もしも、何でもできる無敵な吸血鬼少女と優が出逢っていたら 作:からくり人形
今回の話には、ネタバレが含まれているのでまだ読まれていない方はお気をつけください。
グレンの拷問が始まった。私は、近くにいれば何かしら干渉してしまうだろうから、少し離れたところからその様子を見ていた。クルルのことだから、殺しはしないだろう。それに、グレンの背後には何かしらの力が隠れている。それが何かまでは分からないが、その力が凄まじいということはわかる。…そう簡単には、殺られないだろう。
”見て見ぬふりをしてもいいが、それをすれば優に怒られるからな…”
ぼーっとしながら、その一部始終を見ていた。が、何か違和感がある。紅蓮の様子がおかしい…私が先程まで対談していた奴とは、外側は同じだが、内側がまるで違う。似て非なる存在になっている。
”一体、何が…”
その時、見てしまった。紅蓮の背後にある力を…それは…
”柊…ま…ひる”
その身体は、その容姿は、彼女そのもので…恐らく一種の幻覚のようなものかもしれないが、その力から感じる気配は、完全に真昼の物であった。
”いや、真昼は死んだはず…。なら、何故紅蓮から真昼の気配を感じるのだ?何故、紅蓮が真昼の力を操っている?”
疑問が湧いて出てくる。グレンは、目の前にいた吸血鬼を殺した後、クルルに刃を向ける。だが、クルルの前ではそんなものは脅しにもならない。直ぐにクルルにより弾き飛ばされる。
”…ここからでは、様子が掴みづらいな”
離れたところから見ていたことが、仇となった。だが、近づくことも出来ない。今のあのふたりの中に入る事を、何故か身体が拒否するのだ。その場に影を縫い付けられたかのように動けない。
”…クルルがグレンを殺すとは思えないが”
万が一ということもある。私は、そうならないことを願いつつ、ただ2人を見つめる。
その時、クルルが叫んだ。
「貴族を殺した人間どもは名古屋空港に再集結している!!全軍移動するぞ!!」
その命令は、私のところにまで聞こえてきて…その声を聞いて漸く身体が動くようになった。すぐさまグレンの様子を見に行く。
”…グレン、生きてるか”
「ハッ、さぁな。第二位始祖様」
やはり、違う…ような気がする。喋り方は同じだが、中身が…まるで違う何かに変わったかのような…
”っち、クルルに聞くしか…ないよな”
この事は、クルルにじっくり聞こうではないか。私にもその権利はある筈だし、そもそも第二位始祖なのだから、そのへんの情報は寧ろ知っておかなければいけないだろう。
グレンを他の奴に任せ、私はクルルに近づく。
”クルル、グレンに何が起きている。明らかに様子がおかしい”
「あら?気になるの、彼のことが?」
”煩い、ニヤニヤ笑うな!…外面は同じだが、内側は完全に違うやつだっただろう…。気配でわかる。あれは…”
「柊真昼」
”…やはり、そうなんだな?”
「えぇ、彼はさしずめ柊真昼からの使者。彼の使ってる装備は、彼女よ」
”…そうか”
「今の彼は、生成りの状態で、鬼と人を行き来してるみたい」
”…”
「このままだと、鬼としての時間が増え、いずれは…人で無くなるでしょうね」
”…そんなことになっていたとはな。それに、真昼が関わっていたとは…”
「ま、今話していても仕方が無いわ。…名古屋空港に急ぎましょう。
勿論、貴方も来るわよね?第二位始祖様?」
”…その取ってつけたように呼ぶのは、何とかならないのか”
「アハ!…でも、来るんでしょう?」
”あぁ、行くさ。…何故か分からないが、そこに行けば優たちに会える気もするからな”
「…ノリカ」
”…なんだ?”
「…私にもしものことがあったら、優たちの事お願い」
その声は、クルルにしては少し弱々しかった。
”…任せろ”
そう言ってやれば、クルルは少し安心したように微笑んで、
「ありがとう」
それだけ、私に言った。
こんにちは、からくり人形です。
今回の話は、雲行きが少し怪しい感じになっていますね(; ・`д・´)
優、ミカ、主人公ちゃん達が笑えるよう頑張りたいです!
ここまで読んでいただきありがとうございました。