弱虫兄貴のリスタート   作:バタピー

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どうやら君達は精神と時の部屋にいたようだな。
こちら(作者)側からすれば1日しかサボっていなかったが君達にとってはほぼ1年というところか...。

すいません、大変お待たせ致しました汗
途中でロストしかけた自分への応援コメント...誠にありがとうございます!

誤字脱字修正済み R2 1/12


プロトタイプの性能は?

話はほんの少しだけ遡る...

 

 

---地球 神の神殿---

 

 

「みんな 修行 始めた。」

 

「そうですか。

今からちょうど24時間後ですね。

ラディッツさんの話なら、たまに出てくるとの事ですが...。」

 

「あぁ。

とりあえず人造人間の監視だな...と言っても、気が読めないからどこにいるのかわかんねぇけど。」

 

 

取り残されたクリリンはドサッと地べたに座り込む。

気を持たない人造人間の監視...引き受けたはいいが、どうやって監視するかなんて考えていなかった。

闇雲に地上を探すと言う手段もあるが、アテもない上にZ戦士達を葬った人造人間も二体いるのだ。

相手より先に見つけ、なおかつ見つかる事なく監視を続けて女の子タイプの人造人間を守らなければならない。

非常に厄介な頼みだった。

 

 

「...姿が見えれば気を消して追うことも出来るんけどなぁ。」

 

「姿ですか...先代の神様程ではありませんが、この地球で言う千里眼が多少使えるので、目標を絞れば見つけられるかも知れません。」

 

「本当かデンデ!?

...たしか人造人間の目的は、悟空の抹殺だったな。

なら、悟空の家をずっと見張っていれば奴らは来るかもしれない!」

 

 

目を瞑り、パオズ山の孫悟空の家へ意識を集中させる。山々を超え、人里離れたパオズ山。

孫悟空宅は未だ無事であった。

30分に1度ずつ顔を出すラディッツだったが、数回来たところで事態は変わらなかった。

 

 

.......

 

.....

 

...

 

 

「クリリンさん、人造人間と思われる三人が来ました!」

 

 

クリリンから聞いた特徴に酷似した人間...特徴からして間違い無く人造人間だろう。

ラディッツ達が精神と時の部屋に入り始めてからから約1時間少々。

待望の報告に待ちわびた心と、遂に見つけてしまったのかと言う残念に思う心が入り乱れる。

 

 

「...よっし、行ってくる。

ラディッツが出てきたらすぐに来るように言っといてくれ!」

 

 

みんな死んだ...次は自分が後を追うかも知れない。

神殿を潔く飛び出したクリリンの脳裏にこの言葉が離れなかった。

わらわらと現れた人造人間達。

その全てが格上ならば、生き残る可能性は低い。

 

 

(今度という今度はダメかもしれないけど...それでもやらなきゃな。)

 

 

とうとう着いてしまった。

悟空の住むパオズ山に。

ここから先は人造人間達に見つからないように、山中に降りて物陰を利用して接近する。

物静かで豊かな山々も、今では不気味な静けさに思える。

だがその静けさも、大きな爆発音で一気に騒がしくなった。

 

 

(なんだ!?)

 

 

悟空の家の方角からだ。

何かが起きたに違いない。

あくまで隠れながら、メリハリをつけて一気に距離を詰める。

次第に視界に入る土煙。

おそらく悟空の家を破壊したのだろうと想像が出来る。

木片やらガラスやら...この辺りで人工物の用いたものと言ったら悟空宅しか有り得ないからだ。

大きな岩まで接近し、岩陰から顔を覗かせる。

 

 

「...ケホッ...いきなりなんだいお前ら!」

 

 

悟空の家があった所には瓦礫が散乱し、何者かが言い争ってるように見える。

金髪の可愛い女の子、長髪の優男風の青年、大柄でモヒカンの男、白肌で三つ編みの男、小柄でピエロ風の男。

どうやら人造人間で間違いなさそうだ。

白肌と小柄の人造人間が攻撃を行い始めた。

 

 

「な なんだ?

あいつら仲間同士じゃなかったのか?

いいぞ...敵の頭数が減るかもしれない。

(...だけど、ラディッツは女の子の人造人間を守れって言ってたな...。

今後の重要な人物って言ってたな...。)」

 

 

人造人間は自分達の敵である。

ベジータを始め、人造人間を倒す為に立ち上がった仲間達を容易く殺していった仇だ。

 

 

「ちっ。(...俺も後を追う事になるのかな?

死んだら恨むぞラディッツ!)

気円斬!」

 

 

隠れ蓑にしていた岩を台にして大きく跳躍する。

素早く作られた気の刃は女の子を避けまっすぐ白肌の人造人間へ。

不意をつかれた形にはなったが、肩パッドの先端が失う程度に被害を抑えれた。

ここで話が元の時間軸に戻る。

 

 

「人造人間17,18号ってのはお前達か?」

 

「いきなりなんだハゲのオッサン?

まぁその二人の人造人間は俺達なんだけどな。」

 

「アンタ、逃げた方がいいよ?

あの二体の人造人間、あたし達並に強いからアンタじゃ死ぬだけだ。」

 

 

そう話しているうちに、体勢を戻した二体の人造人間からエネルギー弾の雨が降り注ぐ。

あまりの数に17号でやっと対処出来るのに対し、18号ではキャパオーバーである。

だが対処出来ないエネルギー弾を優先的に気弾で迎撃して行くのがクリリンだった。

 

 

「無理しなくていいよ、むしろアンタ邪魔だよ。」

 

「ラディッツに言われたんだ。

人造人間だろうが女の子...例え弱くたって女を守るのが男の使命だってさ!」

 

 

クリリンの答えは正確に18号に伝わらなかった。

気弾の迎撃による爆発音により、冒頭の箇所が全く持って聞こえていなかったのだ。

よって18号にとっては、いきなりキザな台詞を告げられてしまったかに聞こえたのだ。

 

 

「.....っ。

お お前、何言ってんだい!

チビでハゲのくせに、ぶっ殺すよ!?」

 

「なんだ18号、満更でもない顔をしているな?」

 

「17号あんたもぶっ飛ばすよ!?」

 

「...18号、体温が急上昇しているぞ?

どこか故障か?」

 

「あんたもスクラップにしてやろうか16号!」

 

 

16号のサーモセンサーで見る18号の顔面は真っ赤であった。

また普通のカメラでも顔が真っ赤になっているのがわかる。

ここで18号は気づいた、この感覚は人造人間として生まれる前...ラズリとして荒んだ時期にも無かった高揚感である。

悠々とその気分を味わいたいところだが、14,15号の攻撃が止むことは無い。

 

 

「ちっ...しぶといな。」

 

「...二人共下がってくれ。

俺がまとめて片付ける。」

 

 

降り注ぐエネルギー弾を、自らの衝撃波で全て吹き飛ばす。

あれだけ手を焼いていたエネルギー弾の嵐を、唯の一撃でまっさらにする力を持っているとは...17,18号も知る由もなかった。

爆ぜたエネルギー弾の靄が晴れ、17号は煙を振り払う仕草をしていた。

 

 

「驚いたな、ただの臆病者かと思ったらとんでもない力を持ってたのか。

なんで今まで黙ってたんだ?」

 

「お前達が聞かなかったからな。

それに.....俺は自然が好きだ。

お前達はコイツらとは違って、無闇に自然を破壊しないからな。」

 

 

16号が視線を後ろへ向ける。

そこにはエネルギー弾でメチャクチャになった森や川...動物達はとっくの昔に逃げ去ってしまっていた。

視線を戻すと、既におびただしい量のエネルギー弾が向かってきていた。

クリリンや17,18号が応戦しても間に合わない量だ。

 

 

「これは一度防いだ。」

 

 

再び衝撃波でエネルギー弾を吹き飛ばす。

靄が晴れる前に間合いを詰めていた二体の拳が、両頬にこれでもかと言うほどめり込んだ。

だが残念な事に、その攻撃は逆に二体の人造人間の拳にヒビが入ってしまった。

簡単な事だ。

14,15号作成にあたる技術が、まだ新しい16号の技術に叶わなかったと言うだけのこと。

そして、本来二体が単体だけで戦うことを想定して作られていないために攻撃面も防御面も16号に完全に劣っていたのだ。

 

 

「「...!?」」

 

「残念だったな。」

 

 

手刀と蹴りで、各人造人間の首を刈り取る。

バチハチと電気が走る切断部。

それでも予備電源が頭部にあるのか...音声こそ発していないものの、「ソンゴクウ」としっかり動いている。

 

 

「うへぇ、まだ動いてるのか。」

 

「大丈夫だ。

俺以前の人造人間に搭載されている頭部のバッテリーは、あくまで電源ユニットに接続していない時に再起動する程度の電力しか蓄積出来ない。

もうすぐ二度と動けなくなる。」

 

 

その言葉通り、二体の口元はピタリと動きを止めた。

型落ちの16号に助けられた17,18号。

二人は口々に礼を述べる。

 

 

「例には及ばない、自然に戻しただけだ。

俺達も時間が経てば朽ち果てる。

それがバイオテクノロジー(遺伝子工学)型の方が早いだけだ。」

 

「そうだなぁ...では究極の人造人間になろうではないか兄弟。」

 

 

その言葉を最後まで聞けたのは17号以外の者。

聞けなかった男は既に漏斗状に広げられた尻尾の根本付近を通過した所であった。

気を探知する事が出来なかった。

パワーレーダーでも感知する事が出来なかった。

それは歴戦の戦士達が行っていた"気を消す"という何ら変哲もない行為と、ピッコロの頭脳による冷静な判断力に沿った行動。

そして何より、偶然にも14,15号の強襲という大きな餌を使った接近...全てが歯車のように上手く回った結果であった。

 

 

「17号!

よくも17号を!!」

 

「ふふふ...落ち着け18号よ。

お前も私の一部となり、究極の人造人間となろうではないか。」

 

 

深緑の斑点模様が目立つ生命体は、みるみるうちに変形していく。

何者だろうか...18号の名前を知っているということは。

 

 

「...Dr.ゲロのか?」

 

「その通りだ16号。

私は...人造人間セル。

究極の人造人間になるべくして、Dr.ゲロにより生み出され、遥々未来からやって来た人造人間...言わばお前達の兄弟だ。」

 

 

第二形態、強靭な体格を持ち合わせた身体。

セルは自らの身体を見渡す。

最初の形態では遠すぎる道程も、コンピュータが導き出していた人造人間の吸収に伴いワープしたかのような上げ幅を体感した。

これに...18号の身体も頂ければ...。

 

 

「さぁ18号よ。

私に吸収されろ。」

 

「断ると言ったらどうする気だい?」

 

「力ずくで吸収するだけだ。」

 

 

瞬間的に消えるセル。

次に現れたのは18号の懐...第一形態の時よりも2回り程太くなった拳が腹部に入り十数m後退する。

そう対したダメージではなかったのは、クリリンが緩衝材の役割をしていたからだ。

長年の経験からして、消えるという事は攻撃を仕掛ける時。

そしてがら空きだった懐を見たら、自ずと動いていた。

 

 

「あんた!

何してんだい!?」

 

「ゴハッ...18号...逃げろ...。」

 

 

掴むだけの所作はクリリンにかなりのダメージを与える。

いきなり掴むのは無理だと判断したセルは次は本格的に攻撃に移る。

瞬時に両手でガードするも、その防御ごと顔面を蹴り飛ばされる。

この人造人間セルというやつ...まるで化け物のような強さだ。

単身で立ち向かうには力の差があり過ぎる。

せめて17号がいればコンビネーション攻撃という策もあったが、化け物(セル)に吸収されてしまった以上それは叶わない。

クリリン(ちびのおっさん)は一発の攻撃でダウン。

...残る希望は16号だ。

 

 

「...やれるかい16号?」

 

「残念だが、奴は俺よりも強い。

勝つつもりなら可能性は10%を下回る。

だが逃げるつもりなら...もう少し可能性はある。

俺が注意を引く、その間に(クリリン)を連れて逃げろ。」

 

「な!?

お前も一緒に行くんだよ!

弱音なんか聞きたく「それ程余裕がない相手だ。

早く!」

 

「何を話しているのだ。」

 

 

セルが迫る。

その巨体を全身で受け止める16号。

だがセルの方がパワーは上、いとも簡単にズルズルと押されている。

だがその劣勢に立たされた時間もすぐに終わる。

バク宙の要領で16号の背後へ回り込み、羽交い締めで拘束する。

身動きが取れなくなった16号は必死に腕を解こうとするが全くびくともしない。

それどころか、真正面から顔面にエネルギー弾が炸裂する。

セルが放ったものでは無い...それは誰であるか?

 

 

「...二人まとめてのつもりだったんだがな。」

 

「貴様...13号かぁ。」

 

 

黄色いキャップにラフなアーミースタイルの出で立ち。

その体は痩身であるが、引き締まった肉体をしている。

先程の14,15号に比べかなり人間に近い容姿であり、純粋な戦闘力であれば16号をも凌ぐ。

その証拠に、エネルギー弾の直撃を受けた16号の額から頭部にかけて、深刻なダメージを受けていた。

 

 

「13...号...!」

 

「孫悟空を殺すのは俺の任務だ。

14号のデータを見ると、殺ったのは17,18号らしいが...細胞片を確認するまでは信じない...。」

 

 

14号と15号の額に手を当て、データを取り込む。

彼らのデータを取り込めたということは、データチップは無事。

そして首を切断と言うことは、動力回路がやられただけであり動力源はまだ生きているということ。

その二つを確認して、保険は掛けられると読んだ。

 

 

「...だがお前達の存在は任務完遂の為に障害となりうる。

この場にいる全員に...消えてもらおう。」

 

 

アンドロイドバリアの要領で、自身を中心に大爆発を起こす。

咄嗟に防御姿勢をとるが、クリリンや損傷した16号は簡単に吹き飛ばされてしまう。

唯一残ったのは18号とセル...その時が来てしまった。

 

 

「太陽拳!」

 

 

凄まじい閃光に、その場の者は皆視界を奪われる。

セルの独擅場...ならばやる事はただ一つ。

尻尾は確実にブツを飲み込み、吸収を終える。

太陽拳で奪われた視界が戻る時、今度はセル自身が輝き再び視界が奪われる。

二度の閃光が終わる頃には、究極の人造人間が鎮座していた。

 

 

「.....。」

 

 

完全体セル。

本来の物語なら数日間も掛かる道のりであったが、幸運に継ぐ幸運と、良い意味で期待を裏切る敵が現れ、僅か数分という短時間で完全体の身体を手に入れることとなった。

 

 

「18号…くそおおぉ!」

 

 

セルや13号のダメージが残る体が自然と動いたクリリン

激昴しセルを殴る。

一発で終わらず、何発も、何十発も殴り続ける。

そんな猛攻にも関わらずセルはゆっくりと拳をあげ、ただ一度素振りを行う。

それは凄まじいパワーで、クリリンは紙っぺらのように吹き飛ばされてしまう。

 

 

「貴様...まさか合体型の人造人間とはな。

だがバイオテクノロジー(遺伝子工学)型タイプではあるだろう。

抹殺対象に変わりはない。」

 

「.....。」

 

 

13号がいくら話すも、まるで耳に入っていないようだ。

彼の興味は今や新たな敵ではなく、自らの身体にある。

今までの自力が嘘のような感覚。

それを噛み締めるかのように身体を見、触り、手足を動かす。

 

 

「同じ人造人間とは言え見逃しはしない。

じゃあな。」

 

 

エネルギー波で消し去ろうとする。

簡単に消し去ってしまったかに見えたが、まるで効いてない…。

それどころか、感覚として本人の意識内に届いていないようだ。

 

 

「済まない…何か私にしたかね?」

 

「ほぅ…ならば直接叩き込んでやる。」

 

 

 

瞬時に間合いを詰め、顔面に瞬く間に十数発の拳が叩き込まれる。

それでもなお涼しい顔で佇む。

…よく見れば、瞬きすら何も無いように行われる。

普通、強い光や何かが目の前に接近してきた場合は眼球を守る為に眼瞼閉鎖反射(がんけんへいさはんしゃ)という反射が行われる。

だが今のセル…全くその反射が行われていない。

全く危機感というものを感じ取っていないのだ。

 

 

「大した余裕だな、命取りになるぞ?」

 

「命取り?

そうではない、最強たる所以の懐の深さと言うのだ13号。

さぁ、続きをやろう。

パワーアップした私のウォーミングアップに付き合ってくれ。」

 

 

再び13号の拳の乱れ突きが炸裂する。

先程と同じ構図ではあるが、本気度がまるで違う...不意をつくように蹴りも交じる。

今度はその一つ一つの攻撃を丁寧にかわしていく。

最初こそ確実に避けていたが、自らの実力に合わせてギリギリで見切ってかわしていく。

 

 

(洞察力...ピッコロか?)

 

 

様々な戦闘データから、戦い方をメインコンピュータからインポートしていく。

だがメインコンピュータが送ってきたデータは一つのデータでは無かった。

 

 

(ベジータの戦闘データ?)

 

 

データに基づいて気弾も織り交ぜて攻撃すると、今度は孫悟空のデータが入ってくる。

1人の人造人間から複数の戦闘データが送られてくるのはまず有り得ない。

試しに人造人間セルと言うデータを探すもヒットしない。

...情報が欲しい。

 

 

「...どうした13号よ、もう終わりか?」

 

「セルと言ったな...貴様、何者だ?

様々な人間の戦い方をするその戦闘スタイル...そして他の人造人間を吸収・合体し戦闘力を上げていく。

ただの人造人間では無いな?」

 

「いかにも、私は究極の人造人間セル。

同じ人造人間のよしみで教えよう...。」

 

 

そこでやっと全てを理解する。

ゲロのメインコンピュータが作り出した人造人間。

生態エキスでの戦闘力向上。

歴戦の戦士の細胞を取り込んでいる。

そして13号を元にバイオテクノロジー(遺伝子工学)型での吸収・合体能力の向上。

 

 

「つまり、お前は私のプロトタイプという訳だ。

13号...お前のおかげで私が生まれたのだ、感謝はしているが次世代型には勝てまい。

忠告はしたぞ?」

 

 

全ての話を聞いた時、セルの戦闘データの解析と情報整理が終わる。

ゲロのスパイロボが採取した孫悟空、ベジータ、ピッコロ、フリーザなどの戦闘力の高い者、そしてその仲間であるZ戦士や数種の生物など様々な細胞を取り込んでいる。

そしてその遺伝子情報から技の情報だけでなく、種族特有の体質などを兼ね備えた究極の人造人間だそうだ。

 

そして今の13号の戦闘能力で奴に勝つことが出来るかと言えば...勝てる見込みは数%。

ならばやる事は一つだった。

 

 

「プロトタイプか...プロトタイプってのは原型って意味だ。

ゲロのコンピュータが、考えうる最高の技術を全て使い俺は作られた。

細胞の寄せ集め野郎とは勝手が違うってのを思い知らせてやろう。」

 

 

遠くに転がっていた二つの動力炉、そしてデータチップが吸い寄せられるかのように13号へ飛んでいく。

動力炉は胸へ、データチップはこめかみへ沈むように取り込まれる。

 

 

「ウオオオオオォォォオオオ!!!」

 

 

合体人造人間13号。

相手の一部の力を使ってパワーアップするならセルと変わらないが、体格が3倍に匹敵する程の巨大化までしている点は違う。

 

 

「動力炉とデータチップがそれぞれ3つ。

バージョンアップに伴う追加装甲の搭載。

...セルよ、お前に勝ち目があるか?」

 

「おや?

まともに喋れないかと思ったが、会話のプログラムは残っていたのか。」

 

「安心しろ、言語を堪能する前に墓場へ送ってやる。」

 

 

セルへ向け走り出す。

体格が大きくなったが、動力炉とデータチップの搭載により全ての動きが格段に上がった。

目の前から攻撃を仕掛けると見せかけ、高速で真横から右浴びせ蹴り。

その回転を生かして左かかと落としのコンビネーション技。

大きく後退したセルを追い、肘打ちからの左アッパー。

 

 

(...チィ、全て見切られてるだと?)

 

 

合体前とは比べ物にならない早さで繰り出した攻撃だが、その全てを防がれていた。

第二形態(いままで)の力では敗北を味わっていたであろうパワーである。

つくづく自分はツイていると思っていた。

 

 

(ここまでのパワーとは...データ不足故に動きも読めない。

いよいよこちらも損傷覚悟でやるしかないな。)

 

 

全動力炉圧力引き上げ、非常弁閉鎖、安全装置解除。

13号の青い肌からオーラが発せられる。

事実上の最大パワーをもってセルへ挑むようだ。

 

 

「出力最大か...ならば少しは本気になってやるか。

ようやく体も温まってきたからな。」

 

「セルよ、これでお前を殺す。

ガアアアアアア!!」

 

 

即座に作り出された赤いエネルギーボールがセルへ向かっていく。

なかなかの速さと13号の動きを見ながら、冷静にジャンプしてかわそうとする。

...だが、この技はただのエネルギーボールでは無かった。

 

 

「...なるほど、追尾能力か。」

 

「そいつは地獄の果まで貴様を追い続けるぞ!」

 

 

SUPER.SPECIAL.(S.S.)デッドリーボンバー。

孫悟空抹殺の為の技であったが、道理を並べてる有余は無かった。

追尾機能があるとは言え、念を入れて自らも打撃を与える為に動く。

 

 

(ふ、面白い。

追尾能力があるとはいえこれだけのパワーを制御するのは難しいはずだ。)

 

 

逃げるセルは攻撃を仕掛けてくる13号と肉弾戦になる。

デッドリーボンバーが迫ろうとてまるでお構い無しだ。

ならばと、デッドリーボンバーにぶち込む気で繰り出した攻撃がかわされる。

ほんの少し溜めた攻撃が隙を生んだ。

いくら追尾するとはいえ、そう簡単に進行方向は変わらない。

 

 

「...残念だな。」

 

 

完璧に避けきった。

赤いエネルギーボールは山肌に当たって爆発...しない。

S.S.デッドリーボンバーは地面に沿うように素早く軌道修正し、まだ追ってきている。

 

 

(なるほど、地獄の果までと言うのは満更でもないようだな。

ならば...教えてやろう、私の強さを。)

 

 

 

---地球 神の神殿---

 

 

「...なんだよ...この気は。」

 

 

孫悟空、ピッコロ、天津飯、ベジータ、フリーザ、コルド大王...それどころか更に多くの歴代の戦士達の気が一箇所に集められている。

集結とは言えない...最早異様な気配を感じる。

クリリンは半分程度だが、人造人間の気を感じられない以上どうなってるか訳が分からない状況だ。

 

 

「(沢山の気が集中して妙な感じ...って事は、これはセルか!

なんでこんなバカ強くなってる?

吸収したのか?)

デンデ、クリリンと人造人間はどうなってる?」

 

「見えてますが...クリリンさんは人造人間を守りきれなかったようです。

緑の化物みたいなやつに取り込まれてしまいました。」

 

 

デンデの簡潔でわかりやすい説明が続く。

人造人間の仲間割れ...セルの登場...人造人間13号...合体人造人間...

 

「...そいつは14,15号のパーツを吸収し、とんでもない強さになりました。

セルはその人造人間と戦っています!」

 

 

想定外の速さでのセルの登場とまた新たな人造人間。

しかも合体したと言う...。

 

 

「合体て...特撮かよ...。

とにかく俺も行く!」

 

 

もう少し後になるかと思っていたが、まさか最初に様子を見る時に動きがあるとは思っていなかった。

更にセルが人造人間を吸収したということは、恐らく今の気は完全体のもの...そしてパワー温存と究極体を考えれば恐ろしい力である。

 

 

(クソ、どいつもこいつも好き勝手な時に来やがって!!

こっちじゃ30分なのにこの事態の変わりようはおかしいだろ!

なんで予想通りにならないんだよドラゴンボール!)

 

 

パオズ山に近づくにつれ、セルの気が何度か戦うかのような動きをしていた。

近くまで来てみると、デンデの言う通り人造人間と戦っていた。

合体人造人間13号...青と白い肌にオレンジ色の頭髪。

 

 

「...気味が悪いな。

なんて配色センスだ。」

 

 

出力を引き上げたようで、青と白の肌からは真っ赤なオーラが吹き出している。

 

 

「出力最大か...ならば少しは本気になってやるか。

ようやく体も温まってきたからな。」

 

「セルよ、これでお前を殺す。

ガアアアアアア!!」

 

 

真っ赤なエネルギーボールが作り出され、セルへ向け飛んでいく。

一度はかわされたものの、追尾能力があるようで執拗にセルへ向け飛翔し続けていた。

 

 

「あんなデカイエネルギーボールに追尾能力なんて...人造人間はやはり厄介だな。

だがいくら何でも、アレが落ちたら地球にダメージが...。」

 

 

エネルギーボールがセルを追って山へ直撃するかと思ったが、直角軌道を描いてまだ追っていく。

空中に向かっていたが、避けきれないと判断したのか。

セルは反転、そしてそれを受け止めにかかる。

 

 

「ようやく観念したようだが、S.Sデッドリーボンバーを跳ね返そうなど無意味な話だ。」

 

「何ぃ...くそおぉー!!」

 

 

大爆発を起こす。

威力にして、地球に直撃したら半分は吹き飛ばすのではないかと思われる爆発にセルは耐えられなかったようだ。

右半身がほとんど吹き飛び、首から下は左腕から左太股までしかなかった。

 

 

「なんだと...この俺があああ!?」

 

「いくら後継機であろうが、優れた者には勝てないのが証明されたな。

だが安心しろ、お前の代わりに俺が孫悟空を殺す。

そしてDr.ゲロの野望を...俺が継ぎ世界中を破壊し尽くしてやるぞ!

ふはは「...なんちゃって。」はは!」

 

 

セルの切断面がもぞもぞと動き始める。

絶望的なこの状況から何をしようとしているのか?

13号はその発言からなにか不穏なものを感じた。

 

 

「訂正する必要がある箇所が2つあるな。

まず一つ、私は孫悟空を殺害する目的で作られた訳では無い。

究極の人造人間として生まれたと言ったであろう。

そして二つ、優れた者には勝てないと言ったが...それはお前ではなく私だ。」

 

 

切断面から胴体と手足が生え揃う。

これには13号も唖然とした。

生物というのは、基本的に心臓か脳を潰せば死を迎える。

だがセルという生命体は心臓があると思われる箇所を吹き飛ばしたはずなのだが...全く動じる気配すらない。

 

 

「私はその程度の力で体を吹き飛ばされた所で死にはせん。」

 

「ば...馬鹿な!?

ならばもう一度吹き飛ばすのみだ!」

 

 

S.Sデッドリーボンバーを一発、いや二発撃ち込む。

セルはゆっくりと手を差し出し、一つ目を完全に消し去る。

二発目も同様に消滅させた。

 

 

「何!

俺の...俺のS.Sデッドリーボンバーがあっさりと消されただと...。」

 

「それも違うな、貴様のデッドリーなんちゃらはここにある。」

 

 

手のひらにある米粒程度の赤い光...あの数十mはあろうかというエネルギーの球体がここまで圧縮されている。

それでもなお涼しい顔で歩み寄ってくるセルに恐怖すら記憶させられた。

 

 

「さて...もらったものはきちんと返さねばな。

それぞれの腕に返してやる。」

 

 

次の瞬間、両腕を握られた。

全く反応出来ないスピードになす術なく両腕が吹き飛ぶ。

自ら放ったエネルギーに腕の装甲がやられた訳では無い、デッドリーボンバーのエネルギーにセルが上乗せしたのだ。

 

 

「もちろん利子をつけてな。

これで貴様も何も出来まい。

お次は。」

 

 

突き刺さる腕。

引き抜かれると同時に埋め込んだ動力炉も取り除かれてしまった。

そして頭部のデータチップもぶち抜かれ、人造人間13号の動きは格段に悪化した。

動力炉とデータチップ...それぞれ3つあって動く身体だ。

もう戦闘が出来る身体ではない。

動力炉とデータチップはその場で棄てられ、13号の敗北が決まった。

 

 

「くそおおおおお!!」

 

「チェックメイトだ。

だが13号よ、貴様のお陰で実力を知ることが出来た。

もっとバージョンアップして来るなら...再び戦ってやる。

楽しみにしているぞ?」

 

 

それを最後に、ガラクタ寸前の13号を地平線の彼方へ投げ飛ばした。

その戦いがひと段落着くと、次は16号だと言わんばかりに身体を向ける。

 

 

「16号...の前に、どうやら新しいお客が来たようだ。

隠れてないで出てこいラディッツよ。」

 

 

バレていた。

戦闘中にも関わらず遠くから聞こえるボヤキを逃さず聞き取っていた。

存在が知れてしまっているのならと、ラディッツは大人しく姿を見せる。

 

 

「影で見ていたということは多少は私の実力を見ていたのだろう。

勝てる見込みがあれば...来るがいい。」

 

 

...正直に言うと、ラディッツに勝てる見込みなんてあるはずが無かった。

合体した13号にすら勝てるか勝てないかの微妙な所だったのにも関わらず、それを上回る完全体セル。

覗き見ていた時から作戦は決まっていた。

 

 

「...今のままならどう考えてもセルには勝てない。

だが一週間...いや、10日だけ待ってくれ。

そうすれば悟空...特にその息子の悟飯がものすごく強くなる。

セルを上回るぐらいにね。

だから...お願いだ、10日待ってくれ。」

 

 

ラディッツは頭を下げる。

正直飲み込んでくれるかくれないかは微妙だ。

セルの性格は様々な...特にサイヤ人やフリーザー族の細胞のせいで好戦的で気分屋な所があると思っていた。

それ故に今ここで殺される可能性もあるし、原作通り強者の訪れという言葉に乗ってくれるかもしれないのだ。

 

 

「孫悟空...孫悟飯...孫悟飯か...何故か知らないが、どうも孫悟飯の存在がとても楽しみに感じるな。

俗に言う、「オラワクワクすっぞ」という所か?

良いだろう、私もここで楽しみを減らしたくはないからな。

10日間...たっぷり待ってやる。」

 

「...それまで誰1人とて殺さないと約束してくれるか?」

 

「それは出来んな。

私だって攻撃されれば反撃はする。

自らを守る為には相手の命を奪う事もある。

積極的防衛、貴様もよく知っている言葉だろう?」

 

 

これはラディッツが掲げている言葉だ。

人造人間セル、ラディッツの細胞も取り入れているだけあって思想に反映されているようだ。

だが10日間の猶予の確約は取ることは出来ただけでも成果と呼べよう。

 

 

「...わかった、だけど無闇矢鱈な殺しはやめてくれ。

もし俺の細胞まで入ってるならそれはわかってくれるだろう?

10日後にはたっぷり楽しめるんだ、無駄な殺し「くどいな、わかった。

こちらから殺す事は辞めると約束しよう。

攻撃を受けた時は...その時はその時だ。

さぁ早く修行をして来い、私の強さを引き立てるためにな。」

 

 

わかったとセルに言葉を残し、クリリンと共に16号を抱えてその場を後にした。

完全体となってしまったセルだが、原作には無い人造人間達は何とかセルにより追い返してもらう形となった。

これで良かったのか...完全体にしてしまって悪かったのか...。

とにかく原作通りの展開に近づけただけでもと自分に言い聞かせるラディッツだった。

 

 

 

---あめんぼ島北部 岩場---

 

 

「許さん...この俺をよくもここまで...。

だが...全ての機能が破壊された訳では無い。

甘かったな...まだ俺にもチャンスはある。

後悔させてやるぞ!」

 

 

最後のエネルギーを使いながら、Dr.ゲロの研究所へと歩みを進める敗北者。

機械でありながら、彼のデータに復讐心が記憶されたのは言うまでもない。




数々の死闘(携帯水没・ユーザー情報の喪失・ドラゴンボール超の追加設定&方向転換)を乗り越えた私は超バタピー様なんて傲りは全くございません。
これからまた亀更新出来たらいいなと思っております。

あまりに乏しい表現力文章力ではありますが、生暖かい目で見ていただけたら幸いです。
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