぇ。
あのまま放って置いたら、焼死コースまっしぐらじゃねぇか、
そんな事を思っていたら、少女は細く息を吐いた。
「靴、履き馴れてなかったんだな」
「まぁ・・・・・・」
持ってきていたハンカチを帯状に裂いて、手早く処置をする。
その様子を眺めながら、少女は曖昧に返した。
見たところ、履き潰された様子が見受けられない為、ヒールは下ろしたてだったのだろう。
初めてヒールを買って貰って、汚したくないから当日まで履かなかったから、履き馴れていなかったのだろうな、と、レイナスは解釈した。
「これでよし」
処置が終わってスカートの裾を降ろすと、男性はふと、顔を上げた。
その先には、少女の深海よりも深い藍色の瞳がじっと見下ろしていて、目と目が合う。
まるで、アンティークドールの様な無垢で吸いこまれそうな、それでいて儚げで綺麗な目。
「お前、名前は?」
レイナスの口からは、無意識に名前を訊ねる言葉が出てきていた。
色恋なるモノは元より、どんな女にも興味は持てなかったが、何故かレイナスは少女の名前だけは知りたいと思った。
それはきっと、少女に対して懐かしい感情があるからだと、レイナスは思う。
「リオン。
――リオン・ヴァルフォア」
少女――リオン・ヴァルフォアは、淡い笑みを浮かべて、名乗った。
レイナスは、その名前を頭の中で反芻する。
「リオン、か。 また、縁があれば何処かで会おう。
――じゃあな、リオン」
レイナスは、立ち上がるとリオンの頭をクシャッと撫でて、立ち去ろうとした。
しかし、それはリオンによって阻止される。
「どうした?」
振り返ってみれば、少女は自分を見上げて言った。
「まだ、名前訊いてない」
「あぁ・・・・・・俺は――」
レイナスは名乗ると、今度こそその場から立ち去っていった。