side ???
夢を見た。
焼ける大地を
灰色の空を見た。
そんな中で二人の男女がいた。
男は膝を付き、左腕を押さえながらも女を見つめ。女はそんな男にただ笑顔を向けて語りかける。
「クラウス、今まで本当にありがとう。だけど私は行きます。」
「待って下さいオリヴィエ!勝負はまだ···!」
「あなたはどうか良き王として国民とともに生きて下さい。」
男の言葉も遮り女は続ける。
「この大地がもう戦で枯れぬよう、青空と綺麗な花をいつでも見られるようなそんな国を。」
そう言うと女は背を向ける。
「待って下さい!まだです!!ゆりかごには僕が、オリヴィエ!!僕は!!」
男の伸ばした手は届かず、女はただ歩いて行く。
しかし、そうして立ち去っていく女の顔はただ涙を流していた。
そうだ。私は本当は、ゆりかごになど乗りたくなかった。乗れば二度とクラウスに会えなくなるから。私はクラウスのことが···。
目を覚ますと知らない部屋だった。
「ここは?」
体を起こして状況を整理しよう。
僕は···。そうだ、あの場所から逃げ出したんだ。けれど何でこんな所に、それにあの夢は一体何だろう。
そこまで考えたら急に色々な記憶を思い出した。とても懐かしい、けれど僕が経験した物じゃない記憶を。
そうか、僕は······。
「目が覚めたようだね。」
突然声をかけられて振り向くとそこには黒い髪の女姓がいた。
「···あなたは?」
「ああ。私は
言われてみれば体中に包帯が巻かれて服も真新しい物になっていた。
「さてと、色々聞きたいことはあるけど···。まず、君の名前は?」
名前を聞かれて固まってしまう。僕に名前は無い、ただの道具にそんな物用意されていない。そうあの場所の人たちに言われたんだ。
けれど、ここで答えないと不自然だし···。
「···オリヴァー、···オリヴァー·ゼーゲブレヒト。」
とりあえずなんとか思い付いた名前を名乗る。
「そうか。ならオリヴァー、君は何で私の部屋の前でぼろぼろで倒れていたんだい?」
当然聞かれるだろうと思っていた。けれど僕は···
「わかりません。」
こう答えるしかなかった。他にも色々聞かれたがその全てにわからないと答えた。道具として産み出されたことも、その使用用途も、あの場所から逃げ出したことも言いたくなかった。
「最後に、君はどこか行く宛はあるか?」
予想してなかった質問をされた。
「いえ···。帰る所も行く所も有りません。」
なぜそんなことを聞くのだろう?そう思いながらも僕は答えた。
「そうか。ならここに居るといい。」
何を言われたのか分からなかった。ここに居ろ?この人はこんな得体の知れない子供を側に置こうと言うのか?
「どうして···。」
「うん?」
「どうしてそんなことを言うんですか?何も分からないこんな得体の知れない僕に。」
分からないからそんなふうに聞くとこの人は、
「そうだな。確かに相手が大人だったら不審に思うが···。君みたいな子供を行く宛も無いのに外に放り出すほど、私は酷い人間ではないよ。」
「けれど···」
「仮に理由を付けるとしたら。君の目が助けを求めているように見えたからじゃだめかい?」
助けを求めていた?そんなことは···
無いと言いきれない。確かに助けを求めたのかもしれない。道具である自分ではなく人としての自分を見てくれる人に。けれど、そんな素振りを一つもしなかったのに、この人は目を見ただけで見抜いたのか。
「···僕が此所に居ることであなたに迷惑がかかるかもしれませんよ?」
「子供は大人に迷惑をかけるのが仕事みたいな物だ気にするな。」
もう耐えれなかった。だんだん大粒の涙が流れてくる。そんな僕をこの人は···美沙斗さんはただただ優しく抱きしめてくれた。
side out
side 美沙斗
私がオリヴァーに出会ったのは本当に偶然だった。
私は仕事の関係であまり部屋に戻らないが昨日はある程度一段落ついたので部屋に戻るとぼろぼろの子供が倒れていた。
すぐに部屋のベットに寝かし応急処置をして病院にと思ったが、驚く事に外見はぼろぼろに見えるのに外傷がほとんどなかった。だから病院には連れて行かずにその日は応急処置だけで様子を見た。
そして今日、目を覚ましたこの子と話して私が抱いた印象は、とても不自然な子だった。
見た目からおそらく5·6才といったところなのに口調がはっきりしていて大人びている。この年でこの口調はあまりにおかしい。けれど同時に危うい印象も持った。
事情を聞くとわからないの一点張り、しかし、目を見ればこの子が何かを隠しているのはわかる。それがこの子にとってとても深い闇だと言うことも。
行く宛が無いというこの子は居場所を求めているように見えた。
だからだろうか···。
「そうか。ならここに居るといい。」
気づけば私はそう言っていた。オリヴァーは何を言われたのかよくわからない様だった。私自身も何故そんなことを言ったのかと思った。仕事もあるし、子供の世話をしている時間をとるのは難しいのに。
「どうしてそんなことを言うんですか?何も分からないこんな得体の知れない僕に。」
確かにそうだ、普通ここまで不自然でよくわからないのをいくら子供と言っても側に置かないのに。けれど私の中この子をここで見捨ててはいけないと言う言葉が聞こえてくる。
「···仮に理由を付けるとしたら。」
君の目が助けを求めている様に見えたから。
そう言うとオリヴァーは驚いた顔をした後に顔を俯きながら迷惑をかけるかもしれないと言った。それに対して私は気にするなと、子供は大人に迷惑をかけるのが仕事だと言い聞かせた。
それを聞いたオリヴァーが泣き出した。その姿に私は小さい頃の美由希の姿が重なって見えた。一度置き去りにしてしまった娘と姿に。
そうか、私はこの子があの頃の美由紀に見えていたんだ。顔付きも何もかも共通点がない筈なのに。
私は優しく自分の子の様にオリヴァーを抱き締めた。
もうけして置き去りにしない、そう思いながら。
side out
こうして一人の少年はこれから自身の母となり師となる人と出会った。一人の女性はもう一人の我が子となり弟子となる子と出会ったのだった。
この作品での御神美沙斗は高町士郎が生きているので士郎から説得を受けてかなり早い段階で香港警防に入り美由希との仲も改善されている設定です。
また、作者はとらいあんぐるハート3をやったことがないのでなんか美沙斗の口調等が違うと言う人は教えてください。