もしも、何でもできる無敵な吸血鬼少女と優が出逢っていたら 作:からくり人形
今回は、ちょいちょいネタバレのようなものを含んでいます。
そこまで、ガッツリというわけではありませんが、まだ読まれていない方はお気をつけください。
゛嘘、うそだ、そう、きっとウソ。優が阿修羅丸のことを知っているはずがない。優が阿修羅丸と出会うはずがない。だって、優がアソコに来た時には、もう阿修羅丸はいなかったんだから…。゛
゛じゃあ、どうして優は阿修羅丸のことを知っている?゛
自分の心の声が、どんどん自分を追い込んでいった。
゛…きっと、違う。そうだ。優が言ってるのは、きっと名前が同じなだけの、違う奴…゛
そうこうしている間にも、優が纏う何かがどんどん黒くなっていく。そして、一気に優を闇に引きずり込んでしまった。優のようで、優でないソレ…。完全に力に飲み込まれてしまっている。
゛…゛
直ぐにでも、行くべきだったのだろう。駆け寄って、名前を呼んで、ぶん殴ってでも押さえつけるべきだったのかもしれない。けど、優の言った「阿修羅丸」という言葉が、私を縛る。体が震えてしまって、動けない。…情けないな。阿修羅丸のわけが無いのに。だって、あいつは死んでしまった…はずだ。阿修羅丸が連れていかれて、どれほど経った?その間、あいつからのコンタクトは何も無かった。吸血鬼は、人とは違う。とても長く生き、簡単には死なない。だから、何年も姿を見ないからといって、気にかけるヤツなど滅多にいない。私だって、気にかけなければ、気にしなければ良いだけの話なのだ。優の言葉を無視してしまって、彼の元へと行けばいい…それでも、体が動かないのは、つまりはそういう事なのだ。
゛…あ、うう、ウソ、きっと違う゛
…それなら、どうして優が纏っているものを懐かしいと感じるのだろうか?
どうして、優からあいつの気配を感じるのだろうか?
どうして、こんなにも泣きたいくらい、まるで心臓を締め付けられているように感じるのだろうか?
゛…ぅう、しゃんとしろ、自分…。このままじゃ、優が、クローリーに殺られてしまうだろ?そうしたら、ミカエラも悲しい。゛
だが、己の体はそこに縫い付けられているかのごとく動かない…このまま、優が殺られるのを見ているしか出来ないのだろうか?
゛頼むから、動いてくれ、お願いだから、゛
だが、現実は余りにも無慈悲だ。頬を何かが少し伝った時…
「鬼籍に入るまでの九つカウントを始めろ──鬼籍王」
声が聞こえてきた。見ると、以前優と一緒にいた少年が優の側に立っていた。優が少年に一緒に吸血鬼を殺そう、と笑いかける。少年は黙って優を見ていると、クローリーに捕まっているグレンが、優を連れて逃げろと叫んだ。優は、すぐさまその言葉に噛み付くが、君月という少年はグレンの言葉、そして己の気持ちに従ったようで…
「喰らえ」
何か箱のようなものが、優を喰らった。その中から、優の叫び声や暴れる音が聞こえてくることから、無事なようだ。そのまま少年は、走り去っていく。私はその後ろ姿を、ただただ眺めていることしか出来なかった…
゛…ほら、やっぱり私は弱虫で、非力。あの頃と、何も変わってない゛
自分の代わりの「誰か」を探してる。
゛…クローリーももう、私がここにいること、バレているんだろうな゛
それでもあいつは、気づかないふりをして目の前の標的と話をしている。…こんなザマの私を、面白がっているのだろうか?
゛…大分、震えも治まってきた。そろそろ、出ていくか。どうせ、バレているんだろう゛
部屋の中へと、ゆっくり足を踏み入れる。
「あれー、ノリカ様じゃないですか。何しにこんな所へ?」
゛…戯言を。この近くで戦っていてな、少し様子を見に来た。主に、お前が血を吸おうとしているソイツに関してな゛
「ノリカ様に目を掛けてもらえるなんて、うらやましいなー」
「ハッ、邪魔者を殺しに来たってか?」
゛…違う。優に関して、色々話を聞こうと思っただけだ゛
「俺は、何も知らねえよ。話す気もねえしな」
゛それでも、話してもらう。お前が何かを知っていることは、紛れもない事実だからな゛
「事実だー?」
「ちょっと、2人だけでイチャイチャしないでくださいよ。僕、放っとかれるのが1番嫌なんですよね」
゛んなっ!イチャイチャなどする訳ないだろう、クローリー!!本気で殺すぞ!゛
「ハハッ、そんな真っ赤な顔で言われても、怖くなんてないですよ。それより、そろそろコイツを連れて行かないと、女王に色々言われますよ。主に僕が」
゛お前が何か言われるのは別に良いが…確かに面倒臭いな。゛
「僕の扱い酷くありません?」
゛分かった。話はそっちで聴く。行くぞ、グレン゛
「おーい、聞いてます?」
「何、吸血鬼が名前呼んでんだよ。いつも呼んでるみたいに家畜って言えば良いじゃないか」
「うわー、傷つくなー…」
゛…そう呼ばれたいのか?゛
「違うわ!」
「あれ?何か目から液体が」
゛まぁ、優がそう呼んでいるのが聴こえたから、そう呼んだだけなんだが、気にしなければいい話だ。さっさと行くぞ、グレン゛
「ああーっ…わーったよ」
「もしかして、僕影が薄くなったのかなー」
モヤモヤした物を胸に抱えながら、クローリー達を引連れて、その場を去った。
「傷ついたなー、僕のガラスの心がバッキバキだなー」
゛おい、クローリー先程からうるさいぞ。静かにしろ!゛
こんにちは、からくり人形です!
今回でようやくグレンと主人公を少し絡ませられました…。
次回は、今回よりも2人を絡ませられるよう頑張りたいです!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。