弱虫兄貴のリスタート   作:バタピー

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夢か幻か現実か…?

「うぅ…痛い…痛…くない?

あれ?」

 

 

痛みで目を覚ましたのに目を開けたら痛みは消えた。

目の前は全て真っ白…上も下も左右も…影も無い。

体も見回す。

無傷。

スーツも綺麗なままである。

何一つ、ほつれもない。

 

 

「なんだ…飲み過ぎ…そうだよ、飲み過ぎだよ!

ははは、そうだよな。

きっとあれだ、多分夢…だよな……?」

 

 

定番である頬をつねる。

…痛い。

 

自分をひっぱたいてみる。

…そこそこ痛い。

 

 

「なんだこれ!

痛いじゃねーか!

夢なのか!?

夢じゃないのかコレ!?

覚めろよ、ひゅうがが見れねぇじゃねぇか!」

 

『しーずーまーれー。』

 

 

どこからか、腹のそこまで響く声が聞こえる。

心に直接語りかけてるのか…?

河野は気が動転しかけている。

 

 

「え え え?」

 

『落ち着くのだ…私はここにいる。』

 

 

真っ白から薄く輪郭が現れる。

姿が見え始める。

黄土の衣…木の杖…立派な口髭…頭上の天使の輪。

これは見た事がある!

 

 

「神…神様…?」

 

「左様、私が神だ。」

 

(怪しい…神が自分の事自慢げに神なんて言うか?

ってか笑神様は○○にって言うあれじゃねぇか。)

 

「誰が笑神様じゃ。

神だっつってんだろ。

心も読めんだぞ?」

 

 

これには酷く驚いた。

こんなにあっさり心が読まれるのなら…本物かもしれないと思ったからだ。

 

 

「そうだ、本物だ。」

 

「神様って…意外とそのまんまなんですね。」

 

「見える者の1番想像しやすいものになっているだけだ。

某番組にそっくりなのもその影響じゃろうに。」

 

 

あごひげを撫でながら答える。

 

 

(まさか…死んだら神様自身がお迎えに来てくれるとは思ってなかった…。

案外幸せな死に方したかもな…職場の人と仲良く飲んだ後で死ぬなんて…。)

 

「あ いや…その事なんだけど…。」

 

 

急に神様の顔色が変わった。

 

 

「それなんだけど…ちょっと…ごめんね?

実はモ○タリングって奴のもしもシリーズを真似してたら…」

 

 

口調が変わり、事情も変わった。

 

 

「真似してりんご落としたら俺が死んだということですか?」

 

「ご名答!」

 

「ご名答じゃねぇ!!」

 

 

頭を抱えて突っ伏す河野。

 

 

(あぁ…せっかく仕事も恋愛も順調だったのに!

しかもよりによって、ひゅうがを見る前に死ぬなんて…

このクソジジイふざけんな!)

 

「クソジジイとはなんて奴!

神じゃぞ!」

 

「ところどころ思考を読むのやめろおぉほほほ…

うぅ…うぅ…俺の人生が…うぅ…」

 

 

あまりのショックにボロボロになって泣き始める。

 

 

「まぁ…その…なんだ…?

お前の頑張り次第では生き返らせてもいいんじゃぞ?」

 

「え 生き返らせてくれるんですか?(ってか原因が神様なんだから無条件で生き返らせてくれてもいいじゃん。)」

 

「…」

 

 

心は読んだがあえて聞いてないことにした。

 

 

「んー…じゃがなぁ…死んだ人間は生き返らせてはいけないのがこの世界の掟なんじゃ。

…まぁたまに棺桶で生き返ったり、埋葬後に生き返るのはほぼわしのミスじゃが。」

 

「神様…なかなかやらかしてるんすね。」

 

「暇を持て余した神々の遊び!

…じゃからな。

はーっはっはっは!」

 

(この神様ホントに神様かよ。

何年前の死んだ芸人のネタ使っとんねん。)

 

 

神の目にも涙なり。

本来ならこのような不届き者には天罰が下るが原因が自分にある以上天罰を下せない…

 

 

「…と言うわけで、お主が生き返るに相応しいか図りにかける。

そいっと。」

 

 

目の前に漫画が並べられる。

漫画には[河野豊]と書かれているものも混じっている。

 

 

「これは…俺の漫画!」

 

「いかにも、おヌシのじゃぞ。」

 

 

横に並べられる漫画。

背表紙は全てが繋がるように出来ている。

アニメや映画やまさかの実写化(…)もされたあの有名作だ。

 

ドラゴンボール

 

全42冊 全519話

 

 

その全てがそこにある。

…と言うか河野自身の部屋からまるまる持ってきたと言える。

 

 

「まさか…。」

 

「察するのが早いのぅ。」

 

「冥土の土産って言うなら…護衛艦はつゆきの除籍記念メダ「期待したワシがアホだった。

単刀直入に言おう、この世の最後を見届けて見せろ!

そうすれば生き返らせてやる!」

 

 

しばしの沈黙…と言うか河野は飲み込めていない。

 

 

「神様…いくら何でも漫画に入れとは…」

 

「ワシは神だ。

全知全能じゃぞ?

試しにほれ〜」

 

 

あっという間に河野はパンツ一丁になる。

 

 

「なっー!」

 

 

小さく平べったくなった一式は36巻に吸い込まれていく。

 

 

「どうじゃ?

これはお前のじゃろう?」

 

「た…確かに…(これは…これは本物だ…)」

 

 

ページの隅に落書きみたいだが自らの鎧…スーツが描かれている。

 

 

「というわけで、今からおヌシを生き返らす準備をする。

その間この世界を駆け抜けろ!

なんといおう…」

 

 

話が長いので割愛するが、生き返らす条件は以下である。

 

 

・ドラゴンボールの世界に入れば何をしても良い

 

・死んだら終わり(だがドラゴンボールで生き返る事は可)

 

・河野が投入されるのはジャンプコミックスの17巻

 

・オリジナルキャラクターではなく…

 

 

「…というわけじゃ。」

 

「ふざけんな!

なんでラディッツなんだよ!」

 

 

物語中盤…Z戦士達に倒されたラディッツに憑依し、生まれ変わるというものだった。

 

 

「なんじゃ?

ラディッツのどこが悪「大体100ページくらいしか出てこない雑魚ロン毛じゃないか!

ってかこいつのせいで戦闘力の計算がとかややこしい設定になってるじゃんかよ!

俺はすぐに死ぬのはごめんだ!」

 

「…やはり人気がないのぅ。

だがラディッツでなければならん!

他のキャラクターだと色々設て…弊害が及ぶ!

わかってくれたまえ!」

 

 

途中のことは聞き取ってなかったのが幸いだった。

渋々ながらも河野OKを出した。

 

 

「よ よし、ならば…」

 

 

神は17巻を手に取る。

 

 

「生きて帰ればそなたを生き返らす!

これだけは必ず約束しよう!

それと最後に、神からのアドバイスだ!」

 

 

掌がバチバチと電流を放ち始める。

いよいよだ。

 

 

「ゲームも漫画も読んでたおヌシならわかるだろう。

この世界で手を抜くことは即死につながる。

心して覚えておけっ!」

 

「は はい!」

 

「そんじゃ、逝ってらっしゃい。」

 

「神様、それ漢字が違」

 

 

少々白煙を上げて17巻へと飛んでいく。

ドラゴンボールの世界へと入ったのだ。

 

 

「暇つぶしにはなるか…わしのミスではあるが…頑張りたまえ。」

 

 

神はゆっくりと17巻をめくる…

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