弱虫兄貴のリスタート   作:バタピー

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4/6 重大な部分をしっかり忘れていたので追記してあります。

誤字脱字修正済み R2 1/12


恐怖の大王が空から来るだろう

---宇宙空間 とある宇宙船---

 

 

「.....ザ.....フリー.....よ。」

 

 

脳に届く聞いたことのある声。

 

 

「フリーザよ。

...目が覚めたか?」

 

 

視界が一気に広がった。

目の前には床にびっしりと張り巡らされたケーブルやホースやパイプ。

それらは全てメディカルマシンに繋がっており、その中で治療されているのだとすぐにわかった。

間もなく治癒液が抜かれ、呼吸器も外される。

空気が美味しいとは全く思わないが、呼吸器無しで吸う酸素の方がより自然と吸えることに多少驚く。

 

 

 

「ご無事で何よりです、フリーザ様!」

 

(ご無事...だと!?)

 

 

目の前の窓にチラリと映る全身。

欠損した左腕と下半身、右半分の頭部は完全に機械で補われている。

更には顎部分、及び右胸部分から脇に掛けては機械類とプロテクターに覆われており、とても無事とは思えない。

むしろ生きているのが奇跡的と言える。

 

 

「あなた、今なんとおっしゃいました!?」

 

「フリーザよ。」

 

 

フリーザ兵の頭を掴みあげる。

ミシミシと言う音と、兵士の悲鳴の部屋に入ってくる者を見ると力が緩んだ。

 

 

「ここはもう戦場ではないぞ。」

 

「...悪かったね、パパ。」

 

 

コルド大王... 宇宙最強と謳うフリーザの父

容姿はフリーザの第2形態に似る。

一族の中から突如現れた、異常な戦闘力と残忍性を持った突然変異体。

そのコルド大王の突然変異体としての性質を強く受け継いで生まれたのが、フリーザとクウラである。

 

そのコルド大王がフリーザを助け、治療していたおかげでフリーザはこの世に留まることが出来た。

息子の命が助かった事でホッとしたコルドだが、彼の次の行動は決まっていた。

 

 

「お前をここまで痛めつけたのは...どこのどいつだ。」

 

「地球から来たやつだよパパ。

信じられないかも知れないけど...あのサイヤ人。

しかも、伝説と思われた超サイヤ人にやられたんだ!!!」

 

「なんだと!?

フリーザ、何を言っているのだ!

超サイヤ人など存在する訳がなかろう!!」

 

 

伝説の超サイヤ人...架空であるサイヤ人の形態と確信していたが、息子の惚けぶりに一喝する。

しかし、ごく普通のサイヤ人であればフリーザの足元にも及ばないはずなのに何故体が欠損する程の傷を負ったのか?

 

 

「パパ、僕が嘘を言っていると思っているのかい?

しかも、超サイヤ人は2人。

そしてもう1人の超サイヤ人はクウラと戦っていた。

...どうなったのかはさっぱりわかんないけどね。」

 

(...確かに、フリーザの身体の傷は何者かと戦って出来る傷だと衛生兵は言っていた。

クウラとのホットラインも繋がらない上に、超大型スカウターで宇宙を探すも見つからない。)

 

 

あの伝説と言われていた超サイヤ人...息子フリーザはそれを見、戦い、そして敗れた。

全宇宙最強一族を謳うフリーザ一族にとって、これは由々しき事態である。

超サイヤ人だろうが何であろうが、一族のプライドにかけても潰さなければならない。

 

 

「お前のその身体の一部は機械だ。

慣れるまで少し時間が掛かるがお前なら問題なかろう。

...行くぞ、地球へ。

そして地球人ごとサイヤ人を滅ぼす!!」

 

 

マントを翻し、メディカルルームを後にする。

向かった先はもちろん、艦橋である。

自らの船で地球へと向ける為でもあるが、フリーザの進めていた侵略計画を代理の者に任せる必要もある。

 

 

「ソルベ、私の声が聞こえるか?」

 

「...は はい!!

き 聞こえておりますコルド様!」

 

 

目の前のスクリーンに映し出されるフリーザ軍参謀 ソルベ。

余程緊張しているのか、声が若干震えて顔が真っ青だ。

 

 

「...なら良い。

ソルベよ、お前の活躍は各方面から聞いている。

それを見込んで命ずる。

フリーザはしばらく私の元で預かる故、その間はフリーザの代わりに指揮を取れ。」

 

「はっ!!

コルド様の期待に応えられるように尽力致します!」

 

「だが宇宙最強のフリーザ軍とは言え、残りの兵では難しい星もあるであろう。

我が親衛隊から、タゴマとシサミを与えよう。

これはこの先、お前の頑張りの報酬だ。

先払いとして使ってやれ。」

 

「誠にありがとうございます!!」

 

 

 

それを最後に通信は途絶える。

進路は決まった。

巨大な宇宙船は何万光年先の地球へ向け舵を取る。

 

 

 

 

---宇宙空間 別の宇宙船---

 

 

『それでは、ここら辺で失礼するぞ。

ブルマ達によろしく言っておいてくれ。』

 

「気をつけてなジャコ、了解だ。」

 

 

宇宙船はみるみる距離が離れ、遂に独りぼっちになってしまった。

このポッドの行先はもちろん地球、そして乗員はラディッツ1人だ。

 

 

「おーい神様ー?」

 

『なんだー?』

 

「このペースなら間に合いますよね?

フリーザが来る前に。」

 

 

ラディッツが危惧していたのは、悟空みたくフリーザ来襲に間に合わない事。

サイヤ人来襲時、ナメック星時のように、また予想外の敵が来かねないからだ。

 

 

『もちろんだ、二週間前には着けるはずだ。

更に言えば、向かっているのは原作と同じくフリーザとコルドだ。』

 

 

特にイレギュラーなことは無い...胸をなで下ろす。

ソフィア人曰く、このポッドで地球まで後6日程度。

もしそれまで時間を持て余すのなら...

 

 

(このボタンを押せば超睡眠出来るって?

それなら先に押しとくべきだったな。)

 

 

標準装備されていた長期睡眠装置を押す。

 

 

(後は...次は人造人間か...。

イレギュラーな事が起きるとしたら...絶望の未来編的な感じか。

まぁ心臓病になる悟空の代わりに俺とベジータで戦えば何とかなるだろう。

...最悪神龍に「善人の17,18号にしてくれ」とでも言えば良いし、セルはその2人どちらかを守りきれば倒せるに違いない。

あと新キャラとかでなけ.....れば...。)

 

 

急に瞼が重くなり、意識も記憶も無くなった。

 

 

ドンッ!!

 

 

次の瞬間、衝撃音がして目が覚める。

あまりの音に驚いて立ち上がるが、首が折れるかと思うくらい頭をぶつけて頭を抑え悶えた。

狭い船内だというのを忘れていた。

 

 

「うぅ...ぅ...ぅ...。」

 

 

痛みに何も言えずにいたラディッツを尻目に、ハッチは自動で開く。

目の前に広がる赤錆の平地。

あっという間に地球へ着いたのだ。

 

 

「痛ぇ...クソ。

着いたか...ベジータや悟飯の気を感じる。」

 

 

それらは段々と近づいてくる。

ラディッツへ向けて集まってくる彼らの気...一つは案の定悪の気だが、これがベジータ特有と言うのならそうなのだろう。

その気はやがて、姿が見えるほどに近くなる。

 

 

『ラディッツ(さん)!!』

 

「みんな、お出迎えしてくれるとは。」

 

 

感動の再開だ。

約1年、死んでいたかもしれない人間が帰ってきたのだ。

...だが、近づく彼らは足を突然止める。

 

 

「...え?

どうしたの?」

 

「お前...凄い臭くないか?」

 

 

皆一斉に風上に移動する。

あのベジータでさえ、スムーズに風上に動いて眉をヒクつかせる。

 

 

「ちゃんと風呂も入ってたし体も洗ってたぞ!!

...そんなに...臭うの?」

 

「あぁ。」「うむ。」「おぅ。」「うん。」「はい。」「えぇ。」

 

 

(グルド...あの野郎ぶっ殺してやる!!)

 

 

感動の再開も、全て臭いで台無しである。

宇宙船からやあの惑星の食べ物から...全てから臭いが移ってしまったようだ。

目の前のZ戦士達のリアクションがそれを物語っている。

 

 

「...いやそんな事はどうでも良くないけどどうでもいい。

まずは悟飯、助けてやれなくてすまなかった。」

 

 

目の前で殺される悟飯を助けられなかった自責心から深々と頭を下げる。

くだらんと言わんばかりにベジータはそっぽを向くが、クリリンやヤムチャはしょうがないと擁護する。

 

 

「そんな、謝らないで下さいよラディッツさん!

僕...今までずっと守られてきたけど、それだけじゃダメって事がわかったんです。

もしお父さんやピッコロさん、ラディッツさんがいない時は僕も頑張らなきゃって。

だからピッコロさん、ラディッツさん、勉強もしなきゃいけないけど空いた時間に修行をつけて下さい!」

 

「へっ!

口だけは一丁前になりやがって!」

 

 

ピッコロは嬉しさを隠しきれないように悟飯の頭を乱暴に撫でた。

親戚の少し怖そうなおじさんのような仕草である。

 

 

「それと...デンデだけは残ったって感じかな?」

 

「新しい最長老の後押しもあって地球の神の見習いとして地球に留まる事になった。

本人も良いと言っている。」

 

「はい、至らない所ばかりですけどこれからよろしくお願いします!」

 

 

新最長老曰く、ナメック星人の中でも才能があるようで、お世話になった地球の方々の力になれるのならと喜んで送り出してくれたそうだ。

デンデ本人も、仲良くなった悟飯やクリリンと一緒なので寂しくないようだ。

ラディッツにとっては、後後ピッコロが神と同化する為に新しい神となる人物なのでありがたい事だった。

 

 

「地球へようこそデンデ。

これからもよろしくね。

あ あと二週間でフリーザとコルドが地球に来るぞ。」

 

『フリーザだって!?』

 

 

あのナメック星で散々Z戦士達を死の淵へ追い込んだフリーザが、今度は地球にやって来る。

現実ここにいる者、ベジータ・ピッコロ・クリリン・ヤムチャ・天津飯・餃子・悟飯・デンデ。

彼らにとって、孫悟空がいない今来られるのは都合が悪い。

 

 

「おいラディッツ!

貴様そんな大事な事何故早く言わない!

フリーザの野郎はさておき、コルド大王ってのは何者だ。」

 

「フリーザ軍にいてわからなかったのか?

フリーザの父親のコルド大王。」

 

「フリーザの親父だと!?」

 

 

ベジータは初耳だった。

実はコルド大王の存在はほとんど知られていない。

コルドを知っているのは息子のフリーザとクウラ、そしてコルド大王の側近の兵達のみなのだ。

フリーザでさえ強敵なのにコルドまで来るとは...。

 

 

「...例え貴様がフリーザをも上回る力を持っていようが、今度ばかりは分が悪いな。」

 

「まだ二週間ある、その間に悟空が帰ってくるかもしれない。」

 

「お父さんが!?」

 

 

悟飯の目が輝く。

孫悟空がいれば何とかなると言う話ではなく、父親がいれば...お父さんがいれば百人力だという口調だった。

 

 

「それと、もう1人強力な助っ人が来るぞ。

...あ いや、そんな予感がする。」

 

「なんだ?

お前お得意の未来予知ってやつか?」

 

「...そんなところだ。

とにかく、しばらくは大丈夫だけど次は強くなってないとな。

うるせぇ、ヤムチャ・餃子!

臭い消しとくわっ!!」

 

 

後方で臭いもなと餃子に耳打ちしていたヤムチャに石を投げておく。

この世界のラディッツは徐々にいじられキャラとしての地位を確立させ始めていた。

 

 

---

 

--

 

-

 

 

フリーザ・コルド到着まで二週間...超サイヤ人となっていた下級戦士カカロット・ラディッツに追いつき、追い越さんと躍起になるベジータは独り、黙々と修行する。

クリリンを筆頭とする地球戦士達は、グループになって修行を行っていた。

悟飯とラディッツは...。

 

 

「まさか義兄さが勉強を手伝ってくれるとは思わなかったべ!

サイヤ人はみーんな馬鹿筋肉(・・・・)かと思ってただ。」

 

「ハ...ハハ。

サイヤ人にも色々いますから...。

(筋肉馬鹿じゃなくて馬鹿筋肉(・・・・)って...。)」

 

 

悟空宅で悟飯の家庭教師的なものをやっていた。

悟飯ももう少しで小学校受験が控えているごく普通の子供なのだ。

...だが。

 

 

「じゃ次行こう。

えーっと...裁判官は自らの良心に従い、拘束されるのは法律と政令にだけであると定められている...。

(これ高校受験レベルじゃない?

家庭教師務められないんだけど。)」

 

 

 

6,7歳の子供が高校受験の問題をやってる時点でチチの教育は進み過ぎている。

だがそれでも立派な学者に向けて勉学に励む悟飯を理解できないラディッツ。

 

 

「...よし、大丈夫そうだな。

続きをやるぞ。」

 

「はい。」

 

 

教科書を片手に悟飯の背後に立つ。

しばらくは普通に勉強する背を見ていたが、不意に後頭部に拳を振るう。

それを最小限首を動かして避ける。

勉強する間はずっとこれを続けている。

 

 

(ラディッツさん...全然本気じゃないのに...なんて速い攻撃だ!)

 

(たった2時間で、もうこのスピードを避けれるのか。

流石孫悟飯。

成長率が凄まじいな、やはりサイヤ人とのハーフは最強とやらの設定は生きているか。)

 

 

不意に攻撃を仕掛け、気配だけで攻撃を見切って最小限の動きで避ける。

それを勉強しながら行い、チチの気が近づくと教科書に集中してやり過ごす。

そうこうしているうちに、あっという間に1時間経った。

 

 

「ホントに義兄さは何でも出来るだなぁ、悟飯ちゃんのいい見本だべ!」

 

 

孫家に居候して既に一週間、家事洗濯畑仕事が最早当たり前になっていた。

ここまで働くのには、「例え義兄さと言えど働かざるもの食うべからずだ!」とチチに居候になると言った最初の一言がこれだったからだ。

大食らいのラディッツと小食らい悟飯と1人前分のチチの飯を作り終え、調理器具の皿洗いも同時に終える。

 

「義兄さ、何でもできるなら何でも屋さんでもしたらどうだ?

畑仕事でも構わんが...義兄さは器用だべうまく出来るだよ!」

 

「はは...いいですね、候補の一つにしておきますよ。」

 

 

半ば強制的や!と突っ込みたかったが、絶対に口には出せない。

例えウッカリでも、滑ったらどうなるかわからないからだ。

 

 

昼食を終えて2時間くらい体育(修行)の時間を貰えた。

それは、

 

「悟飯も悟空までとは言わないが、最低限の防衛術を習った方がいいと思う。

偉い学者になれば、それを妬む輩も。

成功してお金持ちになれば狙われやすくなるから。」

 

「...悟空さが言うと絶対修行させるつもりに思えるが、人格者の義兄さなら信用できるだな。

『よく動き よく学び よく遊び よく食べて よく休む』オラはそう教わったべ。

食後の軽い運動だと思えば上等だべ。

だが必要以上の武術は教えるじゃねぇだよ!」

 

 

という、居候3日目の会話があったからこそ実現した、"チチ公認" の少ない修行時間だった。

 

 

(俺が人格者か、悟空と一緒に居すぎて感覚が麻痺してんのかな...ハハハ。)

 

 

「ようやく来たか。」

 

「ピッコロさん!」

 

 

今回からピッコロにこの修行に参加してもらえた。

1人でやるよりかは2人居れば組手、3人ならば乱戦すら想定できる。

...と言ってもピッコロは分身出来るので問題はさほど無いが、やはり悟飯と修行出来る上に、実力が格上のラディッツと組手が出来るとあって断る理由など無かったのだ。

 

 

「お勉強で体がなまってないだろうな?

こいつとは違って俺は容赦しないぞ?」

 

「失礼な!

これでも夜は抜け駆けして修行してんだぞ?」

 

 

もちろん、夜の修行はチチ公認ではない。

見つかったら恐らく、悟飯は家に缶詰となりラディッツは下手したら出禁を言い渡されるであろう。

 

 

「ふん、そんなもの2発程度受ければすぐ分かる。

来い悟飯!」

 

「はい!!」

 

 

しばらくはピッコロと悟飯と組手が始まる。

そしてラディッツが加わり、昼過ぎになると悟飯は勉強に戻りラディッツとピッコロの組手になる。

それがまた数日続き...遂にコルド大王が現れる日となる。

 

 

「感じるな。

嫌な気だぜ。」

 

「はい。

やはり...フリーザは生きていたんですね。」

 

 

この日は、チチに頼んで1日フリーにして貰えた。

この日の為に二週間真面目っぽく勉強に励み、昼休みと夜な夜な隠れて修行していたのだ。

ピッコロも修行に明け暮れた。

と言っても、悟飯の戦闘力ではフリーザ第二形態なら善戦できるが、第三形態ならやや劣勢。

最終形態から上は戦えはしないだろう。

 

 

「しかも、フリーザのパパ コルドを連れてきてな。

悟空が少し後から来るし、助っ人が来るかもしれないが油断するな。」

 

 

唯一フリーザ達に立ち向かえるとすれば、超サイヤ人になれるラディッツだろう。

しかし彼はいつも通り、隙を作らないよう周囲や自分に言い聞かせていた。

 

 

「スカウターに感知されるかもしれん。

近くまでは飛ばして、ある程度からは徒歩で行こう。」

 

 

ラディッツ達はいよいよ、荒野へ向けて飛び立った。

 

 

---宇宙空間 フリーザの艦---

 

 

「あれが地球だよ、パパ。」

 

「ほぅ...高く売れそうな綺麗な星ではないか。

あのサイヤ人は何処を彷徨いておる?」

 

「はっ、我が艦の遥か後方を、同一方向に向かっております。

地球到達時間は、我らよりも三時間後になります。」

 

 

敢えて悟空の乗るポッドを撃墜せず、追い越して地球に向かっていた。

その理由は簡単だ。

サイボーグ化し、更に強くなった自らの手で復讐する為であった。

 

 

「三時間ですか...それだけあれば地球人を皆殺しに出来ますね。

地球人の死体を山積みにして、奴を悔しがらせてやろう。

そしてその死体の山の一番上に...アイツを積んでやる!!」

 

 

大気圏に突入し、摩擦熱で赤くなる艦体。

彼らが地表に到着するのは残り数分だ。

 

 

---地球 荒野---

 

 

「チッ、この馬鹿の未来予知とやらの言う通りになりやがって!

一言だけ言ってやる...これで地球はおしまいだ。

フリーザだけでも手に負えないのに、またバカでかい戦闘力を持ったバケモン連れてきやがったからな。」

 

「馬鹿って酷い。

とにかく、奴らをここで食い止める。

もう少しすれば悟空も来る。

何とかするしかない。

その為にみんなこの二週間やって来たんだろ?」

 

 

ベジータ・クリリン・ピッコロ・悟飯・ヤムチャ・天津飯・餃子...そして後からブルマが飛行機で合流する。

皆の表情は決して明るくはない。

あの恐怖が...宇宙の帝王フリーザとまた対峙しなければならないからだ。

 

 

(チッ、どのタイミングでトランクスは来るのかわからん。

早く来ればやりやすくなるのに!)

 

 

悟空の気はまだ感じるほど近くは無い。

おそらく猛スピードで地球に向かっているだろうが、やはり原作通りとなってしまった。

だがまだ原作通りならば、トランクスがやって来る。

 

 

「来たぞ!」

 

 

フリーザの艦と同型艦が轟音を発生させながら目の前へ降り立つ。

起動音が静かになると、上部ハッチからコルド親衛隊がざっと50人程出てきた。

そして遅れて、二つの巨大な気を放つ者が現れる。

 

 

「おやおや、皆さん既にお揃いで?

この私を出迎えてくれるとは..うっ!?」

 

 

フリーザの視線の先には、行方が知れなかったもう1人のサイヤ人を見つける。

ラディッツ...あの超サイヤ人の片割れだ。

 

 

「どうしたフリーザよ。」

 

「...パパ...あいつだよ。

あの長髪のサイヤ人ラディッツ...あいつがもう1人の超サイヤ人さ。」

 

 

ジロりとコルドはラディッツを見下ろす。

服装は他の者と同様に道着を着ているが...見た目だけなら、普通の下級サイヤ人と何ら変わりない。

艦体の巨大なスカウターでも、警戒音を発していない。

ということは..

 

 

「戦闘力を抑えているか。」

 

「みたいだね。

もしくは...超サイヤ人にはもうなれないか。

ラディッツさん、あなたはクウラと戦っていたようですが...どうやって逃げれたのですか?

...それとも、あの兄が逃がしたとか?」

 

「クウラは俺が殺した。

あいつは殺されるのに相応しい奴だった。」

 

 

いつになく冷淡に言葉を吐き捨てた。

その言葉を拾った二人は、やる事が決まった。

コイツだけはフリーザ一族に掛けて殺すと。

いや、殺さねばならぬと。

 

 

「よくも私の息子に手を掛けた。

貴様は...何をもって我らに償うのだ?」

 

「償う?

お前達はここで追い払う。

もしくは自衛の為に...殺す。」

 

「ホーッホッホッホ!

僕達の前で言ってくれるね。

孫悟空が来るまで三時間。

...それまで持つのかな?」

 

 

コルドは腕を翻す。

まずは小手調べ...コルド親衛隊はそれを機に四方八方から襲いかかる。

ベジータとラディッツ以外のZ戦士達が立ち向かう。

対複数人戦だが、兵士の強さでは誰1人とて敵わなかった。

次々と白目を向いて地に伏せる自分の兵士達に、コルドは冷静に腕組みし、超サイヤ人と言われるラディッツを見定めていた。

 

 

(宇宙最強を謳うフリーザ一族、クウラを倒したか。

法螺話ではないようだ、だがその伝説と言えるほどの雰囲気は感じられない。

どうゆう事だ?

...それにしても、タゴマとシサミをフリーザの手下にやったのは不味かったかな?)

 

 

あっという間に全ての兵士は戦闘不能になり、残るはこの二人となった。

 

 

「我が兵はまだ貧弱だな。」

 

「しょうがないよ、そうでなくちゃ、殺しがいが無くなるからね。

ただ孫悟空が来る前に地球人類を僕達で殺らなきゃならなくなったのは...ちょっと誤算だったね。」

 

 

二人は艦から地上へと降りる。

サイボーグ化と最終形態のフリーザ、第二形態のようなコルド。

 

(クソッタレ...この俺様が...この俺様がかつての部下である弱虫ラディッツに戦闘力で劣るどころか、超サイヤ人に先を越されるなんぞあってなるものか!!

だが今の俺では...フリーザにすら及ばない。)

 

 

歯ぎしりに至りそうなほど口を噛み締めるベジータを他所に、2人は地上へと。

地球の地へ降り立った瞬間、上空に閃光が起きる。

それは見たこともない乗り物のようだが、微かに見覚えのある者が1人居た。

 

 

(...タイムマシン?

ついに来たか!)

 

 

ラディッツはガッツポーズをする。

原作から少し遅れたが、その男は間に合ったのだ。

ホッと胸をなでおろす...はずが無かった。

何故なら、彼が指定した時間はフリーザ一族来襲前。

それがどういう理由か間にあわ無かった。

それだけではない。

 

 

(だ...誰なんだ!?

あの長髪の男は!?

俺は...同じ世界の過去に来れなかったのか!?)

 

 

気から敵ではない事がわかり、何処と無く悟空に似ているような感じがする。

きっとこの男とベジータを筆頭にフリーザ軍に立ち向かっているのだろう。

そこらじゅうにあるフリーザ軍の戦士達を見れば、戦いは始まっている事がわかる。

早急にタイムマシンをカプセルにしまい込み、ラディッツの隣へ降り立つ。

 

 

「俺も加勢しますよ。」

 

「やっと来たか。

助かるよ、トランクス。」

 

「!?

どうして俺の名を!?」

 

「話はフリーザ達を倒してからだ、その剣で頼む!」

 

 

謎の男は何故俺の存在を知っているんだ!?

そう、背中にもわかるような動揺をしながらも、目的を達成する為に前へ出る。

いきなり現れた青年に、フリーザは一瞥する。

 

 

「なんだい君は?

いきなり来て早々僕の犠牲者になるのかい?」

 

「違うな。

犠牲者になるのはお前だ! フリーザ!

よくもそんな姿になってこの地球に来たものだ。

...わざわざ殺されるためだけにな!」

 

 

ただの小僧に、まるで未来はそう決まっているかのような殺害予告をされるフリーザ。

虚声...どうせ奴も所詮は地球人、やつには何も出来まいと怒りを抑える。

 

 

「僕達が犠牲者?

地球人の君は僕の強さがわかるとは思えないけど...僕は強いんだよ?

超サイヤ人が1人だろうと、パパとなら余裕さ。」

 

「ならば誤算だったな。

まさか超サイヤ人の二人目がここにいるのは知らないだろう?」

 

 

塵が...小石が...コロコロと転がったかといえば宙に浮く。

そう...彼もその1人なのだ。

フリーザの恐れている超サイヤ人の1人。

金色のオーラが吹き出し、紫の髪が金色に輝く。

伝説と言われる超サイヤ人...その姿を一度見たフリーザは一瞬体が強ばるが、すぐに落ち着きを取り戻す。

そうだ...あの時は戦闘力こそすぐにピークが来てしまい落ちてしまったが、今回は違う。

サイボーグ化で更に強くなった自らのこの体なら絶対になぶり殺しに出来る自信がある。

 

 

「な...何ぃっ!?

ふん、超サイヤ人になった所でいい気になるなよ!」

 

「お前達...もう手加減しない方がいいぞ。

俺は悟空さんのようには甘くないからな!」

 

 

まるで印を結ぶかのように高速で両手を動かし、エネルギー弾が放たれる。

バーニングアタック。

これは父親の技を母親から聞き、名を借りた物。

それが向かって行くが、フリーザは余裕で上空に避ける。

だが...それが仇となる。

 

 

「でぇやぁああぁぁ!」

 

「っっ!?」

 

フリーザの焦点が俄にズレ...それは確実に広がりトランクスが完全に二人となる。

読んで時の如く、一刀両断。

眉間を見事に切り裂いた剣は止まることなく体を切り払っていく。

そして最終的にはエネルギー波で完全に消されてしまった。

あっという間の消滅...誰が予測できたか?

それはこの場にいるトランクス自身と、現在を知りうるラディッツ以外いるはずもない。

 

 

「まずはフリーザ。」

 

 

トランクスが見据えるのはコルド大王。

息子がいとも簡単に消されるのを見て決して表情は明るくない...かに見えたが。

 

 

「...素晴らしい。

素晴らしいなサイヤ人。

宇宙最強種族であるフリーザ一族のフリーザをいとも簡単に切り伏せるとは。

見事なり超サイヤ人。」

 

 

拍手をし、ほんのり笑顔を浮かべて歩み寄って来る。

一体どうしたというのだろうか?

息子が殺されて気でも動転したのだろうか?

あっという間に目の前まで歩み、拍手もようやく止む。

 

 

「さて、我が息子を殺した男だ。

どうだ?

我が息子にならぬか?

お前ならば宇宙最強の名に相応しい、好きな星を好きなように出来るの「興味が無いな。」

 

「ふむ、ならばその剣を見せてはくれぬか?

我が息子を仕留めた剣を是非見たいのだ。」

 

 

しばしの沈黙。

その剣で攻撃されるかもしれないから渡さなくても良いのだが、トランクスは投げ渡す。

剣を隅々まで見廻すコルド。

 

 

「ふむ、よく磨き込んであるようだな。

これならば我が息子を殺すのは訳ないな。

...だが、これがあれば倒せたもののこれが無ければ何も出来まい!」

 

「リヒート!」

 

「...な!?」

 

 

超スピードでトランクスの前に立ち塞がり、リヒートで白羽取り、攻撃を完璧に抑え込む。

トランクスにとっては、いきなり目の前に現れるラディッツに驚きを隠せない。

コルドの攻撃を避けきれなかった事などどこかへ飛んでいってしまった。

 

 

「な、なんですかあなたは!?」

 

「説明は後!

とにかく倒すぞ!」

 

「倒すだと?

私は冗談が好きではないのだよサイヤ人。」

 

 

戦闘力がジワリと上がる。

確かにフリーザとクウラはフリーザ一族の中で天才的な才能を受け継いでいた。

それに共通するものは、コルド大王一人から変異体の要素を強く持ったまま生み出されたという点でつまり、オリジナルはコルドなのだ。

つまりは、フリーザよりもクウラよりもコルド大王の方が遥かに優れた能力を携えているという事。

フリーザやクウラが出来ることはもちろん出来るし、無いものも持つ。

戦闘力を抑えるのはクウラの能力だが、コルドのオリジンだ。

 

 

「超サイヤ人など...この形態でのフルパワーで充分だ。

息子どもは容易かったかもしれぬが、このコルド大王はそう易易とやられはせぬぞ。」

 

(えっ、コルドも変身出来るのか!?

もしそうなら早々に殺らねば。

20倍...いや、なるしかない。)

 

 

白羽取りで抑えていた剣が僅かに押され始める。

コルドの気がさらに膨れていく。

その気の膨れ具合から界王拳だけで対処しようかと思っていたがプランを変える事にした。

 

・原作のような流れならプランA

・悟空もトランクスも間に合うならプランB

・どちらも間に合わないならプランC

・片方が間に合い、フリーザ・コルドが想像以上のパワーのプランD

・どちらも間に合わず、フリーザ・コルドが想像以上のパワーの最悪プランE

 

今回はプランAからプランD...即ち、なるべく界王拳、それでも危ういならば超サイヤ人化で倒す作戦だ。

ただでさえラディッツという男がドラゴンボールの本来の歴史ではいてはならない存在であるにも関わらず、超サイヤ人にもなれるなどトランクスに知られたくなかったからだ。

余計な心配を掛けたくないと言うラディッツの計らいによるものだが、もうつべこべ言っていられない状況に変わりつつある。

 

 

「すまんなコルド大王。

これ以上強くなられるのは困るんでね、ちょっとだけ本気出しますから。」

 

 

 

その言葉と同時に体から吹き出す金色のオーラ。

腰まで届く髪は隅の隅まで金色に変わる。

伝説と言われる超サイヤ人...初めてそれを見るコルドもその変貌ぶりにすぐに察する。

 

 

(なっ!?

この人も...超サイヤ人に!?)

 

「それがあのクウラを殺した姿か。」

 

「そうだ、俺も予定外の事は嫌ですからね。

早々に終わらせますわ!」

 

 

剣を介して耐えていた力をスッと受け流す。

バランスを崩すコルドの横腹を蹴り飛ばす。

剣を手放し吹き飛ぶコルド、受け身と共に両手で空へと跳ね上がるも、先回りされ両手で殴り落とされる。

 

 

(サイヤ人が...我らフリーザ一族と同等の力を得るはずがない。

久しぶりの戦闘で体が訛っていたか?

それとも本当に超サイヤ人の力が...?)

 

 

久々に全身が痺れる程の痛みを押さえつけ、上空を睨む。

斜め上より、体に飲み込まれていく右腕。

右腕が腹部を貫いたと気づくのは、鋭い痛みが走ってからだった。

それでもなお攻撃しようとしてきたが、蹴り飛ばして腕を抜き取りながら岩へ叩きつける。

 

 

「ガハッ!

ま...まて!」

 

 

待ったをかけるコルド。

ラディッツとトランクスは超化を解かずに仁王立ちする。

 

 

「お前達...流石超サイヤ人と言えよう。

...どうだ?

勇敢なるサイヤ人なら更に手応えのある奴と戦いたくないか?」

 

「悪いが「待ってくれ、話だけ聞きたい。

強い相手とは誰だ?」

 

 

制止させるラディッツ。

強い相手が誰かと言う好奇心からその言葉が出た。

ただそれは、サイヤ人の特性と言うよりかは原作とは違った形になりそうな元凶だけを知っておこうという考えからだ。

孫悟空やベジータと同じ純粋なサイヤ人だが、心まではそこまで強者との戦いは望んではいない。

 

 

「それは...この私だ。」

 

「コルドが?」

 

「そうだ、先ほど話しただろう。

貴様らは第二形態で充分かと思ったが、私の過小評価だった。

宇宙最強をフリーザに譲り、私は隠居しようと思い戦いをやめた。

戦闘の感覚が掴みかけた今、更なる形態へと変身を遂げれば貴様達のお望み通りの強者になれる。」

 

「...ちなみにコルド、クウラみたいに第五形態までいけるのか?」

 

「第五形態?

私は更にその先の究極形態までの変身を可能としている。

フリーザとクウラは私の形態一部しか遂げられないがな。」

 

 

宇宙最強のフリーザ一族...そしてその頂点に立つ恐怖の大王。

その強さは、フリーザやクウラを遥か後方に置いていくほど。

今のラディッツとトランクス...ベジータや地球の戦士達の全てを束にしても勝てるはずが無い。

それを敢えて言わずに強者との戦いと濁して伝えていたのだ。

純粋なサイヤ人ならこの誘いに乗ってこないはずがないからだ。

 

 

「...それはいい事を聞いた。

ありがとうコルド大王...トランクス!」

 

「はい!」

 

「待っーーーー.......。」

 

 

コルドの体を斜めに一刀両断する。

それでも念には念をと、ラディッツがエネルギー弾で残った肉片を跡形もなく消し飛ばした。

トランクスは剣の血振りをし、懐から布を取り出し、血を念入りに拭いてから鞘に納める。

 

 

「ありがとうトランクス、お陰で助かったよ。」

 

「いえ...そんな事よりあなたは一体何者なんですか?

孫悟空さん以外に、超サイヤ人になれる人がいるなんて俺は見当がつきません。

それに何故俺の名を知っているんですか?

聞きたいことが山ほどあります!」

 

「俺は...ラディッツだ、孫悟空の兄さ。

詳しくは悟空が来てからにしようか。

あ...あと名前は伏せておくよ。」

 

 

駆け寄ってくるベジータ達を見て親しげな会話はここまでとする。

トランクスにとってはこの時代の人と緊密に接すると、どうなるかわからないからだ。

色々な疑問が頭をめぐる中、この時代のZ戦士達と合流する。

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