クロスオーバー! REBORN!×名探偵コナン 作:cibetkato
「・・・っくしゅん!」
「む?・・・風邪か?雲雀」
「・・・いや・・・誰かが噂でもしてるんだろう」
顔を覗き込んできた了平を避け、雲雀は答える。
くしゃみと同時に寒気まで感じたから、ただの噂じゃない気がするのだが、それを了平に言っても、“極限、わからん!”で済まされそうなので、余計な労力を省いた。
「それで、笹川さん・・・こちらの情報なんですが・・・」
「おう、すまんな、草壁」
再び、草壁とともに資料と睨みあいを始めた了平を放っておき、雲雀は縁側まで出て、中庭を眺める。
「・・・僕が統轄を任されている日本で事を起こすなんて・・・舐められたものだね・・・徹底的に咬み殺してあげる・・・」
雲雀は、風紀財団を立ち上げる際、ツナから莫大な資金と共に、日本でのボンゴレの指揮権を与えられた。それは、守護者である雲雀が、ツナの傍ではなく、並盛を拠点にするということを周りに認めさせるためでもあった。
面倒だと思う反面、その信頼に応えてやりたいと思う。他でもない、彼のために。
「恭さん、例の天空部隊の者の件ですが・・・」
「ああ、アレは僕の落ち度だ・・・僕が直接、警察に“迎えに行く”よ」
「!・・・良いのか、雲雀」
一歩間違えば、公文書偽造の罪に問われかねない。そんな危険を冒させても良いものか、と了平は悩む。
「僕を誰だと思ってるの?」
そんな了平を、雲雀は呆れたように見つめた。この男は、いつだって己を“普通の人間”のように扱うのだ。あのツナでさえ“雲雀恭弥”として扱うのに。
「ん?・・・ああ、そうか・・・お前に限って、そういう心配はないのか」
首を傾げていた了平だったが、不意に“そのこと”に思い当たり、納得した様子を見せた。
「当然だろう?・・・それに、彼にもお願いされたしね」
「・・・沢田が頼んだのか?お前に?」
「そうだよ。・・・彼はよく僕に“頼みごと”をするからね・・・僕は、便利屋じゃないんだけど」
そう言いながらも、雲雀はツナの“頼みごと”を断ったことが無い。そのことを知っている草壁はひっそりと笑う。
「そうか!お前も、だいぶ守護者の役割をわかってきたのだな!!」
「・・・僕は、守護者とかはどうでもいいんだよ。ただ、彼の“頼みごと”が僕にとって必要なことでもあるから、請け負っているだけだよ」
まったく素直ではない。口にすれば反発されるのは目に見えているので、了平はそう心の中でぼやいて肩を竦めた。
「というわけだから、早々にボンゴレのアジトの方に戻ってよ、いつまでも居座られるのは迷惑だ」
しっしっ、と動物でも追い払うような仕草をしてそう言う雲雀に、了平はムッとするものの、ここで争っても仕方がないと諦め、草壁から書類を受け取ると、踵を返した。
「ではな!・・・また来るぞ、雲雀!」
「・・・来なくていいよ」
了平が無遠慮にズカズカと己の領地に入って来るのは、最早慣れっこである。既に諦めの境地であるが故に、溜息交じりに言い返す言葉も、雲雀らしくない弱々しいものだった。
「では、恭さん・・・」
了平の姿が見えなくなると、草壁が促してくる。
「うん、出かけるよ、哲」
その言葉を受け、準備を始めた草壁の背から視線を逸らし、雲雀は空を見上げた。
「・・・僕達の大空はとてもお怒りだ・・・奴らは彼の恐ろしさを命に深く刻むことになるだろうね」