ヘタレ勇者とヤンデレ僧侶の大冒険   作:シズりん

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第11話

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「あなた・・・どお?あの子はお部屋から出てきましたか?」

「いや、ご飯の時だけは扉をあけるんだが・・・他は全く私達の話を聞こうともしない。」

 

妻はそれを私の口から聞くと、膝から崩れ落ちすすり泣く。

まぁ無理もないことだ。

私達は晩婚だった。私達には幼馴染がもう1人いたのだが、いつも勝手をして、しまいには過去の世界で護り手になるとかいって私達にの前からいなくなった。

幼い頃は男勝りな性格だった妻は、それにより男性不信になってしまった。彼女の将来を悲観した彼女の両親は、過去から未来へと冒険をしていた私を捕まえて、私の両親の仕事を餌に、無理やり結婚させられた。

まぁ私としてもやぶさかではないので、結果としては悪い話でもなかったのだが。

 

 

せめて一人娘は幸せに。その私達の想いは、娘を甘やかしてしまい、今では部屋に閉じ籠り、ゲームやら何やらにご執心だ。

 

「ふひひひ・・・小学生は最高だぜぇ。」

 

はぁ・・・また意味不明な事を言って、私達夫婦を悩ませる。

「あなた。このままでは私達の家に伝わる家業も勤められるのかどうか・・・」

「大丈夫さ。あの子も立派な娘だ。その時が来れば立派にお勤めを果たすさ。」

 

私は隣で泣く妻の肩をそっと抱き寄せた。

 

 

 

ピーンポーン・・・

 

ちっ!これから妻とってタイミングで誰かが訪ねて来たらしい。

確か玄関のカギは・・・ヨシ。

窓も全て閉まっているし、カーテンもしてある。

レイアムランドは極寒の地。煙突から煙が出ていても、留守かどうかは端からは分からない。

妻の濡れた瞳が私を見詰める。

少しだけヒンヤリした妻の体からは、甘い香りが立ち込めている。妻も私を求めているのだ。

すまぬ、どこぞの誰だかは知らぬが、今は客人をオモテナシしている場合ではない。

 

「あなた・・・でないの?」

「あぁ、今はマリベルお前を感じていたい。居留守を・・・」

 

 

ドゴォォォォォォン!!

 

 

 

「ほらキョウイチさん!貴方がチンタラやっているから、私がアバカムで開けてあげましたよ!」

「って、姫!それは蹴りであって、断じてアバカムではないから!」

「・・・何ですか?その反抗的な目は・・・って、あら?中にいらっしゃったのですね?」

 

蹴りの体制を慌てて正し、テヘっと笑う少女。

 

呆気にとられた私と妻を確認すると、彼等はぞろぞろと家の中に入ってきた。

 

 

 

 

「改めてうちの身内の無作法をお詫びします。俺の名前はマコト、勇者です。そして後ろに控えているのか仲間です。」

「はぁ・・・それはご丁寧にどうも。」

「こちらはラーミアさんのお宅ですよね?是非、魔王バラモスを倒すのにご協力を頂けませんか?」

 

勇者と名乗った青年は、さすがに勇者なだけあって礼儀正しかった。

しかし・・・

「後ろに魔王バラモスがいるじゃないですか。」

私が一人のこそ泥風の男を指差すと、勇者は私の指を追うかのように振り向く。

「あぁ、キョウイチは正体は魔物ですが、魔王とは別人です。気にしないで下さい。」

「し、しかし・・・以前、居酒屋で終電を逃した時に乗せてくれとタクシー代わりに呼んだ魔王バラモスにソックリだぞ?」

「ですが別人何です。」

勇者と本人はキッパリと否定する。余程彼を信頼しているのだろう。

 

私は改めて彼等を見渡すと異質な存在が目に入る。

 

サラサラと音が聞こえてきそうな黒髪を背まで伸ばし、その白い肌はほのかに染める頬を引き立てる。その瞳は、キラキラと輝きを放つ、人とは思えないような美少女が目に入る。

 

あぁ、あれはまだ私が子供の頃に出会った女神。精霊ルビス様に良く似た少女だ。

 

「ーーーーって訳なんですが・・・ラーミアさん聞いてますか?」

「あ、ああスマンね。要するに魔王バラモス城まで行きたいのですね?では決まりですので、私達ラーミア一族の大好物のオーブを差し出して下さい。」

 

テーブルの上に置かれたオーブ・・・

「あれ?足りませんね。」

「すみません。ブルーオーブは海底の奥ふかくに・・・」

「はぁ…ではシルバーオーブは?」

「は?シルバーオーブ?まだあるんですか?しかしキョウイチはこれで全部だと。」

 

「あ~マコトすまん、シルバー忘れてたわ。ネクロゴンドにも一つあるんだけど・・・面倒くさくてな」

「・・・やく、・・・なさい。」

「え?姫何か言ったか?」

「早く取りに行けー!!」

彼女の見た目とは裏腹に、魔王も震え上がるような睨みを見せた。

 

 

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「で姫、ここからが問題なんですよ~。火山の大穴にガイアの剣を入れて・・・」

「ようするに!!その山が邪魔なんですね?分かりました。」

 

キョウイチくんの話をきくと

彼女は商人風の男に山のある方角を聞いていた。

 

「確か・・・右手にヒャドと左手にメラだったわね。」

彼女はブツブツ言いながら、両手に別々の系統樹の魔法を出すと、真ん中で光を収束させた。

やがて彼女が弓を射るような体勢をとると、光の矢が出現した。

 

 

メドローア!!

 

 

 

彼女が魔法の名前を唱えると、直径にして50mは有ろうかと言う光の矢が、私達の家の壁を壊し、海を切り裂き・・・大地を引き裂いた。直線上にあった全てのものは、文字通り消滅していく・・・塵一つ残さずに。

 

「何だ・・・何処かの世界で究極なんて言うから難しいかと思ったら、意外と簡単なんですね。しかも、別にたいした事なかったし・・・」

 

私達の家から一直線上に全てが消滅した地平線を眺めて彼女は言った。

 

ガダカタと震えているキョウイチくんは、半ば無理矢理ロレンスくんを連れて地平線へと向かって飛び立つ。

ふらふらと飛んでいるキョウイチくんの背中にロレンスくんを乗せ飛んでいく。

 

「…ツカサさんは何をしているんですか?」

「え?」

「早く貴方も取りに行くんですよ!」

「でも、あいつ等もう行っちまったし・・・それに俺にはサキさんがいる。」

 

流石に妻帯者は言うことが違う。私も妻を置いてバラモス城に行けと言われたら少し悩む。

私は勇者パーティを横目でみると、綺麗な少女は手に光を集めていた。

 

「れっぷうけん!!」

 

彼女がそう言って腕をふると、三日月のような形をした光がツカサと名乗る武道家を先に飛んでいくキョウイチくんのもとへ吹き飛ばし、そのままフラフラと飛んでいた彼等を巻き込み、地平線の彼方へと消えていった。

 

私はこれでいいのかと勇者を見ると、彼はいつもの事とばかりに私達夫婦が出したお茶を飲んでいた。

 

 

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先ほどから部屋の外がうるさい。

アタイの名前はアイラ。ラーミア家の後取り娘だ。

ウチには大昔より女神、精霊ルビス様より賜ったお仕事がある。

 

《魔王が地上を荒らすとき、何処からともなく光の勇者が現れる。ラーミア一族は勇者がその勇気と力を示したとき、勇者の力になって下さい》

と・・・

 

近年、魔王を名乗るバラモスが現れ、世界中を火の海に飲み込んでいると、インターネットで知った。

アタイの好きな掲示板には、毎日たくさんの書き込みがあり、リアルタイムで世界の状況が手に取るように分かる。

 

"魔王バラモス乙"

"ついに来たか…"

"はい俺死んだー!"

 

だの3chの仲間は次々と書き込んでいる。そんな中で今アタイが注目している書き込みがあった。

勇者の出現の情報だ。

 

"勇者来たーー( ・Д・)ーー!!"

"勇者のバギでウチの屋根が飛んだー!!"

"俺の故郷が島ごと海の藻屑!"

"勇者は俺の嫁"

 

だの、意味不明な乱文がところ狭しとひしめき合っていた。残念ながら勇者はアタイ好みのイケメンではなく、どうやら女の子のようだ。

それにしても一体勇者とはどのような人物なのだろうか・・・

 

アタイがそんな考えに部屋で浸っていると、何やら先ほどから部屋の外が騒がしくなった。

どうせまた父さんが母さんとイチャイチャしてるのだろうと無視していたが、どうやらお客さんが来ているようだった。

派手な爆発音がさっきから数回聞こえる。

 

アタイはなんと無しに興味を持ち、壁に耳を当てて話を盗み聞きすると

 

『ねぇマコトさん。マコトさんはタレと塩だとどちらがお好みですか?』

 

透き通るような綺麗な声が聞こえた。

間違いない。これは美少女の声だ。

アタイの美少女センサーが働く。

 

『焼き方は?よく焼いた方が良いですかねぇ。何せ鳥は火が通りにくいですからねぇ・・・』

 

え?なんの話をしてるんだ?

アタイはさらに注意深く壁越しに彼女の話に集中する。

 

『飛ばないラーミアは只の鳥ですからね。焼き鳥にして食べてしまいましょう』

声のトーンを数段階下げた彼女の声が、俺の心臓をわしづかみした。

 

バターーン!!

 

勢いつけて扉を開く(殻を破る)。

焼き鳥になんかされてたまるか!

アタイは部屋を慌てて飛び出した。

 

「ほら出てきましたよ。」

彼女は雲が晴れ渡るような笑顔を見せてくれた。

予想通り・・・いや、それ以上の女神がそこいた。

 

「しかし本当にこんな手で出てくるなんてなぁ。」

「部屋に引き込もっている人ほど、人の声が気になるものですよ。」

 

 

 

 

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「なぁシズク。本当にキョウイチ達を待たなくて良いのか?あの三人だってそれなりに戦力になるんだぜ?」

「大丈夫ですよ。マコトさんとサキさんと私の三人で充分ですよバラモスぐらい。」

「そうだよねぇ、シズクちゃんと私の魔法でバラモスなんかイチコロだよねぇ。」

 

三人を背にアタイは遥か上空を旋回する。

あの後もオーブが無いとといい続けていたお父さんとお母さんは、ルビス様によく似た少女の『やきとり』の一言に、あっさりと娘をさしだしたのだ。

 

『アイラ、しっかりとお役目に務めるんだよ?私と母さんはいつも見守っているからな?別の世界で。』

 

そう言ってお父さん(セブン)とお母さん(マリベル)は、そそくさと石板を片手に娘のアタイを見送った(追い出した)。

 

 

 

どこまでもネガティブなヘタレ勇者と、女神のような美少女二人。

せめてヘタレとのロマンスくらい…と思わなくもない。

 

しかし、久し振りに飛ぶ大空も悪くないものだ。

レイアムランドの冷たい風が頬を撫でて気持ちが良い。

部屋に引き込もってインターネットばかりをしていた頃には感じられない気持ち良さだ。

 

インターネットの掲示板・・・

あれはあれで楽しいものだが、考えが偏っていたことをアタイは彼等を通して知った。

勇者は女の子の方ではなかったのだ。

 

少し残念な気もするが、勇者なら魔王を倒した後も忙しいだろう。そうなれば移動にアタイが必要なはずだ。長く共にいればアタイにもワンチャンくらい……。逆に、この出会いを女神ルビス様に感謝の祈りを捧げたいくらいだ。

 

東の空が赤みをさしてきた。夜明けは近い。

うっすらと射し込む朝日が、かつて山であったネクロゴンドを映し出す・・・

 

あれ?山がない?

ってか何だ?さっきから一直線上に何もかもが無い空間があるのは。

海さえも引き裂き、未だに海水は引き裂かれたままだ。親父に母さん。世の中は不思議な事が沢山あるものだな。やはり世界を自分の目で見るのは大切なのかも知れない。

改めてアタイはこの出会いを感謝した。

 

さぁ、魔王バラモスはもうすぐそこだ!!

近くに確か祠があるからそこで下ろせば良いだろう。運が良ければ、勇者はバラモスを倒したあと、そのまま二人でハネムーンなど良いかもしれない。

 

あぁ、これからレイアムランドに創る愛の巣の事で頭がいっぱいだ。

家はやはり卵の形がいいな。

などと1人未来予想図を妄想していると

 

 

 

 

 

ブチブチ・・・ブチッ

 

 

 

何だ?さっきから翼の辺りがチクチクするなぁ。

アタイは背中の三人の方を振り向くと、キラキラと赤く光る羽根が無数に舞っていた。

その羽根は朝日を受けキラキラと輝き、まるで幻想的な雰囲気を創っていた。

 

て言うか

アタイの羽根をもがないでー!!!

 

 

なんと、ルビス様の如く美しい少女はアタイの翼から羽根をむしりとっていた。

その瞳は虹彩の消え失せた、女神どころか魔王のような冷徹な瞳だった。

 

「今貴方から穢らわしい波動を感じました。」

彼女の一睨みにアタイは息を飲み込まれる。

 

 

あぁ、親父に母さん・・・外の世界は怖かったよ・・・

 

 

 

そうして気を失ったラーミアと三人は、魔王バラモスの部屋に向かって真っ逆さまに墜ちて行った。

 

 

 

 

ーー続くーー

 

 

勇者マコト Lv50 ヘタレLv99

僧侶シズク Lvスカウターが破裂

賢者サキ Lv30 美少女

ラーミア・アイラ Lv45(ネットの世界では)

 

その他三名 ネクロゴンドの何処かで屍の翔と仲間入り。

 




なんと次回は早くも魔王バラモス戦。作者はいう。細かく書くとゲーム知らないのがバレるから、サクサク進めなきゃと。
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