クロスオーバー! REBORN!×名探偵コナン 作:cibetkato
「ごめん、蘭姉ちゃん・・・今は、蘭姉ちゃん達には話せないんだ」
そう言ったコナンに、納得できないのは他の子ども達だった。
「なんでだよ!」
「水臭いですよ!」
「コナン君、哀ちゃん・・・どうして?」
元太や光彦、歩美に詰め寄られて、コナンは申し訳なさそうにうつむく。
その時だった。
蘭や園子、子ども達が突然その場に倒れる。
「えっ!?」
「どないなってんねや!?」
慌てるコナンや平次の傍に、クロームが三叉槍を片手に携えて歩み寄った。
「・・・ボスがやれって。今の会話なかったコトにもできるけど、どうする?」
「・・・ナルホド、コレが幻術っちゅうヤツか」
コナンには聞かされていたものの、誰にも気付かれずに幻術をかけたクロームにわずかな恐怖を抱く。
「で、どうするの?江戸川君・・・今の会話、覚えていられると後でまた質問攻めよ?」
哀がコナンに視線を向ける。
「そう、だな・・・今の会話はなかったコトにしてください」
コナンがそう言えば、クロームは頷いて三叉槍で床をトン、と突いた。
「・・・これで大丈夫」
「クローム、ご苦労様。・・・それから、ごめんね?勝手かとは思ったんだけど」
クロームをねぎらった後、ツナはコナンに視線を向けた。
「いや・・・ツナさんの判断は間違ってないよ。まだ、コイツ等には知られたくないコトなんだ」
「そっか。なら良いんだ。・・・で、随分と雰囲気が変わったね?」
他の面子の意識が無いと知るや、コナンのまとう雰囲気ががらりと変わった。
そのあからさま過ぎる変わりように京子達ですら気付いたのだから、今までのコナンが演技をしていたことは明白だった。
「僕と灰原は“APTX4869”を飲んで体が小さくなったから、って言ったらどうしますか?」
驚かれるのか、それともあそこまでこの毒薬を調べていたのだから薄々は気付いているのか。
ツナ達の反応を確認しようと視線を上げたコナンは、穏やかな笑みをうかべるツナを視界に収めて後者であることを確信した。
「・・・やっと、話してくれる気になったんだね」
ツナは穏やかな笑みをうかべたままそう告げた。
「・・・どこまでわかっていますか?」
コナンが問う。
「初めて会った時には既に君は正体について嘘をついていると直感してたんだ・・・最初は君の目的がわからなかったんだけど、毛利探偵事務所に出入りしている人物を調査して、ここ数カ月行方知れずになっている人物が1人だけいた」
そこまで聞いた時点で、コナン達にはその人物が誰なのかわかった。
「工藤新一・・・ですよね?」
コナンがその表情を伺いながら訊ねれば、ツナは苦笑した。
「そう・・・たぶん、君の正体は・・・」
「工藤新一、東の高校生探偵っちゅうこっちゃ」
平次がツナの言葉を継ぐ。
「やっぱり、そうなんだね」
「気づいてたのに、黙っててくれたんか?」
「確信が持てなかったっていうのもあるけど・・・君達から言ってくれるまで待とうって思ってたんだ」
にっこりと笑ったツナに、平次はかなわんなぁ~とぼやく。
「次は私ね」
スッと前に出た哀に、ツナは目を細めた。
「哀ちゃんも話してくれるんだ?」
「ええ・・・私が工藤君をこんな風にしてしまい、貴方方の仲間を死なせてしまったのも同然だから」
哀の言葉でツナと正一が顔を見合わせる。
「えーと・・・もしかしなくても、君があの薬の開発責任者だったっていう“シェリー”なのかな?」
「!・・・コードネームは調査済みだったのね」
正一の確認に目を瞠り、哀は軽く息をつく。
「まぁ、骸さんが色々と調べてくれたからね。・・・元々ああいった輩は大嫌いだし、アメリカではなくイタリアに拠点を置いていたら容赦なく潰していただろうに」
「本当に残念だよね・・・イタリアに拠点があれば君達のために動けたんだけど」
正一とツナの言葉に、コナンは苦笑をうかべた。
「しょうがないですよ、ツナさん達だって世界中で好き勝手出来るわけじゃないんでしょう?」
「・・・まぁ、圧力を掛ければ出来なくもないけど・・・そうするとパワーバランスが崩れちゃうし、あまりボンゴレの権力は使いたくないんだ」
「それで良いんです・・・僕達のためにそこまでする必要はないですから。僕達のことは僕達で解決します」
「・・・まぁ、しばらくは日本で無茶が出来ないように牽制だけはしておくからね?」
それが、補給ルートを潰しに行ったヴァリアーの件だとわかったコナン達はコクリと頷いた。
「フフ、彼らもさすがに恐怖を感じるでしょうね。・・・後は薬の処方箋さえ見つかれば」
「処方箋かぁ・・・俺達も探したんだよ?でも、見つからなくって」
ツナが言えば、哀が困ったように眉を寄せた。
「私が以前取りに行ったフロッピーディスクの中にあったんだけど、組織のパソコン以外で開くとファイルが壊れるようになってたみたいで・・・」
「あー、そうなんだ。それはしょうがないよね・・・そのフロッピーディスクは手元にないんでしょ?」
「ええ・・・ごめんなさい」
「いや、謝んないでイイから。あれば、復元できるかな~なんて思ったんだけど。ないならしょうがないよね」
「・・・解毒薬は未完成だけど、少しの間なら元の姿に戻せる所まで来ているの」
「きっかけは、風邪と白乾児(パイカル)っていう酒や」
「風邪と」
「お酒?」
首を傾げるツナ達に、哀が説明を始めた。
「以前、工藤君が風邪をひいていた時に、大阪の彼が持って来たそのお酒を飲んで元の姿に戻ったことがあったの。
・・・私もその現象を利用して組織に正体がバレずに済んだことがあって・・・そこからヒントを得て解毒剤を作っているんだけど・・・」
「風邪・・・免疫の働きとそのお酒の成分が解毒薬に近い効果を発揮しているってことかな?」
技術屋ではあるが、薬学にも最近手を伸ばし始めている正一が訊ねれば、哀もおそらく、と頷く。
「ただ、どうやって調合するのが良いのか・・・まだ、試験段階だから何度もは試せないの。万が一にでも解毒薬が体に慣らされてしまえば、一生戻れなくなるかもしれないし」
「・・・ああ、そうだろうね。でも、そうか・・・風邪とお酒ね」
うんうんと頷く正一は、もう既に技術屋の顔になっている。
「・・・正一君、その解毒薬の成分から“APTX4869”の成分ってわからないかな?」
「うーん・・・完全じゃないとなると細かい所まではわからないかも。でも、やってみる価値はありそうだね。哀ちゃん、その解毒薬って今持ってるかい?」
「え、ええ・・・」
ゴソゴソと鞄の中を漁り、一錠の錠剤を正一に渡す。
「・・・結果が出なくてもガッカリしないでね。ダメモトのつもりでやるから」
「もちろんよ。私もそれをやろうとして失敗しているから・・・」
だが、ボンゴレの技術があればもしかしたら、と思わずにはいられない。
「そうか、開発責任者の哀ちゃんでも無理だったかァ・・・機械系なら得意なんだけどね・・・薬となるとまだまだ・・・」
「・・・じゃあ、薬を調合したり分解したりできる機械を作ればいいんだよ」
ツナが言えば、正一がポンと手を打つ。
「スパナやジャンニーニさんに相談してみる!」
ダッシュで部屋を出て行ってしまった正一を、コナン達は唖然として見送った。