クロスオーバー! REBORN!×名探偵コナン   作:cibetkato

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黒の組織ぼっこぼこ。

そもそも勝てるわきゃないんです。


決着

 満月が空に登りきった頃、並盛埠頭で1人海を眺めていたツナは近付いてきた殺気に振り返った。

 

「ボンゴレ10代目だな?」

 

「・・・そうだよ。お前が、リモンチェッロだね?」

 

 向き合ったツナは、クロームや骸からの報告と寸分違わぬ出で立ちの男、リモンチェッロを見つめながら問う。

 

「アジトにあれだけの人数を潜り込ませてくるとは・・・随分とナメた真似をしてくれたものだ」

 

「先に手を出したのは、そちらだと思うんだけれどね。同盟ファミリーに泣きつかれたら、盟主であるボンゴレが動くのは当然だろう?」

 

「・・・盟主、確かにボンゴレはイタリアでも相当の力を持つマフィアであることは確かなようだが・・・ボンゴレは血統を重んじるあまり、ろくでもないボスが立ったと有名だぞ」

 

 リモンチェッロの言葉に、ツナはクツクツと笑う。

 

「ふぅん・・・それがウチの敵対組織に潜り込んで調べたこと?」

 

「・・・なにが、おかしい?」

 

「ふふ・・・ボンゴレを・・・俺の事を調べたかったなら、敵対組織じゃなく同盟組織に潜り込むんだったね。ろくに調べられなかったんだろう?」

 

「!」

 

 表情を強張らせるリモンチェッロに、ツナは尚も挑発的な言葉を投げかけた。

 

「イタリアンマフィアの使う武器が何か分かったか?なぜ、あそこまで沈黙の掟を守っているか、その理由を口にしたヤツはいたか?・・・いないだろう?なぜなら、お前はイタリアンマフィアじゃないと皆がわかっていたからさ」

 

「なっ・・・」

 

「お前の知りたいことを知らない奴なんていないんだよ。イタリアでほんの少しでも裏の世界に足を突っ込んだ者なら・・・ストリートチルドレンだって知っていることだ」

 

 余裕の笑みをうかべて告げるツナに、リモンチェッロは唇を噛みしめた。

 

 その様子を見ていた佐藤と高木が思わず身を乗り出す。

 

「・・・待って。大丈夫だから」

 

 そこを、クロームに押しとどめられる。

 

「でも、あんな風に挑発したらッ」

 

「そうですよ、いくらなんでも危険過ぎです」

 

「大丈夫、ボスを信じて」

 

 クロームの瞳に見つめられ、佐藤と高木はウッと詰まる。

 

 どうもこの瞳は庇護欲をかきたてられるというか、反論しにくいというか。とにかく今にも泣きそうで強く反発出来ない。

 

 それがわかっていてツナがクロームをその場に配置したのだとも気付かず、佐藤と高木は渋々状況を見守ることにした。

 

「・・・さて、俺をここに呼び出したということは、決着をつけたいということだろ?」

 

「俺には後が無い・・・イタリアではろくに情報を仕入れられず、貴様等ボンゴレにアジトへの潜入を許した・・・ジンに始末される前に、武器の情報だけでも手に入れさせてもらう!!」

 

(・・・ジン、ねェ。幹部の1人だったっけ)

 

「あっそう。それで?どうやって武器の情報を手に入れるのかな?」

 

「このッ!!」

 

 ツナの小馬鹿にしたような態度に激昂したリモンチェッロが、とうとう銃を取り出す。

 

「・・・ふぅん、イイの使ってるじゃない。イタリア製のベレッタM951・・・Rの方かな?フルオートみたいだし」

 

 コードネームも使う武器もイタリア製のものということは、おそらくイタリア人の血も混じっているのだろう。

 

「・・・イタリア育ちなら、聞きかじることもあったかもしれないのにねェ」

 

「っ!・・・クソがっ!!」

 

 未だ余裕を見せるツナに、リモンチェッロが発砲する。3発、間隔の短い銃声がして、周りを固めていた刑事達が身体を強張らせる。

 

 だが、まだ突入のゴーサインは出ていない。

 

「・・・で?」

 

「あ、当たらなかっただと!?」

 

 相当銃の腕に自信があったのだろう。その場をさほど動いていない様子のツナが無傷なことにギョッとする。

 

「そんなの、力を使わなくたってわかる。・・・狙ってくる所は急所。なら、ほんのわずか身体をずらすだけで弾には当たらない」

 

 そんなことを言ってくれるが、言うほど簡単ではないことぐらいその場の全員がわかっている。

 

「な・・・な・・・」

 

「ふふ、次は俺の番だよな?」

 

 その表情は満面の笑み。“眉間にしわ”は――無い。

 

「・・・笑顔の悪魔」

 

 ボソリ、と鉄側が呟く。

 

「警視?」

 

 目暮が鉄側を見上げる。

 

「ボンゴレ10代目の二つ名だ。・・・ボンゴレ10代目は戦いを厭う。いつも眉間にしわを寄せ祈るように戦う。それが彼のスタイルだが、本当に腹を立てている時は眉間のしわは消え笑顔になる」

 

 あの笑顔は戦いを楽しんでいるのではない。マフィア界で心中を読まれることは忌避されていることで、怒りの表情を隠すために編み出した彼なりの“仮面”なのだ。

 

「・・・大変なんスね・・・」

 

 小五郎がポツリと呟く。

 

「この様子では我々の手は要らないだろう。佐藤君と高木君にボンゴレ10代目が相手を倒したらすぐに逮捕するように伝えてくれ」

 

「わかりました」

 

 鉄側の指示に目暮は頷き、インカムをつけている全員に聞こえるように設定したマイクでその指示を告げる。

 

 事態が動いたのはその次の瞬間だった。

 

 ツナはグッと足をばねのように縮め、一気にリモンチェッロとの距離を詰める。

 

 呆然としていたリモンチェッロはハッとして銃を構えるが、その手をツナの左足が蹴りあげる。

 

「ぐッ!」

 

「いっぱぁ~つ」

 

 のんびりとした掛け声に、リモンチェッロは背筋を凍らせる。

 

 その腹にツナの回し蹴りが綺麗に入る。

 

「ッはぅッ!!」

 

「にはぁ~つ」

 

 くの字に身体を折り、息を詰まらせるリモンチェッロの脳天めがけ、指を組んだ手を振り下ろした。

 

「~~っ!!」

 

「さんぱぁ~つ・・・ハイ、終了」

 

 コンクリートの地面に沈んだリモンチェッロを見下ろし、ツナは首を傾げた。

 

「あらら、もうのびちゃった?・・・一応、手加減はしたつもりだったんだけど?」

 

「沢田さん!」

 

 リモンチェッロが沈黙したのと同時に、佐藤と高木が駆け寄ってくる。

 

「だ、大丈夫でしたか?!」

 

「ええ、大丈夫ですよ。全然怪我もしていませんから安心してください」

 

 高木の質問にニコニコと答えるツナに脱力感を覚えながら、佐藤はリモンチェッロに手錠をかけた。

 

「詳しいことは署で聞くわ・・・って聞こえてないわね。脳震盪かしら?」

 

「だと思います。思いっきり脳天ぶん殴ったので」

 

「ま、まぁ、抵抗されないなら、楽・・・ですよね、佐藤さん」

 

「そ、そうね」

 

 口元を引き攣らせながら自分達を納得させるように口を開く2人に、ツナはクスクスと笑う。

 

「だから言ったでしょう?すぐ終わりますって」

 

「・・・この程度の相手なら、心配するだけ損だぞ」

 

 笑顔のツナの脇に、リボーンが立つ。

 

「損って、酷いなァ・・・心配してくれたことは純粋に嬉しいって思ってるのに」

 

「わかったわかった。・・・とりあえず、クローム以外のウチの連中は帰したぞ」

 

「ああ、ありがと」

 

「呼んでねェヤツ等は来たけどな」

 

「ん?」

 

 ツナが視線を向けた先には満身創痍の身体を引きずって殺気立つ守護者3人と、それをニヤリと笑いながら見つめているヴァリアーボスの姿だった。

 

「うわァ・・・ものすご~く怒ってらっしゃる。1人楽しそうなヤツもいるけど・・・」

 

「まぁ、素直に怒られとけ。じゃねェと長引くぞ」

 

「ふぇ~い・・・」

 

 渋々といった様子で自ら怒られに向かうツナを見やってから、リボーンは埠頭の右奥に視線を向ける。

 

「・・・ふぅ、アホ牛が。お使いの1つもできねェのか」

 

 コソコソと隠れるようにしてこちらを見ている彼等を視界に収めた瞬間、読心術の使えるリボーンが捉えたのはランボの叫びだった。

 

 良くも悪くも馬鹿正直に心の中で状況を吐露しているランボのおかげで、ここまで彼等が来ている理由を労せず知ることができた。

 

 そんなリボーンの元に仮の捜査本部になっていたワゴン車から降りてきた鉄側、目暮、小五郎が近付いて来る。

 

「・・・リボーンさん」

 

「合同捜査はここまでだ。後はオメェらの好きにしろ。・・・こっちは火の粉を払い終えた。本国に帰る」

 

 声をかけた鉄側に、リボーンはそう言ってモミアゲに触れる。

 

「おかげで早期解決することが出来ました。ボンゴレ10代目に御礼を言いたいのですが」

 

「無理だ、諦めろ。・・・アイツは今、説教を受けている最中だ」

 

 視線で示されている方を見れば、トンファーをかざした雲雀が彼の背後に立ち、ツナは涙目で頭を押さえて正座をしている。

 

 更には獄寺がその目の前で眉間に深いしわを寄せて何事かを話し、山本が笑顔で刀の柄に手を置いて殺気を放っていた。

 

「・・・愛されていますね」

 

「守護者の連中は何かしらアイツに惹かれるものがあって付いて来ている連中ばかりだからな」

 

 そう言う自分もツナに惹かれてフリーのヒットマンからボンゴレの所属になったのだから、彼等をどうこう言うつもりはない。が、あまりにも過保護過ぎはしないだろうかと思うのだ。

 

「まぁ、礼なら俺がツナに伝えても良いが・・・そもそもこちらの失態だからな、逆に恐縮すると思うぜ?」

 

「それでも・・・礼を言っていたと伝えてください。それと、今度は事件ではなく里帰りに来てくださいとも」

 

「・・・そんな余裕はねェと言いてェところだが・・・まぁ、伝えておくぞ」

 

 リボーンが頷いたのを確認し、鉄側達は会釈をしてその場を立ち去った。

 

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