クロスオーバー! REBORN!×名探偵コナン 作:cibetkato
それから数日後、新一達は関西国際空港にやって来ていた。
「久しぶりやね、蘭ちゃん、園子ちゃん、志保ちゃん!」
元気いっぱいという表現がぴったりくる美少女が女性陣に駆け寄る。
「久しぶり、和葉ちゃん!」
「ホント、久しぶりよね」
「・・・こんにちは、お久しぶり」
一気に賑やかになった女性陣を見やりながら、米花町から女3人男1人でやって来た新一はぐったりと平次の肩に手をかけた。
「・・・つ、疲れた・・・!」
「おいおい、工藤、大丈夫かァ?」
「・・・だいじょばない・・・」
思わず苦笑した平次に、新一はボソリと漏らす。
「災難やったなァ・・・出発が関空やなければ俺等がそっちまで行ったんやけど」
「・・・ハァ、まァ良いさ。蘭達も楽しそうだしな」
「ハハッ、せやせや、その意気やで。イタリアのバーリ国際空港までは一直線や。そっからはなんや向かえが来るらしいし、安心してええで」
「・・・ちょっとは休めそうだな」
新一が言えば、平次は頷いた。
「時間もかかるしな。寝ておいた方が楽やで?」
「ああ、そうする」
イタリアと日本との時差は約マイナス8時間で、直行便で行くと約12時間強で着く。昼の1時の便に乗れば、ちょうど夕方に着く計算だ。
それぞれが搭乗手続きを終え、待合所で飛行機への搭乗を待つ。
「ね、新一。」
蘭がこそりと声をかけてくる。
「ん?」
新一が視線を向ければ、蘭はニコニコと問うた。
「イタリアって、サッカ―も有名なんでしょ?そっちは興味が無いの?」
「あー、そうだよな。観に行きたいけど・・・シチリアだと、パレルモとカターニアにチームが有ったな」
プロサッカーリーグ、セリエA。サッカーをしているからには興味がまったくないわけではないが、今回は観戦の余裕があるかどうかが問題だった。
新一がそう言えば、蘭は肩を落とす。
「そうだよね、招待されて行くんだもんね・・・」
「まぁ、自由行動時間くらいは有るだろ?完全なツアーじゃねぇんだし」
「そっか・・・そうしたら、新一は観に行くの?」
「どうかな・・・それよりは、街の散策に行く・・・かな」
今は、どちらかというとサッカーよりあの人だ。
イベントも本当ならばオマケでしかない。
もう一度会いたいのだ。この姿で。・・・きっと事件が解決したことくらいは耳に入っているだろう。だが、直接御礼を言いたかった。
手出しはしなかったが、彼の守護者達にそれとなく見守るように告げていてくれたことを知っているから。
***
そしてやって来たイタリアの地。
空港まで迎えに来ていたイベント関係者(イタリア人)に連れられてシチリア島に渡ると、辺りはすっかり暗くなっていた。
「ホテルの最上階にて会食の後は、皆さんのご自由にされて頂いて構いません・・・お部屋は2部屋用意させていただいております」
流暢な日本語にホッとしつつ、新一達は荷物をそれぞれの部屋に置き(しかもスイートルームだった!)会食が行われるホテル最上階のレストランに向かう。
そこには平次が解決した事件の当事者だという社長(日本人)とその妻(イタリア人)がおり、その友人達に引き会わされた。
「噂は良く聞いてるぜ、東の工藤・西の服部って・・・有名な高校生探偵なんだろう?」
ニコニコと人懐っこい笑顔をうかべて、社長夫人の友人だという男性が話しかけてくる。
「日本語、お上手ですね」
蘭が感心したように告げれば、彼はクツクツと笑う。
「まぁ、ウチの会社の同盟で大元締めの初代が日本に移住したこともあって親日家が多いんだ。・・・俺も何度か日本に行ってるしな」
だから、新一や平次のことも聞いたことがあるのだと告げる。
「・・・ボス」
彼の後ろに控えていたサングラスの男性(護衛だろう)が、携帯電話を差し出した。
「あ、悪い・・・ちょっと急ぎの電話みたいだ」
社長に一言告げると、彼は席を外す。
とはいっても部屋の隅に移動しただけなので、話声は聞こえてくる。
「チャオ!・・・ん?なんだ、“ツナ”か・・・ああ、そうだぜ。えーと、明日のイベントは・・・」
彼はくるりとこちらを向き、声を張り上げた。
「なぁ、明日って何時からセレモニーが始まるんだっけ?」
「10時ですよ、スィニョール・キャバッローネ」
「グラッツェ!・・・ああ、聞こえたか?そう、10時にマニアチェの城塞な~?」
尚も相手と話していたが、突如イタリア語に切り替わって、それ以上は何を話しているのかわからなくなってしまった。
が、彼の口にした“ツナ”という名にものすごく心当たりのある新一達は挙動不審気味に社長に問いかけた。
「あ、あの・・・えっと、さっき彼・・・キャバッローネさんが言ってた“ツナ”って・・・」
「ああ、沢田綱吉さんといって、今回のイベントを行うにあたって文化遺産を使わせてもらう許可を政府から取り付けてくださった方なんですよ」
「ディーノ君と私は学友でね?・・・彼の知り合いである沢田さんにお願いしてもらったのよ。沢田さんって、政府にも顔が効くから本当に助かっちゃったわ」
ニコニコと答えてくれる社長夫妻に対して、新一達はなんでこんなに世間っていうのは狭いんだ!?と心の中で大合唱していた。
「え、えーと・・・その、気ぃ悪くされたら、すんません。その沢田さんってのは、もしかしてボンゴレっちゅうマフィアの・・・?」
「おや、ご存知でしたか。まぁ、それは裏のお仕事ですよ。・・・表のお仕事はホテルやらカジノやらアミューズメントパークやらと手広くやってらして、結構、恩恵に与ってる一般企業も多いんですよ」
カラカラと笑う社長に、最終確認してしまった平次は思わず新一と顔を見合わせた。
「こんな偶然ってあるか?」
「いや・・・むしろ、必然な気がする・・・」
運命の女神とやらが、新一達と彼等を引き会わそうとした結果がコレなのだと受け入れるほかに無いくらいに良く出来た再会。
平次がこの社長が巻き込まれた事件を解決するために動き出した時点から、既にこの再会までのシナリオが出来上っていたとしか思えない。
「でも良かったやないの、会いたかったんでしょ?探す手間が省けたやん」
和葉が前向きな言葉を発すれば、確かに探しまわる必要がなくなったコトを喜ぶべきだと、皆の表情が緩んだ。
「おや、沢田さんとお知り合いで?」
そんな面々を見つめ、社長が首を傾げる。
「え、ええ。ちょっとあの人等が絡まれた事件に関わって・・・」
平次が答えると、社長夫妻は納得して頷いた。
「それは良かった。今回のイベントのスポンサーでもあるので、皆さんにはぜひお会いして頂こうって思っていたんですよ」
マフィアと知っていながらスポンサーになってもらっているという社長を褒めるべきか呆れるべきか悩みどころである。
いや、むしろ、彼にお願いされて文化遺産を使っても良いと許可を出した政府にツッコミを入れた方が良いのだろうか。
そのまま、ディーノが席に戻るまで、何とも言えない微妙な空気が新一達を包んでいた。