クロスオーバー! REBORN!×名探偵コナン 作:cibetkato
「では、今回の事件は・・・」
「ええ、その潜入に対しての、報復・・・ということでしょうね」
目暮に頷くツナの眉間にしわが寄る。
「・・・危険な任務だとわかった上で命じはしましたが、ここまでされて、黙っているわけにはいきませんし、かと言って、同じような報復手段を取るのは、ボンゴレの名を汚すことになるので。
ぜひ、皆さんと協力させて頂きたいんです。更に詳しいことは、この2人から聞いてください」
そう言って、ツナは視線で獄寺と山本を示す。
「・・・わかりました・・・ただし、こちらの捜査員を、そちらに同行させて頂ければと思いますが・・・いかがですか?」
目暮が訊ねると、ツナは素直に頷く。
「ええ、構いません・・・できれば、佐藤刑事と高木刑事が良いですけど、無理は言いませんよ?」
「いえ、大丈夫です。・・・佐藤君、高木君・・・彼らに同行してくれるか?」
「ハイ!」
「わかりました!」
敬礼した2人に頷いてみせ、目暮は、ツナに手を差し出した。
「よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
目暮の手を握り、ツナは微笑む。
和やかになった空気に、目暮は漸く先程から気になっていたことを口にした。
「しかし・・・イタリア大使までおいでになるとは・・・その・・・」
未だにツナの背にひっついているリィナ大使に視線をやりながら、目暮が言い淀む。
「あ、ジュリオのことは気にしないでください」
「気にしてくださいっ、ツナヨシ様!!」
思わず反論したリィナ大使を背中から引き剥がし、溜息をつく。
「いい加減、離れろよな・・・というか、お前はこの場に大使の権力を持ち込むつもりか?」
「私には、ツナヨシ様をお守りしなければならない義務があります!!」
「・・・煩いよ、咬み殺されたいの?」
叫んだリィナ大使の首元に、雲雀のトンファーが突き付けられる。
「・・・っ」
「沢田は僕が守る。・・・この場に大使の権力はいらないよ」
「俺達、だろうが・・・というか、確かに俺達の立場を鉄側警視が保証してくれるなら、リィナ大使の権力はいらねぇな」
「ゴクデラ氏まで!?」
ショックを受けるリィナ大使をなだめつつ、山本が苦笑した。
「まぁまぁ・・・そんな、邪険にしてやるなって・・・リィナ大使だってツナのためを思ってやってんだし」
「ヤマモト氏・・・!」
山本の自分を擁護するような発言に、パァッと表情を明るくしたリィナ大使だったが。
「でも、まぁ、権力はいらねぇのな、はは」
結局そう言われて、ガックリと肩を落とした。
イタリア大使に対して、素気無い面々に、ますます目暮達は首を傾げる。
「鉄側警視・・・」
「私も良くは知らない。が、彼ら・・・“ボンゴレ・ファミリー”は、ただのマフィアではない。
イタリアの裏社会をまとめ上げて、薬物や人身売買をするような連中を根こそぎ排除し、マフィア間の抗争もあっと言う間に抑えこんで、話し合いで解決させる。
そして、ボスであるボンゴレ10代目に至っては、イタリア政府からの信頼も篤い・・・らしい」
あくまでも他からの情報だ、と言い添えながらも、鉄側はある程度の確信を持って答えた。
「・・・それは、もう、マフィアじゃないのでは・・・」
高木が呻くように言えば、ツナが苦笑した。
「いえいえ、マフィアですよ・・・俺達は、後ろ暗いこともやってますからねー。・・・ただ単に、言葉だけで他のマフィアを抑えられるわけがないのは、わかるでしょう?」
「・・・敢えて、という部分もありますが」
獄寺がそれに言い添える。
「ま、うちは、最強の暗殺部隊も抱えてるしなー、それに、政府の言いなりになるような、ボスじゃねぇし」
山本までそう言いだして、ツナは高木に向かって、ね?と小首を傾げてみせた。
「うちは、マフィアですよ・・・マフィアで良いんです。他のマフィアが堕ちていかないように、見張るのが、俺の、俺達“ボンゴレ”の役割なんですよ。そう、“望まれた”んです」
ツナの琥珀色の瞳が細められ、不思議な光を帯びた。
「“望まれた”ですか?」
「ええ、そうです」
ツナの雰囲気に呑まれてしまった高木は、ゴクリ、と喉を鳴らす。
「そういえば、ボンゴレ10代目・・・今日は、あのヒットマンはいないんですか?」
鉄側が不意に思いだしたように問う。
「ああ、リボーンのことですか?日本には一緒に来てますよ?・・・アイツは、まぁ、見た目からしてちょっと警察に連れて行くのは難しいと思って、基地でお留守番です」
ニコニコと答えるツナに、鉄側は納得したように頷く。
「まぁ、確かに・・・彼は“いかにも”ですからね」
何が“いかにも”なのか、目暮達捜査官や小五郎達が首を傾げていると、鉄側が、あぁ、と呟く。
「会えばわかる・・・どうせ、合同捜査になるのだから、彼も出てくるだろうし・・・そうでしょう?ボンゴレ10代目」
「そうですね、一度、アイツも含めて、こちら側の面子にも会ってもらった方が良さそうですね」
ツナは頷き、目暮達に視線を向けた。
「えーと、この捜査本部の本部長って、どなたですか?」
「松本警視だが・・・」
「ああ、松本警視?・・・じゃあ、恭弥が顔繋いでるし、大丈夫かな?」
チラリと視線を送れば、雲雀は当然の如く頷く。
「その辺りの手続きは済ませておくよ・・・コレ、借りるね?」
そう言って、雲雀はリィナ大使の襟首を掴み、引き摺るように連れて行く。
「ツナヨシ様ぁ~」
「お前の権力が役立つ時が来たねぇ~、いってらっしゃーい」
情けない声を出して雲雀に引き摺って行かれるリィナ大使を、ツナは笑顔で見送る。
容赦ないその言葉は、リィナ大使にのみ向けられているようだが、彼は何かしたのだろうか?と、ツナを知る鉄側は首を傾げた。
「ん?気になりますか?」
ツナがくるっと振り返り、鉄側の顔を覗き込む。
「あ、いえ・・・その・・・」
「リィナ大使はね、イタリア本国にいる際にちょっと悪事に加担というか、まき込まれたというか・・・で、本人が悪いわけじゃないですし、でも罰しないと示しがつかないってコトで、ひと月ほどウチで預かったんですね。
・・・で、何故か懐かれてしまいまして。あまりにも鬱陶しいのでイタリア政府に頼んで日本に左遷(とば)してもらったんです」
あっさりと言ってくれるが、つまり、大使の人事権を頼んで変えられるくらいの力はある、ということで・・・。
「まぁ、別に大使じゃなくても良かったんですけど、優秀には優秀なんでちょうど変え時だった大使にしちゃえ~的な?・・・ま、大人の事情ってヤツですね」
「・・・いつも思っていますが・・・なんてお方だ」
なんてことはないと言わんばかりのツナに、鉄側は、ガックリと肩を落とした。
「・・・組織は、もしかしたら、とんでもない相手を、敵に回したんじゃないかしら・・・?」
「そうかも・・・な」
哀が呆然と呟き、コナンも呆然と頷く。
「な、なんだか、沢田さんって・・・スゴイよね」
「スゴすぎて・・・訳わかんなくなってきたわ」
蘭も園子も、スケールの大きすぎる話に、着いていけないとばかりに首を振るしかなかった。