もしも、何でもできる無敵な吸血鬼少女と優が出逢っていたら 作:からくり人形
今回の話には明確なネタバレは含まれていません。
ただ、話の流れとして軽く触れているので、まだ本を読まれていない方はお気をつけください。
゛で、話を聞かせてもらおうか゛
「…」
グレンを引き連れてあの場を離れてから、約1時間がたった。話を聞こうとするが、ずっとだんまりである。流石に、退屈になってきた。
゛そろそろ、何か喋ってくれないか。…私も暇ではないんだ゛
「ハッ、それなら殴るなり蹴るなりして聞き出せばいいじゃねぇか。
もしかしたら、痛みに耐えかねて何か口走るかもしれねぇぞ?」
゛フンッ、悔しいがお前は、優にとって大切なものらしいからな、下手に私が手を下すわけにはいかないんだよ。
アイツに怒られたら敵わん。後が面倒臭いからな…゛
「ハッ、そうだな。
あいつは、すぐ拗ねてギャーギャー騒ぎやがる。
うるせえったら、ありゃしねぇ」
゛…悪態をついているわりには、目元が笑っているが?゛
「…うるせぇ。
っうか、本当あいつのコミュ力は何なんだよ。
天下の吸血鬼様を虜にするなんて」
゛…別に虜になどなっていない。
ただ、気になるだけだ。
あいつが今後どのように生きていくのか。
…勘違いするな。どうやっても、私は吸血鬼なんだからな。
…お前達とは違う生き物だ。゛
「…」
゛弱くて脆い、すぐに死んでしまう生き物。
だが、それでも何度でも立ち上がる強い生き物だ。
私たちには無いものを持っている。
だから、面白い…゛
そう、面白いのだ。一瞬一瞬を懸命に生きる彼らが…とても。思わず、頬が緩んでしまうくらいには、彼に絆されてしまっているようだ。吸血鬼には持ち合わせていない、身体的な力とは別のものを彼らは持っている。…優は、持っている。
私は、それが少しだけ…羨ましいと思った。
「あんた、そんな優しい顔が出来るんだな」
゛…うるさい。゛
顔をそらし、グレンに見られないようにする。恐らく、今の自分は、吸血鬼に見合わない顔をしているだろうから。…顔に熱が集中しているのを感じるから。
(…こんな顔、フェリドにでも見られたら、あいつのことだ。一生弄ってくるだろうな。…絶対に見られてたまるものか)
顔の熱が引くのを待って、再びグレンに向き直る。クローリーとの戦いの傷が見える。大分激しく戦ったようで、服もボロボロになってしまっている。
゛クローリーは、強かっただろ。゛
「あぁ、強かった。流石、吸血鬼…化け物だ。」
゛…クローリーは、元から吸血鬼だったわけではない。゛
「あ?」
私は、ポツリポツリと『独り言』を言う。
゛あいつは、元々人間だった。神を信じ、仲間がいて、必死に生きる、只の人間だった。…全て、フェリドが壊してしまったんだがな゛
「…」
゛お前が、力を欲するのなら、私だってお前をこちら側に引きずり込むことが出来る。…だがな、クローリーのようになりたくないのなら、お前はこちら側に来るな。力を欲することは悪いことではない。ただ、欲しているものが異常なのだ。゛
「人とはそういう生き物だ。膨大な力を常に欲してやがる。ソレが手に入れずらければ、尚更…な。」
゛…゛
「元々、力を持ってる吸血鬼なんぞには分からない感情だろうがな。」
『そんなことない。』この一言が言えれば、どれだけ楽だったのだろう。だが、その言葉は、喉元まできて詰まってしまった。発そうとするけれど、どうしてもソレが言葉にならない。…言葉に、成らないんだ。
゛…あ゛
ようやく、言葉を発せるようになった時、一つの部隊が到着した。
「第2位始祖様!到着しました。後は、我等にお任せください。」
゛…ああ。あまり、手荒くやりすぎないでくれよ。言葉が通じなくなっては、厄介だからな。゛
『はっ!』
…彼等は、これからグレンから無理矢理情報を引き出しにかかる。そのためには、どんなことも辞さない。…所謂拷問というやつだ。
「おうおう、これはこれはまたいっぱいいやがるな」
それでも、グレンの瞳は揺るがない。信念を持ち、ソレを貫いている。…わざと、吸血鬼達を煽っているようだが。
暴力の音が響く。とても鈍い音が…
悲鳴が聞こえたような気がした。だが、当の本人は悲鳴などあげていない。
そこで、ようやく気がついた。この悲鳴は…
…私の心が軋む音だった。
こんにちは、からくり人形です。
今回は、一切優くん出てきませんでしたね。
うん、次の話では出せるようにしたいです。
主人公ちゃんも、少しずつ人間側と関わり始めているので、もっといろんな人との絡みをいつかかいてみたいです!
それでは、ここまで読んでくださりありがとうございました!