真剣で私に恋しなさい! ~Junk Student~   作:りせっと

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26話 ~国吉灯の変化~

 時は既に夕方を通り越して夜。日はとっくに暮れており時計も21時を指そうとしている。気温は初夏と言うだけあってそこまで低くない。風呂上りの状態ならば風が心地よいと感じる人だっているだろう。

 

 

 

 

 

 灯はアパートのベランダから空を見ていた。星がキラキラと輝いている……というわけではない、かといって全てが雲に覆われている訳でもない。至って普通の夜空。

 

 何故空など見ている? と聞かれると答えに困ってしまう。

 特に意味なくベランダに出てボーッとしているのだ。

 

 どんなに活発な人間でもたまには落ち着く時間は必要である。むりやり理由をつけるならばこんなところだろうか?

 

 

 

 ただいつもと違う所もある。例えば……タバコを口にくわえている。煙も出ていることから火も付いている。

 

 

 

「久々に吸ってみたけど……やっぱりマジィ」

 

 

 

 誰に言うでもなく呟く。表情1つ変えずに。

 

 灯は愛煙家ではない。一応武人であるという立場を考えるならば、タバコなどご法度だろう。灯もそのところは分かっている。

 

 

 

 

 

 

 だがふと、たまにはいいかな……? と思い立ったのが切っ掛け。過去にも何回か同じ気分になっている。要は気が乗るか乗らないか。

 

 思い立ったが吉日……と言わんばかりにタバコを探すために部屋の中を漁り始める。

 とても綺麗な部屋とは言えない物だらけの部屋を探すこと数分、開けていない箱を1つだけ発見し開封。そして現在に至る。

 

 

 

「なァーにが良くてこんなん好んでいたんだか……」

 

 

 

 思い浮かべるは故人である祖父の顔。

 日向は灯とは違って愛煙家であり、1日に何本も吸っていたことを覚えている。ヘビースモーカーという称号がピッタリだった。

 

 祖父の真似をしてみよう……訳ではないが、どういう物かと試してみたのが数年前。自分には合わないと感じたのも同時期。

 

 

 

 だがたまに再度吸えるかとチャレンジしてみようと思う時がある。それが今日訪れたのだ。

 

 吸うときは必ずベランダに出て空を見上げる。本人は無意識であるが、考え事をするために、頭を整理するために。

 

 

 

 

 

 だがやはり愛煙家の気持ちは理解できない。美味しいとはとても思えないし、毎日継続して吸いたいと言う欲求も出てこない。

 ヘビースモーカーからすればまだまだ吸えるのに! っと勿体がられるほど残してタバコの火を消す。

 

 完全に火が消えたことを確認して、そのままゴミ箱へ。そして未だ痛みが残る鈍い体を強引に動かして空を見続ける。

 

 

 

 ――――あんな真面目に戦ったのはいつ以来だったかなァ……

 

 

 

 思い出すは項羽との戦闘。

 

 何せ彼女は登場からインパクトが凄い、そしてあの能力の高さ。クローンの王として申し分なかった。自信満々の態度も頷ける程。

 

 項羽にグラウンドからお呼びが掛り、美女からのお誘いだ……などと茶化しながら流れで戦闘に入ってしまった。いや、覇王の雰囲気に充てられて戦闘に巻き込まれた。それも違う、戦いに向かっていったんだと、静かな空間の中で振り返る。

 

 

 

 

 

 川神に来て2年目。様々なことがあったがここ最近は目まぐるしく独楽のようにクルクルと、次々にイベントが起きている。

 

 

 

 武士道プランの開始、鍋島の乱入、釈迦堂との交戦。そして覇王覚醒からの激突。短い間にこれでもかとばかりにイベントを詰め込んだようだ。

 

 ついに川神が出すバトル風みたいな雰囲気に充てられ始めたか? そう考えてしまう程に最近は戦ってばかり。

 祖父が死んでから本格的な決闘なんぞしていない。川神に来て1年目もそこまで武力を振るうなんてこともなかった。それが2年目に入ってこれだ。

 

 

 

 ――――次は何だ? 天下一武道会にでも巻き込まれるのか?

 

 

 

 馬鹿馬鹿しい……と言いきれないのが怖い。何せ川神だ。川神院があって九鬼の本部がある。もうそれだけでどんな派手で非常識な出来事が起きても不思議じゃない。

 

 

 

 

 

 風が強くなり始める。そろそろ引っこむか、とベランダから室内へ。窓を閉めシャワーを浴びる為に浴室へと向かう。

 

 浴室前にある鏡をふと見る。なんてことはない。いつもの自分、国吉灯がここにいる。

 

 だがジッと鏡を見つめたまま動かない。そして数秒後――――

 

 

 

「……この髪の色飽きたな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てことで金髪に染めてみたんだけど、どうよワン子ちゃん? 似合ってる?」

 

 

「似合ってると思うけど……一体どうしたの?」

 

 

「気分だよ気分。イメチェンってやつ」

 

 

 

 朝。しっかり登校してきなーと、クラスメートが思ったら……茶髪だった髪の色がそれはもう綺麗な金髪に染め上がっていた。

 昨日あれだけ暴れた後でこんな行動に出るなんて、誰も想像していなかったことだ。

 

 金髪に合わせてか赤のピアスを1つ、左耳につけているのも変わった所だろう。灯がアクセサリをつけてくることは珍しくはないが、ここまで派手なのは初めて見る。

 

 

 

「すっげー派手だな!」

 

 

「一応ドイツ人のクリスと同じぐらい明るいし」

 

 

「一応とは何だ! ……しかし日本人とは思えないほど金髪が似合ってるな」

 

 

 

 同じ金髪であって外国人であるクリスがそういうのだから、よっぽど灯の金髪はハマっているのであろう。

 ドイツ本国で暮らしていた彼女は金髪の男子学生をたくさん見てきている。目が肥えているのは確か。

 

 更に白の制服の影響か、金髪と赤ピアスが非常に目立つ。

 これ以上悪目立ちしてどうするんだ? と言われても仕方ないぐらいに。

 

 同じ金髪でも比較的優等生なクリスと問題児街道まっしぐらの灯。外人と日本人。同じ金髪でも違いは色々と出てくる。教師の評判はダメなほうに傾くであろう。

 

 

 

 だが本人はそんなこと微塵も考えておらずにご機嫌だ。

 元々教師の評判とか内心点とか端から捨てているのだ。今更マークがきつくなろうと関係ないのだろう。というかこれ以上マークされようがないと踏んでいる。

 

 

 

「あー俺様も夏休みに向けて金髪にしてみっかな?」

 

 

「やめなよ岳人、どうせ似合わないって皆に言われるだけだよ」

 

 

「”金髪が許されるのはイケメンだけだよねー” と、美人に無表情で言われて傷つくだけだ。あ、いや、美人は近づかないか」

 

 

「うるせーな!! そこまで否定的に言わなくたっていいだろうが!!」

 

 

「岳人のことを思って言ってるんだよ」

 

 

「その言葉が1番傷つくぜ……京」

 

 

 

 師岡が否定した岳人の提案を優しく丁寧に、諭すようにやめとけと伝える京の優しさが傷口に沁みる。

 

 

 

 岳人を苛めて満足したのか、どれとも飽きたのか? 灯は自分の席に気分良く座った。朝から機嫌が良い灯は珍しい。よっぽど金髪が気にいったのか、それとももっと別の理由があるのか――――

 

 

 

「お前ら席につけ! ホームルームを……って何だ国吉その頭は!?」

 

 

「イメチェンです」

 

 

 

 担任の梅子も余りにも目立つ頭に一瞬言葉を失った。そしてふとある思いが芽生えてしまう。この男は自分の身に余る生徒なのではないか? っと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわホントだ! 灯くん金髪になってるよ」

 

 

「あいつ何かあったのか?」

 

 

 

 灯が食堂へ向かう途中、後ろから聞きおぼえがある美人の声が耳に入る。他の生徒も廊下を歩いていて勿論話し声も聞こえてくる。それでもこの2人の声は灯の耳がしっかりと捉えた。

 

 

 

「や、昨日頑張った俺にご褒美をくれたりは?」

 

 

「ない」

 

 

「ないよん」

 

 

「現実は無情だ……」

 

 

 

 灯の言葉に間髪いれず否定してくる、容赦がない2人に思わず顔を塞ぐ。

 

 だがこの男はこんなことで落ち込まない。今の様なやり取りはしょっちゅうだ、一々気にしていたら本題が全く進まなくなってしまう。

 

 演技をやめて、顔をあげる。そこには3年を代表する女子生徒が並んでいた。

 

 

 

「ほら、少しぐらいいいじゃん。おっぱいとか減るもんじゃないし。なぁ、モモ先輩、燕先輩」

 

 

「ここまで堂々としたセクハラは初めて見たかもしれん」

 

 

「SAN値がガリガリ減ってくってば」

 

 

 

 百代と燕が仲良く揃って現れる。この2人でも灯の唐突な染髪には驚いた。どこからか彼が金髪になったという話を聞きつけて、わざわざ昼休みに見に来たらしい。

 

 美女が自分に興味を抱いてくれるのは素直にうれしい。2人の女子物理力が高かろうと美人ならオールオーケーなのが灯らしい。

 

 

 

「まー金髪にした理由なんか単純なもんだ。イメチェンだイメチェン」

 

 

「チェンジしすぎだろ。印象ガラッと変わったぞ」

 

 

「前も明るい髪色だったろ? 更に明るくなっただけじゃねェか」

 

 

「それでも茶髪と金髪じゃー全然違うって」

 

 

 

 金髪にする前まではオレンジに近い茶髪であった灯。本人はそこまで変わっていない……と思っていても、やはり第三者から見れば相当変わったように見えるらしい。心境に何かあったんじゃないかと考える人まで出てきたぐらいに。

 

 

 

「そんなもんかねェ……ほ?」

 

 

 

 ふと目を逸らした先に新たな美女を発見。そこには昨日烈々な登場、歓迎、退場をやってのけた人物がいた。

 

 

 

「清楚先輩。ちっすちっす」

 

 

「あ……こんにちわ、灯くん……」

 

 

 

 葉桜清楚だ。

 

 彼女はおどおどとした様子で近づいてくる。あくまで清楚だ、項羽ではない。どうやら九鬼に運ばれた後に元に戻ったようだ。圧倒的な気力が感じられないことから常人でも元に戻ったと分かる。

 

 しかし今はハツラツとしている様子は……ない。小動物のような態度だ

 

 

 

「やぁ清楚ちゃん! 怪我はもう大丈夫なのか?」

 

 

「うん……大きな怪我はないかな……」

 

 

「灯くん容赦なく戦っていたからね―」

 

 

「油断なんかしたら俺は今頃ミイラになってベットの上だ」

 

 

 

 いつもと様子が違う清楚に対しても、3人は変わらない。朝に経験した、腫れものに触れるようなクラスメートの接し方は見られず、いつもと同じように話しかけてくれた。それを見て清楚は思わず面を喰らう。

 

 

 

「あの……私昨日凄かったよね?」

 

 

「なんかエロいな」

 

 

「あぁ……だがそれがいい」

 

 

「灯くんとモモちゃんは少し自重しなさいな」

 

 

「……フフッ」

 

 

 

 清楚が笑みを浮かべる。先までの困惑したような表情とは全然違う、優しい笑みだ。

 

 

 

「なんか灯くんたちと話していたら昨日の出来事を気にしていた私が馬鹿らしく思えてきちゃった」

 

 

「過ぎたことは仕方ないからな。それに清楚ちゃんは清楚ちゃんだし。他の奴らも明日になれば今までと同じように接してくるはずだ」

 

 

 

 竹をさっぱり割った豪快な性格である百代らしい一言である。

 その言葉に同意だ、と言わんばかりに視線を向ける灯と燕を見て清楚は更にホッとした。

 

 

 

「……えっ? 何々?」

 

 

 

 ふと清楚が急に独り言を呟き始める。思わず3人共、何をしているのかと首をかしげた。ただ灯に至ってはコロコロ表情が変わる清楚を可愛いなぁ、と思っていたり。喜怒哀楽がはっきりしているというのはそれだけで魅力的だ。

 

 

 

「あの灯くん……」

 

 

「何だい清楚先輩」

 

 

「急にキリッとした表情になっても意味ないってば」

 

 

「あのね……項羽が灯くんと話がしたいって」

 

 

「……は? 昨日の清楚先輩ヴァージョン?」

 

 

「うん……」

 

 

 

 清楚の言っている意味がいまいち理解できていない灯。百代、燕も同じようだ。

 3人の表情を見て説明にかかる清楚。この場で分かるのは彼女だけである。

 

 

 

「えーっとね、私の中に項羽がいて、スイッチ1つで切り替えられるような感じなんだ」

 

 

「二重人格ってことか?」

 

 

「ううん、あくまで項羽と私は別なの」

 

 

「……まだあちこち体中痛むし、戦闘だけは勘弁だ」

 

 

「今は戦うつもりはないぞ、国吉灯」

 

 

「うわ一瞬で切り変わった!」

 

 

 

 雰囲気が一変する。優しい空間にいたのが一瞬で戦場にワープしたかのような感覚。

 

 清楚の目を見れば分かる。虹彩が茶色から赤に変わっている。間違いなく葉桜清楚が覇王項羽に切り替わったのだ。

 

 

 

「お前とは必ず決着をつける。無論、この俺の勝利で幕引きとなるがな」

 

 

「はァー拘るねェ」

 

 

「武人なら決着はつけたいものだ。灯もその気持ちはあるだろう?」

 

 

「ないっていったら嘘だわ」

 

 

「フッハ! 覚悟しておけ! 今は忌々しいが九鬼から暴れるなと命令が出ているから戦えんがな……」

 

 

「あれだけの力をポンポン振るわれたら困るしねん……」

 

 

 

 項羽の力は絶大だ。それこそ百代とタメを張るんじゃないかと思わせるほどに。

 それを大盤振る舞い何てされた時には冗談抜きで学園が壊れてしまう。九鬼の判断は間違いなく英断。

 

 強さを振るうにも相手、そして場所を選ばなければただのチンピラと変わらないのだ。禁止令を出すのも当然のことだ。

 

 

 

「物騒な話はやめにしよう。今は飯喰うほうが先だ」

 

 

「食堂のおばちゃんにその頭のことなんか言われそうじゃないか?」

 

 

「間違いなく言われるでしょー。灯くん無駄に煽ててデザートおまけしてもらってたりしてるし、心配されるかもよ」

 

 

「息子がヤンキーになったと同じ心境か……」

 

 

「……あ、そう言えば! 灯くんがヤンキーになってる!」

 

 

「あ、戻った」

 

 

「清楚先輩、ヤンキーは辞めてくれ。品位が下がる」

 

 

「品位……? 元から0の気が……」

 

 

 

 清楚の心は晴れ、4人足を揃えて食堂へと向かう。清楚の足取りは朝に比べたら随分と軽くなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー本当だ。灯がヤンキーになっている」

 

 

「何か心に不安を抱えているのかもしれないな……闇にいれば光を求めたくなるのは当然だ」

 

 

「そうなのか与一? 灯くん! 悩みがあるなら聞かせてくれ」

 

 

 今度は放課後に源氏3人組みが灯の元を訪れる。

 

 弁慶はいつも通り、けだるそうな雰囲気を出しつつ。ただ見たところ、そこまで金髪になったことを驚いてはないようだ。与一は勝手な妄想で勝手な理由をこじつけて染髪をした意味を説いている。その影響をもろに受けた義経が無駄な心配をする。

 

 

 

「そうだなァ……最近俺の酒代がなくなってだな……」

 

 

「それは大変だ。義経、解決してあげて」

 

 

「えぇ!? えっと……いくら渡せば足りる?」

 

 

「ダメだ、心が痛む」

 

 

「主は真面目だからねぇー」

 

 

 

 頭を下げて心臓に手を当てて、本当に心が痛んでいるかのように演じる。いや、もしかしたら本当に心打たれたのかもしれない。義経の純粋過ぎるまっすぐな態度は灯には余りにも輝いて見える。

 

 

 

 3人は噂を聞きつけて、本当に灯が金髪になったかを見に来ただけらしい。そして流れ作業であるかのように、何故髪を染めたのかを問う。

 

 

 

「なんで急に金髪にしたんだ?」

 

 

「イメチェンだよイメチェン。前の色に飽きてなー」

 

 

「何だ。正体を隠すために染めたのかと思ったよ」

 

 

「正体を隠すだァ?」

 

 

「ホラ、これを見てみろ」

 

 

 

 弁慶が言った ”正体を隠す” という言葉が耳に引っ掛かり思わず聞き返す。

 

 その理由を解決してやろうと、与一がスマートフォンを灯に渡す。開いているページは巨大動画アップロードサイト。再生されている動画は先日の項羽だ。

 そこには対戦相手を務めた灯の姿も当然ある。そして2人の戦闘の様子まで、顔つきでしっかりと写っていた。所々ブレブレで見づらい所があるのは手ぶれか何かだろうか。

 

 

 

 そしてその動画に対してのコメント。日本語だけじゃなく、英語や漢字だらけの中国語、ドイツ語などがあることから多国籍な人がこの動画を見たらしい。内容は――――

 

 

 

 項羽……歴史上最強の武人じゃないか!

 

 

 あんなお淑やかな大和撫子がこんなに変貌するなんて……

 

 

 圧倒的な暴力だな……

 

 

 というか相手しているこの男も強くないか?

 

 

 こんな男、俺は知らないぞ? 週刊!武人100選にも乗っていない

 

 

 誰なのかが気になるな……

 

 

 今度ジャパンに行って確かめてくる

 

 

 俺も行ってストリートファイト仕掛けてみるぜ

 

 

 俺より強い奴に会いに行く

 

 

 今、殴りにゆきます

 

 

 こいつを倒して私が有名になるシナリオね、わかるわ

 

 

 

 

 

「…………どうしてこうなった?」

 

 

 

 動画に対するコメントを一通り読んで思わず眩暈が起こる。頭を抱えながら与一にスマートフォンを返し、そしてしゃがみ込む。

 予想外過ぎる出来事に脳内で処理が追い付いていないのだろうか?

 

 

 

「これからお前の生活は一変するだろう。情報社会は早いからな」

 

 

「メンドクさそうな事に巻き込まれそうだねー。まぁ愚痴ぐらいなら川神水飲みながら聞くよ、おつまみ持ってきたらだけど」

 

 

「あ、灯くん……そんなに気を落とさないで」

 

 

 

 弁慶の優しいながらも自分の要求を伝える姿に、ある意味で心が打たれる。追い打ちをかけられた気分だ。

 

 ついさっきまで機嫌が良かったのが一気に地に落ちた。

 これからどのようなことになるかは想像がつく。だからこそ弁慶も愚痴ぐらいは聞くと言ったのだ。

 

 

 

 そして与一の言葉通り、灯の予想した通り……この1週間後、灯の生活は変わることになる。そう、戦闘する回数が主に……

 

 

 

 崩れ落ちた灯に弁慶がポンッと肩に手を置く。そして一言。

 

 

 

「ドンマイだね」




こんばんわ。りせっとです。この更新ペースが保てればいいんでしょうけど……無理なんですよねぇ……

感想、評価、誤字脱字報告、もっとこのようにしたほうが良いなどの意見等をいただければ幸いです。

それではよろしくお願いします。

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