Promessa di duo~太陽ト月~   作:紅 奈々

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はいはいはい、連続投稿です!
後1話、時間差で投稿しまーす!


第3話

「公爵! 何なんだ、今の言い訳はッ!?

ゲイなのッ!? ゲイの気でもあるのかッ!?」

「落ち着けよ、私にそんな趣味はないし・・・・・・それに、仕方ないだろ?

ああでも言わないと、彼女は引き下がってくれそうになかったしな」

 

会場の隅の方、バルコニー付近へと移動した弥王は、捲し立てるようにグレアに先程の行動について問い詰める。

さも気にしている様子のないグレアの返答に、弥王は納得できなかった。

 

「だからって、あんな・・・・・・ッ!

女の口なんて、壊れた財布のファスナーより緩いんだぞ!?

変な噂が流れる方が困る!」

 

赤面して反論する、弥王。

 

弥王が懸念しているのは、「ファブレット公爵に恋人が出来たんですってー」と言う噂から、背びれだの尾ヒレだのが付いて「ファブレット公爵に奥さんが~」という噂が流れる事だ。

そんな大層な噂が流れては、色々と問題になりかねない。

一般庶民や下級貴族の話であるなら、特に気にするような事はないが、グレアは上流階級の貴族だ。

そういう噂は背びれ尾ヒレが付いて流れるだろう。

 

そうなった時に巻き添えを食らうのは、弥王の方である。

「そう言えば、ファブレット公爵にいつも付いてる紫の男性、あの時の子に似てないかしら?」となるのは、弥王の方が非常に困るのだ。

 

「まぁ、落ち着けよ」

 

しかし、弥王の小言はグレアには効かないらしい。

弥王は溜息を吐いて、呆れた様に言った。

 

「大体、他の言い訳もあったんじゃないのか?

こ・・・・・・っ、恋人だなんて、そんなすぐ怪しまれるような嘘を吐かなくてもさ」

「その事は何とかなるさ。 何だっけ・・・・・・人の噂も45日・・・・・・とかって言葉があってだな」

「知ってるよ。 陛下の好きな日本の言葉だろ?

でも、実際にスキャンダル系の噂は至らない話が付いてくる訳でだな・・・・・・」

「そうなれば、別れたとでも言えばいい訳だ。

私が何て言われているか、お前達がよく解っているだろう?」

 

グレアの言葉に、弥王は「あぁ、もう、好きにしろ!」と吐き捨てて、その場を後にした。

 

あぁ、知ってますとも。 公爵が「女誑し」で有名な事は!

そう、グレアは「女誑し」で有名だったりするのだ。

 

今まで流れた噂は数知れず、定番の「女を取っ替え引っ替え」から「何処かの国の王女をも誑かして国際指名手配中」まで、本当か嘘か解らない様な噂が幾つも流れている。

なので、グレアはスキャンダル系の噂が流れても痛くもかゆくもない。 むしろ、通常運転だ。

 

「はぁ」

「おやおや。 美しいレディに溜息は似合わないよ? お嬢さん」

 

ホールから出ようとした扉の前で立ち止まって溜息を吐くと、背中からグレア以外の男性の柔和な声が舞い降りてきた。

歯の浮くようなキザったらしい言葉に振り返ってみれば、弥王の背後に金髪碧眼の優男が柔和な笑みを浮かべて立っている。

 

男の顔を見た瞬間、弥王は気を張り詰めた。

肩までの流れるような波を打つ金髪に、少しだけ細められた紺碧の瞳。

間違いない。 彼が今回の標的(ターゲット)、ウルド・グランツだ。

 

直ぐ様、弥王はその顔に微笑みを張り付けた。

 

「美しいだなんて、そんな事はないですわ、グランツ男爵。

話しに聞いていたよりも、貴方の方がずっと素敵でしてよ?」

 

裏声を駆使して、精一杯に淑女を演じる、弥王。

王宮には、上流階級の淑女がよく来ていた為、弥王は記憶の中の彼女達の言動を思い出しながら演じる。

我ながら上出来だ、うん。

 

「随分口がお上手だね、レディ。

謙遜する所もまた、魅力的だ」

 

弥王の手を取ると、グランツは弥王の手の甲に軽く口付ける。

 

うがあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・

ジョワ・・・・・・ッと、弥王の全身に身の毛が弥立ち、虫酸が皮膚という皮膚を駆け巡った。

こんな格好させられて、恋人の振りまでさせられ、更にその挙げ句にこんな仕打ち・・・・・・! もう、お婿に行けない・・・・・・!

 

弥王は内心で泣きたくなった。

そして、それは殺意へと転移する。

 

必ず殺してやる、このキザ男・・・・・・!

いやむしろ、今殺したい!

 

「ところで、さっき一緒に居たのは、ファブレット公爵ではなかったかな?」

「えぇ、私、グレア様とは幼い頃からの知り合いで。

久し振りにお会いして、連れてきて貰いましたの。

でも・・・・・・」

 

殺意に流されそうになって一瞬、グランツから意識を外していた弥王は、グランツの質問を少しだけ聞き流したモノの、直ぐに頭を切り替えて答える。

 

殺意を押し殺しつつ、弥王が俯けば、グランツは弥王の顔を覗き込んできた。

 

「どうしたんだい?」

「グレア様ったら、私が居るというのに他の女性ばかり見ているから・・・・・・私、つい、彼に文句を言ってしまって。

そしたら口論になったので、気分も乗らないしこれから1人で帰ろうかと思っていた所なんですの」

 

グランツの同情を引くように、弥王はさめざめと泣いて見せる。

男は女の涙に弱い。

弥王はそれを熟知している。

 

ホモかゲイかオカマかサイコパスでない限りは、女に目の前で泣かれれば、男は放っておけなくなる。

その心理を利用する為の演技だ。

 

顔を手で覆い、その指の隙間からグランツの表情を盗み見る。

彼の目には、同情の色が見えてきた。

 

よしよし。 掛かってくれてるな。

て言うかオレ、演技上手すぎだろ。 俳優になれるんじゃないか、これ?

 

弥王は、心の中でガッツポーズをした。

 

「可哀相に・・・・・・なんて無責任な男だ。

嗚呼、泣かないで、レディ。

君に涙は似合わないよ?」

 

弥王の話を聞いたグランツが、弥王の肩を抱いて耳元に囁く。

息の掛かる距離で耳元に囁かれれば、弥王は寒気とそれに比例して、腹の底から沸き上がる殺意を感じた。

 

うがあああああぁぁぁぁあああああ!

もう無理、この場で殺したい! I kill youしたいぃぃぃ!

 

弥王は殺意でご乱心だ。

 

しかし、と思いとどまる。

ここは落ち着くべきだ。 冷静になれ、オレ。

少年よ、冷静になれ。

 

今ここで殺るのはリスクが大きい。

暗殺は、人目のない所でひっそりと、確実に。

それが、裏警察(シークレット・ヤード)の暗殺でもっとも厳守すべきルールだ。

 

弥王は、冷静さを取り戻し、初めて裏警察に来た時に受けた説明を思い出す。

 

ルールを守ろうとするなら、必然的にグランツ(こいつ)を人目の付かない所へ誘導する必要がある。

 

自然的に相手を人目の付かない所へ。

あぁ、これならできそうだ。

いつだったか、姉貴が誰かに習っていた事だ。 いや、自分が王宮でいつもやっている事の逆の事を――。

 

「なら、貴方が慰めて涙を止めて下さらないかしら?」

 

グランツを涙ぐんだ瞳で上目遣いで見上げて、弥王は頭をグランツの肩に傾ける。

その時、グランツの頬に仄かに紅が差したのを弥王は見逃さなかった。

 

「優しい貴方に一目惚れ・・・・・・シルクの様な金紗の髪と言い、蒼穹のように澄んだ碧眼と言い、私のドストライクですわ。

多くの英国の人を見てきたけれど、貴方の様な素敵な人は初めてお会いしました。

ねぇ、2人きりでお話ししたいわ。 何処か、人の居ない所で・・・・・・」

 

グランツの頬に手を添えて、頬から顎に輪郭をなぞるように指を滑らせ、弥王は微笑んだ。

妖艶なその微笑みにグランツはノックアウトされたらしく、弥王の薄い肩に手を回す。

 

おいおいおい、マジかよ。

こう言う言葉がスラスラ出てくるオレも大概だが、こんなあからさまなハニートラップに引っ掛かるこいつはどうなんだい?

 

案外簡単にハニートラップに引っ掛かったグランツに、弥王は内心で苦笑した。

 

「あぁ、良いとも。

2人きりでゆっくり話をしよう・・・・・・夜が明けるまで」

 

肩から腰へと手を滑らせて、グランツは弥王を会場の外へ連れ出す。

 

耐えろ、耐えるんだ、オレ・・・・・・ッ!

大丈夫、貞操の危機は感じるが、イザとなれば急所を撃ち抜けばいい。

その為のJNY75小型(リトル・モデル)も太腿に装備している。

確実に殺れる時を待つんだ、オレ・・・・・・ッ!

今のオレはそう、エルリック・シーズの任務に協力している時に女装させられた、ジョニー・セコッティンス・・・・・・ジョニスだ!

女装の神、ジョニス、オレにその演技力を・・・・・・!

 

段々と現実逃避を始めていく、弥王。

その傍らで、弥王は別の事も考えていた。

 

これだけ単純な奴が、変死事件に関与しているとは思えないのだ。

変死事件に関与するなら、それだけの頭が要りそうなモノだが・・・・・・。

 

弥王は、そんな事を考えながら、グランツが誘導するままに白い通路を歩いて行った。





グレア・ファブレット

年齢:22歳(後に23歳)
誕生日:1929年12月1日
星座:射手座

血液型:O型
身長:185cm
体重:79kg
出身国:英国

趣味:読書、剣の手入れ
特技:暗記、説得

好き:甘味、紅茶、弟妹、“ミオン”
嫌い/苦手:警視総監/身内以外の女性

異名:不明
武器:片手剣、短剣


名門貴族・ファブレット公爵家当主にして、英国女王直属武装警察「裏警察(シークレット・ヤード)」のボス。

天才的な頭脳と端正な顔立ちを持ち、老若問わず女性から人気を集める。
しかし、本人は女性が苦手な為、極力避ける方向で。
ただ、身分上、寄ってくる女性(何処ぞの貴族の娘だの、何処ぞのマフィアのボスだの)を全力で避ける事が出来ない為、それが少々女誑しに見えてしまう事もあり、噂にせびれや尾びれが付きまくった結果、「女を取っ替え引っ替えしている挙げ句、何処かの国の王女にまで手を出して国際指名手配中の女誑し」と呼ばれるに至る。

更には女王から「ロリコン シスコン 女誑し」ととどめを刺される事も。
4人の妹と2人の弟がおり、兄弟の中で一番扱いが可哀相な兄さん。

弥王と璃王が活躍しだしてからと言うモノ、めっきり出番が無くなり、裏警察の本部に引き籠もるようになった。
それと同時に「絶対零度の太陽(ソル)」という死宣告者が姿を消しているが、彼とその死宣告者の関係性は不明。

そして、書き忘れてはいけないのが、彼は童顔で中性的な顔をしている為、よく性別を間違えられる。
その為、彼に性別の話は禁句だ。
間違っても、「そこの麗しのレディ」と言ってはいけない。
それを言えば、100%の命中率でカッターナイフが飛んでくる。
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