弱虫兄貴のリスタート   作:バタピー

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挨拶がだいぶ遅れましたが、明けましておめでとうございます。

今年も少〜しずつ、更新をしていくつもりです。
これからもよろしくお願い致します!

誤字脱字修正済み R2 1/8


上司、外回り営業開始!

「…ダメか、俺は降りるぜ。」

 

「じゃぁ出しな、ストレートだ!」

 

「…スリーカードです。」

 

「フルハウス!

さ、飲み物買って来い!」

 

「マジすか!」

 

 

ここは惑星フリーザNo.79。

惑星フリーザではないが、宇宙ポッド発着場のハブ化が進んでおり、数ある前線基地の中枢を担う。

 

フリーザ兵の管制官は持ち場に存在はしている。

しかし、発着する宇宙ポッドはない為、船を出す者達は持ち前の手札を出し合っていた。

賭けに負けたフリーザ兵が、管制室を出る為に立ち上がる。

その瞬間、航空制御盤から宇宙ポッド接近知らせ音が響く。

 

 

「ん?

妙だな、こんな時間のアプローチなんて聞いてないぞ?」

 

 

識別番号は…ベジータを表示している。

だがベジータ以外にも、着陸申請をしてこないお偉い様もいる為、特別フリーザ兵には慌てもしない。

 

 

「惑星フリーザNo.79上空、オールクリア。

ILS照射開始。

座標送れ。

オートランディング。」

 

 

宇宙ポッドは、管制塔からの操作により着陸する事が出来た。

それを確認し、下層のフリーザ兵は出迎えの為にポッドの近くで整列をする。

宇宙ポッドのハッチが開き、ベジータは愛想を振ることなく基地へと入って行く。

…いつもならそうなるはずなのだが、一向にハッチが開かない。

不思議に思ったフリーザ兵の1人が、キャノピー越しからコックピットを覗く。

中には、傷だらけで意識もなく、生命維持装置を装着したベジータが座席にもたれ掛かっていた。

 

 

「大変だ、ベジータ様が生命維持装置をつけてらっしゃるぞ!

すぐにメディカルルームに運ぶんだ!」

 

 

外からハッチが開けられ、すぐさまメディカルルームへ搬送される。

水槽のような容器の中には緑色の治癒液。

それに頭まで浸かるように入れられる。

 

地球の治療法とフリーザ軍の治療法とは大きな差がある。地球での外傷の治療は、ザックリ言うと人間の本来持つ治癒力に任せる方法だ。

損傷した箇所に手を入れ、後は免疫力と治癒力に任せ様子を見る…いわゆる手術をして入院だ。

対してベジータが受けている治癒液に浸かる方法は、違ったアプローチからの治療法である。

緑色の治癒液には、その生物が元々持っている免疫力・治癒力を限界以上まで高める成分が入っている。

更に言えば、その液体そのものが抗体や血しょうにもなる…言わば万能培養液というところだ。

体中の毛穴や細胞の隙間から治癒液を取り込み、体の内外から治療をする。

何週間とかかる治療も、このメディカルマシンなら数時間で完治する。

 

 

(…うぅ…なんだ…?)

 

 

開きづらい瞼を強引に開ける。

水中にいるような浮遊感、そしてぼやけるような視界。

その先には、自分の目の前で様々な作業をする兵士達。

 

 

(そうか…地球から帰って来たのか…

あのクソッタレ共め…!)

 

 

意識を取り戻して十数秒、アラームと同時に溶液は水槽から抜かれ、兵士たちが吸盤型コードと呼吸器を手早く外す。

 

 

「お待たせ致しました。

ベジータ様、申し訳ありません。

お身体の方は完治致しましたが、尻尾の再生までは出来ませんでした。」

 

「構わん、そのうち生えてくる。」

 

 

衛生兵長が心底申し訳なさそうに服と戦闘ジャケットとスカウターを差し出す。

慣れた手つきでスーツを身につける。

スカウターを付けるのを忘れて、すぐさま部屋を出ていく。

どこかへ急いでいるのか…?

 

 

「ベジータ様、スカウターをお忘れですよ!

あ、それとキュイ様がベジータ様をお探しでした。

伝言で『俺のところへ来い』と…」

 

「キュイの野郎か、放っておけ。

それと、スカウターはもう要らん。

お前にくれてやる。」

 

 

ポカーンとした表情の衛生兵長を、メディカルルームに置きざりにして部屋を後にした。

周りに悟られないように、なるべく早足でこの惑星の自室へ急ぐ。

死の淵から蘇るサイヤ人は、大幅に戦闘力を増幅させる。

その上げ幅は人によって異なるが、サイヤ人の皇子であるベジータの上昇率はトップレベルだった。

なかなか瀕死の状態になるほど厄介な敵がいなかった為に、このようなパワーアップはしなかったが…

今の強さならあの憎い兄弟と、その周辺の雑魚共を簡単に駆逐できる。

そう意気込んでいた矢先、目の前の通路の壁にもたれかかる男が目に入った。

 

 

「ようベジータ、待ってたぜ。」

 

「失せろキュイ、貴様と話すことはない。」

 

 

フリーザ軍 キュイ。

ベジータと馴れ馴れしく話している為、仲良さそうな感じに見えるだろうが、中身は全く逆。

優しく例えて言うなら、犬猿の仲である。

嫌いな者同士なら、普通は喋ることはない。

どんなに悪くても、相手の地位を落としてやるとかそういうレベルかもしれない。

だがこの二人は、『隙さえあれば…上の許可さえ出ればぶっ殺してやる!』と公言している仲である。

統制や規則などの縛りがあるからこそ、ここは戦場となっていないのだ。

 

 

「サイヤ人の皇子たるあなた様が、辺境の小さな星の奴に死に損なったらしいじゃねぇか。」

 

 

ヘラヘラと薄ら笑いを浮かべるキュイを、今すぐにでも血祭りにあげたい衝動に駆られるが、まずは地球の奴らが先。

ベジータは無視して素通りしようとする。

 

 

「おいおい、そう怒るなよ。

フリーザ様は大層お怒りだったぜ?

フリーザ様の許可も無しに、ナッパと地球に出向いちまったもんな。

だが無線を聞いてご機嫌が良くなられたぞ?

何でも不老不死の願いを叶えられるそうだ。」

 

「な!

なんだとっ!!

今フリーザ様はどこにおられる!?」

 

「ナメック星に向けてもう旅立たれた。

…そろそろ着く頃だっておい!

まてベジータ!」

 

 

キュイの呼ぶ声も無視し、ベジータは宇宙ポッドに飛び込んだ。

行先はもちろん、あの星だ。

 

 

(クソが!

フリーザの野郎に無線を聞かれたのか!

ナメック星まで…間に合うのか!?

あの野郎め…不老不死の願いを叶えるのはこの俺様だー!!」

 

 

ベジータの怒号は、宇宙の闇に消えていく…

 

 

---別地点 地球の戦士達---

 

 

「これが、超重力トレーニングルームさ。」

 

「「おぉー…」」

 

 

一方のこちらは、艦内の設備案内の最中である。

…と言っても、ブルマの部屋は絶対案内できない為、もうトレーニングルームしか案内する事が無い為、紹介する所は以上である。

 

 

「さてと、ナメック星に行く前に説明する事が山ほどあるけど…時間が無いから簡潔に説明する。」

 

「…時間が無い?」

 

 

現地へ着くまでまだ数日ある。

そしたら、ナメック星のドラゴンボールをドラゴンレーダーを使ってかき集めておしまい。

それだけなのに、何故この男は焦っているのか?

 

 

「ラディッツさん、ドラゴンボールを集めるのにそんなに時間が掛かるんですか?」

 

「いや、単純に集めるなら地球と同じさ。」

 

 

ここでふと、ラディッツは思い出した。

河野自身の事を喋ろうとすると、口が動かなくなることを。

以前にも何度か話そうとしてみたが、急に口が硬くなってしまうのだ。

 

 

「…フリーザ…よし、動く。

スーパーふぁ…クソ。」

 

 

どうやらあまり遠い未来は話せないようだ。

 

 

「単刀直入に言おう、俺達は今から戦争をやる。」

 

「「えぇっ!?」」

 

 

これに驚かない人はいないだろう。

ドラゴンボール集めの延長線上に、まさか戦争が待っているなんて言われたら…

 

悟飯の持ち物は、文房具から最新の睡眠学習装置まである勉強道具と、修行する為に隠れ隠れ作ってきたピッコロに似せた胴着だ。

クリリンに至っては同じく修行の為の胴着や、カメラやおやつ…もう完全に宇宙旅行を見据えて来ていたからだ。

誰もドラゴンボールを巡っての激しい戦いなんて想定していない。

それを断言するラディッツ。

いったい彼は何を根拠にそう言いだしたのだろうか?

 

 

「待てよラディッツ、一体どうゆうことだよ?

現地の人の気性が荒いのか?

それとも他の星に閉鎖的な人たちなのか?

そういう事なら大丈夫さ、きっとわかってくれるよ!」

 

「とりあえず聞いてくれ。

ナメック星のドラゴンボールは地球と同じ、基本的には何でも願いを叶える事が出来る。

俺達の願いは、『先の戦いでサイヤ人に殺された人を生き返らせる事』って事だろ?

だがよく考えてくれ、ベジータみたいに『己を不老不死にしろ』と言う奴がいるとしたら?

それを企む別の者が、ナメック星にドラゴンボールがあると知ったら…?」

 

 

クリリンと悟飯から笑顔が消えた。

信じられないような話だが、現にラディッツ戦の時に同じ事が起こった。

だからベジータ、ナッパ、ターレスは地球にやってきた。

そして今、同じ事がこの宇宙で起ころうとしている…そう言いたいのだ。

 

 

「嘘だろ…?

確かにお前は物知りだよ。

何故かわからないけど、お前はサイヤ人の時もほとんど当ててた。

知ってる事は多いし、未来予知みたいなところもある。

だけど今度という今度は有り得ない。

ベジータだって倒したんだから、しばらく動ける訳がない。」

 

「そうだな、ベジータは動き出すのに少し時間がいるな。

だが俺がベジータ達と地上げ屋をやってた時、俺達には上司がいた。

みんなからは理想の上司と呼ばれ、部下にはさん付け、そしてとんでもなく冷酷非道な上司だ。

その上司がスカウターで会話を盗み聞きして、ドラゴンボールの存在を知ったとならば、ナメック星にはもう大軍勢でいるだろう。」

 

「だから…重力装置。」

 

 

悟飯が再び装置を眺める。

確かに、単にドラゴンボールを集めるだけならこんな部屋を急ピッチでは作らない。

気を使ってのイメージトレーニング位で対応できる。

だがここまでやるという事は、確かな確証があってだろう。

 

 

「この重力装置は100倍重力まで作り出すことができる。

体重50㎏なら5000㎏…5tだ。

嫌ならやらなくても構わない。

だがもしやってくれるなら、それなりに強靭な体は手に入れられる。

これはクリリンが言ったように、先読みとか感とか…未来予知みたいなもんかもしれん。

一旦リビングに戻って考えてみてくれ。」

 

 

ラディッツは二人を外へ促す。

戦う意思があるなら、再び入ってくるだろう。

入って来なければ…いや、彼らは必ず入ってくる。

その時…何者かを検知して自動扉が開いた。

 

 

「おぉ、やっぱり来「何か暇潰せるやつある~?」うわっ、ブルマ!!」

 

 

ブルマが上下下着姿…ではないが、やや露出度が高いスポーツウェアに近い格好で入ってくる。

その裏からブルマを止めようとしていたのか、クリリンと悟飯もぞろぞろと続く。

 

 

「何よ、そんなに私が入ってきて都合が悪いわけ?」

 

「いや、そんな訳ないけど…女性なんだからもう少し露出度下げてくれ。」

 

「あら、私の身体そんなに魅力的かしら?」

 

 

目の前でグラビアっぽい格好をしだすブルマ。

一般女性がやるなら、ラディッツも漢の部分が出てしまうが、ドラゴンボールの1キャラクターがやると…男のイチモツ(・・・・)全く反応しない。

 

 

「そう言うのはまぁ別にいいけど、なんならカバンの中に本が「あんたの本なんて妙な本しか入ってないじゃないの!」

 

(ちょっと待て、妙な本って言うなや。)

 

「…長期睡眠装置つけたけど、使わないのか?」

 

 

ドラゴンボール世界の軍艦紹介雑誌を、尽く妙な本で片付けられてしまった。

少し凹むラディッツだが、長期睡眠装置は彼の案である

それがブルマのベッドに取り付けられていた。

ボタンを押すと、カバーが閉じてカプセル状になり、少しの時間で多くの時間、睡眠ができるという代物だ。

簡単にいえば、ちょっとした浦島太郎である。

 

 

「あぁ、あんたが言ってたやつはそれね。

使ってみるわ、もし二度と起きられなかったら呪い殺すからね。」

 

 

ブルマは踵を返すと、部屋から出てった。

あっという間だった。

 

 

「ラディッツさん、僕…強くなりたいです!

最初は闘いなんて嫌だし、修業は辛かったけど…ピッコロさんのおかげで僕は強くなれたんです。

今度は、もっと強くなってピッコロさんを助けたいんです!

僕やります!」

 

「悟飯…俺もだ。

なんか良くわかんないけど、悪い奴にドラゴンボールを渡すわけにはいかないだろ?

付き合ってやるよ。」

 

 

文字からすれば仕方なくっぽく聞こえるクリリンの台詞は、古くからの仲間にしか見せない表情から出るものだった。

つまり、悟飯もクリリンもさらなる高みへと昇る意思があるということだ。

 

 

「よし、じゃあさっそくやろう!!」

 

 

ラディッツは早速、重力装置を操作する。

 

 

速く動いたり、相手に攻撃したり…とにもかくにも、筋力が必要である。

筋肉をつけるメカニズムは、

[筋肉に負担をかけて筋繊維を傷つける(筋トレ)

傷ついた筋繊維の回復(休養)

筋繊維が傷つかないように補強される(筋肉がつく)]

 

…という感じである。

故に、重力トレーニングも原作の悟空やベジータのようなサイヤ人はともかく、ぶっ続けで行うと体が破綻してしまう。

その為、クリリンと悟飯には休息も取り入れてある。

いつかの亀仙人の「『よく動き、よく学び、よく遊び、よく食べて、よく休む、これが亀仙流の修行」

と言う言葉も理にかなっているというわけだ。

むしろラディッツは教えをもらってはいないが、コンセプトはもらった形になる。

 

とにもかくにも、重力10倍の状態から修行は始まる。

そしてクリリンには、その状況下で界王拳を教えていく。

悟飯はまだ子供という事と、最終的には超サイヤ人のステージも待っている為、基礎体力の向上を施す。

だが一番重要なのは敵の情報だ。

戦うのはフリーザ軍だ、フリーザだけではない。

そこら辺のフリーザ軍兵士達なら問題無いだろう。

フリーザの側近のザーボン、ドドリア。

そして選りすぐりのエリート戦隊、ギニュー特戦隊もいる。

…更には、先の戦闘のターレスのような不特定人物や軍勢。

 

 

(考えられるパターンが多すぎて、作戦という作戦が立てられんな。

ここは界王様に聞いてみるか。

界王様ー!)

 

『なんじゃ、わしゃ忙しいから手早く頼むぞー!』

 

 

割と早かった返事なのに…本当に忙しいのだろうか?

少し違和感があるが、ともかく情報を手に入れる為に界王様に質問をする。

 

 

「界王様、今から向かうナメック星にはフリーザ軍はいる?」

 

「ラディッツよ、お前まさかフリーザに手を出すつもりか?

それだけはならん!

絶対に戦ってはならんぞ!」

 

「界王様、俺はわざわざ死にに行くような真似はしないよ。

なるべく戦わないように隠密に行きたいから、情報を教えてください。

フリーザと側近のザーボン、ドドリア…それとギニュー特戦隊。

それらはめちゃくちゃ強いから避けるとして、他に危険視した方がいい勢力とか、人がとかいます?」

 

それならまかせておけと、界王様は自慢の触覚で探し出す。

 

 

(元が地球人で良かった。

孫悟空のようなサイヤ人であったら、「俺も戦いてぇ!」と言い始めるからの。)

 

 

界王様は冷や汗を拭いながら搜索を始める。

ラディッツの言うような者達と、他の要注意人物を洗い出す。

 

 

『待たせたな。

ラディッツの言うような、危険視する程の奴はおらんみたいじゃぞ?

ギニュー特戦隊はそもそも別の星におる。

それと追加情報じゃが、現在ナメック星ではフリーザ達がドラゴンボールを手に入れる為に虐殺を始めておる。

…手を出すなよ?

奴だけはダメじゃ!』

 

『願いを叶えたかったけど…なんとかしてドラゴンボールを1つ持ち帰れば、フリーザの願いも叶わないでしょう?

上手くやるさ。』

 

 

それを最後に、界王様との通信を切った。

ナメック星には原作通り、フリーザとザーボン、ドドリアしかいない。

それなら、ある程度原作を知ってるラディッツは上手く立ち回る事が出来る。

 

 

(撹乱しながらドラゴンボールをかっさらってやる。

情報を持ってる奴が一番強いって事を、思い知らせてやるぜ…)

 

 

………

 

 

「スカウターがあればなぁ…具体的に目指すところがわかるんだがなぁ…」

 

「…お前が来る時に付けてた変な機械か?」

 

「そうそう、ちなみに銃持ったおっさんは戦闘力5。

フリーザは53万だ。

最終的には1億くらいだ。」

 

「ハハハ、そのおっさんを1万人以上連れてこないとな!

(…うぅ…俺…死ぬかも。)」

 

 

重力10倍で体重は450kgとなり、同時に界王拳の取得までしている。

なのに敵の強さがデタラメを超えたところにある。

クリリンは冗談を抜かしながら、内心では号泣していた…。

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