弱虫兄貴のリスタート   作:バタピー

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明けましておめでとうございます!
この小説...丸々2年経ちまして...


恨み骨髄に徹し...

(俺は...人としてどうかしてるかもしれん...。)

 

 

クリリンを守ろうとイージスを張った訳だが、直前に雑念が過ぎった。

ここでそのままクリリンを殺させれば、悟空は超サイヤ人になって勝機が生まれるかも...と。

一時はそんな思考を振り切って守ろうとしたが、結果的にはクリリンは死に...悟空は超サイヤ人へと変貌を遂げていた。

しかも、それを正当化しようとしている自分もいる。

 

 

(結果的に、悟空は超サイヤ人になった。

これでフリーザ達とやりやすくなった...だけど、クリリンを見殺しどころか、共謀して殺した様なもんだ。

だけどそうしなければどうやって悟空が超サイヤ人になれただろうか?)

 

 

悟飯は、ピッコロとベジータを抱えてどこかへ行った。

悟空が乗ってきた宇宙船へと運んで行ったのだが...それがどうでもいいように思えた。

 

 

(俺...ホントにこれで良かったのか?

やってる事が正しいのか?

けどそうしなければみんな野垂れ死ぬ事になってたかもしれなかった...)

 

 

フリーザは超サイヤ人になった悟空に酷く驚いて、フルパワーと言う封印を解くことに。

クウラはあくまでフリーザに尻拭いをさせる気だったようで、フリーザ単体で悟空と戦う。

 

 

(...クソ、そうやって自分のやってることを正当化してるだけだ。

あの時あんな事を思わなければ、クリリンだって守れたはずなん「どうした猿、無い頭を懸命に使って?」

 

 

次の瞬間には地面を飛び跳ねるように転がっていた。

ピントが合わない目を向けると、二重にボヤけるクウラが歩み寄ってきている。

頭を掴みあげ、クウラと目線が合う。

 

 

「...クウラ、フリーザ1人で良いのか?

アイツは超サイヤ人だぞ?」

 

 

返事より早く、拳が腹にめり込む。

 

 

「あのサイヤ人を殺し損ねたのはアイツの責任だからな。

フリーザが本気を出せば、例え貴様らが大好きな超サイヤ人になったと言えど負けることは有り得ない。」

 

「...ゲホッ...そうかよ。

...!」

 

 

不意を突いた蹴りも尻尾で阻まれ、再び腹に拳がめり込む。

もう、ラディッツに残されていたのは限界まで引き上げる界王拳...こんな事になるなら、元気玉覚えとけばと本気で思っていた。

 

 

「ふふ...無様だな。

貴様にやられたこの目の痛み...何十倍にして返してからあの世に送ってやる。

まずは、俺と同じように目を潰してやろう。」

 

 

指を突き立てるのを、両足で蹴り飛ばしてクウラの拘束から逃げ出す。

もちろん、界王拳を使ってだ。

 

 

(逃げれた...いや、逃げさせてもらったみたいだな。)

 

 

普段、戦闘においては非常に用心深く徹底的だった。

どんな敵であろうと、死体を見るまでは自分の勝利を確信しないのが彼の信条だった。

だが下等生物サイヤ人を殺すどころか、瞳をやられてプライドがズタズタになった今、ラディッツをなぶり殺しにする事に固執していた。

 

 

「その程度で逃げれたと思ったら大間違いだ。」

 

 

再び、気づいた時には地面に叩きつけられていた。

戦闘力差があり過ぎる。

界王拳を使わなければ全く歯が立たず、使ったとしてもほとんど歯向かうほどのものではなかった。

 

 

「クソ...勝てない...」

 

「当然だ、貴様らサイヤ人如きがフリーザ一族に適うとでも?」

 

 

勝てない...そう口にはしたものの、まだ全てを諦めているわけでは無かった。

クウラと言う想定以上の敵が来てしまった訳だが、原作通りにピッコロも悟飯も生き残り、悟空は超サイヤ人へとなった。

ベジータは死んでしまうはずだが、原作より強化されてしぶとく生き残っている。

クウラさえ倒せば勝機は充分にある...が、気のデカさが尋常でない。

潜在能力開放、尻尾の復活による身体完全復活、界王拳...10倍...20倍...それでも絶望的な力の差は埋まらない。

今は手加減されているからまだ立てているが、本気でやられたらジャブですら致命傷になりかねない。

 

 

(まだ手加減されてるうちに...ダメージを。

本気でやるしかねぇ...。

30倍の界王拳!)

 

 

大火のようなオーラ。

自身の継続して出力する事の出来る限界が30倍の界王拳。

ここが勝負の分かれ目である。

 

 

(なんだ!?

また戦闘力が...これまでで一番か!?)

 

 

「はああああ!」

 

 

真正面から空中でステップを踏むようにランダムに方向をずらしながら接近する。

ある程度の所で気弾を連射し、クウラの斜め上空に高速移動。

気弾を防げば拳が、拳を防げば気弾が、どちらにも気を取られればダメージは倍増だ。

 

 

「...ぐふっ.....ぅぅ。」

 

 

気弾に飲み込まれるクウラ。

彼の腕はラディッツに届く。

大火のオーラは消え去り、髪から尻尾の先まで全身の力を失う。

クウラのダメージは...。

 

 

「それが貴様の全力のようだな。

下等生物にしてはまぁまぁだったな。」

 

 

気弾のダメージと言うダメージはまるで見当たらず。

そして自らの拳は届かず。

食い込んだ拳を、一段と強く押し込んで吹っ飛ばす。

バウンドしながらいくつもの岩山を突き抜け、ボロボロになって止まった。

 

 

「...まじ.....かぁ.....。」

 

 

痛みしかない体を無理矢理立ち上がらせる。

クウラは...先程までの間のない攻撃は無くなった為に近くにはいない。

ただ、容赦の無い攻撃は威力に変わり絶望を与える。

その証拠に、バカでかい気を放つクウラはゆっくりと歩いて近づいてくる。

まるでブラッド・スポーツ(狐狩)...これまで相手をなぶり殺す事の無かったクウラが、ここまでなぶり殺しに徹すると...。

 

 

(どうすりゃいい...。)

 

 

抗う手段はもうほぼ無い。

後は...超サイヤ人。

何かの怒りがキッカケで覚醒でもすれば、希望は見えてくる。

だが、ドラゴンボールは主人公すら死んでしまったり生き返ったりする世界。

そんな物語を知っている彼に、誰かが死んで怒りに目覚めると言う感覚がよく分からなかった。

 

 

(怒りか...どうやって怒ればいいんだ。

クリリンが死んでもあまり何も思わなかった人間だ。

どうすれば超サイヤ人に...?)

 

 

そろそろクウラも、数十mの所まで歩み寄った来た。

考える時間はない。

地面を蹴り込んで接近する。

直前で更にスピードを上げ、赤いオーラをチラつかせてて消える。

ふと、ラディッツが立ち止まる。

二人目のラディッツも立ち止まる。

三人...四人と増え、十人のラディッツがクウラを取り囲む。

 

 

『おらぁー!』

 

 

十人のラディッツは同時に殴りかかる。

拳が当たる前にクウラは消える...。

 

 

「ゴハァッ!」

 

 

上空に突きつけられた拳は見事にラディッツの腹部を捉えた。

と同時に、十人のラディッツも姿を消す。

 

 

「残像か?

そんな子供騙しに掛かるとでも思ったか!?」

 

 

 

尻尾で叩きつけられ、岩山の半分をぶっ飛ばして止まる。

速さでも圧倒され、力でも圧倒され、技でも圧倒され...。

 

 

(...やるしかない。

限界を超える界王拳...これでダメなら死ぬしかねぇ。)

 

 

手を腰に...気を溜めるあの姿勢。

はああぁぁーと唸り気を高める。

 

 

「界王拳...35倍!」

 

 

一瞬しか出したことのない高出力の界王拳を維持するラディッツ。

それでもなお涼しい顔のクウラに向け突撃していく。

ここまで限界まで界王拳を引き上げると、もう戦略とか戦術とか考える余裕は無い。

真正面から力と手数で立ち向かう。

 

 

「はああああ!」

 

「まだ上がるのか。

だがその程度なら無駄な足掻きだ。」

 

 

小さな衝撃波が発生するラッシュ攻撃を軽くあしらっていくクウラ。

限界を超えてまでも、まだクウラの方が上なのだ。

 

 

「はああああ斉射ぁああ!」

 

 

そのラッシュ状態から放つ主砲斉射。

至近距離からのエネルギー波だが、これにも対応するクウラ。

しかも...片手だ。

 

 

「ぬらあああぁぁぁ!!」

 

「醜いな。

所詮猿はどう足掻こうが野蛮な猿だ。」

 

 

信じられない光景に焦るラディッツ。

界王拳も持続するのも限界だ。

最後に...最後に...。

 

 

「あ...あ...ぁ...40ば!!」

 

プツン

 

 

ブレーカーが落ちるような感覚...エネルギー波は突如として消え、体の感覚が全て消えた。

痛覚も、風を切って落ちていく感覚も、心臓が動く感触すらわからなくなった。

意識すら、ちょうど境目のような所に留まっている。

...地面に墜落した。

意識と反して、全身がビクビクピクと激しく痙攣し始めた。

止めようにも体は言うことを聞かない。

痙攣してると分かったのも視覚から得た情報であって、まるで状況が読めなかった。

 

 

「終わったな。

カイオーケンが何か知らんが、貴様の身体が保たなかったみたいだな。」

 

 

所々しか聞こえなかったが、身体が保たなかった事は聞き取れた。

そう、界王拳での増強とはいえ身体に負担が掛かるのはご存知だろう。

それが身体の限界を超えただけだ。

赤紫色の肌が、身体の至る所に広がる...内出血だ。

そして、極度に肥大して胸を突き破ろうとしている心臓。

 

 

(なんだこれ...心臓が...!?

界王拳をコントロール出来なかった代償か。)

 

 

意識は朦朧としていたが、力の抜けた身体と心臓肥大を見て確信した。

そしてもう一つ確信する。

死がすぐそこまで迫っている事を。

ラディッツの身体がゆっくりと宙に浮かぶ。

首が、クウラの手中に収まる。

 

 

「貴様がもし...下等なサイヤ人で無かったら、俺の配下にでも加えようと思ったんだがな。

恨むなら、貴様の運命を恨むんだな。」

 

 

踠くにも力は無く、気管は閉ざされた。

やがて首の骨が軋む感覚になり、意識は徐々に薄れていく。

 

 

「ラディッツさんを、放せー!!」

 

 

何かがクウラに飛び込んで来たのだが、左腕1本で軽く薙ぎ払われる。

ベジータとピッコロを送り届けた悟飯が戻って来たのだ。

クウラはラディッツの首を離し、悟飯を注視する。

 

 

「悟飯、来ちゃダメだ...。

俺より悟空を。」

 

「お父さんならきっとフリーザに勝てます。

ラディッツさん...死んじゃいやです!」

 

「悟空...あのサイヤ人...危うく猿の血を見逃すところだったぞ!」

 

 

目に捉えられない程素早い攻撃。

悟飯の腹部に深く刺さる。

子供だからと言って手加減をする程クウラは甘くない。

 

 

「やめろー!

殺るなら俺を殺れー!

悟飯は、悟飯はダメだ!!」

 

「そうか...ククク。

いい事を思いついたぞサイヤ人。」

 

 

 

手首を握りあっさりとへし折る。

あまりの痛みに悟飯は悲鳴をあげ、涙を流す。

クウラの良い考え...それは、動けないラディッツの目の前で子供...そして仲間の孫悟空の息子を惨殺する事だった。

抗う者であり、サイヤ人の血を受け継いでいるのだ。

一石二鳥、三鳥にも四鳥にもなる。

 

「どうした猿?

早くしないとこのガキが死んでしまうぞ?」

 

「てめえぇー!」

 

 

人差し指が動いた。

徐々に身体が動ける程度まで回復している。

それを見て、クウラは肘を折る。

1箇所ずつ、命に関わらない所から順に使えなくしていく。

クウラが更に悟飯を痛ぶろうとした時、地面から突き上げる衝撃と聞いたことのない程の大きく長い地鳴り。

 

 

「...まさか...フリーザのヤツ、この星ごと消すつもりだったのか。」

 

 

地鳴りは止んだが、再び地が揺れる。

星の崩壊が始まった事は誰しもが予感出来る。

 

 

「こうなってしまった以上、早々に片付ける必要があるな。」

 

「ぁ...ぅぅ.....。」

 

 

三股の関節が、あらぬ方向に不自然に曲がる。

左足は力加減を間違え、ちぎってしまった。

その左足は近場に捨てられていた。

 

 

「クウラてめえ!

そんな事して許されると思ってんのか!?」

 

「許される?

違うな、これは俺が貴様らに対する制裁だ。

貴様らサイヤ人如きが身分制度紛いの愚かな民族でありながら、周囲の星を侵略していたから我が一族が止めさせ、友好的な同盟を組んだのだ。

それなのに...徐々に力を蓄え始め我々に反逆しようと謀ったのだ。

わかるか?

無能で横暴な猿ごときが図に乗りすぎたのだ。

だから俺達が責任を持って、お前達サイヤ人を全滅させる。」

 

 

悟飯の腰を踏み付ける。

骨が砕ける嫌な音と、悟飯の叫びを味わう事になるラディッツ。

精神的にも限界だった。

短い期間だが、悟飯の叔父...そして師として来た彼には耐えられない光景。

そんな時、再び異常現象が現る。

空が途端に暗くなった。

これも星の崩壊に関連するものかと思われたが、遥か彼方の龍を見て事態を飲み込んだ。

 

 

(ドラゴンボール...いかん!)

『界王様!

デンデに伝えてほしい、悟空とフリーザだけじゃなくて俺とクウラも残してくれって!』

 

『な 何を言っておる!?

お前達二人は残ってはならんのじゃ!』

 

「後のことはなんとでもなる!

とにかく俺とクウラも残して、後は地球に飛ばしてくれ!」

 

 

困惑気味の相槌を最後に、テレパシーは途絶える。

何とかなるようだが、最後の言葉を聞いたクウラは引っかかっていた。

 

 

(俺とあの野郎を残して飛ばす?

なんの事だ...この暗さと言い何が起きている?

まさか...ドラゴンボールの願いが俺とあの野郎以外を別の所へと言うなら、辻褄は合う。

ならば...)

 

 

クウラは悟飯の顔を握る。

全身骨折だらけの小さな体は、不自然な姿勢のままダラリと吊し上げられる。

 

 

「貴様ドラゴンボールで何を企んでいる?」

 

「お前には関係ない!

そんな事より悟飯を離せ!」

 

「コイツを殺されると余程都合でも悪いのか?

...それとも、偽善心からか?」

 

「偽善心だと!?」

 

「そう、偽善だ。

貴様の性根はサイヤ人特有の非道性だ。

本当は善行など行う気が無いくせに善人だと思われようとしている貴様が滑稽だ。」

 

「...例え偽善だから「やらない偽善よりやる偽善とでも言いたいのか?

それは貴様の思い上がりだ。

実際どうだ?

貴様の行いにより幾人の星の人間が手にかけられ、仲間すら危険に晒している。

お前のその言分は、偽善者の言い訳であると同時に自己欺瞞そのものだ。」

 

 

これまでの自分を全て否定されているが、状況が状況だけに言い返すことも、拳を振るうことも出来ない。

ドラゴンボールの願いさえ叶えば、悟飯は何とか地球に行けるはずと思っていた。

 

 

「だから、その偽善心が向けられてるこのガキを殺せばどうなるか...?」

 

「な...やめろおおぉぉっ!

 

「うわ...ぁ...お...とう...ラディ...さん。

...たす...け.....」

 

 

骨が砕ける音と、拳を握り潰す時は同じ。

首から上が無くなった体は、重力に従って地に落ちる。

そして少し経ってから、ナメック星の空は明るくなった。

 

 

「どうだ猿、貴様の偽善心は?」

 

「...。」

 

 

ラディッツの耳には何も入らない。

耳鳴り...眼前暗黒感...そして堰を切ったように全身を目まぐるしく流れる血液。

 

 

「...ぐっ...ぅぅ...。」

 

「悲しむ必要は無い、お前も今すぐ送ってやる。」

 

 

1歩、近づいた。

立ち上がるサイヤ人。

そう、立ち上がったのだ、今の今まで虫の息で横たわっていた男が。

 

 

...うぅ...ぐ...ぅぅ。

 

 

髪はボリュームが増し、髪の色素が白く変わったかと思えば...光り輝き始めた。

いや...光ると言うよりかは黄金色に...。

その姿は、先程の孫悟空と呼ばれたサイヤ人と同じ。

 

 

(まさか...超サイヤ人がもう1人?

...だが、先程のサイヤ人程度の戦闘力と同じ上昇率ならまだ対処できる。)

 

 

クウラは至って冷静。

対するラディッツは...復讐心に満ち溢れていた。

 

超サイヤ人に覚醒するには一定の戦闘力の他に、

・穏やかな心

・種の絶滅の危機

・感情の起伏(強い怒り、悲しみなど)

 

...が必要とされている。

 

だが穏やかではないが深い悲しみ、想像の怒り、気がついたら覚醒する...等と、環境や個々の違いにより異なってくる。

今回のラディッツは前者と後者を兼ねていた。

サイヤ人と言えど、なんの抵抗も出来ない子供を惨殺された怒り...その子を助けられなかった強い自己嫌悪...そして何よりも、全ての元凶となったクウラへの憎悪、復讐心...。

穏やかとは程遠いが...深い悲しみと怒り、そして相手を殺す程の復讐心が超サイヤ人へ引き上げたと言えよう。

 

 

「...お前に教えてやるよ。」

 

 

次の瞬間にはクウラは地面に投げ倒されていた。

 

 

(何!?

何が起こった!?

いや、瀕死の猿が何故!?)

 

「...俺達の受けた痛みがどれくらいだったか...テメェに嫌という程!」

 

「調子に乗るなぁ!!」

 

 

仰向け状態で踏みつけられそうになるが、ギリギリ左手で受け止める。

その左手に水気を感じた。

ラディッツは涙を流していたのだ。

 

 

「...くっ...ハッーハッハッハ!

なんだ貴様、泣いているのか!

クックックッ!」

 

「笑うなクソが!」

 

 

足に全体重を掛けてバランスを崩し、倒れ込みながら鳩尾に肘打ちを決める。

対するクウラは、倒れ込む直前にエネルギー弾を顔面に三発叩き込む。

ほぼ相打ちとなり、後方へと跳躍して間合いをとる。

 

 

「この傷を与えた貴様の過ち...償ってから死んでもらうぞ!」

 

 

今まで表面化していなかったが、どす黒い紫のオーラが吹き出す。

まるで先程の本気と言った事が嘘みたいに。

 

 

「これが俺の本気も本気だ。

貴様がいくら伝説の超サイヤ人だろうがぶっ!」

 

 

ラディッツの攻撃は止まらない。

まるでクウラの話を聞いていない...いや、聞きたくもないように攻撃し続ける。

最初は全く手出し出来なかったが、徐々に押し返し始める。

第五形態で3割の力配分だったが、今では全開にまで引き上げて戦っているのだ。

この異常な程の戦闘力の上昇率...まだ圧倒してはいるが、クウラの心境は平穏では無かった。

 

 

(これが伝説の超サイヤ人...。

俺がここにいなければ、フリーザに勝ち目は到底無かった。

ここで消さねば...一族のプライドに関わる。

コイツは...ここで殺す!)

 

 

衝撃波でラディッツを弾き飛ばす。

すぐさま反撃しようとする体に、深く拳がめり込む。

血反吐を吐き出すも、髪を掴まれ前のめり気味になった顔面を蹴り飛ばされる。

吹き飛ぶ先に回り込み、十何発も殴り込んだ末に蹴り落とす。

もう一度先回りし、再び殴り掛かる算段だったが、頭突きされて体勢が崩れる。

 

 

「クソが!」

 

 

がら空きになった腹部に叩き込まれる数発の巨大な気弾。

硝煙立ち込める腹部を捕まえタックル。

そのまま地面へ激突し、衝撃で地表が大きくめくれ上がる。

 

 

「まだ生きてやがるのか。

どーせテメェは地獄行きなんだ、さっさと消え失せろ!」

 

「猿が、多少強くなっただけで意気がるなよ?

戦闘力なら俺の方が上なんだからな!」

 

「貴様ぁぁあああー!!」

 

 

クウラの顔面を殴るもう1人の金色の戦士。

だがその攻撃はクウラにダメージを与える程ではなかった。

それを察した男は更に攻撃を加える。

 

 

「よくも...よくも悟飯をぉおお!!」

 

 

親友のクリリンを殺されて覚醒した孫悟空。

息子をも失い、感情に任せて拳を奮っていた。

ピッコロ大魔王以来か...自我をも失う程の怒りと殺意で戦う孫悟空を見るのは。

 

 

「うわああああああ!!」

 

「どいつもこいつも...超サイヤ人は叫びながら攻撃するのが好きなようだな!」

 

 

悟空の攻撃を初撃以外全て防ぎきる。

サイヤ人と言う戦闘民族の血、センスに加えて、数々の死線をくぐってきた悟空の技、パワー、スピード。

超サイヤ人となりそれが桁違いのレベルになったのにも関わらず、クウラにはまるで通用しない。

カウンターの1発で、ぶっ飛ばされてしまった。

そんな悟空を助けるよりも、ラディッツはクウラへ殴り掛かっていた。

 

 

「テメェは俺が殺す!」

 

「ぬかせっ!」

 

 

取っ組み合う2人。

バチバチと空間に稲妻が走り地面もえぐれていく。

互いに額に血管が浮き出る。

 

 

「うっ!?」

 

 

不意にクウラは力を抜き、前のめりになったラディッツを蹴り上げる。

追撃しようとしたが、再び悟空が妨害してきた。

 

 

「クウラーっっ!!」

 

「サイヤ人は一匹残らず殺す!」

 

 

上空から連続エネルギー弾。

悟空を巻き込んで爆炎に包まれる。

煙を利用して悟空は仕掛けるが、再び蹴り飛ばされてしまう。

追撃するクウラだが、目の前にラディッツが現れ反撃されてしまう。

 

 

「邪魔だ悟空!

失せろ!」

 

 

それでも止まらない悟空を殴り飛ばす。

彼は完全に白目を向いて行動していた。

思考回路が完全にぶっ飛んでいるようだ。

 

 

「うるせぇ、どけ!!」

 

「テメェは足でまといだ!

フリーザはどうし「キエェイ!」

 

 

連続デスビームが2人に降り注ぐ。

攻撃が止むと、クウラはフリーザの隣へ。

対するラディッツは、イージスを張ってデスビームを防ぎきった。

暴れる悟空の首を地面へ押し付け、攻撃が止むと同時に顔面を殴る。

 

 

「あいつは...悟飯を殺したんだ!

オレはクウラもフリーザも許せねぇ!」

 

 

再び静止を振り切ろうとする悟空を、変色した拳でもう2発殴る。

 

 

「いい加減にしろ。

お前がクウラに立ち向かったところで勝てるかよ!

あのクソは俺が必ずぶち殺す、だからお前はフリーザを全力で殺せ。

情けなんてかけるんじゃねぇぞ?」

 

 

しばらく反応しなかったが、あぁ。と一言だけ答え、ゆっくり立ち上がる。

その眼には緑の瞳が戻る...が、怒りと憎しみが映っていた。

フリーザはそれがとても気に入らないようだ。

 

 

「俺を殺すだと?

逆になぶり殺してやる。

どちらがいい?

地球人のようにか、貴様の息子のようにか?」

 

「クリリンの事か?

それとも悟飯の事か?

.......答えろ!!」

 

 

再び悟空とフリーザの激闘が始まる。

戦いが始まっても動かなかった2人だが、クウラが手を広げる。

 

 

「五分...この星の寿命だ。

そして貴様の寿命は...1分そこそこだ。」

 

「上等だクソ野郎。

テメェは簡単には殺さん...タダで死ねると思うなよ?

なんならこの星とテメェと心中でもしてやる。」

 

 

クウラが戦闘力を集中させる。

いよいよ全開で殺るつもりのようだ。

対するラディッツも

 

(俺の体...もう一度もってくれ!

あの野郎を殺す為に!!)

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