ヘタレ勇者とヤンデレ僧侶の大冒険   作:シズりん

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第9話

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トントン!!

「静粛に。」

 

木槌が木の机を叩く音が、広い部屋に鳴り響く。

 

俺は後ろ手に縄を縛られ、証人台に立たされている。何故だ!何故こんなことになったんだ?

 

街の検察官が一通り俺の罪状とやらを並べたてる。有ること無いことを、彼等は俺を威嚇するかのように声を荒げて。

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

少し遡る。

 

 

ピュー!

「冷てー!」

 

水鉄砲から綺麗な放物線を描き、俺のお尻に水をかける子供。

「こら!ポポタ!ダメじゃない。見知らぬお兄さんに水鉄砲をかけたら・・・って、ポカパマズさん!!」

「は?」

水をかけた男の子を咎める女の子。歳はまだ少女だろうか。あどけなさの残る笑顔が印象的だった。

しかし、ポカパマズって誰だ?

少女は男の子の手を引き、また後でと笑顔を残して走り去って行った。

 

「マコトさん。今の女の子はお知り合いなんですか?」

シズクは首をチョコンと傾け聞いてくる。

しかし、俺はこの旅に出るまでアリアハンを出たことがない。第一ポカパマズなんて名前に覚えがなかった。

そんな思考にふけっていると

 

「か、可愛い子だったな・・・」

走り去って行った女の子を愛しそうに眺めていたロレンスが呟く。

「ロレンス・・・あんた何歳だ?あの女の子は良いとこ14~5歳にしか見えなかったんだが。」

「俺か?俺は34歳だ。まぁ、今の女の子はそんなとこだろうな。」

 

ヨダレをたらしそうな顔で女の子をロレンスは見つめていた。

あ、この人自覚なしのロリコンだ。

俺が頭の中で呟くと、シズクは明らかに嫌悪感をもった表情でロレンスを睨み、両手で自分を抱き締めるようにしながら、後退りしている。

 

「へ、変態・・・」

彼女の呟きは、俺以外には聞こえなかったようだった。

 

 

 

「ポカパマズさん帰ってきたんだね?」

「いようポカパマズ!長い間どこにいってたんだ?え?違う?似てるんだけどなぁ・・・」

 

行く人行く人が俺をポカパマズという人と間違える。なんなんだこの村は。

 

ここは最果ての村。

名もな無き村。村長の話しによれば、ここは村長が作った村らしい。

何とか人は増え始めたけど商売がたち行かず、流通の経路が確保できなくて、ジリジリと衰退の道を歩んでいるのだとか。

 

 

 

 

 

「口に合うと良いんですけど。」

先程会った可愛い女の子が、俺達に焼きたてのパンを俺達に振る舞ってくれる。

 

彼女の名前は"ミーティア"

先程の水鉄砲の男の子ポポタのお姉さんで、村長エイトの娘だそうだ。

 

「本当にこの大変な時によく帰ってきてくれたな!ポカパマズ!」

村長は俺の肩をポンポンと叩き、やはり俺をポカパマズと呼ぶ。

 

「ところで村長。」

「ん?エイトと呼んでくれ。」

「じゃあエイトさん。ポカパマズって誰なんだ?」

「なに言ってんのよ~。あれだけ私や夫のエイトと酒を手に語りあって夜を過ごしたと言うのに・・・」

 

そう言って村長の奥様・・・ゼシカは懐かしいそうに空を見あげてかたる。

 

「・・・面白いことを言いますね。貴女」

 

声のトーンを何段階も下げたシズクの声とともに、身も凍るような冷気が、背後から俺を包み込む。

ギギギ・・・

首から金属音のような音でも聞こえるのではと言うような仕草で振り向くと

 

ズガァァァァァァァァァァン!!

 

凄まじい音ともに、彼女のハイキックが見事に俺の顔面を捉え、俺の意識を刈り取った。そもそもポカパマズは俺じゃないのに……

 

 

 

 

ー――――――――――――――――――――

――――――――――――――

―――――――――

 

 

「本当にポカパマズさんじゃないの?凄くよく似てるのに?」

ゼシカさんは、意識を取り戻した俺の顔をまじまじと見つめていた。

「はい。俺の名前はマコト。勇者です。」

「そっかぁ・・・そうよね。ポカパマズさんはもう少し年をとってたものね。」

彼女は心底残念そうな表情でため息をつく。

 

「ところで、エイトさんにゼシカさん。先程言ってた流通の件ですが、もし良かったら俺にやらせてもらえませんか?」

俺とゼシカの会話に割り込んできたのは、目を輝かせたロレンスだった。

大方、できたばかりの村に流通経路をひく。そこにお金儲けの臭いを嗅ぎ付けたのかもしれない。

これだから商人ってやつは・・・

 

「こうみえても、俺は旅の行商人。流通経路の確保は得意中の得意ですから。」

「ロレンスさんと言いましたよね?本当によろしいのですか?お礼できるようなものなんて、この村には何もないのよ?」

「いえいえ、とんでもありません。貴女のような綺麗な女性の頼みなら何なりと。」

ロレンスは自らの胸をドンとたたく。

 

「でも、それではあまりにも・・・そうだ。成功のあかつきには以前ポカパマズさんが置いていった剣と、家宝のこの宝玉を差し上げますわ?」

 

そう言って見せた宝玉は、なんとイエローオーブだった。

 

 

 

それから三日たったある夜

 

キャアアアアアアァァァ!!

 

村の闇夜の静寂を引き裂くような女の悲鳴が響きわたる。

 

 

――――――――――――――――――――

――――――――――――――

―――――――

 

 

 

「では、被告人ロレンス。前へ」

裁判長が、冷酷な瞳でロレンスを見ている。まるで心の内を覗き見ているかのように。

 

裁判長に向かって右側には、告訴したミーティアちゃんと、その後ろに弟のポポタと、村長のエイトさんに奥様のゼシカさんがいて、更には村人が彼女達の弁護についている。

 

向かって左側。つまり俺達の方には両手を後ろに縛られたロレンスと、彼の無罪を証明するために、俺とキョウイチが弁護についた。

 

 

トントンと木槌を突いた裁判長・・・シズクは

「では、先ずは起訴状を読み上げて下さい。」

 

すると、村の検察官もとい、警護にあたっている戦士達数人は、似合いもしないスーツに身を包み、罪状をよみあげる。

 

 

※※※※※※※

被告人ロレンスは、村長親子の良心に付け込み、

当時、喉から欲していた流通経路を創る代わりに、家宝及び家族を自分に差し出すよう要求した。

 

「意義あり!!」

俺は思わず叫ぶ。

「弁護人マコトの発言を認めます。」

 

「流通経路をひくって約束の最中、俺も現場にいました。しかし、そのような条件を付けてはいなかった。でっち上げだ!」

 

すると、ゼシカさんがシクシクと涙をみせる。

「わ、私達が嘘を言ってると言うのですか?確かに、私達の家からオーブは盗まれましたし、その時私達をロープで縛り・・・あんな・・・」

「ゼシカ、もう言わなくて良い。あんな恥ずかしい話を皆の前でするなんてキツいからな。裁判長!!証拠品の提出を要求します。」

村長のエイトが言って右手を上げる。

 

「認めます。証拠品をこちらへ。」

 

シズクが言うと、村人がオーブが置かれていた台座を持ってきた。それは、ガラスケースが割られ、中にあったはずのオーブが無くなっていた。

 

「この男は、妻の弱味につけこんだ卑劣なやり方で、オーブを奪っただけじゃなく、妻を・・・ゼシカを・・・」

 

「意義あり!!シズク!お前も見てきた筈だ。ロレンスは俺達の仲間のなかでは、比較的に良識のある人物だ。絶対にロレンスが盗みを働く訳がない!!」

 

それを勇者のお前が言うか?キョウイチがボソリと呟く。

 

「・・・弁護人。私のことは裁判長と呼ぶように。」

既にノリノリになっているシズクは、木槌でトントンしながら言う。

「しかし、弁護人の言うことも確かです。検察側はそれに対し何か言い分はありますか?」

 

「フフフ。ではこれを見てください。」

そう言ってシズクに何枚かの紙を手渡す検察官もとい、村長のエイト。

「それは、流通経路を創るために働かせた労働者の出勤記録です。見ての通り、彼等は死ぬ程に休憩もなく働かされている。しかも本人は死んでもオートザオリクがあるから大丈夫とか言って、働かせたと言います。」

 

「な!だって、オートザオリクは皆が持っているスキルな筈だ!」

「被告人黙りなさい!」

それまで黙っていたロレンスは堪らず叫ぶ。

しかし、オートザオリクが標準装備な訳がない。ロレンスは、シズクに顔面を木槌で叩かれ、さらに窮地へとたたされた。

 

俺達は確実に追い詰められていく。

 

 

「ロレンスさんが労働基準法を逸脱したのは判りました。しかし、それではミーティアちゃんと、ゼシカさんにセクハラをしたとまでは言えません。」

 

「待った!裁判長、ここで第一発見者を法廷に召還させてください。」

エイトはそう言うと、俺達をニヤリと不適な笑いをみせた。

 

 

エイトが連れてきたのは、艶やかな笑顔をたたえ、きらびやかなマントを翻し、筋肉ダルマに手を引かれた・・・

「さ、サキ!?何故きみが、そちら側に?」

証言台にたったのは他でもない。俺達の仲間、賢者のサキと武道家のツカサだった。

この村に来てから見ないとは思っていたけど、まさかこんな形で会うとは思いもしなかった。

 

「さぁ。あなた達が見たことをここで証言してください。」

検察官エイトが言うと、ツカサ達は少しだけバツの悪そうな顔をした。

 

 

「その日俺は夜の稽古を一人でしていた。すると夜の静寂を引き裂くような悲鳴がきこえ・・・」

「待った!!」

俺はツカサの話が最初からおかしい事に気が付き、思わず止める。

「お前が一人で修行なんてありえない!ここはスーの近く。ツカサが一人で戦闘できるわけがない!」

 

ぐぐっと、顔をしかめたツカサは横目にサキを見ると、サキは仕方ないとばかりに証言台にたつ。

「裁判長。ツカサの発言を訂正します。あの日私達は夜デートしていました。」

「訂正を認めます。で・・・サキさんはどのようなデートをしたのですか?」

 

ん?話の方向がずれてないか?俺はシズクの方を見ると彼女は目を輝かせて乗り出すようにサキの話を聞いている。

 

「ダメだこりゃ。話がずれている」

 

キョウイチのぼやきは俺以外の耳にはとどかなかった。

 

 

 

「とにかくだ!!イエローオーブが無くなり、彼女達にセクハラを働いたロレンスを牢屋にいれるべきだ!!」

何故か必死な村長エイト。

 

 

絶対的に不利になっていくロレンス

しかし、何故か彼は不適な笑いをたたえた。

 

「ふっ・・・村長エイトよ!お前に一つだけ決定的な事を教えてやる。奥様のゼシカさんは確かに美人だ。しかしなぁ・・・俺はロリコンだ!!」

 

同意を求めるように此方を見るロレンス。

なんでお前はドヤ顔なんだよ。

 

「よく言ったロレンスそれでこそ我が親友。俺もロリコンだ!!お前の気持ちは痛い程にわかるぜ?」

 

ニヤリと笑うキョウイチと、それを見て頷くロレンス。何だこの分かり合っている感は。

 

「マコトもそうだろ?やっぱ幼女は最高だよな?」

「・・・いや、俺はどちらかと言うとゼシカさんのような大人な女性が好み・・・」

 

 

「ふぅん・・・マコトさんは・・・そうなんですねぇ?

 

判決を言い渡します。被告人ロレンスさん並びに、弁護人のマコトさん。ついでにキョウイチさん・・・みんなまとめて死刑です!!」

 

 

シズクが判決を言うと、裁判所全体を冷気が覆う。

しまった!シズクのマヒャドか?

 

ならばとばかりに俺はマホカンタを唱え、薄い光の幕が俺達を包み込んだ。

これなら魔法がどんなに凄くてもきかない。

シズクはそんな俺達を冷酷なまでに恐ろしい捕食者の瞳でとらえると、大きく息を吸い、静かに吹きかけた。

 

 

キラキラキラ・・・

空気の水分が凍り、光を放つ。まるで北国で聞いたダイヤモンドダストだ。空気中のあらゆるものが凍りつく。冷たい空気は痛みとして俺達を襲う。

 

 

 

シズク・・・ふ、吹雪ですか

 

 

 

相も変わらず無茶苦茶なシズクの攻撃は、被告人のロレンスだけではなく、何故か弁護人の俺達まで巻き込み、裁判所を凍てつかせた。

 

 

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ザザー・・・

波の音で俺は目を覚ました。

ここは?俺が朦朧とする意識を取り戻そうと辺りを見回すと、シズクと目があう。

彼女は精霊ルビス様の如く優しく微笑んでくれた。

 

「俺は一体・・・」

「大丈夫ですか?ちゃんと手加減はしたつもりなのですが・・・でもお陰でオーブが手に入りましたよ。」

 

そう言って彼女は手のひらの上で輝くイエローオーブを眺める。

ようするにこいつはドサクサに紛れてオーブをゲットしたわけだな?

そもそも、イエローオーブを盗んだのもシズクなんじゃ・・・

 

俺は彼女を見ると、彼女は機嫌良さげに海の風を肌に感じ楽しんでいるようだった。

言えない・・・これ以上はとても。

 

「それよりもマコトさん。腰の剣をよく見て下さいよ。その剣に見覚えはありませんか?」

この紋章は・・・

 

見間違える筈がない。小さい頃から背中を追い続けたんだ。

 

「父さん・・・」

「彼女達は1人の勇者と会っていたそうですよ。彼女とエイトさんは勇者オルテガと共に旅をした者だそうです。娘のミーティアちゃんとポポタ君が出来てからは戦線を放れたそうですが・・・」

「そっか・・・そうだったんだな。」

 

 

腰の剣を空に掲げると、オルテガの剣は光を受け輝いた。

 

 

 

 

 

 

 

「なぁキョウイチ。姫とマコトのヤツ綺麗な話で終わらせようとしてやがるぞ?」

「ロレンス何も言うな。姫に聞かれたらまた屍にされるぞ?そんな事より、また航路を間違えたら、次は海に放り出されるぞ?しっかり船を漕ごうぜ?」

 

船底では二人のミイラが船を漕いでいる。

 

 

 

――続く――

 

マコト Lv40 装備オルテガの剣

シズク Lv18000 装備 裁判長の大金槌

 

屍2体と、喋る青い炎

 

ドサクサに船を漕いでいるツカサとか言ったキン肉マン

シズクの友達 賢者サキLv20(最大MP3)

 

 

 

 

 




ネタ切れ中〜
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