クウラ 1個
フリーザ軍 0個
ベジータ・地球人チーム 6個
誤字修正済み R2.9/17
「ここが最長老様のところですか?」
皆はようやく目的地へとたどり着く。
もちろん、クリリン以外の者達の潜在能力開放が目的だ。
そしてベジータにとっては、伝説の超サイヤ人になる為のステップとしてだ。
地面に降りたつ前に、最長老宅から2人出てきた。
ネイルとデンデである。
「デンデ、お前は下がっていろ。」
「ほぅ、まだ生き残りがいるとはな?」
ネイルは悪の気を放つベジータと、悪人顔のラディッツを敵視した。
ベジータもやる気満々である。
もしここで騒動を起こせば潜在能力開放はおろか、クウラやフリーザもやってくる。
大慌てでラディッツが制止に入る。
「バ バカ、超サイヤ人になれなくなるだろうが!
すいません、俺達悪者じゃないんです。」
「ネイルさん、ラディッツさんは悪い人っぽいですけどほんとにいい方ですよ!」
「デンデ...お前まで...」
デンデの説得や、ベジータがネイルより戦闘力が低い事もあり、事態は落ち着く。
ベジータは相変わらずであり、ラディッツはメンタル面を少しやられた。
ネイルは全員を最長老の元へ案内する。
最長老は未だ健在であった。
「皆さん、よく来られました。
歓迎せぬ者もおりますが、状況が状況だけに仕方ないでしょう...
私の寿命もあります...さぁ、近くに。」
ベジータ、悟飯がまず開放される。
にわかに信じ難かったが、効果はすぐにわかることとなる。
「うわ!?」
「なんだこれは!?
力が...溢れてきやがるぜ!!」
悟飯もベジータも、体を動かして自らの体の反応をみる。
「あなたがたの体に眠っていた力を、少し刺激しただけに過ぎません。
くれぐれも、正しき事に...
さぁ、次はあなた。」
ラディッツが最後に受ける。
最長老が頭に手を置くと、身体に変化が起きた。
ベジータ戦で切断された尻尾が生えてきたのである。
「うぉっ!?
尻尾が!」
(な、なんということだ!?)
仰天するラディッツの陰で、最長老も驚いていた。
だが突如として尻尾が出てきた事に驚いた訳では無い。
この男、ただの男ではないことが掌から伝わってくる...
これまでの戦歴、ここにいる理由、この世界に来た経緯...
(...ただ尻尾以外の変化は無いな。
潜在能力の開放...効果が表れない...)
「すまない、あなたの体は特別なようです。
潜在能力のキッカケは作りましたが、皆さんとは違い少し時間差が生じるようなのです。
この能力は、個人差がある為にこういう事もあります。」
ハイ出ました。
主人公の特殊例と言わんばかりの事情...とはいえ、ラディッツだけが戦闘力が上がらないという不利な事象である。
だが個人差と言われてしまえば何も言えなかった。
ともかく尻尾が戻ったので、戦闘のバリエーションが増えたと言う風にプラスに考える他なかった。
「いえいえ、尻尾が戻っただけで充分ですよ。
それに、みんな開放に成功したならばこの星にいる悪人達も退治できるかもしれません。」
「誠に申し訳ない。
だがいずれ必ず...」
その時、五つの飛翔体がナメック星に降り注いできた。
ベジータの表情がみるみる険しくなる。
あの忌々しい奴らだ。
「遂に呼び寄せやがったかフリーザの野郎。
ギニュー特戦隊を。」
---ナメック星 フリーザ母艦---
「リクーム!」
「バータ!」
「ジース!」
「グルド!」
「ギニュー!」
「「「「「ギニュー特戦隊!!」」」」」
ギニュー特戦隊登場。
フリーザの目の前で、渾身のファイティングポーズを決める5人。
彼の視線がほんの少しだけ冷ややかなのは、特戦隊一同には伝わらない。
同様に彼らの美学もフリーザには伝わらないようだ。
スカウターをフリーザに渡し、今回の任務を聞く。
ドラゴンボールの回収と、ベジータの生け捕り、若しくは殺害。
その邪魔をしたら、そいつも問答無用で排除して構わないという事だ。
「ギニュー特戦隊、行くぞ!!」
「「「「「ファイトッ、オー!!」」」」」
そしてスカウターが反応する方へ、ポージングを行った後に飛び出していく。
もちろん、全て大真面目に行っているのである。
フリーザは絶対の信頼を、特戦隊に寄せている。
(特戦隊の皆さん、あなた達なら問題無いと思っていますよ?
...ただあの、
まぁ...私をイラつかせるほどではありませんからよろしいんですが。)
フリーザにとって、まだまだしばらくつきまといそうな問題であった。
(さてと、今しばらく待ちますか。
私の通話を盗み聞きする趣味の悪い兄さんを...
これが最期になるかもしれませんからねぇ。)
---ナメック星 上空---
「クウラ様、来ました。」
スカウターに表示される五つのエネルギー反応。
間違いなく、フリーザ軍の特戦隊の連中なのがわかる。
何故なら、その反応は大気圏外から接近しつつあり、エネルギー数値も彼らと同じ値を示しているからだ。
「間違いありません、あのおちゃらけ...ギニュー特戦隊の反応です。
いかがしま...更に反応が?
地上から反応がいくつか出てます!」
またしても反応するスカウター。
だが特戦隊以外に反応があるとすれば...?
恐らく、ベジータとラディッツか。
クウラとサウザーは、ほぼ同時に答えに辿り着く。
「もしや...?」
「だろうな。
サウザー、ネイズ、ドーレ。
下にいる下等生物を駆逐してからでも遅くはなかろう。
猿共を根絶やしにしてから迎撃しろ。
場合によっては、フリーザ自慢の特戦隊を消しても構わん。」
「「「はっ!」」」
(さてと...恐らく俺の存在は無線を盗聴した時にバレただろう。
久しぶりに弟の面でも見に行くか。
...これが最期になるかもしれんしな。)
機甲戦隊は即座に地上へと急降下していく。
最後のスカウターを頼りに、特戦隊をも上回る速さで迫る。
その驚異は、地上にいる狙われた者からも察知できた。
---ナメック星 最長老宅---
「な!?
なんだこの戦闘力は!?」
「3つ...クウラ機甲戦隊だな。」
「前にドラゴンボールを奪った奴らか。」
最長老の御前で戦いが始まろうとしている。
だがここで騒ぎを起こせば、最長老の身に何かあってもおかしくない。
それに、ドラゴンボールも奪われる可能性も出てくる。
「ラディッツさん、ドラゴンボールはどうしましょう?」
「6個あるからな...1人だと持ち運ぶとかになれば大変だしな...」
「だったら、誰かが残って奴らの気を引きつけ置けばよかろう。
貴様ならそれくらいの事できるだろう?」
ベジータの提案は、ラディッツを囮として使う作戦。
作戦が成功すればドラゴンボールを使うチャンスが減ることは無い。
だが失敗すればラディッツは消え、多少のリスクは増えるがベジータがドラゴンボールを使うチャンスが増える。
「んー...多分できる。
いや、いいんだクリリン。
場合によっては単独行動の方がいい時もあるからさ。
あと、ベジータが変な動きをしたら頼むぞ。」
何か言いたげなクリリンは察した。
ベジータが万が一暴走した時は自分達が抑えなければいけないことを。
「お待ちなさい。
デンデ、ネイル、彼らの力になりなさい。
私の命より、この星の命運を掛けて彼らを手助けするのです。」
「最長老様...。」
「...わかりました。
彼らと共に戦います。」
ナメック星人達を虐殺した張本人と手を組ませる...最長老にとっても辛い決断だったが、この後に及んでそうは言えなかった。
同じ心境だったネイルとデンデもそのことを察し、一礼をするとクリリンの元へ近づく。
それを合図にベジータは号令を掛ける。
「行くぞ。」
「ラディッツさん、気をつけて!」
「わかった。
みんな、頼むぞー。」
ベジータを筆頭に、あっという間に消えていく。
気を抑えているために、そこまでスピードは出ていないが、ここから離脱するには充分だ。
ラディッツはすかさず最長老宅に戻る。
「よろしかったのですか?」
「今から来る奴らなら、僕1人で充分ですよ。
僕は今からここから離れて戦います。
色々と、ありがとうございました!」
早口でそう告げると、ラディッツはあっという間に立ち去った。
残された1人のナメック星人に何も言う間も与えられずに。
「ネイル、デンデ。
彼を忘れるでないぞ?
彼は...異世界の選ばれし者だ。
...彼は、本来来るべきでは無き世界に飛ばされた男なのだ。
悲運であるが...彼の存在がこの世界を左右すると言ってもおかしくないだろう。
私の力...くれぐれも良き運命へ導くよう祈ろう。」
深々と座して、地平線よりも彼方を見つめる最長老。
.........
「さてと、作戦開始と行きますか。
まずはクウラ機甲戦隊を...ギニュー特戦隊にぶち当てるか。
ほっ!」
ラディッツが気を一定に上げる。
およそ10,000程の戦闘力。
彼の視線の遥かな先には...クウラ機甲戦隊がいる。
遥か上空...その影はみるみる近づき、目の前で止まった。
大方の予想通り、クウラ機甲戦隊の面々である。
もちろん、クウラ機甲戦隊特有のファイティングポーズを決めてから対峙する。
「やはり貴様か。
だが10,000程の戦闘力でドーレとネイズを出し抜いたそうじゃないか。
...それだけは褒めてやる。
だが、今度はこのサウザーもいるし、この2人も油断の欠片もない。
何か言い残すことはあるか?」
サウザーが話す間に、ネイズとドーレがラディッツへと近づいていく。
どう頑張っても、先程の返り討ちを企む彼らの射程距離から逃れられそうもない。
だがラディッツは涼しい顔だ。
「最期に言いたいことか。
俺の戦闘力は10,000なんてもんじゃないよ!!」
ネイズ、ドーレの足首に痛みが走り、景色が横転する。
気づくと二人は地面に倒れていた。
何が起きた?
「なんだ?」
「何が起きた...?」
ラディッツがニヤリと笑う。
よく見れば、ラディッツの立つ位置が少し近くなっている。
「俺の戦闘力はもう少し高いですよ?
今の足払いを受けてわかったでしょ?」
「そんな事はねぇ!
油断していただけだ!!」
「待てドーレ!」
サウザーの静止も間に合わず、ドーレは突進する。
先ほどのナメック星人の時とは違い、全力を出している。
こうなってしまっては、もうラディッツの命はないと確信したネイズ。
だがまたしても彼が消える。
「「「!?」」」
今度こそは、油断や見落としなどではない。
本当に消えたのだ。
「クソ、どこだ!?」
2人は周りを見渡す。
スカウターさえあればなんとかなったかもしれないが、やはり無いと索敵するのに手間がかかる。
「ドーレ!
前だ!」
ラディッツが現れた。
それもドーレの目の前に。
本人は別の方向を探していた為気づいてないのか、ネイズが声を掛けるまでまるで無防備だ。
だが声を掛けたところで間に合わない。
「ほっ!」
「ぐわぁ!!」
左胴へのミドルキック。
吹っ飛びはしなかったものの、10m程押しやられる。
ダメージは...呼吸をする度に左脇腹に激痛。
意表を突いたとは言え、ドーレの肋骨を折る威力...10,000と言う戦闘力の差からは考えられない。
(やはりか...コイツ、スカウターで検知出来ないスピードで戦闘力を操ることが出来る。
しかも、あのドーレに一撃であれほどのダメージを与えるとは...どう考えても10,000程度の戦闘力な訳が無い。)
「調子に乗るなぁ!」
次の瞬間、ネイズは左脚飛び膝蹴りをしていた。
ラディッツはそれを左腕で弾いてかわす。
着地前に右脚ハイキック...だがそれも左腕で弾く。
機甲戦隊の内で最も変則的な戦いを得意とするネイズの戦闘力は約16万。
そのネイズの攻撃を耐えていると言うことは、最低でも同等近くの戦闘力があるという事だ。
...この数値は、下級サイヤ人の戦闘力を大きく凌ぐ。
(だが何故だ!?
スカウターに察知されないように戦闘力を操る技術。
サイヤ人では到底辿り着けない高戦闘力。
そして、戦闘民族とは思えないほどの残虐性の無さ...奴は本当に何者だ!?
...とにかく、ここは連携して押し切るしかない。)
「ドーレ!
まだ動けるか!?」
「問題ねぇよ。」
「コイツはただの猿じゃない。
連携して始末す「待たせたな!!」...誰だ!?」
声のする方を睨みつけるサウザー。
ネイズも1度跳躍してドーレの横に戻る。
ラディッツも、聞き覚えのある声に反応する。
その声の主は、数々の戦場を掻い潜り、フェアな精神を持ち合わせ、遠くの者に信頼される戦士...。
「ギニュー特戦隊、推参!!」
5人でのファイティングポーズが見事に決まる。
もちろん、機甲戦隊にとっては非常に厄介な集団であることに間違いない。
ラディッツにとっては...
(あれが...あのギニュー特戦隊。
あれが...ファイティングポーズ。
だせぇけど...見れてよかったぁ!)
若干目がキラキラしてる様子から、悪い印象は無い模様。
「これはこれは、あのイケてないポージングの機甲戦隊の方々ではないか。」
「貴様らがこの星に何の用だ?」
「我々はフリーザ様の命によりドラゴンボールを探している。
貴様らには関係無いだろう。」
「それは見当違いだ。
俺達機甲戦隊も、クウラ様の命令でドラゴンボールを探している。
貴様らおちゃらけ軍団は引っ込んでいろ。」
ここでラディッツ以外は悟った。
クウラ機甲戦隊、ギニュー特戦隊はドラゴンボールを集めていて、既にいくつか手中に収めていると。
更には、相手は因縁付きである。
相手を倒してこそ、真の優秀なチームを照明でき、絶対な信頼を得ることが出来る。
そして、ラディッツの作戦が面白いようにはまった瞬間でもある。
「言ってくれるじゃないか...リクーム、グルド、ドーレを狙え!
ジース、バータ、お前達はネイズだ!
俺は隊長としてサウザーとやる!
勝ったら...惑星キャッツの喫茶アイ、アンビリーバブルをみんなで食うぞ!!」
「「「「うおおぉぉぉおおお!!」」」」
特選隊の士気が目に見えて爆増する。
まさに特選隊の専売特許の鼓舞である。
故にサウザーはその点を嫌う。
「ふざけた奴らだ。
落ち着いて戦えば負けるはずない奴らだ。
あいつらと遊んでやれ。
ネイズ、あの猿野郎も同時に逃がすなよ!
ドーレは手負いだからな、カバーリングしながら応戦するぞ。」
「おう!」
「シャァ!」
それぞれが、それぞれの敵へ目掛けて飛び出していく。
まず最初の一撃は。
「死ね!」
ドーレの右ストレートがグルドに迫る。
あまりの速さに絶叫する事も出来ず、あっさりと絶命した。
...かに見えた。
右腕は信じられないような手応えのなさと同時に、空を切る音がした。
「な!?」
「はぁ、はぁ、あぶねぇ。
空振りだデカブツめ。」
遠くの平地に仁王立ちするグルド。
小憎らしいドヤ顔の割には、額に汗が滲む。
ドーレはふと思い出す。
ギニュー特選隊には時間を止める奴がいると。
「こんなノロマなら俺1人でも片づけられるぜ!」
「クソ、あの野郎がその時間を止めるって奴か。
あいつは殺してや「相手はグルドちゃんだけじゃないんだぜ?」
後頭部に衝撃を受け、よろめくドーレ。
そう、ドーレの相手は1人ではない。
「ハーイ、ドーレちゃん。
このギニュー特戦隊 リクームが遊んであげるわ!!」
ファイティングポーズ混じりで降り立ったリクーム。
華やかな登場が決まり、ご満悦なようだ。
「ずるいぞリクーム!
俺だってファイティングポーズ決めたかったのに!」
「グルドは息が臭いからな、割愛させ「上等だテメェら...このドーレ様がぶっ殺してやる!」
ドーレは地面を踏み抜いて地表がボロボロになる。
よほどコケにされたのが頭にきたのか、額に血管は浮き出て殺気もみなぎらせている。
「グルドちゃん、あの野郎を倒すまでタッグを組もうじゃない?」
「しょうがねぇ、やってやるさ。」
即興デコボココンビがドーレとぶつかる。
------
「赤いマグマ、ジース!」
「青いハリケーン、バータ!」
一方、こちらは連携抜群の赤青コンビ。
2人の合体技もある故にチームワークは問題無いようだ。
迎え撃つは変則戦闘タイプのネイズ。
「ケッケッケ、隊長の劣化版と気色悪い青玉野郎か。
俺とやるには役不足にも程があるぜ!」
隊長の劣化版...それは双子星出身というなのを言っているだろう。
これに腹を立てたジースは殴り掛かろうとするが、バータが静止する。
「落ち着けジース、あいつのペースに飲まれるな。
戦闘力では負けているんだ、連携してやるぞ!」
「...わかった、行くぞバータ!」
赤い閃光と青い閃光が螺旋状に自らのところに向かって来るが、全く動じないネイズ。
「ケッケッケ...こんなの余裕だな。」
左右から同時に攻撃を受けるも、どちらも完璧に防ぐ。
1度驚いた2人だが、そのままラッシュ攻撃を仕掛ける。
攻撃の手数はネイズの二倍。
それでも涼しげにネイズは流しているように見える。
「何!?」
「ケッケッケ、そんなもんじゃフリーザ様の足手纏いにしかなっていないようだな!」
攻撃の僅かな間に逆さになり、2人同時に回し蹴り。
カポエイラを思わせる動きであるが、全くそのようなものでない。
2人は正反対に吹っ飛んでいくが、すぐに立て直して襲い掛かる。
「マッハアタック!」
「シャッ!」
宇宙一を誇るスピードで突撃するバータ。
だがその速さは完全に見切られ、カウンターをもらう結果となる。
「バータ!?」
「なんだと...宇宙一のスピードを誇る俺様が...」
バータの自信が揺らぐ。
ギニュー隊長からも、仲間からもそのスピードを認められた実力が通じないのだ。
「バータ、あれをやるぞ!」
ジースが飛び出していく。
どうやら彼には落ち込む時間は無さそうだ。
「ケッ、単細胞め。
俺様に勝てっこねぇ事を体に叩き込むしかねぇな!」
殴り掛かってくるジースを蹴り飛ばす。
間髪入れずに今度はバータを殴り飛ばす。
すると今度はジースが。
吹っ飛ばすがまたしてもバータが。
ジースが...バータが...攻撃の頻度が全く衰えない。
その小さな出来事に気づくのには時間が掛かった。
(さっきからちょこまかちょこまかと...うざったいな。
こんな攻撃で吹っ飛ぶ様じゃ俺様に...ん?
まさか...最初よりも攻撃の頻度が上がっている。
俺様の攻撃を反動にして、速さを得ている!?)
そうネイズが気づく頃には、2人の影は青と赤の閃光となっていた。
スカウターさえ有れば難なく捉えられる影も、文明の利器が無くなったその眼では輪郭すら拝む事も出来なかった。
次第に防戦になっていく戦況。
「これこそ俺達の必殺技、パープルコメットハリケーン!」
「必殺技って言うのは、必ず殺す技であってただ単に凄いものじゃないんだからな?」
「わざわざ説明しなくてもいい!」
高速で動き回りながら攻撃を仕掛けてくる2人に、ジリジリとダメージを受けるネイズ。
周りの景色が紫状になる中で、何かを見つけた。
とっさに足元の物を掴んで、フルパワーで投げる。
そんな隙を2人は逃さない。
「クラッシャーボール!」
「ブルーインパルス!」
全力投球後のノーガードのネイズに、赤い光玉と青い光線が吸い込まれるように命中する。
技の衝撃で砂煙は上がり、姿が確認出来なくなる。
「手応えはあったな。」
「...だがあの野郎の戦闘力は俺達より上だ。
どうなっているか...」
煙はゆっくりと晴れていく。
そこには、未だ健在のネイズがいた。
体の至る所で煙が燻っているところを見ると、やはりある程度のダメージは与えられたようだ。
そんな彼が叫んだ。
「ドーレ!
ちゃんと借りは返せよ!」
------
クウラ機甲戦隊の中で一番戦闘力が高いドーレ。
彼の戦闘力は18万5,000。
そんな男がやや苦戦を強いられていた。
一番の原因は、先程やられた肋骨の骨折によるもの。
それだけでも戦闘力の低下は免れないが、対戦相手より戦闘力が劣っている訳では無い。
そこで二つ目の原因である。
「へっへっへ、そんなに横っ腹が痛いのか〜?」
「クソ野郎が...!」
その対戦相手が厄介だった。
時間停止...特殊能力を持つグルドの存在が想像以上に手強い。
グルドに攻撃しようにも、いつの間にか目の前から消え、いつの間にか脇腹に攻撃を受けている。
更には、
「リクームパーンチ!
...あら、また避けられたわね。」
「くそぅ...」
リクームも紛れて攻撃してくる。
脇腹のダメージに気づいて執拗に脇腹を狙ってくる。
リクームに攻撃しようものなら、予想外のところから岩石が飛んできたり、時間停止による攻撃を受ける。
その繰り返しである。
苦戦...いや、もはや劣勢となるこの戦い。
「グルドちゃん、あんた嫌な性格してるね。
相手の傷口しか攻撃してないじゃない。」
「お前だって...はぁ...笑いながら同じとこしか...狙ってないじゃないか。
そろそろ終わらそうぜ?」
「だって、楽しいじゃない?
相手を弄べるってのは...そうだよなドーレちゃん?」
「...いい気になるな!!
オカマ野郎!!」
「そうこなくっちゃ!
リクームキック!」
痛む脇腹を堪えて攻撃するドーレ。
対抗するようにリクームも笑顔で突っ込む。
「...がは!?」
突然、ドーレの体が思うように動かなくなった。
そこへリクームの重い飛び蹴り。
ダメージをまた受けてしまったが、体が固まったように動かなくなったために何も出来ない。
「...グルドちゃん、もう限界?
情けないぞ。」
「ぜぇ...ぜぇ...あいつの戦闘力をお前くらいにまで落としてやったんだから文句を言うな!」
時間停止の超能力には種がある。
能力発動中は息が出来ない。
裏を返せば、息を止めている最中しか能力を扱えないのだ。
息を止めている間は、このクラスの戦士達には多大なアドバンテージとなるが、エネルギーの消費が大きすぎる。
今回のように十何回も発動させながら攻撃をすれば、スタミナはもちろん、酸欠になる。
自分達が優位なのを維持出来るように戦いを終わらせる為に、奥の手を使ったのだ。
「俺様のとっておき...金縛り。
さて、どう殺してやろうか?」
金縛りは相手に念力を伝えて動きを封じる技だ。
相手に対して念を送るだけで動きを止めることができるので、スタミナが消費することは無い。
しかも片手で念を送っている最中はもう片手が自由なので攻撃することも出来る。
「...く...そ!」
「へっへっへ、天下のクウラ機甲戦隊のドーレ様が1ミリも動けないとはな。」
ドーレの鼻をつまんだり、頬をグリグリして挑発する。
何も出来ないドーレの顔面に血管が浮き出る。
「まぁそれをやればもう終わりだな。
最後くらいはカッコよく決めさせてやるわ。」
「...という訳だ。
それじゃ、自慢の体を串刺しにしてやるぜ。」
念力で近くの木を巨大な串状に仕上げる。
必死に逃れようとドーレは力を込めるが、浮き出る血管が増えるのみである。
万事休す。
「所詮、ギニュー特戦隊には適わないってことだ。
あば...!」
ビシュッと言う音とともに、ドーレの金縛りが解ける。
串状になった木も落下した。
「ドーレ!
ちゃんと借りは返せよ!」
少し黒焦げになっていたネイズが叫んでいた。
グルドを見ると、頭を何かに撃ち抜かれたように頭が弾けていた。
その近くに血まみれの石。
「グルドちゃん...なんてこった...これじゃスペシャルファイティングポーズが決まらなくなったぞ!!
隊長にまた考えてもらわなくちゃ...」
少し違った意味で狼狽えるリクーム。
これで戦況は五分と五分になった。
「悪いなネイズ!
...さてと、あの野郎がいなくなればやりやすいぜ。
テメェも地獄に送ってやる!」
「グルドちゃんがいなくなったのは痛いが...やってやろうじゃない?」
------
(どうしようか...また色々変わるだろうけどギニュー特戦隊助けちゃおうかな?)
少なくとも好感を持つギニュー特戦隊達を助けるのは簡単だ。
少し力を出せば簡単に倒せる相手だらけだ。
だがそれでまたしても色々原作が変わったらと思うとなかなか気楽に参戦することが出来ない。
そんな時だ。
...来たのだ、一ヶ月ぶりに感じるあの気が。
(...お!?)
降り立ったカプセルコーポレーションの宇宙船。
そして開かれた扉、待ちに待った男が現れる。
「ラディッツ、やっぱりおめぇだったか。」
「悟空、待ってたぞ。
首を長くしてな。」
戦渦の中に突如として現れる絶対的主役、孫悟空。
戦っている面々も気づいてはいたが、5000程度に抑えられていた戦闘力には目もくれない。
「それにしても、オラめちゃんこ修行したのにラディッツの方が気がスゲェな!
地球に帰ぇったらオラとちょっと勝負しねぇか?」
「無事に帰れたらいくらでも相手してやるよ。
その前にお願いがあるんだ。
今から最後のドラゴンボールを持ってくるから、それまでここの奴らを頼めるか?
コイツら全員不老不死を狙ってる!」
『なにっ!?』
その言葉に反応したのは悟空ではなかった。
ここにいる特選隊と機甲戦隊の面々全てだ。
彼らは気づいてしまった。
最後のドラゴンボール...この発言をした男は、6つのボールを既に集めていることを。
「頼んだぞ悟空!!」
「俺のスピードからは逃げられんぞ!」
宇宙一の速さのバータが追いかける。
その目の前に立ちはだかる孫悟空。
「わかった、オラが残るから頼んだぞ!」
「すまん!」
「シャッ、逃がすかよ!」
ネイズのエネルギー弾...ラディッツに向け放たれるも虚しく跳ね返されてしまう。
全員が追いかけ始めようとするが、やはり悟空が立ちはだかる。
「おめぇ達から悪い気を感じるな。
痛い目に遭う前に帰ぇった方がいいぞ?」
「ハッハッハ、戦闘力5000のウジ虫くんが何を言ってるんだ?」
「5000?
おいお前、クウラ機甲戦隊を知らねぇ辺境の星の奴か?」
寄ってたかって悟空を笑いものにする奴ら。
そんな彼らに混ざって悟空もニンマリと笑う。
「顔の変な機械に頼ってっからダメなんだよな〜。」
「なら試してみるか?」
バータが一瞬のうちに悟空の背面へ回り込み、首根っこを掴み上げる。
だが、その予定の右手は何も掴まなかった。
「あれ?」
「機械に頼ったり、目で追ってっからわかんねぇんだ。」
「!?
てめぇ!!」
気づけばドーレの隣にいる。
すかさず攻撃するもまたしても消えてしまう。
「なんだ!?
どうなってんだ?」
「戦闘力5000なんだろ!?
スカウターの故障か!?」
「これスカウターって言うんか。」
リクームのスカウターが取り上げられる。
背後に悟空。
まるで全員をからかうかのような仕草。
これには全員の殺意が向けられる。
「クラッシャーボール!」
「のわぁ!?」
放たれたクラッシャーボールは簡単に弾かれ、リクームに炸裂する。
そのおかげで顔面は焦げ付き、歯が何本か消えてしまう。
矢継ぎ早にネイズが襲い掛かる。
悟空は攻撃を受けようと何もしなかったが、返ってそれが裏目に出てしまった。
全身に駆け巡る電撃...ネイズ渾身の技だ。
「ネイズバインドウェーブ!
この技を食らったら最期、丸焦げ確定だ。
さぁ、お前は何秒もつかな?」
これまでこの電撃を受けて生きていた者はいない。
言わば必殺技だ。
どんなに肉体を鍛えようとも、体の内側から攻撃されれば容易く仕留めれる。
事実、悟空悲鳴を上げていた。
「うわああぁぁぁああ!!」
「ケッケッケ、ここまでもつのはお前が初めてだぜ。
フルパワーで楽にしてやる!」
出力を最大に上げてフィニッシュ。
...するはずだった。
悟空は高速でネイズへ接近し、腕を掴む。
「なんちゃって!!」
「やめぇぇえあああぁぁぁぁぁあああ!!」
全身が仰け反るような痛み、瞬間的な呼吸停止、そして心臓停止。
苦痛はまさにほんの一瞬であった。
息絶えたネイズは黒焦げとなり、黒煙を上げながら崩れ落ちる。
皮肉な事に、自分の必殺技の最期の犠牲者は自分になったのだ。
「うひゃー、これが感電っちゅうやつか。
まだ全身がビリビリするぞ。」
「よくもネイズを!
ぶっ殺してやる!」
ドーレは地面を大きく蹴り出して間を詰める。
スラスターキック...文字の如くロケットブースターに点火したような加速から繰り出されるスーパーヘビー級の蹴り技。
もちろん、戦闘力5000程度の奴なら簡単に地獄送りにする技だ。
そんな強烈な右足蹴りを、簡単に掴んでしまう。
「もらいっと。」
手刀を首裏に落とし、ドーレは口をパクパクして倒れる。
それを見た特選隊は意思を固める。
この男は5000程度の実力ではない、本気を出さなければ機甲戦隊の二の舞になると。
「リクームウルトラファイティングボンバー!」
原作ではお蔵入りとなってしまった、リクーム渾身の大技。
広範囲に渡ってエネルギーを爆発させる技である。
バータとジースはそれを察知して即座に距離を取る。
近くにいた悟空は完全に回避不可能だ。
「はっ!!」
右手を繰り出し、猛烈な爆風をあっさりと打ち消す。
彼は気は全く使っていない。
純粋な腕を振り抜く力だけで相殺してしまったのだ。
「そんな...俺の大技がハッ...」
「悪ぃ悪ぃ、隙だらけだったからつい。」
肘打ちを貰ったリクームも倒れ、沈黙する。
いよいよこの場にはバータとジースを残すのみとなる。
そんな2人も、ただ呆然と待っていた訳ではなかった。
「「パープルコメットゼットクラッシュ!!」」
紫状のエネルギーの塊...その塊から乱発される紫色のエネルギー弾。
何十発のエネルギー弾は全て悟空に襲いかかる。
それを避けるわけでもなく、弾いたりかわしつつ接近していく。
「「なに!?」」
接近を阻止しようと更にエネルギー弾を集中させるも、ほとんど効果が無い。
間合い近くまで来た悟空は二人同時に蹴り飛ばす。
まずはバータを、追撃と言わんばかりに加減して蹴り落とす。
落下の衝撃でクレーターが出来上がり、中心でバータはのびていた。
「くっそ!!」
一部始終をみたジースは思わず悪態をつく。
スカウターも使いながら奴を探すが、一向に見つからない。
「悪ぃな。」
「...!」
目の前に現れた奴は、鳩尾にめり込むように殴る。
途端にジースの意識は消える。
「ふぅ、やっぱり修行したから体が軽い軽い。
あとは、ちょっと離れたところにいるあいつらだな!」
宇宙船はそのままに、別地点へ向けて飛び立つ...