弱虫兄貴のリスタート   作:バタピー

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あなたはどこの誰ですか? 1978

「凄かったな、二人共。」

 

「あぁ、あのフリーザ達をあっという間にやっつけるんだもんな」

 

「しかもなかなかのイケメンじゃない!」

 

「しかもあれだろ?

超サイヤ人って奴になれるんだろ?」

 

「超サイヤ人 初めて見た。」

 

「凄い剣さばきですね、見えませんでしたよ!」

 

 

あっという間にZ戦士達がトランクスへ群がる。

気からして悪者ではないし、あのフリーザをことごとく倒した強さだ。

注目しないわけが無い。

 

 

「とりあえず皆さん、孫悟空さんが来るまで3時間あまり。

飲み物を飲みませんか?

お口に合うかわかりませんが。」

 

 

内ポケットからホイポイカプセルを取り出し、冷蔵庫が出てくる。

コンパクト冷蔵庫の中にはジュースがキンキンに冷えているが、注目すべき点は他にあった。

ブルマが気づいたのだが、その冷蔵庫はまだこの世に出回っていないものだった。

「オレも買っただけですから、イマイチよく分からないんです。」とはぐらかされた。

 

 

「おい貴様、何者だ!」

 

「そんな邪険になるなよベジータ。

地球を救ってくれたんだぞ?」

 

 

クリリンは四ツ谷サイダーを片手に謎の少年のフォローに回る。

どんなヤツであろうと、彼は地球を救った者なのだ。

敵であるはずがない。

だがベジータの思考は、そことは別の所にある。

何故悟空が3時間にここに来ることを知っているのか。

どうやってあんな力を身につけたのか。

 

 

「サイヤ人は俺様とカカロットと、ハーフである悟飯ってガキ以外残っていない。

だがお前は実際に超サイヤ人になった。

だが純粋なサイヤ人なら髪の色は黒色のみのはず、なのに貴様は違う。

そして尻尾もない。

一体どう説明するんだ?

それと...名前ぐらいいい加減に教えたらどうだ。」

 

「...すみません、名前は言えません。

説明も...すみません。」

 

 

全てに対して答えを伏せる謎の少年。

そこまでして身分を隠す必要があるのだろうか?

たったひとつ言える事は、孫悟空という名前を知っているならば悟空ならこの謎の少年の正体を知っている可能性があるということ。

 

 

「...孫悟空さんは知ってるだけで、実はお会いしたことはないんです。」

 

 

ヤムチャが悟空の名を出して宥めたが、本当に謎である。

...いきなり現れてフリーザ達を倒してくれたはいいが、

Z戦士達は疑いを隠せない。

孫悟空を知らずに来た名前の知れない超サイヤ人。

だがその時だ、あの気を感じてきたのは。

 

 

「...この気は!」

 

「帰ってきたんだ!」

 

 

孫悟空の帰還。

フリーザ達から遅れること三時間...Z戦士達は喜びに満ち、着陸地点へ向かう。

ポッドから降り立つ悟空に、ベジータ以外は続々と集まり久々の再開に会話が弾んでいた。

無論、謎の男トランクスも距離を取っていた。

 

 

「そうだ悟空、アイツがフリーザ達を倒してくれたんだ。

知ってるか?」

 

「...いや、オラ知らねぇけど?」

 

「え、お前知らないのか?」

 

「孫悟空さん。

ちょっと俺と話をしてもらっていいですか?

ラディッツさんも。」

 

 

悟空は「なんでオラが?」と言わんばかりの顔で付いて行く。

ラディッツは呼ばれて当然と思っていたようで、一切の遅延も無く続く。

 

 

---

 

--

 

-

 

 

「帰ってきて早々ですが、お願いがあります。

超サイヤ人...見せて頂けますか?

ラディッツさん、あなたもです。」

 

 

謎の少年の頼み...フリーザ達を倒してくれた礼もあるし、この少年も超サイヤ人化する事が出来る。

二人は頼みに応えて超サイヤ人化すると、少年も超サイヤ人化する。

実力が見たい...悟空は人差し指を構え少年は剣を抜き、まずは悟空に切りかかった。

指一本でそれをあしらう悟空。

複数回それが続くと、意表を突いたようにラディッツへ刀身が胸へ迫る。

上体を逸らし避けるが、今度は二段突き。

これも左右に躱しきったところで、トランクスの攻撃は終わった。

 

 

「悟空さん、やはりあなたはお話通り凄い強さです。

ラディッツさんも、流石悟空さんのお兄さんと言うだけあって凄まじい強さだ。

...これなら話しても大丈夫だ。」

 

「話って...一体なんだ?」

 

 

話の通りの孫悟空の強さ、そしてその兄のラディッツの強さを体感して二人を信用した少年。

他の人には内緒ということで、今回この場に存在する理由を語る。

まずは悟空にトランクスと名乗り、彼は口を開く。

謎の少年トランクス...彼は今から二十年後の未来から、タイムマシンに乗ってやって来たベジータの息子だと言う。

彼の世界は、今から3年後に現れるレッドリボン軍の生き残りの科学者 Dr.ゲロが究極の殺人マシーン 人造人間19号20号を作り上げる。

しかし、究極の殺人マシーンとして作られた人造人間達は、生みの親であるDr.ゲロすらも殺してしまい、歯止めが掛からなくなった人造人間達により、未来は壊滅状態になったのだという。

 

 

(この世界でも、やはり人造人間編は外せないようだな。

と言うことは、セルもいずれは出てくるだろう。

人造人間はゲロも含めて5人だけど、出来れば16、17、18号は生かしたいな。)

 

 

トランクスの説明はまだ続く。

人造人間達は強く、ベジータを始めZ戦士達はまるで歯が立たずに皆殺しにされてしまう。

悟飯とトランクスは皆に未来を託されて、この戦いから命からがら生き残るが、ピッコロも殺された未来ではドラゴンボールも失われてしまう。

ナメック星のポルンガに生き返らせてもらうにしても、ブルマ達が行ったナメック星は、すでにフリーザに破壊され、ナメック星人達は新ナメック星に移住していた。

故に、新ナメック星の位置を知る術が無かった。

探しに行こうも、シャトルを打ち上げる際に人造人間に破壊されてしまうのも目に見える為に期待は出来なかった。

そして死者を蘇らせる期限である1年が過ぎ、望みは絶たれる。

二人は人造人間を倒すべく、修行に明け暮れ立ち向かおうとするも、師匠である孫悟飯も遂に殺されてしまう。

そして最後の希望であるトランクスだけが生き残った。

話には出ていない悟空は、人造人間と戦う前にウイルス性の心臓病で戦わずして病死するのだという。

孤立無援...絶望の未来。

 

 

「いぃ!?

オラ死んじまうのか!?

チクショー...そんなに強い人造人間ならちょっとでも戦ってみたかったな!」

 

「えぇ、この時代では不治の病と言われているものです。

母さんが言うには、心筋炎と心膜炎を併発した未知の新型の心臓病と言われていますが...。

ですが大丈夫です、俺の時代では特効薬があります。

これは悟空さんが持ってて下さい。」

 

「母ちゃん?

お前の母ちゃんは誰なんだ?」

 

「えぇ、母親はそこに...。」

 

「ブルマかぁ!?」

 

 

 

少々オーバーリアクション気味に驚く。

それもそうだ、ヤムチャといつもくっついているブルマがベジータと...。

まさかこの地球で...しかもあのじゃじゃ馬女が伴侶を得るとは、本人達すら思ってもいないであろう。

 

 

「俺は、もう父さんを失いたくありません。

そして世界が崩れていく様を変えられるならと思って過去に来たんです。

悟空さん、ラディッツさん。

人造人間が現れるのは、これから3年後の5月12日の午前10時頃。

場所は南の都の南西9km地点の島に人造人間19号・20号が現れます。

あの...この事は...特に父さんと母さんの事は内緒にしててください。

俺自身が無くなってしまいますから!」

 

「おう!

大丈夫、オラ口硬い方だ!」

 

 

トランクスと悟空は固い握手を交わす。

それは未来からの不屈の闘志が受け継がれた瞬間でもあった。

この戦いに負けることがあれば、それは悲惨な未来が待ち受けているということ。

そしてこれまで苦楽を共にしてきた仲間やライバル...そして最愛の息子ですら失う事となる。

未来は必ず、勝ち取らなければならない。

 

 

「悟空さん、ありがとうございます!

...すみませんが、ラディッツさんとも少しお話してもいいですか?」

 

「悟空、瞬間移動、みんなに見せてきてやれよ。」

 

「オラ何も言ってねぇのになんでわかったんだ?」

 

 

これも未来予知とはぐらかして、悟空を皆の所へ戻す。

トランクスはそれを見送ると、これまで以上に鋭い視線をラディッツへ向ける。

 

 

「やっと話せますね。

あなたは本当に何者なんですか?

あなたは未来から来た俺の名前を正確に言い当て、まるで瞬間移動のように現れ...悟空さんの瞬間移動すらも言い当てた。

そして超サイヤ人にもなれる。

本当に未来予知なんです?」

 

(凄い怪しまれてるな。

おーい神様、全部喋っていいか?)

 

『トランクスなら問題無かろう。

よし、ロック解除したから喋れるぞ。』

 

 

「俺は河野...よし、喋れるな。

トランクス、信じてくれるかわからんが、俺の全てをお前に話す.......。」

 

 

 

全てを話すのに時間は掛かった。

河野豊時代に神様によってこの世界に飛ばされ、敵であった悟空の実兄のラディッツに憑依した事。

ベジータとの死闘、ナメック星での戦い、特殊能力の新技リヒート。

そして、この物語の過去から未来のほぼ全てを何となく知っていると言うこと。

 

 

「...別の世界って言うのかな?

だからこの先の事も、トランクスのいる未来も、全て物語として知っているんだ。

俺だってこの世界を絶望の未来にしたくはないから戦うつもりだ。

敵の情報は気持ち悪いほど知っているからな。」

 

「...俺にはとても理解出来ない話ですが、信じないと説明できない事だらけだ。

協力して貰えますか!?

ラディッ...河野さん!」

 

「ラディッツでも河野でも好きに呼んでいいよ。

どっちでも間違いないんだからな!」

 

 

まさか自分自身よりも詳しい未来を知り得ている人間がいるとは...。

これ程に心強い味方がいるだろうか?

ラディッツは更に話を続ける。

圧倒的な力を持つ心優しき人造人間16号

気まぐれな性格な人造人間17号

高飛車でクールな人造人間18号

真っ白な肥満体の人造人間19号。

そして自らを人造人間化したDr.ゲロ...人造人間20号。

三年後に現れるのは19、20号であり、更にはセルという未来にはいないはずの人造人間が現れる。

 

 

 

「なんて事だ...俺が来たせいで新たな人造人間が次々と現れるなんて。」

 

「大丈夫。

それでも全員倒すってわけじゃないけど、ハッピーエンドになる話だ。

三年間、向こうで生きてりゃ何とかなる。」

 

「はい。

悟空さんやラディッツさんのお陰で希望が持てました。

三年...もし俺が生きていたら必ず応援に来ます!」

 

 

片手を上げ、飛び去っていくトランクス。

変わりかけている未来だが、希望が湧いてきている。

ブルマに報告する事が山ほどあるが、何の苦とも思ってはいなかった。

そんなトランクスを見届けて、ラディッツはみんなの元へ戻る。

ちょうど悟空が瞬間移動で、亀仙人のサングラスをかっぱらってきた所だった。

 

 

「悟空、ラディッツ返ってきたぞ!」

 

「早く話してくれ。」

 

「あ...いや、大したことねぇんだけどよ...ラディッツ頼む!」

 

「お前聞いてたじゃねぇか!

...わかった、簡単に話すぞ?」

 

どう話すか悩む悟空に代わって、ラディッツはトランクスの出自以外の全てをみんなに話す。

全てを話し終えた時、皆の顔はショックを隠しきれていなかった。

 

 

「...そんな感じだ。

とりあえず三年間頑張ってまた修行しないと、悲惨な未来が待っている事になる。」

 

「それも大切なことだが、貴様の出自も話すんだな。

俺たちにとって重大な話だ。

何故今まで黙っていた?

別の世界の人間という事を。」

 

 

ナメック星人の聴力は地球人やサイヤ人よりも優れている。

そして頭脳もだ。

悟空、そしてラディッツの一連の話の流れを全て聞いていたピッコロが口を開く。

彼には散々、未来予知などでこれまで全てはぐらかされてきたが、ようやく全てが繋がった。

 

 

「どうゆう事だよ?

ラディッツが別の世界の人間って、そんな訳ないだろ!」

 

「こいつは何もかも知っていたんだ。

サイヤ人達の襲来、ナメック星でのフリーザとの戦い。

そして今から始まる人造人間達との戦いとその先の敵も。

そんな大事なことを何故黙っていた?

お前の知っているおとぎ話通りにするなら、俺達の命はそんな容易く見逃されていたのか?」

 

 

この場の全ての人が固まる。

これまでラディッツが言っていたのは未来予知何かではなく、全て別の世界で存在する物語通りに進めるためのもの。

Z戦士達の命を握っているのはこの男なのだ。

 

 

「別の世界の人間がラディッツの体に入ったのは、俺がお前を殺したタイミングだろう?

貴様は何者だ、答えろ!」

 

「神様、完全にバレたぞ。

責任取れ。」

 

『ちょっと迂闊じゃったな。

致し方あるまい、ワシも顔を出す。』

 

 

ラディッツの隣にいきなり現れる神。

見る人により違って見える為、ナメック星人のように見えたり、顔がいくつもあったり、口髭を携えて見えたり...。

 

 

「あー、久しぶりだなピッコロよ。

お前の超聴力をすっかり忘れていたわい。」

 

「やはりあの時のクソジジイが後ろにいたか。

貴様も何者か正直に話すんだな。」

 

 

今度何かしたらぶち殺す...と言わんばかりに指先に気を集める。

それでも涼しい顔の神。

 

 

「わかったわかった、正直に話そう。

まずはわしの事を...わしは無神と言った方がいいかな?

この世界には様々な神がいる。

そのなかでも、わしは時間も空間も何もない、永遠と虚無だけに満ちた世界...無の界の神。

そして、ラディッツを生き返らせた経緯を皆にお教えしよう。」

 

 

両手を広げ、一度だけ握って開く。

まるで彼らの過去を、その場で第三者の視点から見たような記憶が飛び込んできた。

事故...神室...憑依...単行本...変わっていく歴史。

 

 

「な なんだこれ!?」

 

「ラディッツ...いや、河野の記憶か?」

 

「そう、正直に言うとラディッツになりたくてここにいる訳じゃない。

そして、俺の知らない敵だったり知らない展開。

...と言うかこの話をあまり知らないんだ。

話したくても知らなかったり、知っててもこの神さまに何故か口止めされて、話すに口が動かなかったからな。

...だが今から人造人間の知っている情報は全て教える。

罪滅ぼしと思ってくれ。」

 

 

紙とメモ帳を、ブルマの乗ってきたスカイカーから拝借して再び説明を始める。

今度は人造人間という存在を知らない人間相手なので、具体的な風貌と似顔絵を添えて話す。

更にはその先に現れるセルまで...。

 

「とまぁこんな感じ。

わからんと言ったところは本当に覚えていない。

これが俺の未来予知...ってか記憶だ。」

 

「なるほど、ちなみにラディッ...河野今度は誰が命の危機に陥る?」

 

「どっちで呼んでもいいよ天津飯。

今回は、さっき現れた少年と悟空が心配だ。

先程の絶望の未来編なら...全員だ。」

 

 

全滅の危機...しかも今度の相手はあのフリーザよりも格上の敵。

この場に未来から来た少年とラディッツがいなければ死ぬ運命だったかもしれない。

だが信じる証拠は何一つない上に、タイムマシンなんて考えられない。

そんな嘘くさい話し...信じていいのだろうか?

 

 

「俺は更なる修行をする。

野垂れ死にたくないからな、あのガキとこいつの作り話となれば、いい笑い話になるがな。」

 

「オラも強ぇやつと闘いてぇからな!」

 

 

未だ半信半疑のメンツがいるが、タイムマシンと共に消える少年を見て覚悟を決めた。

謎の少年の警告日...今から三年後の5月12日午前10時頃、南の都の南西9キロ地点にある島。

そこにあらわれるという人造人間を迎え討つために、1時間前に集合する事と、それまでに修業し、自信のあるものだけ来る事をピッコロは条件として上げる。

 

 

(クソッタレ...下級戦士のカカロット、手下のラディッツ、訳もわからんガキ!

どいつもこいつも超サイヤ人になりやがって!!

超えてやるぞ...コイツらを超えて、更に超サイヤ人をも超えてやるっ!!)

 

 

誰にも知られぬ屈辱を味わい、かつて無い程の修行を誓うベジータ。

未来を勝ち取るのは、この3人を超えれば必然とついてくる。

...いや、例え人造人間を倒せたとしてもカカロットやラディッツに追いつけないくらいなら未来が無くなってしまった方がマシだとさえ思っていた。

それ程の屈辱なのだ。

 

 

 

---大体1年後 深夜 カプセルコーポレーション---

 

 

(...やってるやってる。)

 

 

カプセルコーポレーションの敷地内に忍び込んでいた男。

あの後、3年後の再開を約束した直後に、宇宙へ修行の旅へ行ってしまった王子様が帰ってきた為、どれぐらいの強さになったのか確認しに来たのだ。

 

 

(...超サイヤ人には...なれなかったのか?

そろそろなってくれないと...戦力にならんからな。

ちょっと怖いけど...まぁ最悪本気になれば死ぬこたねぇか。)

 

 

茂みから出て、スタスタと大きな球体へ近づいて行く。

ボタンを押すと、入り口はすんなり開いた。

非常灯の為か...それとも重力のせいか、球体の中は異常な程までに赤かった。

 

 

「こんばんは、久しぶりだなベジぃっ!?

なんじゃこのデタラメな重力は!

殺す気か!

...まぁいいや、宇宙は楽しかったか?」

 

 

「ちっ、誰かと思えば...。

何しに来やがったラディッツ。」

 

 

突然の訪問者はラディッツ。

400倍の重力にも全く動じずにスタスタと歩み寄ってくる。

今手に持つ携帯が、約50kgの鉄の塊なる世界なのだ。

そんなバカげた重力空間で難無く修行する奴と普通に歩いてくる奴。

 

「なれたか?

超サイヤ人。」

 

「邪魔だ、修行の邪魔をしに来たのなら失せやがれ。」

 

 

この物言いからして、宇宙での修行は収穫無しとみたラディッツ。

その推測は当たっていた。

もし超サイヤ人になれていたのなら、「クックック...ならば見せてやろう。」とでも言うと踏んでいたのだが、図星と言わんばかりの塩対応。

だがそれも、もちろん彼の想定通りだ。

その為にここに来たようなものだったからだ。

 

 

「なんだ、超サイヤ人にはまだなれないのか。

ベジータ、意外と大したことないんだな。」

 

「貴様、この俺様に喧嘩ふっかけに来やがったのか!?」

 

「そんなつもりは無いさ。

俺が本気出したら喧嘩になんてなる訳ないじゃないか。

だって俺は超サイヤ人になれるんだぜ?」

 

 

反論する前に拳が出てしまったベジータ。

全力で殴ったつもりだったが、指2本で止められてしまう。

超サイヤ人ではなく、上半身のみのスコードロン界王拳だ。

ますます怒りが募るベジータ。

 

 

「いい気になるなよラディッツ!

いくらお前が別の人間だろうが、下級戦士、俺の手下という点に変わりはない!」

 

「この程度なら超サイヤ人にならなくても、界王拳だけで充分だな。

知ってるかベジータ、絶望の未来世界だといの一番に死ぬのはお前なんだぞ?

相手の実力をわかっていながら立ち向かうのは男として素晴らしいが、勝てなきゃ意味がない。

負ければただの犬死だ。

わかるか?

未来世界ではお前は勝手に死んでいったマヌケなんだ。」

 

「貴様ぁあああ!!」

 

 

400倍重力の中で、ベジータは本気の戦いを仕掛ける。

無謀...でもそんなの関係なかった。

ラディッツは界王拳を解き、超サイヤ人になる。

その衝撃により、仕掛けていたベジータは後方へ追いやられた。

 

 

「これでもうお前は、俺に触れることも出来ないぞ。」

 

「抜かせぇっ!」

 

 

エメラルドグリーンの瞳目掛けて殴り掛かるが、拳は空を切り前のめりにバランスを崩しかける。

突如後ろから軽く押され、地面へ倒れ込んでしまった。

もちろん正体はラディッツ。

コケにされる気持ちを奮い立たせ、1発でも拳を当てようと躍起になる。

しかし結果は何も変わらず...数打てどカスリもしない。

 

 

「クソッタレがぁ!!」

 

 

特大のエネルギー弾を放つ。

この重力トレーニング室なら狭すぎて逃げきれないと踏んでのエネルギー弾だ。

避ける隙間もなく、ラディッツを中心に爆発を起こす。

お陰でトレーニング室はほぼ全壊し、地面が少しえぐれていた。

 

 

「なに!?」

 

「イージス...気のバリアーだ。

微塵も当たってないぞ?

ここまでだベジータ、これ以上やればいろんな人に迷惑になる。

お前の実力はその程度ということだ。」

 

 

ものは壊れど、全力を出せど、ダメージを与えるどころかまだ体に触れることも出来ていない。

それに一方的に終わらされる様な発言...気に入らない。

まだベジータは納得出来ていないのだ。

 

 

「ふざけるな!

下級戦士のくせにいい気になるなよ!!

俺は超エリートであるサイヤ人の王子ベジータ様だ!

貴様ら如きが少し強くなったからと言って、俺様はすぐに超え「超えてねぇから言ってんだ!」

 

 

腹部を殴られ、顔面を両方向から殴られる。

あまりの速さに、全てが同時に行われたかと思うほどだ。

一瞬混乱している間に、両肩を掴まれて地面に叩きつけられる。

 

 

「リヒートリヒートリヒートリヒートリヒートリヒートリヒートリヒートリヒートリヒートォ!!!!」

 

 

次の瞬間には、頭だけ地面から顔を出した状態で埋まっていた。

訳が分からなかった。

場面が、いきなり切り替わったかのように埋められていたからだ。

 

 

「な なにをした!?」

 

「言わなかったか?

悟空と同様に、俺も特殊能力を習ったんだ。

時間を少し止めることが出来るようになった...グルドの下位互換みたいな...な。

少しずつ時間を止めて埋めただけだ。

とにかくお前はそこで頭冷やせ。」

 

全身から白い湯気を出し、汗が滝のように出ても全く息が上がっていない。

凄まじく固められた土では、手も足も動かせない。

為す術がない。

 

 

「超サイヤ人+特殊能力。

これでも人造人間に勝てるかどうかわからない。

超サイヤ人にもなれないお前がしゃしゃり出ようが、目障りなだけだ。

お前は2年後には来なくてもいいかもな、お荷物だからな。」

 

「ちくしょうめっ!!」

 

「負け犬は吠えてろ。

超サイヤ人は怒りによって覚醒する。

お前ならもうなれてもおかしくないが...やはり素質が無いのかな?

あばよ負け犬王子。」

 

 

顎をしこたま蹴られ、意識が遠のいでいった。

何時間眠っているのか...夢とも現実ともわからない境目。

暗闇?

ベジータは1人暗闇の中にいた。

暗闇とはいえ、自分の体ははっきりと見える...なんとも訳の分からない場所だ...なにやら声が聞こえる。

ラディッツの声だ。

 

 

(なんだ、その程度の攻撃で気を失っちまうのかぁ。

まぁいいや)

 

「な、ふ ふざけるな!

勝負はこれからだ!」

 

(お前は今のままじゃダメなんだ。

ムリだよ...なれない...超サイヤ人になれないんだよ。

覚えてるか?

お前は超サイヤ人にもなれていないのに、「この俺こそが超サイヤ人だ」と勝ち誇った顔?

プライド高い王子様と思ってたら、とんだ勘違い王子だった訳だ。

だが俺が少しだけ手伝ってやる。

いいか、ゆっくりとイメージしろ。

お前だ、いつも通りのお前だ。

今、ゆっくりと気を上げる。

20%...ほんのり自らの回りの空気が変わるんだ。

40%...60%...内側のエネルギーが外へと出始める。

力はみなぎっている、何も邪魔するものは無い。

80%...100%...お前は大きな壁にぶつかり、これ以上はパワーを上げられない、

もっとだ、サイヤ人の血がもっと強くなろうとしている。

怒りだ...純粋な心と怒りでその壁は乗り越えられる。

あとはお前しだいだ。)

 

 

声はそこで途絶えた。

ベジータは怒りが募っていた。

アドバイスを受けて怒っている訳では無い。

下級戦士からアドバイスを貰っている自分の不甲斐なさ...身の程をわきまえずに助言してくるラディッツが気に入らない。

そして...先程その嫌な奴にコテンパンに叩きのめされた事に異常な程にアタマにきていた。

超サイヤ人ラディッツ...連動するかのように超サイヤ人の謎の少年が思い浮かんで更に怒りが増す。

そしてカカロット...そうだ、奴にも戦いに敗れ、フリーザとの戦いではまるっきりカカロットにおんぶに抱っこだった。

ラディッツ...謎の少年...そしてカカロット。

彼等を追い越すどころか、超サイヤ人の壁にぶつかり跳ね返されている。

このままでは...永遠に追いつけるはずもない。

 

 

 

「ここが...俺の限界だと言うのか?

俺様は...誇り高き戦闘民族サイヤ人の王子。

俺様こそがナンバーワンなのだ。

...誰にも俺には適わんのだ!

なのに俺は...俺はぁぁああああ!!」

 

 

自らまとわりついていた土が、爆発する金色のオーラにより粉々に弾け飛ぶ。

深夜にも関わらず、周囲が真っ白になるほどの閃光の後に降臨することになる。

 

 

「...くっそ、覚醒速すぎ...。」

 

 

ベジータが気絶した直後から、敢えて耳元で嫌味のようにプライドを刺激するように言い続けていたら覚醒。

まさかこんな早くに覚醒するとは思いもしなかった。

もっと時間を掛けて追い込んでいこうと思ったいたようだ。

 

 

「ハァ...ハァ、やったぞ...ハーッハッハッハ!!

そうだ!

ラディッツやカカロットのような下級戦士になれて、スーパーエリートであるこの俺様がなれないわけが無いのだぁ!!

これで超えたんだ!

これでもう奴らに遅れをとることはありえない!!

人造人間だろうがなんだろうが、俺様が全員ぶち殺してやるぜ!!」

 

 

あまりの喜びように、声をかけようとしたラディッツだが大人しく帰ることにした。

翌朝には近所の人達がカプセルコーポレーションに押しかけて、ベジータに対しての怒りを堪えて謝るブルマがいたのは言うまでもない。

 

 

---約束の日 5月12日 午前6時---

 

 

「...はぁ。

ゲホッ...喉痛てぇ。」

 

 

空気の乾燥からか、喉の痛みと咳が多少出るが、普段通りの爽やかな朝を迎える。

5月...春と夏の間の季節の変わり目だが、今日は朝からとても過ごしやすい気候だ。

朝のニュースでは、[ゴールデンウィーク明け最初の休日の楽しみ方]と言う特集を紹介しているが、今日今から何が起こるのかわかっている人間達は何をどう思っているか?

起床してから、相部屋となっているランチさんを起こさない程度にひたすらに小さなため息をつきまくり、うがい、歯磨き、朝食を済ませ、食後のカフェオレも二杯目に突入する。

 

 

(なんでこんな絶好のお出かけ日和に地球の運命を決める戦いをやらなきゃいかんのだ...。

はぁ...さて、人造人間...セル...。

ターレス、クウラ機甲戦隊とクウラ...これまで必ずプラスアルファの敵が付いてきてるからな。

今回もまたなんか出てくるかもしれん。

新キャラはわからんし、劇場版の敵もわからんし、まずドラゴンボールの記憶が段々薄れてきたし...。

とにかくベジータは超サイヤ人になった、悟空の倒れるタイミングは知ってる。

...さぁ、とりあえずそろそろ出るか。)

 

 

黒の道着に袖を通し、メモ帳を折り畳んで持ち、神社経由で通い慣れた孫家へ飛び立つ。

勝負の時は神頼み...そして年間の半分は一緒に修行した悟空と悟飯とピッコロと合流するためだ。

長い戦いがまた始まる。

5月12日...その日は看護の日、ナイチンゲールの日、国際看護師の日、海上保安の日である。

そして、人造人間が表舞台に現れる日でもある。

 

 

「ええか悟空さ!

今回で最後だでな?

この未来を守るとか訳の分からねぇのが終わったら、本当に武道はなしだべ!?」

 

「わ わかってるよ...もう充分わかったって。」

 

(超サイヤ人にも弱点があったようだな...。)

 

 

孫家では早朝にもかかわらず元気な声が響いていた。

数年後にあるお受験前の最後の武道を確約させる為に、嫌という程悟空の脳内に言葉を叩き込む。

のらりくらりと「武道を辞めさせる」との明言を避け続け、やっとラディッツが到着する。

 

 

「義兄さ!

義兄さからも悟飯ちゃんの為に武道はこれっきりにすると悟空さに言い聞かせてやってほしいだ!!」

 

「(ゲッ、既にスイッチ入ってるじゃねぇか!)

とりあえず時間無いので行ってきます!

お おい行こう!」

 

 

皆急ぐ振りをして逃げるように飛び出す。

やっとの事でチチの支配下圏から抜け出した孫親子は、同時に安堵のため息をつく。

この二人は家の中ではそこそこ大変な思いをしている事がよく分かる。

孫悟空、悟飯、ピッコロ、ラディッツはまずは南の都を目指して進む。

道中、天津飯と餃子とヤムチャに追いつく。

 

 

「ここら辺か?」

 

「どうやらそうらしいな。」

 

「この島 意外と大きい。」

 

「確かにな、なんっちゅう島かわかんねぇけどよ。」

 

「あめんぼ島って言うらしいな。

南の都程じゃないけどデカイ街もある...巻き込んだら大変だ。」

 

「奴らの注意を俺達に向けさせ続けなければならないとするなら、北側の高山地帯を使うか他の島へ誘導するしか無いな。」

 

 

一通り地形を確認したところで、山の中腹にある平地へ集まった。

既にスカイカーが1台止まっており、顔馴染みの戦士達と知ると車から降りてきた。

紫色の赤ん坊を抱くブルマの姿だ。

 

 

「あらみんな久しぶり、時間通りじゃない。」

 

 

時刻は8時56分...一時間前集合できたのはこのメンツだ。

あと足りていないのは...。

 

 

「あれ、ベジータはいないのか?」

 

「修行って言ってまたどっか行っちゃったわよ。

ま、時間は伝えてあるから後で来ると思うわ。」

 

「ふーん。

トランクス、お前の父ちゃんは後で来るってさ。

よかったな!」

 

「ちょっと、なんで孫君が知ってるのよ!?」

 

「あ、お 俺が教えたんだよ!」

 

 

咄嗟に悟空が口を滑らすので肝を冷やす。

口が堅いとか言っておいて、心臓に悪い男...いや、心臓が悪くなる男だ。

心拍数が急に上がったラディッツは溜息をつく。

ある意味、敵は味方にもいる訳だ。

まだ一時間あるので各自ウォーミングアップや談笑して過ごす。

30分前になるとスカイカーでヤジロベーが到着し、カリン様から仙豆をお届けに来たようだ。

クリリンへと引き渡し、「人造人間を一目見たら帰るかんな!」としばらく居座ることになる。

これで役者は、人造人間のみとなる。

 

 

「さぁ、とりあえずほとんど揃った訳だし...人造人間の大まかな説明をしよう。

まずはDr.ゲロから...。」

 

 

各人造人間の大まかな説明と、似顔絵を皆に見せ始める。

まずは最初に現れるDr.ゲロ(人造人間20号)・19号。

そして後に放たれる予定の16・17・18号。

セルはまだ時間がある為、まだ話はしなかった。

今回の計画はDr.ゲロと人造人間19号の破壊。

そして残りの人造人間の保護だ。

16・17・18号は破壊した方が良いとの意見もあったが、今後の更なる強敵の為に味方にする算段である。

もちろん、ベジータを例に上げて納得させた訳だが。

その説明の最中も刻一刻と、約束の時が迫る。

 

 

「...まぁそんな所だ。

とりあえず最初の刈り上げ白豚人造人間をだな...う〜、ちょっと寒いな。」

 

「寒い?

...あぁ、そこそこ山間部だし標高も高いからな。

確かに俺もシャツを着てないから涼しいかもな?」

 

 

道着のしたは何も着てないクリリンも多少後悔しているようだ。

ラディッツは過去の反省から、ピチッとしたインナーとスパッツ...どちらも長袖を着用しているがそれでも冷える。

体が温まるはずだったのだが、どうも冷えが止まらない。

準備体操をもう一通りやり始めようとした矢先だった。

 

 

ドッ.....ォーーン

 

 

激しい爆発と破裂音が遅れて聞こえてきた。

何十tもある大きな商用型ビルが、根元から盛大に吹き飛ぶ。

通常の引火性の爆発の規模ではない。

ビルの形を残したまま吹き飛んでいるからだ。

 

 

「なんだ?

事故か?」

 

「人造人間だ。

...そうだ、人造人間だから気は感じないんだった!」

 

「馬鹿!

そういう事はちゃんと思い出しておけ!

行くぞ!!」

 

 

運命の戦いは、この大爆発から始まった。

ブルマとヤジロベーをその場に残して、Z戦士達は街へ繰り出す。

人造人間と思わしき人物が現れたら気を高める...それを念頭に皆バラバラに索敵する。

...ただ一人、別の戦士についていく者がいた。

 

 

「なんだラディッツ、まさか俺が最初の被害者か?」

 

「まぁね、死にはしないけどヤムチャは助けたいからね。」

 

 

ラディッツは冗談っぽく言ってるが、本当に俺が最初の犠牲者になるようだと察しがついてしまった。

少しだけ悲しくなったが、まずは人造人間を探す事に集中する。

 

 

--- 街 別地点 ---

 

 

「高いエネルギー反応二つ。

孫悟空とベジータか?」

 

「いや、適合率98%。

ヤムチャとラディッツだ。」

 

 

とあるビルの屋上から最近の高エネルギー反応に目をつける人造人間19・20号。

リゾート地でもあるこの島では、滅多に事故や事件が起きない。

原因不明のビルの爆発倒壊で街中が大騒ぎになっている中で、外部にエネルギーを出さないように造られたこの2人なら誰にも気付かれずにエネルギーを回収していける。

そしてエネルギー吸収を重ねて自らのエネルギーを得る...。

 

 

(いよいよだ...この私の計画も残り僅か。

忌々しい孫悟空に復讐を果たし、RR(レッドリボン)軍の再建...そして世界征服の為に!)

 

 

人造人間19号のエネルギーがまだフル充電では無いが、今のままでも孫悟空を倒すには問題無い。

万が一の為に、混乱する島人達に乗じて多くの生体エネルギーを吸収していくつもりだった。

更に言えば、孫悟空の仲間達が上手い具合にバラけてくれたおかげで1人ずつエネルギーを吸収しやすくなった。

ビルの屋上から高速で移動し、ラディッツとヤムチャの目の前へ降り立つ。

 

「出やがったな、人造人間!」

 

「Dr.ゲロ!?」

 

「おや、私の名を知っているとは。『私はヤムチャを...19号はラディッツをやれ。』」

 

『わかった。』

 

 

人造人間達は素早く動く。

...と同時にイージスで防御壁を作り攻撃を防ぐ。

ヤムチャは何が起こったのかわからない様子だ。

 

 

「気のバリア、データに無い技だ。」

 

「基本戦闘力は変わらないだろう、ぶち破ってしまえば問題ない。」

 

「ヤムチャ、気を上げろ。

残念だけど、取っておきを出すまでもなさそうだな。

10倍界王拳!」

 

 

取っておきというのは、彼らの知らない超サイヤ人だ。

今のラディッツなら10倍でバリアーを張れば破られることは無いと読む。

だがここで想定外の事が起こった。

力がどんどん抜けていく感触が急に襲ってきたのだ。

 

 

(あれ!?

エネルギー吸収!?...じゃないな。

なら引き上げる!)

 

 

界王拳を15...20...30倍に引き上げるが、脱力感の方が早かった。

あっという間に界王拳が解けてしまった。

そしてその瞬間が、原因が判明した瞬間でもあった。

 

 

「ぉ...お お...ぐお!」

 

「ラディッツ!?

おいしっかりしろ!!」

 

激しい胸の痛み。

堪らずに胸を抑えてうずくまる。

同時にイージスが消えてしまった。

ラディッツはそのまま後頭部を押さえつけられ、ヤムチャは顔面を掴み挙げられ、エネルギーの吸収が始まった。

 

「お お...ぉ.....。」

 

「クソ、力が...離しやがっ!

ぐあああ!!」

 

 

エネルギーを吸収されながらも抵抗するヤムチャは、胸を貫かれ動けなくなった。

胸を抑える力も無くなり、ラディッツの意識は途切れた。

 

 

.......

 

.....

 

...

 

 

「...ん?」

 

 

一度は沈んだ意識が、ようやく上がってきた。

知らない天井だ。

白い天井、白いベッド、白い壁、窓もない。

それでもとにかく自分は生きていた。

 

 

「...何とかなったか。

ちょっと気を抜いてたな、調子悪くして人造人間にやられるなんて。

全く俺は何してんだ...はっはっは。」

 

 

一人でなんちゃって反省会を一通り終えると、丁度部屋をノックする音が聞こえドアが開く。

入ってきたのは未来のトランクスだった。

 

 

「ラディッツさん、目が覚めたんですね。」

 

「おぉ!?

トランクス、もう来てたのか!

スマンな、不甲斐なくて...でももう大丈夫だ。

とりあえずどこまで話は進んだんだ...どうしたんだトランクス?

ボロボロじゃないか。」

 

 

戦闘の後なのだろうか、服がボロボロになったトランクスは必死に涙を堪えていた。

流石に空気は読まざるを得ない...何か思わぬ事態が発生したに違いない。

 

「...すみません.....。」

 

「...どうした、17号と18号が強いってことか?

それとも16号か?

話してくれなきゃ分からんぞ?」

 

 

何も話さないトランクス。

やれやれと思い他の戦士達に聞こうとした時だ。

気の数がやたらと少ないことに気づく。

クリリンの気は普通なので問題ない。

悟空は心臓病の発症で、気が非常に弱いのは解釈出来た。

悟飯の気もかなり弱くなっているのも、戦闘により想定外のダメージを負ったという事ならば何とか理解出来た。

 

 

 

 

 

 

 

.........それ以外の戦士達の気が存在しないのだ。

 

 

 

 

 

 

気を消していると考えるも、クリリンやトランクスが普通にしている点を考えるとおかしい。

もう一つ考えられる事は...そこまで想像する前にラディッツはトランクスに声を掛ける。

 

 

「...なんで皆気が消えてるんだ?

.....おい、何でだトランクス?

.....おい...おいトランクス、答えてくれ!

答えろトランクス!!

俺がいない間に何があった!?

言え!!

説明しろ!!」

 

 

トランクスはようやく重い口を開く。

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