弱虫兄貴のリスタート   作:バタピー

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一年掛かってまだフリーザ編とは...更新率低過ぎて自分自身で驚いた...笑

誤字脱字修正済み R2 1/12


淵に立たされる者達

「さぁ...始めようか!」

 

 

カシャンと音を立てて、口元のマスクのようなプロテクターが形成される。

このシーンで打ち震えた少年達はたくさんいただろう。

だがそれを望んでいない者も実はいた。

 

 

(ふざけんな...これ以上強くなられてどうしろってんだ!)

 

 

泣き出しそうな瞳を強く瞑って抑え、構え直すラディッツ。

身長186cm...地球では体格がいい部類に入るが、対するクウラは250〜300cm近くはある。

まるで壁のような威圧感に加えて、凄まじい程デカイ気。

構えも自然と、護身術のようになっていた。

足は肩幅に開いて中腰、両掌を前に出すスタイル...この構えならどんな攻撃が来ても理論上対応出来る。

それを自然と構えにしてしまうほど、クウラは恐ろしい相手となってしまった。

 

 

(どうする...界王拳を使ったとしてもあいつの半分の力も無いかも...。

超サイヤ人...怒りがきっかけでなれるなら、マジでならないと勝てる見込み「来ないのか?

ならこちらから行くぞ!」

 

 

弾丸のように飛び出したクウラの身体。

迫るのは見えはしたものの、対応しきれずに攻撃を食らう。

腹部に決まる飛び膝蹴り...そこから両手で殴り落とされ、地面にめり込み、更に腹部を殴られ、蹴り飛ばされた。

あっという間に4comboカウントされる。

 

 

「猿、今どうやって勝てるか考えていたか?

分かっていないようだな...この先は貴様が死ぬまで俺の攻撃が続くだけだ。

それ以上でも、それ以下でも無い。」

 

 

ラディッツはイラついていた。

自分の思い描いていた穏便に済ます計画が頓挫、原作通りどころか、自分の命の危機。

更に相手は余裕ぶっこいていながら、冷たく諭す様な口ぶり。

 

 

(落ち着け...怒りは判断力を鈍らす。

向こうは煽ってるだけだ...深呼吸だ。

落ち着け。)

 

 

痛む腹を抑え、腹が立つのも抑え、感情も表に出さぬよう抑える。

深呼吸するのは、保険業をやっていた時からの落ち着かせる術だった。

慣れたものだった。

 

 

(順当にって言ってる場合じゃない。

ある程度の限界は残して、界王拳を上げよう。

大丈夫、俺は主人公じゃないけど、主人公補正とかあるはずだ!

諦めるな、その方がかっこいい!)

 

 

心の中で断言したが、そう思い込んで挫けそうな心を立て直しにかかる。

むしろ、挫けそうで訳の分からない妄言や戯言や冗談がこみ上げてくる程だ。

 

 

「動かないならば、さっさと終わらせてもらおうか。」

 

 

接近しながら、大きく弧を描くように外回し蹴り。

両手をクロスさせてそれを防ぐラディッツ。

痺れる腕で足首を掴むと、背負い投げるように地面へと投げ落とす。

地面は割るが、即座に足を引いては押し出すようにクウラが蹴り込む。

踵が顎へヒットするが、その反動を受身を取って最小限のダメージに抑える。

 

 

「早ぇ...」

 

「なんだ貴様、まだそんな力を隠していたか。

いい加減諦「うるせぇ!」

 

 

これだから下等生物は...。

見下す思考が表情へ出ている。

そんなクウラに1発でもいいからパンチを食らわせてやりたい一心のラディッツ。

その拳はクウラの腕で簡単にガードされ、あっさりと懐に潜り込まれており、鋭い拳を腹部に十発以上殴られて吹き飛ばされる。

おそろしく速く重い拳に、口から胃液と唾液と血反吐を吐き出してしまう。

 

 

「消えろ。」

 

 

スローモーションのように倒れ込む身体を狙い、デスビームが放たれる。

殺すつもり...今の力なら、ほんの僅かな力で始末できるだろうと考えていた。

 

 

バシンッ!

 

 

小気味良い動きと共に地へ落ちたデスビーム。

それを理解するのに時間は掛からなかった...弾き落とされたのだ、奴の手で。

 

 

「流石に痛い...。」

 

 

倒れ込む時に受身を取れずに頭を打つ。

後頭部と、何故か左手をさするラディッツ。

何が起きたのか?

クウラは一瞬混乱仕掛けたが、まだ力を隠していたと言う結論に至り落ち着く。

それは間違いでは無かった。

自力以上の力...界王拳。

手抜きのデスビームなら弾き返せるだろう。

だが、界王拳の使用は体の負担と言うリスクがある。

ほんの少しだけ話は遡る...。

 

 

 

.........ナメック星到着二日前 宇宙船内........

 

 

「(...98...99...100!)っし、7セット目終わり!!

しんどい、クソしんどい!」

 

 

残り3セット...300回を前にインターバルを入れる。

いくら100倍重力に慣れてきたとは言え、筋トレの辛さが和らぐことは無かった。

むしろ和らげればこの先辛くなることが分かっているから、やらなければ行けなかった。

 

 

(少しは楽に...いや、楽にやればフリーザなんか倒せん。

超サイヤ人にならない事こそ楽なんだ、楽に立ち回るには今やっとかなきゃ。

...けどしんどい...なんか、腕だけでも強くなれば多少は違うんだけどな〜...あぁ、そっか!)

 

(腕だけ界王拳!

スゲェ難しいだろうな...やってみるか!

...おぉ、これは意外と行けるかもしれん!!)

 

 

.........現在 ナメック星.........

 

 

(腕だけ...ってのは無理だったが、上半身だけ〜とか下半身だけ〜とか、上手く行けば胴だけ出来る。

切り替えは早くできないがな...。

身体に負担は掛かりにくいし、切り替えももっとスムーズにやればもっと楽になる。

界王拳の細い区画(スコードロン)化...今の感じ、覚えておかねば。)

 

 

左腕...もとい上半身だけ瞬時に界王拳を使ってデスビームを回避する。

界王拳のみ教わったラディッツが、独自に創りかけている技...身体を細かく区画し、その箇所のみ界王拳を使用し攻守に使い分ける技。

更に極めるならば、そこから発動の瞬間的な切り替えや作動箇所の細分化...。

界王拳だけでも相当な気のコントロールが必要なのだが、更なる応用は相応の気の使用に長けていなければならない。

 

 

「何をした...?

やはり猿は滅ぼさねば!」

 

 

超スピードでラディッツに詰め寄る。

高速で手刀を振るうクウラだが、ギリギリでラディッツはそれを躱す。

 

 

「界王拳!」

 

 

界王拳を用いて背後に回り込み、大振り気味ながら殴りつける。

深手には至らなかったが、それなりに肉体的なダメージは与えられたようだ。

だが...サイヤ人に最終形態まで披露しダメージと言うダメージを与えられた。

フリーザ一族のプライドに傷がついてしまった。

 

 

「この俺が...油断していたとはいえ...絶対に生かしては返さん!!」

 

「(いかん、あれ本気で来そうだ。

どうする...まともにやれば殺される...。

ならば、フェイント込みで少しでもダメージ稼いでやる!)界王拳10倍!」

 

 

身体中を巡る気が熱く...速くなる...が、それは表面上には表れていない。

視覚に頼っていればわからない事も、戦闘力を感じ取れるクウラは察知する。

 

 

(やつめ...戦闘力が倍になったかと思いきや10倍ぐらいになった。

サイヤ人は気の操作が出来ないと思っていたが、もう確信した。

自由自在に操れるようだな...しかも自らの限界をも超える力まで引き出す事が出来るようだな。

俺を超える事は無いようだが...なんだ、あの自信ありげな顔つきは。)

 

 

ラディッツのその姿勢は瞳へ...そして覇気を宿す。

その目を見るクウラは気分を害した。

 

 

「猿め、まだやるつもりか。

カイオーケン?

...いいだろう、完膚なきまでに叩き潰してやる。」

 

 

ラディッツの考え方の方向性は、あながち間違えでは無かった。

格上の相手に対して挑むときは、大体が「戦術が通用しない世界」での戦いとなる。

相手が強いという事は、自分からミスをして崩れていく事は基本無いし、どこへ攻撃をしようとも見切られる...そして、小細工も通用しない。

 

そこで、やるべきことは、徹底したトリッキーな戦い。

そこから生まれる虚をついた戦術である。

相手も格下にみている間...つまりは油断している間にどれだけダメージを与えたり、相手のペースを自分のものに出来るか。

この戦いは運も味方にしなければ成立しない。

実力だけで勝てる相手ではない。

 

 

「ほぁ!」

 

 

両手から大量の気弾を放つ。

全てがクウラに向けて放たれている訳では無い...見切ったクウラは自身に影響のある気弾のみを気弾で撃ち落としていく。

相殺された気弾は爆発を起こし、爆煙で視界が悪くなる。

そして迎撃しなかった気弾が地面で炸裂し、クウラ付近の視界は空よりも悪くなった。

 

 

(ちっ、また視野を奪ったつもりか。

同じ手が通用すると思うなよ!)

 

 

即座に戦闘力を読む、だが全く読めない。

エネルギー反応が見当たらない...と思った矢先、感じた...奴の戦闘力が急接近してくる。

 

 

(串刺しにして終わりだ。

...?

なんだ?)

 

 

指先を立てて予備動作を行う。

ほんの僅かな余所見...太陽が見えたのだ。

ナメック星には複数の太陽があり、常に昼の明るさだと言うのは説明済である。

だが、僅か数分のうちに一つだった太陽が二つになっているのは明らかにおかしい。

そう思った矢先、クウラの目の前に飛び込む影。

それが大きめなエネルギー弾と気づくのは少し遅かった。

接近戦を仕掛けてくると読んでいたクウラは対処が当然遅れ、身体に浴びる結果となる。

その間にも、四方八方から飛び込んでくるエネルギー弾。

それらは何とか躱すが、エネルギー弾同士で爆発を起こして更なる視界悪化に繋がる。

 

 

「ぐっ、猿め!」

 

 

吠えるクウラにまだ手段はある...気弾を上空に跳ね返して視界が開けるのを待つのだ。

視界が戻るのはおおよそ1分...その1分経たないうちにわざと地面に気弾を撃ち込んでいるのは視界が晴れるのを防ぐ為。

全てのエネルギー弾を弾くのは出来ないことではない。

そう思った矢先に、低めのエネルギー反応。

 

 

(これか。)

 

「20倍界王拳!!」

 

 

低空から弾け飛ぶようにアッパーカットが決まる。

20倍界王拳で顎への打撃...気弾と思っていた攻撃が外れ、脳を揺さぶられ、半ば混乱しかけていた。

考える間もなく、宙を舞っていたクウラの足首を掴まれ、空へ投げ飛ばす。

 

 

「はぁ!」

 

 

そのままタメ無しで主砲斉射を放つ。

白い光は迷うこと無くクウラに向かい、光の尾を追うように再びクウラに立ち向かっていく。

一方、空へ飛ばされたクウラは方向感覚が少し鈍る感覚を久方ぶりに味わっていた。

だがそれを楽しむ気は毛頭無く、両手両足を広げ即座に留まる。

目前に迫る白いエネルギーの塊...即座に両手で受け止める。

 

 

「グッ、こんなもの!」

 

 

瞬間的な焦りはあったものの、そう大したエネルギー波では無かった。

受け止めて気づいたが、片手でもまぁなんとかなった程度のものであった。

受け止めたエネルギーの塊をサマーソルトキックの要領で空高く蹴り飛ばす。

 

 

「もう一度、20倍!!」

 

 

弾丸のように飛び込んでくる黒い塊。

2倍近くもある身体に左肘打ちを叩き込む。

勢いはそれで収まらず、高度を上げ、取り続ける。

 

 

(殺らなきゃ...殺られる...殺らなきゃ!)

 

 

上半身だけ界王拳を使い、右手をクウラの瞳へ突き刺した。

クウラの悲鳴と共に、右手は生温くとろみのある生肉がまとわりつくような感覚に囚われる。

 

 

「ぬあぁぁあああっ!!

貴っっ様ぁあーっ!!」

 

 

辺り一面を吹き飛ばす程の爆発波。

間違いなく、彼は本気の爆発波でラディッツを吹き飛ばす。

即座にラディッツはイージスを張るが、勢いは凄まじく吹き飛ばされてしまう。

これまでラディッツの存在を隠してきた砂煙も、一瞬のうちに消え去ってしまった。

 

 

「...チッ。」

 

「許さん...絶対に許さんぞ!

このクウラに傷を与えた事、地獄の底で後悔しろーっ!!」

 

 

瞳の刺傷。

本能的に避けるという動きが無ければ、脳まで達していただろう一撃。

先程のプライドを傷つけた軽めの1発とは比べ物にならないダメージを負ってしまった。

瞳からは赤紫の血潮、痛みが心臓が動くごとに顔中に響いていた。

視野が半分奪われた事や、受けた傷の痛みよりも、そこまでのダメージを与えられた事態になったのが許せなかった。

もうクウラにどんなに許しを乞うても無駄、死を持ってなお許されざる事だ。

 

 

(うわ、コイツ!

まだこんな力...なんだこれは!?)

 

 

クウラの気が爆発的に跳ね上がった。

ラディッツの何倍...いや何十倍であるか?

虐殺...殺戮...どう見積もっても、今のラディッツを殺すのには充分過ぎるにも程がある気のデカさだ。

 

 

「これが俺の本気だ。

この左目に傷を負わせた借りは、貴様を圧倒的な力でなぶり殺して返してやる...!」

 

 

無傷で残った鋭い目が、更に鋭さを増し、若干赤く光る。

鳥肌が立つラディッツの肌、本能が戦うことを拒絶しているようだ。

絶望の淵...諦めの底へと体が吸い込まれそうになるが、次の瞬間、痛みより早く体が吹き飛んでいた。

 

 

 

---ナメック星 別地点---

 

 

想像以上にジリ貧の戦いを強いられている悟空。

20倍界王拳も...更にその状態でのかめはめ波も通用しない。

ここまでカードを切っても、未だ余裕のフリーザに対してあの技しかないと悟った悟空は両手を上げてしまう。

 

 

「...どうしたんだい?

降参のサインかな?」

 

 

フリーザの問いかけには笑って誤魔化し、当て身代わりのデスビームの攻撃を受けてもやめる様子もない。

何かを企んでいると判断し、更に攻撃を加えようとするフリーザ。

 

 

「おい!

孫を援護するからお前らの気を寄越せ!」

 

 

瞬時に察したクリリンと悟飯は、ありったけの気をピッコロへ託す。

ただしベジータは別だ。

 

 

「貴様が行ったところで無駄だ!

カカロットでも敵「貴様、身をもって味わっただろう?

...元気玉だ、気を分けないのならてめぇも手を貸しやがれ!」

 

 

ピッコロはフリーザへ向け突撃していく。

元気玉...ベジータは身をもってあの技の威力を知っていた。

あれならば...。

 

 

「クソッ!

死に損ないが俺に指図するな!!」

 

 

ベジータもフリーザへ向け飛び込んでいく。

引き続いて攻撃を加えようとしていたフリーザに向け放たれるエネルギー弾。

避けるまでもなく炸裂する。

 

 

「おや?

まだ生きてましたかベジータさん?」

 

 

ドスの効いた声に反応する前に、ピッコロがベジータをも巻き込む気弾を飛ばすも、そのベジータを掴んでガードする。

 

 

「案外君たちも、結構酷い事をするね。

味方がいるのに攻撃するなんて。」

 

「「ソイツは味方ではない!」」

 

 

言葉遣いも攻撃のタイミングまでハモる。

それを尻尾であしらうようにガードするフリーザ。

凄まじい手数ではあるが、涼しい顔で全て弾かれている。

 

 

(なんて事だ!

俺だって同化して凄まじい力を手に入れたというのに...!)

 

(クソ!

超サイヤ人に、俺はなったんだ!

フリーザなんぞ!)

 

「おふたりさん、考え事しながらやってますと危ないですよ?」

 

 

それぞれカウンターが綺麗に決まり、交互に打撃を与えていく。

抵抗する前に攻撃をくらい、ガードや回避の余裕など無く、最終的には地を抉りながら背後の岩盤に叩きつけられる。

フリーザは悟空よりも、この2人を先に排除することに決めた。

ゆっくりと浮上し、両手にエネルギーを集め二人に向ける。

 

 

「これでうるさいハエどもも静か...に...!?」

 

 

一瞬の痛みと共に、自らの尻尾が落ちていく。

気円斬...いくら気の扱いに長けていたクリリンでも、気をほとんどピッコロに渡していた為に精度が落ちてしまっていた。

それでもなお、尻尾とは言えフリーザに当てた上に注意を引きピッコロとベジータの命を繫ぐ。

 

 

「...まだハエどもが逃げずにいましたか...。

ちょこまかとうざったいゴミ共がー!!」

 

 

 

悟飯、クリリンに迫る。

最早逃げる為のエネルギーを使い果たしたクリリンは膝をつき動けなかった。

悟飯も残る気を用いて邀撃する。

 

 

「僕だって!」

 

 

その小さな体から溢れる勇気は届く訳でもなく、片手であしらわれて地面へ弾かれる。

そのままクリリンを蹴り上げ、かかと落としで地面へめり込ませた。

攻撃はそれで止まず、両拳...ノヴァストライクを受け、出来たクレーターが格段に巨大なものになる。

 

 

「ボホォ!!」

 

「大人しくしておけばもっとマシな死に方ができたのにね。

君には苦しんで死んでもらうよ?」

 

 

死なない程度に1発1発丁寧に腹部に拳を打ちつける。

殴られる反動で血反吐と唾液が入り混じった物が、幾度となく飛び散った。

 

 

「おっと、君たちも忘れてはいませんよ?」

 

 

背後から迫るピッコロには裏拳、真上から蹴り落としてきたベジータを掴み、近くの岩山に投げ飛ばす。

その間にもクリリンへの攻撃は止まず、徐々に弱々しくなる気...あと何発耐えきれるだろうか?

 

 

「クリリンさんから...離れろー!!」

 

 

目に止まったのは、懐で拳を突き出さんとするサイヤ人の子供。

次の瞬間には痛みとともに殴り飛ばされていた。

悟飯は幼いとは言え、目は確実に戦士の目...その目が気に入らないフリーザ。

 

 

「グッ...このガキがぁ!」

 

 

体勢を立て直しながらエネルギー弾を放ち爆散する。

反撃は決まったかに見えたが、視認する前に脳天を蹴り落とされる。

 

 

「お前なんか死んじゃえー!」

 

 

新技 爆砕魔弾。

師であるピッコロから教わった魔閃光の派生型。

ラディッツは新技とか言って喜んでいたが、実際の漫画の方では第三形態の時には出していた技であった。

 

 

「フルパワーだあぁーっ!」

 

 

精一杯だったエネルギー波が、更に強大になる。

抑えて跳ね返してやろうと一考していたが、押されて堪らず受け流す。

痺れる掌...反動で動きが鈍る悟飯に目もくれずに睨みつけていた。

あのサイヤ人に...しかもガキに、この手が痛みと衝撃で痺れを感じていたのだ。

 

 

「...もういい。

お遊びはここまでだ!」

 

 

再び浮上し、指先の更に先へエネルギーを集中させる。

要らなくなった星や不要な星を、最期に爆破させて鑑賞する為のエネルギーボール...フリーザ軍の兵士では別の名で、知れ渡っていたようなので、その名を借りてデスボールと言っていた。

 

 

「これで終わりにしましょう!

大丈夫...一瞬の内に蒸発しますから痛みは.....?」

 

 

突如として違和感を感じる。

何故か...空中のフリーザの影がやけにハッキリと地面へと映る。

太陽とは違う...また別の光源...。

振り向けば...自らのデスボールとは比較にならない程巨大なエネルギーの球体がそこに存在していた。

その下には...忘れていた、サイヤ人孫悟空。

そして周りを見回せば誰もいない。

まんまと時間稼ぎに嵌められたというわけだ。

雄叫びとともに迫り来る光り輝く光球...デスボールはあっという間に飲み込まれ、残るのは己自身。

こんな所で...あのサイヤ人なんぞにやられるはずがないと、光球に真正面から立ち向かう。

むしろ、押し返して絶望へと変えてやろうという算段だった。

...だが、想像を遥かに超えるエネルギーらしく、押し返すどころか勢いがまるで衰えない。

 

 

「こん...こんんんなものぉぉおおおーー!!」

 

 

恐ろしい程の質量をもつ巨大なエネルギーの塊を、必死に押し返そうと抗う。

質量抜きにして、純粋な大きさを比較しても以前の30倍はあろうかという元気玉。

ナメック星の全ての元気では足りず、その周辺の惑星やら衛星全ての自然エネルギーを寄せ集めての元気玉だった。

これが、フリーザに対する必殺技であり、切り札であり、最後の手段であった。

これが決まらなければ、ズタボロの体で宇宙の帝王と対峙しなければならない。

既に悟空とピッコロは、衝撃に備えるために地に突っ伏しており、エネルギー質量と重力にまかせている状況だ。

 

 

(...こんなところで...この僕が...サイヤ人如きにぃ!!)

 

 

フルパワーなら押し返せるものも、今の身体ではどうしても全開になれない。

今になって、楽しみたいがための形態変化を恨んだ。

思うように力が出せず、遂に地面へと追い詰められる。

...まさしく、押しつぶされるように。

 

 

「ぐわああああーー!!」

 

 

断末魔の叫び...元気玉に呑まれ落ちていくフリーザ。

閃光と衝撃に地形は瞬く間に変わり、爆心地に向け周りの湖から水が流れる。

遠くへ避難していたクリリン・悟飯は、元気玉の凄まじさを痛感した後に悟空達を救出する為に爆心地へと向かう。

幸いにも、ピッコロが襟首を掴んで陸地へと引き上げていた!

安堵する戦士達...だが彼らのやる事はまだ残っていた。

 

 

「大丈夫?

お父さん?」

 

「へへへ...もうほとんど力が出ねぇけどな。」

 

「まだ倒さなきゃいけないやつがいるなんて...」

 

「この後に及んで、奴だけ見捨てるわけにはいかんだろう。

...デンデ。」

 

「は はい!」

 

 

戦士達は一斉にある方向へ視線を向ける。

徐々に減少していく生命エネルギー...ラディッツだ。

フリーザよりも強敵でありながら、たった1人で戦う男を見捨てる彼らではない。

 

 

「コイツら...本当にフリーザの野郎を...」

 

 

空中に避難していたベジータは、目の前の出来事が信じ難かった。

敵わないと思っていたフリーザに立ち向かう下級戦士...その強さは間違いなく超サイヤ人の領域だった。

それでもフリーザに防戦一方だったが、ピッコロとベジータの時間稼ぎにより、フリーザの気が消えた。

...正確には、元気玉の衝撃の余波で戦闘力を掴めないだけだったのだが、自身もあの技を受け、更に今回は数十倍の威力。

あのとんでもない戦闘力が読み取れないなら、確実に葬ったとしか思えない。

 

 

(...下級戦士のくせに...!

だが、エリートの俺様なら確実にあれよりも強くなれるはずだ!

まだ奴の兄とかいうのが残っているならば...回復し、その戦いで超サイヤ人になってやるぞ!!)

 

 

ベジータも何も言わずに彼らの近くの空中まで近づく。

目的は違えど、倒す敵が同じならば自ずと次の行動は早かった。

避難していたデンデも、一目散に悟空の元へ駆けつける。

これで回復さえすれば...あのフリーザの兄と言う奴にも勝てるかもしれない。

 

 

「お待たせしました、今すぐ治します!」

 

 

突如として、ベジータが地面にめり込む。

...しかも、意識が無い。

首の骨が折れ、白目を剥いて倒れている。

 

 

「ベジータ!」

 

 

間を挟まず、今度はデンデが倒れ込んだ。

いきなりの出来事に、全員何が起きたのかわからなかった。

ただ一つわかることは、二人共何者かにやられたという事は理解出来た。

この状況で、誰かにやられたという事は...

 

 

「はぁ...はぉ...い 今のは死ぬかと思った。

許さんぞ...絶対に!!」

 

『フリーザ!!』

 

 

周りは荒れ狂う湖、その最後の岩の島の上。

奴は帰ってきた。

身体中に傷や痣、更には傷口は出血し、その表情は激怒の極みに達していた。

帝王、再臨。

彼らに絶望が襲いかかる。

ベジータは首を折られ、デンデはデスビームに倒れ、抗う戦士達は既に限界...もう気力で立つのもやっとの程度。

 

 

「不思議と何度も回復していたのは、そのナメック星人のガキが原因か。

これでお前達はもう回復出来ませんね?

ついでに、超サイヤ人とか何度もほざくベジータさんには、少し黙っていただきました。」

 

 

突如として湖に凄まじい水柱を形成された。

その水柱が落ち着く前に、再び水柱が上がる。

収まった時には、尻尾で締め上げられたラディッツとクウラがいた。

 

 

「...かは...。」

 

「ん?

フリーザか。

貴様にはいつも説教垂れていたが...どうやら俺もまだ甘かったようだ。」

 

「...!?

その目は、まさか!?」

 

 

肯定するかのように、尻尾の血管が浮き出てラディッツの悲鳴が上がる。

フリーザの知らない最終形態を超えた変身にも驚いたが、そのクウラに傷が付いていた事の方が問題だった。

少なくとも、クウラとサシで傷を付けられるなら、自分と父のみかと思われたが...それをサイヤ人にやられるとは考えてもみなかったからだ。

 

 

「ラディッツ!?」

 

「なんだ、アイツは!?」

 

「奴だ!

あのフリーザの兄と言う奴...クウラだ!」

 

「なんだって!?

フリーザをも上回る気...こんな奴が...。」

 

 

クリリンは膝から崩れ落ちる。

絶望...そんな言葉が安く思える。

兄 クウラの信じ難いダメージに、フリーザは意を決して浮上する。

 

 

「クウラがここまでやられるとは...僕も油断していると万が一って事があるからね。

すぐに終わらせるよ。」

 

「悟空避けろ!!」

 

 

ラディッツが叫ぶ。

その声にいち早く反応したのはピッコロだ。

悟空を突き飛ばし、その胸に風穴が開く。

黙れと言う代わりに、クウラはラディッツをピッコロに投げ捨てる。

 

 

「ぐ...ぅ...ピッコロ!?」

 

 

完全に死んではいない...ベジータもだ。

首の骨が折れても、胸に風穴が開こうとも、彼らの気は消え去ってはいない。

それでなお、クウラは更なる一手を加える。

 

 

「クリリン!」

 

「イージス!」

 

 

界王拳での強化された気のバリアを張るが、クウラの最終形態の力には及ばず貫通する。

体に埋め込まれた極少のエネルギーボールは、もがくクリリンを宙に浮かして自由を奪う。

 

 

「どうだサイヤ人?

仲間が苦しんで死ぬ姿を見られるぞ?」

 

「ホッホッホ、蜂の巣にして差し上げましょう!」

 

 

連続デスビーム。

ベジータ以上に、クリリンにも無数の風穴が一瞬で開く。

 

 

「ご...く.....。」

 

「やめろーっ!!

フリーザ!」

 

 

クリリンの最期は、原作よりも酷いものとなった。

身体中に無数の穴...そして最期に眉間に。

そして爆散。

フリーザ、クウラにより、必要以上を超えた攻撃を受け続け、最期には肉片すら残らずに散った。

 

 

「クックック...いい眺めだ。」

 

「次は...貴様の息子。

そしてラディッツ。

最期にお前をなぶり殺して同じ所へ送ってやる。」

 

「.....くも...よくも.......」

 

 

 

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