ヘタレ勇者とヤンデレ僧侶の大冒険   作:シズりん

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第3話

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私の名前はシズク。

幼馴染みのマコトさんが、魔王バラモスを倒すとか夢物語なことを言いだし旅にでた。

彼はしっかりしているようでけっこう抜けているところがある。

私が付いていないときっと何もできない。

私はマコトさんと共に旅立ち、あわよくばマコトさんとの仲を・・・

こほん!

そんなこんなでロマリアに辿り着いた。

 

しかし、そんな私達の旅は思わぬ結末を迎えることになりそうだ。目の前には紫色に変質し、ピクリとも動かない彼。

彼は私をずっと護ってくれると言ったのに・・・

私を残して逝ってしまうだなんて――――

 

 

 

 

――それは少しさかのぼる――

 

「さすがロマリアだよな?人が多くて栄えてて、アリアハンとは大違いだよなぁ。」

 

俺達はロマリアへ辿り着いた。ロマリアはスゴロク場やスライムレース等の賭博場があるせいか、世界中から人が多く集まる。人が集まっているところには商人が集まり、お金が動く。

お金が動くところには、総じていろんな人種が集まるものだ。

 

「そこのお兄さん。パフパフしていかない?」

地下街へと進む入口に街の女が、誘うような仕草で俺を誘惑している。

これでも勇者、なめないでもらいたい。

第一に、俺にはすぐ後ろに可愛い幼馴染みもいるんだ。誘惑など・・・

 

「ちょっとマコトさん・・・ど~こに向かって歩いているのですかぁ?」

声のトーンを下げ、虹彩が消え失せた瞳のシズクが、俺の襟首を凄まじい力で掴んでいた。

こ、怖っ!!

 

「お嬢ちゃんはお部屋で待っててくださるぅ?」

派手な女がシズクを挑発する。

「お、おじょ・・・あ、貴女こそ、無理なさらない方が良いんじゃありませんか?牛のような胸が垂れているんじゃありませんか?」

 

二人の間の空気が熱を帯び、渦をまく。

 

「まぁ、お嬢ちゃんの無い胸では彼を喜ばすこともできないんではなくて?」

「な!!無い・・・何ですか?もう一度言ってもらえますぅ」

 

シズクの瞳が捕食者の瞳になったかと思うと、二階建ての建物の屋根を優に越えるほどの竜巻が発生した。

バ、バギクロスだとー!!

真空の刃を伴った凄まじい竜巻が周囲の木々を薙ぎ倒し俺と、お店の女を襲う。

 

 

「その魔法、ちょっと待ってくれねーか!?」

何処から現れたのか、商人ふうの若い男が俺達の前に立った。

颯爽と現れた青年は、次の瞬間大空の星になった。

 

 

 

「あ~死ぬかと思った。」

そう言う青年の名前は、ロレンスと名乗った。聞けば彼は商人の中でも、旅をしながら商品を買い、別な地方で欲しがる人に売る。要は流通のお仕事がメインの商人だそうだ。商人の間ではロレンスと名前で呼ばれているらしい。

 

 

「あなた頭は大丈夫ですか?あの中に自分から飛び込むなんて。ロレンスだか、何だか知りませんが、あなたなんてキチガイさんでじゅうぶんですよ!!」

 

ひ、酷い

こうして彼の名前はキチガイとなってしまう。

 

「ところでシズクさぁ。いくら怒っていたとはいえ、一般の人にバギクロスはねーだろ?」

俺達は人類の世界を守るために、魔王を倒すんだ。やはり勇者としては、街中でバギクロスをぶっ放つ幼馴染みを放置できない。

「え?バギクロス?街中でバギクロスなんか使うはずがないじゃないですか。あれはバギですよ?」

 

とんでもない台詞を彼女は首をちょこんと傾けて言った。

あれがバギですか・・・お前のステータスどうなってんの?

 

 

ロマリアを離れて丸一日歩いたところにカザーブという寂れた村があった。

「ではお二人さん。契約は成立だ。しっかりと例のものを探しだしてくれよ?」

そう言ってロレンスさんは、もときたロマリアの方へと帰って行く。

 

「それにしてもロマリアの王様も適当だよな。スゴロクに夢中になって王冠を忘れて無くすとかありえねーよなぁ。まぁ、王冠を取り戻すための装備として鉄の槍をくれるなんて、太っ腹だけどなぁ。」

「マコトさんは良いですよ。私なんて、あの王様の舐め回すような視線。あぁ、思い出しただけでもおぞましい!!」

 

ロマリアの王様はシズクを見るなり抱きつき、王冠を探して取り戻してくれと、依頼している最中もずっと彼女を見ていた。

まぁ気持ちも解らないではないが。

しかし、シズクも散々王様をシバキ倒した挙げ句に、水の羽衣を強奪・・・おっと!頂戴したのだから、視線ぐらいは許してあげれば良いのに。

かくして俺たちは旅の路銀集めの為にロレンスさん経由でのロマリア王の依頼を受けることにしたのだ。

 

 

 

カザーブの村

 

村と言うに相応しい何もない村だった。

二人はいつものように宿を取ると、珍しく彼女は夜まで自由行動を提案してきた。

さっき村を歩いている時に、道具屋のカウンターの中にあった豪華な宝箱を彼女は見ていた。

何か嫌な予感がするが、今は気にしないでおこう。

 

いつものように酒場に入り情報を集めると、俺はこの辺りで有名な盗賊が、西のシャンパー二の塔に住み着いている情報を得た。

最近羽振りが良く、村の酒場にも出入りしているらしい。

他に真新しい情報も無かったので、俺は軽くお酒を楽しみ、可愛い幼馴染みの待つ宿屋へと帰った。

 

 

「あら?貴方たちは・・・偶然ね。」

見た目百点満点の魔法使いの可愛い女の子

と、やたらいかつい筋肉だるま。

忘れもしない。ナジミの塔で出会った二人だ。

サキと・・・まぁ男はいいや。

「偶然だね。君たちも二人で旅を?」

「一緒にしないでちょうだい。この男はただ着いてきただけよ。」

そう言って、筋肉だるまを睨み付ける女の子。

見た目はやたらいかつい、自称伝説の武道家は、器用なほどに、体を小さくしていた。

 

「マコトさんおかえりなさい。」

2階から下りてきたシズクは、先程の水の羽衣にすでに着替えていた。

母さん、天女が村にいました。

そんな姿をしていると益々ルビス様に瓜二つだよなお前。

 

「・・・って、マコトさん聞いてますか?」

シズクの瞳が俺を上目使いに見つめる。ヤバい心臓が止まりそうですよ。

「お部屋が二部屋しかないらしくて、困っているんですよぉ。」

「え?何が困るの?」

俺が言いきるより先に、見上げていた潤んだ瞳は虹彩が消えてゆく。

 

 

しかし、無いものは仕方ないので、いつものように白線を引くしかないとばかりに、諦めて部屋に入る。

 

宿屋のおかみさん、ナイスですよ。

宿屋のお部屋は驚く程に狭かった。ベッドは二つがちょこんと並べられ、白線を引いてもこれは近かった。

深夜に寝惚けたふりして・・・

 

ガシャーン!!!!

ごめんなさい!!っと、大きな音に反応し、つい謝ってしまう俺。

「マコトさん?何を謝っているのです?どうやら、お隣の筋肉だるまさんが、サキさんに窓から突き落とされたみたいですね。」

彼女は笑って言う。明日は我が身か・・・

しかし、予想に反して彼女は早く寝ましょう?と笑顔でベッドに入った。

シズク・・・ようやく俺の気持ちを受け入れてくれるんだな。

ベッドに入ると彼女は笑顔で今日のお買い物の成果を見せてくれた。

可愛いブレスレット。可愛いらしいティアラ。どれも値がはりそうだっけど、既に俺の頭の中は夜のことでいっぱいだった。

「ん?なにこれ?」

彼女は筒状の笛のようなものを俺に差し出した。

「横にボタンがあるでしょ?ちょっと押してみてください?」

新しい武器か?俺は言われるままにボタンを押すと

 

プシュ

 

ど、毒バリっすか・・・

ある意味一番持たせてはいけない武器を・・・

 

意識が遠退いていく俺の目にうつったのは、お休みなさいと言って、毛布にくるまる美少女だった

 

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「って、いい加減死ぬは――――!!!」

「あ、生きてた。」

彼女は笑顔で俺の頬に優しくキスをする。

 

はいベホマきました。

 

「いやぁ~私達の旅は終わったのかと思いましたよぉ。マコトさん、私を置いて逝ってしまっては嫌よ?」

彼女の棒読みのような台詞が胸に響く。

これを優しく思える俺って・・・

 

「いやぁ散々だったよなぁ。」

「あんたもよく生きてるよな?」

朝になると、首をポキポキならしながら、武道家のツカサがお部屋に入ってきた。

聞けば、二人も目的は同じ、ロマリア王の王冠を取り戻したいという。

 

ここで俺達は頼もしい?仲間を手に入れた。

 

 

シャンパーニの塔

 

 

鬱蒼と繁った森の中に、その塔はそびえ立っていた。上空を見渡すと、ドラキーやキメラなどの、翼鳥類のモンスターが飛び交っていた。

こんな所を根城にするくらいだから、きっと盗賊も並の強さではないのだろう。

俺は鉄の槍を持つ手に力がはいる。

 

「デロデロデロ~」

「・・・あのツカサさん?さっきから何を言ってるのですか?」

「おう!雰囲気が欲しくてよお?塔の音楽を演出してやってんだよ。」

「いらねーよそんな演出は!」

はぁ・・・まったく何言ってんのこの人。

 

「で?シズクはなにその武器。」

彼女は大きな十字架を持っていた。

「え?毒バリじゃちょっと心細いかなと思って、教会から借りてきたの。」

「借りれるものなの?それ。」

「え?ダメなの?でもガザーブの神父様は、『おお、ルビス様の使いが舞い降りた』とか言って貸してくれましたよ?」

それ・・・武器じゃないですよねぇ?教会の屋根に付いてるアレですよねぇ?

仮にも僧侶。教会で暮していた仮にももシスターな彼女が教会の十字架を・・・まぁ、言うまい。

 

 

 

.

 

.

カンダタ

塔の最上階にそいつはいた。

ここまで数々の魔物と戦ってきた俺にはわかる。間違いなく強敵だ。

 

人の胴廻りほどもある腕の筋肉。

体も優に人のそれを越えている。そして、その強靭な体を支える脚。

そのどれをとっても、やつが強いことを証明している。

ツカサが先制とばかりに、正拳を繰り出すが、大したダメージを与えているようには見えなかった。

俺も鉄の槍を向けたその時だった。

 

一人に見えたカンダタが複数人に見えた。しまった!!部下がいたのか。やつらの魔法で辺り一面が霧に包まれた。

マヌーサだ。

俺とツカサはお互いに背をあわせ、相手の出方を伺っていると。

 

「ははは。貴様ごときの実力で勇者だと?笑わせるな。お前なんか部下にも劣るわ。」

そう言って笑うやつらの声が響き渡る。

「どうトドメをさしてやろうか・・・」

絶体絶命の危機を肌で感じとるその時!!

 

 

「ねぇ。サキさんはアレどう思います?」

「ん~無いわよね。って言うかぁ、裸にパンツ一丁。オマケにあの覆面でしょ~?ちょー有り得ないんですけどー!!」

「ちょっとサキさん。それは言いすぎですよ。あれでもきっと格好いいと本人は思っているんですから・・・ププッ」

 

女の子二人の声を殺した悪意のある笑い声が響く。

「「もうだめ。我慢できない!!」」

 

マヌーサの幻覚で沢山に増えて見えるシズクとサキの笑い声が響き渡る。

 

「ぐはぁ!!」

カンダタが血を吐いて倒れた。うん。あれは精神的に来ますよね。間違いなくザラキ級の心のダメージを喰らったカンダタは、王冠を投げ捨てて、泣きながら逃げていった。

 

 

真は王冠を手に入れた。

 

 

 

「それにしても、王冠が手に入って良かったよなぁ。これで報償金がたんまり出れば、俺の武器も段ボールじゃなくて、本当の鉄の爪が買えるぜ。」

さらっと、爆弾発言を言うツカサ。

 

「なぁ、その王冠。二人で返しに行ってくれないか?俺達は勇者だ。お金目的の旅ではない。」

 

そう、俺達を待っている人達は後を絶たない。今はロマリアへ戻る時間さえ惜しい。

ツカサとサキは顔を見合せる。色々二人にも事情があるのだろう。

「また会おうぜ?目的が一緒なら出逢うだろ?」

俺がいうと、ツカサは俺を思い切り抱き締めた。熱いし、痛いし、気持ちわりー!!

 

「でも、俺達ロマリアまでの道のりを知らないぜ?キメラの翼も切らしてるし。」

ツカサがそう言うと、

「大丈夫ですよ。私が送ってあげますから。」

といって、十字架を構えるシズク。

 

 

バキャッ!!!

凄まじい音を鳴らして十字架でぶっ叩かれた二人はロマリアの方面の大空へ飛んでいった。

「ちょっとシズクちゃん。なんで私までええぇぇぇぇ・・・」

 

二人をバシルーラした十字架は音を立てて崩れ去る。

再び毒バリと言う名の最強の武器を装備したシズクは

笑顔で、さぁ行きましょうと微笑んだ。

 

「マコトさんを抱き締めて良いのは私だけなのに・・・あのだるまめっ」

 

後ろで呟く彼女の恨み節は聞こえないふりをした。

 

 

――つづく――

 

マコト Lv15 装備 鉄の槍 布の服

シズク Lv35 装備 毒バリ 水の羽衣 金の腕輪 金のティアラ

 

死亡回数 3回

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