東方待宵譚   作:這い寄る劣等感

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サブタイトルには基本的に初めて会う人物の名前を載せる予定。

今回は紫もやしと二次創作界隈で淫魔扱いされることに定評のあるこあーです


パチュリー・ノーレッジ、それと小悪魔

「……と、スペルカードルールとはこのようなルールになっているわ」

 

「ふむ、成る程。明日はこの規則に則り、主レミリアの計画を邪魔する輩を倒せばいいのだな」

 

「ま、概ねその通りね。

貴方が人間なのか、はたまた別の何かなのかには非常に興味があるのだけど、レミィに何か言われても困るし、何もしないでおくわ」

 

「この身は調べる時に何かをされるのか……?

しかし、このルールを考案し制定した者は中々どうして賢いな。

物の怪や神の類だと力任せにやったら簡単に決着がつくが、このルールだとしっかりと人間にも勝ち目がある。

この身も力だけならあるという自負はあるが、この弾幕ごっこでは勝敗の行方がわからなくなるな」

 

 

御言は、弾幕ごっこというこの幻想郷というらしい土地特有のルールの概要を、主としているレミリア・スカーレットの親友であるというパチュリー・ノーレッジから聞いていた。

このルールの話を聞くうちに、この弾幕ごっこなるものを考案、制定した人物に興味が出てきてしまうのも仕方のないことかもしれない。

 

 

「制定した人物にはそう遠くないうちに会えるわ。と言うかたぶん明日にでも会えるわ。

レミィが起こそうとしていることは少なくとも人里の人間には、それなりに害を及ぼすでしょうから。

貴方はそれを聞いてどうするのかしら?」

 

「どうするもなにも、主レミリアがやろうとすることを止める謂れはこの身にはない。

そもそも、物の怪や神がやろうとすることなど、大概は自然災害と同じようなものであろう。

静かに過ぎ去るのを待つのみよ」

 

「あら、レミィより弱い妖怪なんかも自然災害と同じと言うのかしら?」

 

 

パチュリーが意地の悪い質問をする。

レミリアの種族は吸血鬼。妖怪の中でも高位種族として数えることができる者である。

そんじょそこいらの低級な妖怪とは格が違う存在と言えよう。

だがそうであるにも関わらず、御言はパチュリーの言葉を肯定する。

 

 

「ああ、その通りだ。

だが、あくまである程度は似通っている、と言ったところだ。

自然災害にしろ、物の怪にしろ、人間は大雑把にしか知らない。知る必要がないと考えている節もあるな」

 

「それはどうしてかしら?

知識はあればあるだけいいものじゃないの」

 

「その身は知識欲の塊みたいなものだからそう言えるが、普通人間は興味のあるものしか詳しくは知ろうとはせんよ。

興味のある事柄に関連するものであるならば知ろうとはするが、それだけだ。

地震にしろ、津波にしろ、噴火にしろ、細部まで知っている者は数少ないと言えるだろう。

例えば、だ。自然災害ですらないただの50cm程度の波でも大人一人引き倒すには充分な威力を秘めている。

そういった事実があるにも関わらず、1m程度だったら逃げる必要はないだろう、と考える輩もいるのだ」

 

「長いわね。

要点だけ言ってくれないかしら?」

 

 

パチュリーが御言の講義が冗長だと訴える。

御言はその言を聞き、確かに無駄に長くしすぎたきらいがあると思い、要点だけを言う。

 

 

「む、済まぬな。

要は、人間にとっては自然災害も、物の怪も、水面に浮かぶ泡程度の情報さえ知っていれば満足するものということだ」

 

「成る程ね。

だから貴方はレミィより弱い妖怪も自然災害と同じ、と言うのね。

どちらも人間は詳しくは知らないという点で」

 

「そういうことだ。

……む。そう言えば、スペルカードなるものを考えるのを忘れていた。

三枚は作らねばな」

 

 

御言は、パチュリーの質問から己の持論を語ったが、そもそも弾幕ごっこのルールを聞き、スペルカードを作ろうとしていたことを思い出し、頭を捻る。

 

 

「別に無理して作る必要はないんじゃない?

小悪魔だってスペルカードは一枚も持っていないわよ」

 

「事実ですけどそういうことは言わないでくださいよ、パチュリー様」

 

 

パチュリーが小悪魔もスペルカードは持っていないと言うと、その言葉を丁度小悪魔本人が聞いていたらしく、トレイにティーカップを乗せて此方にやってきた。

 

 

「喉に良いハーブティーですよ。御言さんもどうぞ」

 

「む、かたじけない。

……ふむ、薬草茶とはかくも美味いものなのか。

それとも、その身が淹れる物だから美味いのか」

 

「それ、口説いてます?やー、私も隅に置けませんねー」

 

 

小悪魔がわざとらしく頬に手を当てて、身体をくねくねと左右に揺らしていたが、すぐに動きを止めて、少し疑問に思っていたことを御言に訊く。

 

 

「そう言えば、なんで薬草茶なんですか?

ある程度薬効になる成分が含まれているとは言っても、ハーブと聞いたら香草の方を普通は連想すると思うんですけど……」

 

「む、ハーブとは薬草のことではなかったのか。

バイオ○ザードなるゲームでは、ハーブは万能な回復アイテムだと耳にしたことがあるのだが」

 

「アレはハーブという名前の似て非なる何かですから(震え声)」

 

 

どうやら御言はとても大きな勘違いをしていたらしい。

 

 

「まあ、アレだ。

パチュリー、その身がいい例だが、スペルカードは己が持つ能力だとか、或いは己が信念とするものを如実に表している場合が多いと思うのだ。

であるからして、記憶が無いこの身が、スペルカードを作れば何か思い浮かぶのではないかと思ってな」

 

「そう、それなら頑張って考えなさいな。

あ、男だからと言ってガサツなものはダメよ?ちゃんと美しさも重視しなくちゃ、ね」

 

「無論、承知しているとも」

 

 

御言は図書館でパチュリーの邪魔にならぬように、スペルカードを考える。

明日はレミリア・スカーレットが何かをする。その何かは、パチュリーの言ったように人間にどの程度かはわからないが害を及ぼすものとなるのだろう。

だが、そんなことはどうでもいい。

彼は明日来るであろうスペルカードルールを作った人物、博麗霊夢が来るのを愉しみにしていた。




妖怪は全部人間にとっては少ししか知らないという点で自然災害と同じなんだよ!
……なんか論点すり替わっている気がするが気のせいだろう
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