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暑い・・・
照りつける太陽が、容赦なく俺を襲う。何処までも続くような砂丘の先には、陽炎で揺らめく巨大なドラゴン
って、ドラゴンだとーーー!!!
俺が慌ててまどろみの剣を構えると
ゴオォォォ!!と、激しい炎を吹くドラゴン。
あれ?暑くない?
俺が薄目を開けて見ると、シズクがお腹を抑えて笑っていた。
「頼むから変化の杖で遊ぶのはやめてくれシズク。」
「だぁって暑いんだもん。」
唇をちょこんと尖らせる仕草のシズク・・・か、可愛い。シズクがエルフの隠れ里での一件いこう、あの二人の恋のお話しに夢中になっていたのをみると、やっぱり女の子なんだと実感する。
最近少しだけシズクも俺のことを意識してくれてるよな?俺はそっと彼女の手に自分の手を重ねた。
「ちょっ、ちょっと!マ、マコトさん何てことを。わ、私を妊娠させるつもりですかぁ!!?」
彼女が真っ赤になっている。あれ?ヤバかったか?俺は慌てて手を放すと、
「何で放すんですかあ!!」
と、今度は怒りのこもった赤い顔で怒るシズク。どっちなんだよ!全くもって面倒くさい幼馴染みだ。
「マコトさんのせいで喉がカラカラですよ。」
へいへい。どうせ俺のせいですよ。砂漠で騒ぐ幼馴染みを適当にいなしていると、目的地のイシスが見えてきた。
イシス
砂漠の真ん中に建つお城を首都とした国。人口の殆どが水が豊かなオアシスの回りに住み、暮らしているという。
城に入ると俺は目を疑う光景が飛び込んできた。
城内の至る所にキラキラと小川が流れている。そこにかけられた、これまた小さな架け橋を渡りながら奥へと進む。外のうだるような暑さは城内にはなく、イシスの国民も涼を求めて自由に出入りできるようになっている。
俺はイシスを統治するという女王陛下が、どんな人かを想像しながら女王様のいると教えられた地下庭園に降りた。
イシス女王
それは一瞬で目を奪う程の絶世の美女だった。
艶やかな黒髪。白く透き通るようなモチモチした肌。近くにいるだけでクラクラするような甘い香り。そのどれもが男を惹き付ける。そんな美女だった。
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「近くで見ると、こんなにおおきかったんですねぇ。」
ピラミッドの麓につくと、シズクは素直な感想を述べた。
「なぁシズク、なんで俺の武器の装備はムチになっているんだ?あとこのツバの部分が広い帽子……とても防御力が高そうには見えないんだけど。」
「え?知りませんか?ピラミッド探索のエキスパートが装備していた伝説の装備ですよ?トロッコに乗ったりと凄い方なんですよ?」
シズクは然も凄い伝説を語ってくれたのだが、なんの事か今一分からない俺はブーブー言うシズクをよそに、装備を戻してピラミッドへと入って行った。
ーー昨夜ーー
シズクが寝静まったあと、俺はいけないと思いながらも女王の寝室へ行った。驚くことに女王の部屋には護衛もいなく、入室すると女王は俺が来ることを知っていたかのように待っていた。
『ああ、勇者様なんて悪いお方・・・』
そう言って差し出された手を俺はそっと握り返す。
『魔王バラモスは本当に強いですわ。そんな勇者様に私が出来る事はあまりありません。ですが、無事を祈る事と、ピラミッドに眠る財宝の数々を差し上げましょう。上階にある財宝とは別に地下にも財宝があります。伝説級の武器"黄金の爪"です。きっと勇者様のお力になることでしょう。』
『女王様・・・ありがとうございます。そんなにまでしていただいて。』
『良いのです。勇者様は私の乾いた心に潤いを与えてくれました。それ以上に望むなんて、私には・・・ただ、無事にお帰りになってくださいましね。魔王バラモスを倒した暁には・・・』
そうして夜があけ、俺達は武器を求めてピラミッドにむかったのだった。
ピラミッドの中は入りくんだ迷宮だった。現れる敵も今まで見たこともないような強敵揃いだった。俺とシズクは数々の罠を潜り抜け、最上階まで達したその時だった。
頑丈そうな扉の前で鍵開けに汗を光らす盗賊がいた。
カキンカキンと金属音を軽快に鳴らし、扉の錠前を一つ一つ外していくが、どうやら最後の一つに苦戦しているようだった。
「おい。あんた墓荒しか?」
俺が声をかけると、ビクッと体を強張らせ俺達をみる盗賊。
「ああ、びっくりした!俺はてっきりイシスの兵士かと思ったぜ~。」
盗賊は額に浮かぶ汗を乱暴に腕で拭いながら俺達の方へと振り向いた。
「俺の名はキョウイチ。見てのとおり大盗賊だ。と言っても盗みではなく、トレジャーハントが主な仕事だがな。」そう言って彼はカラカラと笑い、握手を求めてきた。
「俺は入れない所は無いことを証明したいだけで、中のお宝には要はない。好きにすればいいよ。ただ、後ろのそいつらもお宝にようがあるみたいだがな。」
振り向くと、可愛らしい魔法使いサキと、筋肉ダルマのツカサがそこにいた。
「やっぱりまた会えたな!!」
そう言うと、目一杯暑苦しいのに抱き付くツカサ。
彼等を紹介すると満足そうに笑い、キョウイチは鍵開けに戻る。
「ちくしょう・・・どうしてもこれが開かねーなぁ。魔法でも掛かってるのかぁ?」
キョウイチが手を休めぼやいていると
ズガン!!!
鍵の掛かってる扉を『アバカム』と言いながらシズクが蹴破った。
「ここは暑いですから、のんびりしてないでさっさと行きましょう?」
「それのどこがアバカムなんだよ!」
思わず突っ込みを入れる俺に対し、笑顔でこそいるが、どこか機嫌の悪そうな彼女。そんな彼女を見て、キョウイチを始め、ツカサにサキもガタガタと震えていた。
「何だこりゃ?変な玉っころと、鏡か?外れだなこりゃ。黄金の爪なんて噂でしかないのかねぇ。」
ため息混じりに、中のお宝を投げ捨てるツカサ。雫はその鏡を拾い何やら見つめているし、玉っころはサキが拾ったようだ。
「黄金の爪?それなら地下にあると言ってたぜ?女王様が。」
「ふーん。地下にあるんだぁ。マコトさんはそれをいつ聞いたのかしらねぇ・・・」
しまった!!
ずっと隠していた女王様との夜の密会、ついにバレたぁ!!俺は襲いくるであろう衝撃に耐えるが、いつまでたっても来ない。
「マコトさん何をしてるの?早く地下に行きましょう?行くんでしょ?地下に」
「確かにこの辺りが怪しいわね。」
地上階をくまなく探していると、サキが魔法で風の流れを読み、何もないはずの床から確かに風の流れを感じるという。
「よし!そんな時こそ大盗賊の出番だろ!」
そう言ってキョウイチは、何処からともなく大きな魔法の玉を持ち出した。
何か見たことあるぞあれ。
キョウイチを抜いた四人は壁の向こうまで衝撃に備える。
ドガアアアァァァァン!!!
案の定大爆発した魔法の玉。口から煙りを吐いて倒れたキョウイチを放っておいて、俺達四人は地下への階段を降りた。
!!
地下に入った瞬間。俺とサキは奇妙な感覚に捕らわれた。何だ?魔力が混乱している?グルグルとしたような感覚に集中力を失われ、俺達はどうやら魔法の力を封じられたようだった。
魔法を封じられたサキはツカサを盾にして進み、襲いくる魔物を、もともと魔法を使わない俺と、ツカサで薙ぎ倒す。
そうしてどうにか辿り着いた奥の間に、黄金に輝く棺があった。その棺の周りは紫色の煙りがズモモモモモと、音でも聞こえそうなほどの妖気を漂わせていた。
トントントントン
「あのシズクさん?何をしていらっしゃるので?」
「え?明かに何かが中にいそうですから、出られないように棺の蓋を釘で・・・」
そう言って棺の蓋をトンカチで釘うちしているシズク。
「こらーーー!!!折角の演出を台無しにするなぁ!!」
「ちっ」
中から怒号のようで、悲痛な叫びとともに現れた魔物は―――――――――上で倒れている筈のキョウイチの顔をしていた。
巨大な身体。高ぶる魔力に、人間の大人大の大きさを誇る斧を携えている。猛り狂う炎のような赤い瞳で俺を見据えるキョウイチの正体は、未だ見た事のない魔物だが、今の俺達ではとても敵う相手ではないと言うことだけは直感で判る。。
どうやって、この場を逃げるか考えている俺をよそに、
「女!貴様今舌打ちしやがったなぁ!!絶対にゆるさ・・・ってお、お前は」
キョウイチが何かを言いかけたその時、シズクは持っていたトンカチでキョウイチの顔面を強打し、顔にめり込んだ。
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シクシクシク・・・
棺の中から、キョウイチの泣き声が聞こえる。
「これが夢にまで見た黄金の爪かぁ。」
惚れ惚れするような瞳で武器を眺めるツカサとサキ。
「これを売れば私たち大金持ちなのね?ツカサ。」サキも嬉しそうに、ツカサの持つ黄金の爪を眺めていた。
二人はきっと静かに幸せな家庭を築くために、大金になると言われる黄金の爪を求めていたのかもしれない。
おめでとう二人とも。
俺は声を出さず二人をそっと祝福した。
「ところでツカサ。」
「なんだマコト。俺とお前の仲じゃねーか。遠慮なんか要らねーぜ。何でも聞いてくれ。」
「気のせいかも知れないが、その武器・・・呪われてないか?」
「そうか?」
俺達四人を囲むミイラの群れ。明かに100体近くいる。
「捨てろそんなもん!!」
「嫌だ!やっと手に入れたんだい!」
だいって。子供のように駄々をこねるツカサ。
「ねぇシズクちゃん。何かいい方法ないかなぁ。」
サキがシズクに小声で話す。が、魔法の力を封じられたこの空間で、二人が出来る事なんてない。
結局俺達が何とかするしかない。
俺はまどろみの剣を振り、懸命にミイラやマミーの群れにきりかかる。
15体近くを倒した時、まどろみの剣は根本から折れてしまった。ツカサの方も、いよいよ体力の限界のようだ。
全滅濃厚なその時
ゴオォォォ!!
突如竜巻が発声した。屋根までなんてものじゃない。天にまでとどく、見たこともないような巨大な竜巻だった。
その竜巻は周囲の敵や、壁・・・いや、ピラミッドそのものを全て巻き込み遥か上空へと押し上げていった。
ようやく竜巻がおさまった頃、辺りには何も無かった。木々も、ピラミッドの残骸さえも。手の上に黄金の爪を乗せたシズク以外。
「あの・・・ツカサは?」
「一緒に飛んでいっちゃったみたいですねぇ。私達のために黄金の爪だけを残して行くだなんて…とても優しい方々ですね。私達、これで大金持ちですね。」
嘘だ!!
絶対お前狙って奪ったよなぁ?
「じゃあ、何でお前魔法を封じられてたのにバギクロス使えんの?」
「あ、あれは私の魔力より、の、呪いが弱いからじゃないかしら。は、ハハハ・・・私のバギクロスは、他者が尊敬の意を評してカミカゼと呼ばれているのよ」
なんて言って乾いた笑いで誤魔化す彼女。
バギクロスで辺りの建物ごと吹き飛ばすなんて聞いたことねーよ。
憐れなツカサとサキ。生きていたらまた会おうな・・・
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「おぉ!愛しの勇者マコトよ。よくぞ無事に私の元へ帰ってきてくれました。私は嬉しい」
そう言うと、大臣達を押し抜け俺に飛び付くイシス女王。
イシス女王は俺を強く抱き締めると、周囲の目も憚らないでその唇を重ねてきた。
甘い香りが俺の脳を刺激する。
「・・・とさん。マコトさん!!」
「ん?痛えっ!!!」
シズクが俺に向かって鬼の形相で鏡を投げつけ、見事に顔面にヒットする。
「それはラ―の鏡と言って、真実を映し出す鏡です。それでよく、女王様を見てください!!」
何だよシズクのやつ・・・ヤキモチ妬くなら、もう少しぐらい優しくしてくれってんだよなぁ。
俺は鏡をぶつけられた顔を擦りながら、床に落ちた鏡を拾い、言われるままに鏡に女王陛下を映すと
「え?」
「どうしたの?私の愛しの勇者様。」
「あ、あんたまさか・・・お、男?」
「あらやだ。愛があれば性別なんて関係ないわ?」
そう言って、今度は男の力で俺を抱き締める女王・・・のかっこうしてる王様のイシス。
す、すると昨夜のあれも・・・
ギャアアアアアァァァァ・・・
俺の張り裂けんばかりの雄叫びが城内をこだました。後に、その叫び声は山を越えバハラタにまで聞こえたそうだが、それはまた別の話で。
「あぁ、酷いめにあった。」
「全く・・・浮気なんかするからそうなるです!!」
「でもよぉ、俺だってたまにはイチャイチャしてーよ。勇者と言ったって男なんだから。」
「じ、じゃあ口直ししますか?」
そう言うと彼女は頬を染め、瞳を閉じそっと唇を俺に向ける。
ヤバいドキドキする。
ま、まてよ?
俺の幼馴染みがこんなに可愛いわけがない。
実はシズクも男――――なんてことは無いよなぁ。
俺は道具の袋からラーの鏡で彼女をそっと映すと、鏡を突き破り顔面に食い込む光速のパンチが見えた。
ソシテマコトハフタタビキョウカイニオセワニナッタ
――続く――
マコト Lv25 装備 まどろみの剣だったもの。兜がへこんだ魔法の鎧
シズク Lv75 装備 変化の杖 黄金の爪 エルフのドレス。イシス女王のティアラ
死亡回数4回
思ったよりも早く書けました。かなーり!オリジナルな話しを混ぜたパロディものですが、よろしかったら応援してくださいね。