弱虫兄貴のリスタート   作:バタピー

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やっとこの小説の前身...あっとノベルスで保存していて消え去ってしまった分を蘇らせることができました。
1ヶ月に1回程度しか投稿してない割には早かったような...。

あ...お待たせしました、下部が本編になります。

誤字脱字修正済み R2 1/12


悪夢の再現

--- あめんぼ島 街---

 

 

「ヤムチャさん!

ラディッツ!」

 

 

近場にいたクリリンが最初にやってきた。

ラディッツは超化が解けて地面に倒れ込んだまま人造人間に押さえつけられ、ヤムチャは胸を貫かれたまま意識を失っているようだ。

人造人間達は意識をクリリンに向ける。

じろりと目が合った瞬間、ほんの少し後ずさりをしてしまう。

ヤムチャは別として、超サイヤ人に覚醒したラディッツがいとも簡単に瀕死になっているのだ。

直感的に、勝てない相手と対峙してしまったと思ってしまう。

 

 

「ふむ...生体エネルギーを吸い取る前に死に逝くか。

まるで役に立たんかったわい。

そして、貴様がクリリンだな。

こいつの代わりに、お前のエネルギーを頂くとしよう。」

 

「...エネルギー反応が複数。」

 

 

ラディッツとヤムチャをその場に捨て、人造人間達はクリリンに向けて歩み寄る。

その時クリリンの背後から、街中に散らばっていたZ戦士が集結した。

彼らも、ヤムチャやラディッツが簡単にやられた場面を見て強敵と察知する。

だが人数が集まった分、自分のやるべき事を最優先して出来る。

 

 

「ヤムチャさん、ラディッツ、仙豆だ!

口を開けて!」

 

 

意識の無い二人の口の中に無理矢理にでも仙豆を突っ込む。

その甲斐もあってヤムチャは全快するも、ラディッツは再び胸を抑えてうずくまる。

 

 

「仙豆 効かない!」

 

「まさか...孫の心臓病が河野に!?」

 

「役立たずめ。

何故孫も河野も発症したんだ!

薬を貰ったんじゃなかったのか!?」

 

「心臓病は...発症しなかったんです。

ラディッツさんは「もしかしたら心臓病にならないかもしれないし、発症してから飲めばいい。」と言ってたので、薬を飲まなかったんです。」

 

「あのバカが。

ヤムチャ、さっきの所に連れて行ってブルマに孫の家まで運ばせろ!」

 

「わかった、みんな気をつけろ。

ラディッツの言う通りだ。

奴らは俺達の力を吸収する!」

 

 

ヤムチャはラディッツを抱えて山間部へ飛び去っていく。

人造人間はそれを静かに見送る。

優しさなどではない、復活して戻って来たならば再び自らのエネルギーにするだけなのだ。

わざわざ逃がしてやったに過ぎない。

人がいない場所に移動しようと言う悟空に、人造人間は目からビームを出して辺りを焼き払い、ここを更地にしようとするが身勝手さに怒る悟空。

別の場所に行くことに同意した人造人間達は、悟空について行く。

その後は原作とほぼ全く同じ様に展開していく。

悟空の心臓病発症によりクリリンの戦線離脱...超サイヤ人ベジータの登場による形勢逆転...トランクス、ヤムチャの到着...Dr.ゲロの逃走と追跡...研究所の発見...人造人間17号・18号の起動...緊急停止装置の破壊...。

人造人間達の緊急停止装置が壊された事により、17号・18号はほぼ自由の身になった。

これでDr.ゲロが彼らを止める術は無くなってしまった。

自由の人造人間は、前回起動時には無かったカプセルを見つける。

 

 

「なぁ、この人造人間は完全機械型か?」

 

「そいつを起動させるのはやめろ!

そんなに世界を破滅させたいのか!」

 

 

自分達を勝手に改造したDr.ゲロの慌てぶりが面白く、カプセルの蓋を蹴りあげる。

カプセルの番号は16。

そう、完全機械型人造人間16号が起動したのだ。

人造人間16号は特別だった...それはDr.ゲロの息子の生まれ変わりのような存在だった。

息子はレッドリボン軍の上級兵士だったが、敵の銃弾に倒れており、その息子をモデルとして作成している。

その特別な思いからゲロは永久動力炉やパワーレーダーなどの強力なパワーを与えたが、同時に戦闘で破壊したくないという思いも働き、穏やかな性格にしてしまった。

人造人間としては失敗作となってしまったが、ひとたび何らかの意思を持ち始めれば...その力は間違いなく世界を文字通り滅ぼしかねない力なのだ。

言わばパンドラの箱、それを17号は開けてしまったのだ。

 

 

「16...16号か。

よう、俺は人造人間17号。

こっちは18号。

そして、お前の生みの親のDr.ゲロだ。」

 

「.....。」

 

「話し掛けても無駄だ、そいつは孫悟空を殺す為だけに存在しているのだ。

その為にお前達をも凌ぐ力を持っている!」

 

「孫悟空ってのはそんなに強いのかい?

強いんなら会ってみたいねぇ。」

 

 

17号はその言葉を聞き、幾重にも重ねられ頑丈に作られた研究所の扉を破壊してしまう。

もちろん外にいるのは全員揃った所のZ戦士達だ。

Z戦士達は愕然としていた。

ラディッツの話を聞いていた16,17,18号が既に動き出していたのだ。

特にトランクスはこれ以上人造人間を増やさない為に駆けつけたのに、無駄になってしまったのだ。

 

 

「来るか16号?

Dr.ゲロの野望に加担するのは嫌だが、俺達に目的が出来た。」

 

「...もちろんだ。」

 

「待ちやがれポンコツ共!」

 

「クソ、奴らを止めなければ!」

 

 

3人の人造人間は飛び立つ。

ベジータとトランクスはその人造人間を追いかけていく。

他の戦士達も続こうとしたが、ピッコロの一喝により留まる

Dr.ゲロだ、彼は飛び出して行った人造人間を追うわけでもなく研究所の奥へ駆け出した。

これまで開発してきた人造人間は失敗作として解体してきてしまったが、まだ解体していない人造人間もいるのだ。

これは大きな賭けでもある。

地球が消えてなくなるか、その力を上手いこと利用できるか。

 

 

「(こんな事になるとは...こんな事になるとはっ!?

こうなったら...私の最後の手段を取らざるを得ない!)

頼む、プログラムの書き換えが上手くいっててくれ!

13号・14号・15号!」

 

 

三つのボタンを次々と押していく。

しばらく起動していないのか、カプセルの蓋の埃や砂で姿が見えなくなる。

見えたのは二つの影、そして一つの影から放たれたエネルギー弾はZ戦士達へ飛んでくる。

戦士達は全員避けられたが、流れ弾によりDr.ゲロの首から下が爆ぜて消えてしまった。

 

 

「ーーっ!

クソ、これも失敗作か!

だが私だけ死にはしない...この地球ごと道連れにしてやる。」

 

 

言いきったと同時にDr.ゲロの頭部も踏まれて粉々になってしまった。

いよいよ全体像がはっきりしてくる。

1人はかなりの巨体で肌は白く、辮髪を結っている。

もう1人は外見はかなり小柄で大きな帽子とサングラスを身に着けて隠している。

 

この研究所には二つのスーパーコンピューター並の処理能力を持つコンピュータがあり、その一つは究極完全機械型の人造人間を研究し続け、もう一つは現代における生命体を選りすぐり、遺伝子操作と掛け合わせを行い創られる、バイオテクノロジー(遺伝子工学)型の人造人間の研究。

そしてこの人造人間達は前者...即ち、今考えられる完全機械型の最高傑作、人造人間14,15号なのだ。

 

 

「ソン・ゴクウ。」

 

「ソン・ゴクウ。」

 

 

これまでの人造人間とはまるで違う。

あまりに無機質な声に恐れすら覚える。

フリーザと対峙するのとはまた違った恐怖だ。

Z戦士達は声をかけあう事もなく同時に攻撃を仕掛ける。

それを全て受けるつもりなのか、白い巨人の14号が前に出る。

ピッコロ、クリリンの2人がかりでの攻撃も、顔色を何一つ変えることなく受け流す。

いや、まるで表情というものが無いようだ。

殺人マシーンと言う名が相応しい。

 

 

「チィッ、なんだこのポンコツは!」

 

「皆どけ!、気功砲!」

 

 

気功砲は確実に14号を捉えるが、ど真ん中をぶち破って天津飯を殴り飛ばし、追撃をしてこようとする奴に向けて手刀の先から鋭いエネルギー波を発する。

餌食となったのは餃子...避ける間もなく上半身と下半身が別々に地上へ落ちていく。

 

 

「餃子さん!!」

 

「悟飯っ!!」

 

 

鋭いエネルギー波は再び何かを切断する。

飛び散る鮮血。

幸い血液の量からして即死レベルではないが...悟飯の二の腕辺りから先が消えていた。

ピッコロが押し出すのが遅れていたら、左腕ではなく首が跳ね飛んでいただろう。

あまりの激痛に、苦悶を通り越し気絶する。

 

 

「クリリン、悟飯を天界へ運べ!

腕も忘れるな!」

 

 

ピッコロは即座に指をかざすと、悟飯の損傷箇所に応急処置が施される。

クリリンも悟飯に仙豆を食べさせ、一命だけは取り留める。

だが腕が治った訳では無い...デンデでも治せるのかわからなかった。

クリリンも状況が状況だけに、何も言わずに悟飯を背負う。

そして腕を取ろうとした時、エネルギー弾により消えてしまった。

今まで大人しくしていた15号だ。

 

 

「.....くそぉっ!!」

 

「ヤムチャ!

お前はこの事をベジータとトランクスに知らせてくれ。

俺がここで食い止める。

早く行け、俺も何の覚悟もなく来たわけじゃないんだ。」

 

「そんな、天津飯「早くしろ!

奴らは待ってはくれない、行け!」

 

「(悔しいが、今はオレが一番役に立ちそうにない...。)

わかった、必ず生きて帰って来いよ!

行くぞクリリン!!」

 

「天津飯さん、ピッコロ...死ぬなよ!」

 

 

クリリン、ヤムチャはそれぞれの役割の為に、戦闘区域から離脱していく。

人造人間達は追おうともしない。

残された天津飯とピッコロ。

 

 

「俺が食い止めるか...随分大きく出たな。

何か術があるのか?」

 

「奴らほどの格上に通じるかわからんが、間違いなく俺の最強の必殺技を二つ編み出した。

今からのは命を引換にするがな...お前はどうなんだ?」

 

「俺も開発した。

俺達で何とか時間稼ぎぐらいは出来そうだな。」

 

「そうか、まさかあのピッコロ大魔王と共闘する日が来るとはな...死ぬなよ!」

 

 

天津飯は気を貯めながら上昇する。

対するピッコロは気弾を乱発する。

余裕で交わし続ける14号...周りに漂い続ける気弾、これは先程から研究所のメインコンピューターに接続をしていた15号のデータにも無かった。

 

 

「壊れやがれ人造人間!」

 

 

魔空包囲弾、新必殺技が見事に炸裂する。

しかし表面が焦げ付いただけで大したダメージが与えられていないようだ、ニヤリとピッコロへ向けて走り出す。

だがまだ終わってはいない、上空には死を覚悟した天津飯が待ち構えていた。

 

 

「新気功砲っ!!」

 

 

先程の気功砲とは比べ物にならない威力の気功砲が放たれる。

人造人間達を中心に真四角のクレーターが出来上がる。

それでも1歩ずつピッコロや天津飯へ向けて歩を進める。

だがそれで充分だった、ピッコロ渾身の溜め有りの魔貫光殺砲はいつでも発射出来る体制まで整える事が出来た。

 

 

「確実に一体はスクラップにしてやるぜ。

魔貫光殺砲!」

 

 

貫通力に特化したエネルギー波。

当たれば、その重厚な額をも貫くだろう...当たる直前、15号が前へ立ち塞がりバリアを張る。

アンドロイドバリア、それでも貫通して14号の額に直撃し、倒れ込む。

 

 

「.....。」

 

 

不敵な笑みを浮かべて再度立ち上がる人造人間。

ダメージはまるで無い訳では無いが、額に小さな黒い焦げ後を作るだけで穴すら空いていない。

既に天津飯は新気功砲の連射によりほぼ戦闘不能。

全力の魔貫光殺砲も通じず、逃げる余力も立ち向かう力も残されちゃいなかった。

それでも人造人間達はピッコロを掴みあげ殴り飛ばす。

無表情で殴り続ける14号。

ラッシュ攻撃の仕上げに、14号のパンチが腹部を貫く。

そのまま宙吊りとなったが、振り払われるように飛ばされ天津飯を巻き添えにして岩肌へ叩きつけられた。

それでも、血だまりを踏みしめるようにピッコロは立ち上がりる。

 

 

「スマン...ピッコロ...。」

 

「...ふん。

期待はしていなかったが、想像以上の修行をしていたようだな。

まだやれるか?」

 

「当たり前だ!」

 

 

フラフラと天津飯も立ち上がる。

人造人間達は全く表情を変えない。

傷口を治す程の力が残っていないピッコロと立っているのがやっとの天津飯。

 

 

「そう簡単にくたばるほど俺達はヤワじゃないが...いよいよあの世がまた見えてきたな。

心中するか?」

 

「心中だと?

お前とそんな関係ではないが...コイツらを巻き込むなら一緒にあの世までついて行ってやる!」

 

「「はああぁぁぁああああ!」」

 

 

命を引換に最後のエネルギーというエネルギーを身体中から掻き集める。

足先から徐々に灰化していくが、気に止めることなく全てを指先へ集中させる。

エネルギーの動きを察知し、14、15号もエネルギーを手に送る。

だがそれよりもピッコロ達の方が早かった。

 

 

(俺が死んだら神は消え、ドラゴンボールも消滅する。

...スマンな河野、俺達だけでは未来を変えられなかったのかもしれん。)

 

 

「魔貫光殺砲!」

 

「新どどん波!」

 

 

二本の指先から放たれた光線はまっしぐらに人造人間達へと向かって行く。

放たれたと同時に、足先の灰化が急速に進み腰辺りまで灰となる。

その決死の技は...遅れて放たれたマーダーボールにより掻き消されてしまった。

届かなかった最後の技の最後を見届けて、身体中は灰となり、その巨大なエネルギーの塊によって欠片一つ残さずに消えていった。

 

 

そして地球の神も時を同じくして灰となって消えてしまい、ドラゴンボールもその輝きを失って石となった。

 

 

 

---あめんぼ島 荒れ地---

 

 

「スーパーサイヤ人って言ってたが...こんなものかい。」

 

 

完膚なきまでに叩きのめされていたベジータとトランクス。

ヤムチャがようやく来た頃にはカタがついていた。

ピッコロと天津飯の気が消えた今、この2人がいなければ立ち向かう事も出来ない。

肝心の仙豆も、「俺が持っていても。」とクリリンや天津飯やピッコロに譲った為に手元に無かった。

これ程あの時の発言を悔やんだことは無い。

 

 

「ベジータ、トランクス!

しっかりしろ!」

 

「おや?

また1人来たけど...どうやら戦うつもりは無いみたいだね。」

 

「まぁいいさ、来ないのなら戦うつもりは無いしな。

おい、そいつらに伝えといてくれ。

「復活したらまた相手になってやる。」とな。

行くぞ18号、16号。」

 

 

車探しを再び始める人造人間一行。

ひとまずの危機を脱したようなので、腕が折れたベジータと、気を失って倒れているトランクスに自らの気を3分の1ずつ2人に分ける。

 

 

「...すみません、ありがとうございます。」

 

「...。(トランクスだと?

未来から来たと行っていたな...まさか.....。)

チッ、あのポンコツ共め!」

 

 

超サイヤ人化になり、怒りに任せて地面を踏み抜く。

人造人間とはいえ、10・20代の子供...しかも女の子に完膚なきまでに叩きのめされたのだ。

そんなものはベジータのプライドに関わる。

 

 

「そんなこと言ってる場合じゃないぞベジータ。

大変な事になっちまった、人造人間がまた2体増えたんだ!」

 

「何ですって!!

...そんな...あの3体だけでなく...更にもう2体.....。」

 

 

自らの世界では、あの二人の人造人間とサシで戦えばかろうじて戦えるレベルだった。

それが今はどうだ。

ラディッツ、悟空を初めにベジータや自らもまるで歯が立たない強さになっている。

そして未だ実力を出そうとしない人造人間16号。

ここまで歴史が変わった上に、更に新手の人造人間...。

むやみやたらにこの世界に来た反動ならばと考えると、言葉に出来ないほどの心苦しさに駆られる。

 

 

「とにかく、ラディッツはブルマに頼んで悟空の家に今運んでもらっている。

クリリンは片腕を失った悟飯を天界に運び、デンデに治療してもらってる。

天津飯とピッコロは...おそらく...。

ドラゴンボールがなくなった今、もう誰も失う訳にはいかない。

オレ達も一度天界に戻って体制を立て直そう。」

 

「...どうやら、そんな時間は残されちゃいないようだな。」

 

 

 

彼方より現れる小さな黒い点、それはどんどん大きくなり、徐々に姿が顕になる。

ヤムチャは知っている...人造人間14,15号だ。

 

 

「奴らだ!

新しい人造人間だ!」

 

「何だこいつらは...俺も全く知らない!」

 

「構うものか、全員まとめてスクラップにしてやる!」

 

 

潔くベジータが単身突撃していく。

だが相手はピッコロと天津飯と餃子を、ほぼ無傷で倒した程の人造人間である。

全快の状態でも勝つ事が難しい相手に対して、1/3程度の力では及ぶはずもなかった。

いとも容易く攻撃は跳ね返され、元居た地面に叩きのめされるように戻って来た。

 

「父さん!」

 

「ベジータ、大丈夫か!?」

 

 

今まで隠していた呼び名をつい口走ったが、そんな事に気が付かないほど自体は切迫していた。

超サイヤ人化で挑んだのにも関わらず、ただの一撃で簡単に格差を思い知らされた。

自らよりも遥かに上のレベルにいる父が立ち向かえない以上、今ここにこの状況を覆すことの出来る者はいない。

そして回復の出来る仙豆も無い。

ドラゴンボールも...。

 

 

 

 

打つ手が無い。

 

 

 

「...トランクス。

お前の世界には父親がいないそうだな。」

 

「はい?

...え えぇ。」

 

「そうか。

ならこの時代のお前の父親から言葉だ。

お前のその体には、誇り高き戦闘民族サイヤ人の血潮...サイヤ人の王子である俺の血が流れている。

例え父親が死のうが、時代が、世界が違えどそれは絶対に変わらない事だ。

忘れるな、お前の中に俺の魂が流れているんだ。

もっと...もっと強くなれ。

サイヤ人に不可能は無いんだ!

訳の分からん機械人形に負けるんじゃないぞ!」

 

 

ベジータはトランクスの首筋に手刀を撃つ。

グラりと意識がとろけ、トランクスはもたれかかるように倒れ込んだ。

 

 

「(未来の俺が命を懸けて守り通した。

時代が違えど、俺は俺だ。

俺に出来て俺に出来ないはずはない!)

おい、コイツを天界へ持っていけ。」

 

 

全てのやり取りを見届けたヤムチャ。

その思いをしかと受け止める。

 

 

「ベジータ、お前は嫌いだったがな...考えが少しだけ変わったぜ。

お前は絶対に生き残らなきゃな!

すぐに戻る!」

 

「ふん、そのまま逃げ帰った方が身の為だ。

さっさと行け!」

 

 

ヤムチャは全速力で天界へと向かう。

残るベジータは人造人間達を睨みつける。

地球に来て...こんな気持ちは初めてなのかもしれない。

いや、その気持ちも確信と決めつける程の根拠もない。

今彼は自分の為に戦うのもそうなのだが、別の誰かの為に戦うという思いもある。

完全に他の誰かの為という訳では無いのだが、チグハグとしたその気持ちは、精神的に気持ちが悪くなかった。

 

 

「掛かってこい鉄クズども!

てめえらまとめてガラクタ市送りにしてやる!」

 

 

仄かに笑う人造人間。

その余裕面してる顔面をぶん殴ってやると言わんばかりに、果敢に地面を蹴り、持てる力を持って破壊しようと飛び掛かり空中戦を仕掛ける。

それに対処するのは14号。

相変わらず15号は極力戦闘は行わずにデータをひたすら収集し、研究所のコンピュータへと転送していた。

しかし、著しく戦況は苦しい。

拳は受け止められ、蹴りは避けられ、気弾やエネルギー弾は片手であらぬ方向へ弾かれる。

お返しにと言わんばかりに放たれた回し蹴りがベジータの折れた腕を砕く。

これでもう片腕は気弾の一発すら作り出せないであろう。

 

 

「...ぐぬ...俺様が片腕が使えなくなった所で、貴様らの運命は変わらん!」

 

 

 

--- 天界近くの空 ---

 

 

「ヤムチャさん!」

 

 

近づいてくるヤムチャの気を感じ、天界から飛び出してきた。

ヤムチャに背負われる未来からの戦士は負傷こそしていないものの、何があったのか...気を失っていた。

初めは心配したが、重症ではない為に安堵のため息をついた。

 

 

「クリリン、トランクスを天界に連れていってくれ。

仙豆は無いか?

俺はすぐに戻る。」

 

「仙豆は...悟飯にやったのが最後のやつだ。

残りは天津飯さんとピッコロが持ってたんだが...。」

 

 

どうやら事態は深刻を極めているようだ。

もしエネルギー弾などで消滅していなければ仙豆は取り戻せそうなのだが、下界では人造人間が合計5体も彷徨いている。

対する、今動けるZ戦士は3人...しかも全員人造人間誰1人に立ち向かうことすらできない。

唯一の戦闘力を誇るベジータも、急速にその灯火が弱々しくなっている。

 

 

「クリリン、トランクスを天界へ連れていけ。

俺は戦わなきゃいけないんだ、コイツ(トランクス)父親(ベジータ)の為に。

いつも戦って無駄死にしてるんだ、その役をベジータにやらせる訳にはいかない!

嚙ませ犬キャラは俺だけで充分だ。」

 

 

いつになくシリアスなヤムチャに、クリリンは止めることができなかった。

トランクスを預かるとクリリンは天界へ、ヤムチャは全力でベジータの元へ戻る。

 

 

(頼むヤムチャさん...頼む...。)

 

 

それがヤムチャの帰還なのか...ベジータの救出なのか...。

誰にもわからない。

 

 

--- 荒れ地 ---

 

 

「ビッグバンアターック!」

 

 

人造人間14号との戦いは未だ続いていた。

一方的なものと思われていたが、やはり戦いの天才たる所以である。

そしてデータがナメック星での戦い以前までしかないのも大きな要因であった。

腕は折れ、スタミナが切れかかった今条件はどんどん厳しくなる。

今の必殺技も、おびただしい量の気弾で体勢を崩したところに放たれた、久しぶりに訪れた反撃の一撃だ。

 

 

「はぁ...はぁ...チッ。

しぶとい野郎だぜ。」

 

「ソン・ゴクウ...ベジータ。」

 

 

よくよく聞いていると、宿敵の名前の後に自らの名を呼んでいる。

なかなかスクラップに出来ない苛立ちの他に、それも気に入らない要因の一つだ。

この人造人間達は、嫌という程孫悟空の名を呼んでいるところをみると、カカロットの野郎を殺す為に作られたようだ。

 

 

「カカロットを殺すのはこの俺様だ!

てめぇら機械の出る幕じゃない!

ぅ...グハッ!」

 

 

口数と同じ分の拳を浴びせるも、全てを見切られかわされていく。

ようやく感触が来たかと思えば、拳を止められ気づけば地面に埋まっていた。

再び視線を14号に向けると、巨大なエネルギーボールが出来ていた。

マーダーボール...天津飯とピッコロの命を奪った技の十数倍の威力で放とうとしていた。

 

 

「...。」

 

「くっ!

はあっ!

...でやぁーーだだだだだだだあっ!」

 

 

即座に気弾を撃つも、虚しくマーダーボールに吸い込まれていった。

徐々に近づくエネルギーの塊にベジータはがむしゃらに気弾を打ち続ける。

Z戦士随一の気弾を制御出来る彼の、限界まで上げた気弾連射もお構い無しに近づいてくる。

 

 

「バカ!

さっさと逃げろーっ!」

 

 

 

全身が吹き飛ぶ衝撃と共に、爆発する地面。

瞬間的に、死んだと錯覚したベジータだが、二度三度地面を跳ねて転がる感触にそうではないことに気がつく。

 

 

「...ったく、あんなに避ける暇があったのによ。

さっさと避けろよ。」

 

「なんだと?

俺様に指図するな!」

 

 

振り向くとそこには、逃げたと思われたヤムチャが帰ってきていたのだ。

...と、目の前に足が落ちてきた。

山吹色の布を纏った足だ...地球人の戦士に何人かこれを来ていた奴がいるのを覚えていた。

 

 

「...へ...へ。

せっかく...助げで...やっだ...の...によ。」

 

 

息絶えたヤムチャ。

ヤムチャでは爆風に耐えるほどの身体は強くなかった。

ベジータを助けた代わりに天津飯やピッコロの後を追うように逝く戦士。

 

 

「けっ...その程度で助けに来ただと?

笑わせるぜ。」

 

 

立ち上がるベジータ。

満身創痍、それでも立ち上がる事に意義がある。

自分の為に犠牲になった男の為に。

身体こそ、強さこそ自分以下であったが、意思の強さは他の戦士と全く引けを取らない男。

口では絶対に言わないが...その意志はハッキリと目に現れる。

 

 

「クソッタレ...はあぁ...!」

 

 

...が、体力の低下は現実的である。

超化も解け、スタミナ切れの彼から放たれるビッグバンアタックは、小さな気弾と見間違える程の攻撃だった。

そんなチンケな攻撃を軽く去なし、最後の一撃がベジータを貫く。

それはなんの運命なのか、ゲロがヤムチャを貫いた画と同じだった。

 

 

「か...はぁ...へ...へへ。

機械は...所詮...人間やサイヤ人...には勝てねぇ。

せいぜい...楽しむこったな...一瞬の優位に...立てた時を。

てめぇら...カラクリ人形に...そういう感情は...ねぇ...だろう...がな.....ぁ.......。」

 

 

ピクリとも動かなくなった体をなぎ払い。

人造人間達は再び歩みを始めた。

彼らの目的...孫悟空抹殺の為に、彼の家へゆっくりと進む。




この場を借りて失礼します。
この駄作小説が総合評価1,000pt、感想が100件を超えました。
感想の中には...感想を書いてくださる方や、誤字脱字を指摘してくださる方や、先読みを予想してくださる方や、実際に先読みを本当に当てる方や、能無しの主人公を叱ってくださる方や、そんな能無し主人公を応援してくださる方や駄作者を応援してくださる方...。

この場を借りて全て方にお礼を申し上げます!
これからも更新頻度は.....頑張って行きますし、完成までは社会的にも死なないように書いていきたいと思います。
未だにドラゴンボール...超になって考えていた設定が使えなくなったり、先出しされたり完結していないですが、引き続き細々と頑張ろうと思います。
これからもよろしくお願い致します!
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