許してください笑
誤字脱字修正済み R2.1/10
「あれからどれくらいたった?」
「4時間だ。
もうすぐ日が沈む。」
放熱シートを身体中から剥がし、残った経口補水液を飲み干すと、ラディッツはフラフラと立ち上がる。
リヒート...超加速能力の使い過ぎで体温が42℃を超えてしまい、意識障害を起こして途中で倒れてしまったが、全員掛りで近くの村へ運び込んでいた。
その村もセルの脅威により、全員避難・疎開して誰もいなくなっていた。
「...俺がいない間に何かあったのか?」
「セルが再びセルゲームを始めました、それも全世界対象で。
そして、1時間に1度セルジュニアをサイコロの目の数放出し、強さもサイコロで決めると。
...既に19体。
強さはほとんどが40~60%ですが、2体90%辺りの化け物が出ているようです。
通信網がほとんどやられているようで、テレビはセルの告知以外は繋がりません。
辛うじてラジオだけ通じてますが...。」
状況が分からない上に、20体近くのセルジュニア。
あの時逃げた代償が、今まさに全世界に広がっている。
そしてその代償はまた一時間ごとに増え、ハイペースで全世界を蝕んでいく。
その事実を唯一知らせていたのはラジオだった。
中の都の様々な街が破壊され、大きな街にあったテレビ局は全て壊滅。
西の都と東の都のラジオ局からの情報によれば、キングキャッスルも壊滅状態で国王も行方不明。
今のところは中の都に被害が集中しているが、そのほかの都が火の海になるのは時間の問題だ。
セルジュニアは都市の破壊と殺戮を繰り返し、この世は恐怖に包まれている。
【.....国...軍は壊滅.......ですが東の...軍が全軍で立ち向か...討伐して.....模様です。
国...の皆さ.....安心し...さい。
あと少し.......壊滅する...しょう!】
「一般人が立ち向かったところで勝てるわけがないのに...何が安心して下さいだよ。
何やってんだよ。」
「ラディッツさん、あなたの力でセルジュニアは倒せますか?」
「無駄だ...そいつは孫悟空と同程度のパワーしかない。
項垂れ、下を向いたままのセルが意気消沈で答える。
パーフェクトセルの状態で戻ってきたのにいとも簡単に敗れた事が相当きているのだろう。
表情も口調もまるで覇気が無い...かつて自身に満ち溢れていた最強の人造人間は見る影もないほどに落ちぶれていた。
「しょげるなよ、セルのレベルで勝てないくらいアホみたいな強さだったんだ。
普通のセルゲームならパーフェクトセル状態で...悟飯に勝てたかもしれん。」
「...勝てたかもか。
色々な事情がありそうだが、素直に受け取るとしよう。」
セルの心理状態からして正直に告げる事はやめて正解だったのだろう。
本当は悟飯に敗れるのだがあえて濁した...が、セルはそれを悟ったのだろう。
第二形態で体格は大きくなったのだが、完全敗北という事実故に、凄まじく弱々しく小さく見えてしまう。
「...クソ...ドラゴンボールさえあれば。
悟空さんや父さんを生き返らせれば何とかなるかもしれないのに...!」
「ピッコロが死んじまったからな、しょうがねぇよ。」
「ドラゴンボールなら復活したが...今この状況で全員を復活させるのは少しリスキーだな。」
「なんだって!?」
原作でもセルに敵う者はいなかった。
セルどころかセルジュニアですら劣勢を強いられていたのだ。
たとえ悟空のコンディションが良くても、状況は大して変わらないだろう。
そして極めつけは究極体セルの強さがセル以上という事しか分からず、限界が読み切れていないことだ。
それでも彼らには、ドラゴンボールが復活したと言う出来事は大きい。
使えないと思っていた最後の切り札が復活したのだ。
「それでも生き返らせれば人数は増える。
セルを倒すチャンスが増えるんだぞ?」
「その案に俺も賛成です。
父さん達がいれば、奴を倒せるかもしれない。」
「...悟飯はどう思う?」
「...俺は.....。」
悟飯は握っていた拳にさらに力が入る。
「...俺はセルをこの手で
今この地球をめちゃめちゃにしているのはあいつのせいなんです。
このセルも似たような事をしてましたけど、奴の方が凶悪です。
倒せる可能性があるなら、一刻も早い方がいいと思います。」
「うん...セルはどう「私はもう戦力に数えるな。」
セルの落ちぶりに嫌気がさしてきたラディッツ。
気にしないようにトランクスと16号に聞くも、二人共その方が合理的との答えだった。
(悟飯の言い分は被害者を減らすという点では正しいのかもしれん。
分からんでもないが、もうなりふり構ってられないんだよな...。
俺もとにかく生き返らせる方に賛成だな。
悟飯の超サイヤ人2...それまで全員で戦えばいいんだから。)
一通り意見を聞いてみるが、やはり生き返らせる方が圧倒的に多かった。
劣勢の現在を考えれば当たり前なのかもしれない。
以前のナメック星でのフリーザ戦でも、ピッコロを生き返らせてナメックの地へと呼び寄せた。
その時こそ第三形態フリーザに歯が立たなかったものの、人数がいれば戦力になり、戦術も増えるだろう。
あとは天界へ行き、ミスターポポとデンデにドラゴンボールを使わせてもらうように言うだけだ。
「わかった、ドラゴンボールを使う前に一度悟空に話しておこう。
悟空の事だ、間違いなく界王様を巻き込んで派手に爆死したに違いない。」
「界王様...?」
首を傾げる16号とセルに、各宇宙の銀河を見守る神様である事をサラッと説明し、界王様にコンタクトを試みる。
意味がわからないという表情だが、それでも理解してもらわないと困るだろう。
正確な説明はあとからでも出来る。
「界王様、生きてますか?
ラディッツです。
今の現状はご存知ですか?」
『こちとら死んじまったわーい!
どうしてくれるんじゃ!
わしゃ界王じゃぞ!?
偉いんじゃぞーっ!』
『わりぃって言ってんじゃんかよ界王様ぁ。』
頭痛になるほど脳内に響く界王の声。
当然と言えば当然なのだが、自分が死んでしまって大層御立腹されているようだ。
それに比べて悟空の声は呑気なものだ。
「界王様に悟空もいるのか、話が早い。
セルを倒す前に悟空達を生き返らそうと思ってるんです。
悟空達はさておき、ベジータは地獄から生き返らせる事は出来『俺様を勝手に地獄に落とすとはいい度胸だな。』
突如として脳内に響く声。
その声に聞き覚えのない奴以外は驚く事になった。
まさか当の本人 ベジータが界王と共にいるのだ。
てっきり全員地獄に落ちて罰でも受けているのかと思っていたからだ。
と言っても、ベジータ以外にもZ戦士達はここに集結していた。
フリーザ戦でここに来ていた戦士も、あまりよろしくない展開ではあるが、この場に来て修行するのは地球の時よりも都合が良かった。
『閻魔の野郎に、地球のもしもの時の為として身体は貰えたからな。
界王星とやらは大した重力でも無いところだが、地球よりはマシだった。
それが...カカロットのせいで全て台無しだ!』
『わりぃって言ってるじゃんか。』
『貴様の謝罪なんぞアテになるか。
で、ラディッツ。
貴様は俺に
語尾を強くする口調。
ベジータはドラゴンボールで生き返らせる事を知ってながら、敢えて聞いてきた。
その真意は...いや、恐らく聞いていなかったのだろうと思うラディッツ。
「そっちで様子は知っていると思うが、今回新たに出てきたセルは馬鹿みたいに強すぎる。
流石に俺達だけじゃ『貴様らふざけてるのか?
相手と戦ってもいないのに何故そう言える?』
「え?」
予想だにしない答えに咄嗟に言葉が出なかった。
てっきり、「グダグダ言ってねぇで早く生き返らせやがれ!」と言われると思っていたのだ。
「いや、見てただろう?
セルは悟飯を、まるでおもちゃ扱いするようなとんでもない奴だ。
ここにいる俺達が束になっても『貴様はそれでも戦闘民族サイヤ人の血が流れているのか?』
セルの拗ねた様子と、会話の内容が思うようにいかず、イラついていたラディッツ。
「うるせぇとっとと生き返って手伝え!」とでも勢い余って言い放ってしまいそうになったが、一度冷静になり言葉を留める。
「ベジータ!
...今はサイヤ人の血がどうとか言ってる場合じゃないんだぞ!?
奴はラディッツよりも悟空よりも強いんだ。
もしかしたら俺達全員...トランクスだって死んじまうかもしれないんだぞ!?」
すかさずクリリンがフォローに入る。
セルゲームと称して、人類を嬲り殺しにする魂胆は見え透いている。
そのような奴が誰かを生かしてくれるほど甘いとは思えない。
『ふん、貴様らのその甘い考えは、明らかにセルの野郎への恐怖から逃れる為のものだ。
そんな弱気な考えなんぞ俺は受けん!』
『ラディッツ、貴様は長い間地球の奴らとの温い馴れ合いの中にいた為にサイヤ人の闘争心を失ってしまったようだな。
いくら弱虫ラディッツとは言え、自身よりも強い奴とも戦ったことがあるだろう
それとトランクス、貴様に俺は言ったはずだ!
お前の体には、誇り高き戦闘民族サイヤ人の血潮と俺の血...魂が流れていると。
貴様は俺の顔に泥を塗るつもりか!!
戦わず、逃げ、助けを乞うなどサイヤ人の血の前に、この俺様が許さんぞ!!
貴様らが勝手に生き返らせようが、そのような甘ったれた様子なら手助けなどするものか!』
ベジータの叱責に誰もが黙り込む。
自分達がやろうとしていることは敵前逃亡に近いものだからだ。
それでもラディッツには気に入らない部分がある。
「プライドだけで勝てるような相手だと思っているのか?
現実なんてそんな甘くないんだ。
ここにいるセルが相手ならばそれもありだったが今回はそうはいかん。
お前が無駄なプライドでごねたせいで、全員死んじゃいましたなんてあっちゃいけないから生き返らせようとしてるんだろうが!」
『無駄なプライドだと?
貴様は自分にある折れてはいけない芯すらないのか?
手段や行動を選ばないという点なら俺もやってきたことはあるが、プライドが高すぎるという奴に限って優柔不断、八方美人、責任感も無くその場しのぎで事を進める向上心のないクズばかりだ!
貴様も例外ではないぞ。
今まで何度俺やナッパにすがって生きてきた?
スカウターの数字を見て、戦おうとせずに言い訳を並べて逃げるのが当たり前になり、終いには自分の保身のためにカカロットを連れてこようともしたな。
逃げ癖の貴様にとって丁度いいだろう。
サイヤ人の端くれなら...男なら命を張りやがれ!』
それ以降、界王星との交信は途絶えた。
確実に支援してくれるはずの存在がいなくなってしまった。
「なんて言いようだ。
わかってはいたけど、アイツとは仲間になれないのか。」
「いや、まだ助けないとは言ってないな。
俺達はまだろくに戦っちゃいなかったから...ベジータなりの激励なんだろう。
俺の事は恐らく...本当にキレてたかもしれんが、俺はその記憶なんぞ知らん。
確かに、あまりに俺達は依存しすぎたのかもしれん。
普通なら死んだらその人はもういない、だが今はドラゴンボールもあるし、界王様経由で死者と話す事も出来る。
だからこそ、生き残った奴で危機を乗り越えなければ行けないのだろう。」
日の沈んだ空は、徐々に青みを失っていく。
自分達の運命のように、暗く、黒く、光が無くなっていく。
それでもやる事は決まっている。
「ヤツには敵わない、無駄死にするだけだぞ?」
「セル、いい加減にしてくれよ。
腐るのは結構だが、いい加減切り替えろ。」
「...戦った者しかわからんだろうが、奴の強さは異」
あまりにもネガティブな発言が続くセルを、遂にラディッツはぶん殴ってしまった。
避ける事も、反撃する事もしなかった彼の身体は、壁を簡単に貫通し、マンションを二つ貫通した所で埋まるように留まった。
「もうウジウジするのはたくさんだ、いくら究極体セルが強かろうが、超えればいいだろ。
セル、お前もサイヤ人の細胞が入っているならまだ強くなれるはずだ。
18号を吐き出してもパーフェクトセルになったのなら、17号も吐き出してしまった状態でも上を目指せるはずだ。
腐ったミカンかお前は、いい加減立ち直れ!」
それでもセルは立ち上がろうとしない。
ただ駄々をこねているのでは無い、純粋に闘気を失っているだけだ。
ラディッツはそんないつまで経ってもウジウジした奴は嫌いだった。
「やる気が無いなら消えちまえ。
...とでも言いたいけど、このご時世パワハラになるからな。
無理矢理にでも連れていくぞ。
(いつまで経ってもグズるようなら、肉壁になってもらおう。)」
抗ったところで勝てもしない。
究極体セルもそうだが、ラディッツにも勝てもしないので従うしかなかった。
「待ちな。
お前、あたし達を飲み込んだ化け物を連れていく気かい?」
「馬鹿げた強さのもう1人の
「何か勝てる策でもあるんですか?」
「もう暗いから明日にした方がいいんじゃないか?」
四方八方から質問攻めに合うラディッツ。
何とか制止させると1つずつ返す。
「皆落ち着いて聞いてくれ。
状況は良くない。
ピッコロやベジータ、そして悟空も死んじまった。
セルは俺より強いしセルジュニアは昼夜問わずに1時間に何体も増える。
仙豆は残り6粒。
今も一般人は惨殺されている。
だが、ドラゴンボールは残っているが、セルやセルジュニアに勘づかれたらおしまいだ。」
「それで今からだ。
ラジオで言っていた東の都を中心に戦う。
そうすれば、セルジュニアの気を引いて全部集める事が出来るだろう。
いやクリリン、危険なのはもうどこにいても変わらないんだよ。
ここでヤツらに勝てなきゃ、人造人間に変わってセルが台頭する絶望の未来に突入だ。」
「16号、17号、18号。
最近までは敵対気味だったが、水に流して協力して欲しい。
勝手なのは重々承知だ。
お前達は人造人間だが、人の命を救う...いい事をすると良い気分になるだろ?
もしその心がわかるなら協力してくれ。
分からないなら、一緒にその心地いい気分に浸ろうじゃないか。」
ラディッツはかつて敵対していた者達に手を差し伸べる。
取り繕ったセリフに、内心反吐が出るような思いをしているのを押し殺してだ。
三人は互いに目をやり、17号が口を開く。
「俺たちは元々はラピス・ラズリって名前でな、この体になる前まではまぁ色々やってきた。
今ではお前の言う通り、血も涙もない人造人間になっちまった。
例え心があったとしても、その似合わない上辺だけのセリフで誘われると思ったか?
...だが、つくづく男心をくすぐるような言葉だな。
その言葉にまんまと釣られてやるよ。」
残る16・18号も仕方が無いねとでも言いたげに相槌を打つ。
どうやら全員共闘の流れに持ってこれたようだ。
「心地いい気分に浸ろう。
...だってよ。」
「気持ち悪いね、酒でも飲んでんのかい?」
「...吐息からはアルコールは検出されてないな。」
「前言撤回、お前らここでスクラップにしてやるわぁ!!」
両手を振り上げ牙を剥き出して睨みつけるラディッツを押さえつけるトランクスと悟飯。
苦笑い浮かべるクリリンは18号とさりげなく目が合う。
途端に真っ赤になってそっぽを向くが、「なんだ18号、満更でもない顔をしているな?」「体温が急上昇している、どこか故障か?」と再び弄られ、癇癪を起こしていた。
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「...ここもどれだけ持つだろうか。」
「わからないわね。
南の方の拠点はやられたそうよ。」
「ミスターサタン...サタンはまだ来ないのか?」
「噂だが意識不明のまま地下シェルターで治療中だそうだ。
ミスターサタンがいればここまで酷くはならなかったのかもしれないのだがな...。」
「...俺達は...ここで死ぬのかな...?」
「.......。」
太陽はどっぷり落ち込み、住民のいなくなった家屋内の防人達の士気も活気も落ち込んでいた。
陽の光もなければ、電気も使えない。
ライフラインは数々の戦闘で使えるところが限られている。
夜になれば涼しい程の気候なのだが...たまたま気温が低いだけなのか、それとも得体の知れない怪物共との会敵に恐れているのか。
寒い...肌をさすれば熱を感じてマシになったと思うが、デジタル迷彩の袖をめくれば屈強な腕に張り付く鳥肌が顔を覗かせる。
軍事衛星で鮮烈に写った、たった一生物による圧倒的な殺戮。
数千にも及ぶ兵器と人員が無様に、理不尽に、呆気ない程に一瞬で消えた事が自分にもこれから起こるのかもしれない...。
自分の命を守る為に今すぐ逃げなければならない...そんな思いは入隊時に棄て、「無制限の責任」を負う事を誓ったのだが、その誓いが揺らぐ。
「敵襲!!!」
余所事も吹き飛ぶ程の怒号と爆発音が外から聞こえ、M4A1カービンを乱暴に鷲掴み、兵士達は外へ飛び出す。
暗かった市街地が明るく...赤く...駐車車両が巨大な松明のようにそこらじゅうを照らしている。
この状況で
炎上する車に黒くシルエットが浮かんでいる。
この周囲で1番小さいが、彼ら人間にとって1番の脅威。
『こちらハイウェイゲート前。
大型トラック複数の爆発を確認!
警戒 なんだうわあああ!!』
『こ、こちら第2機動隊第1中隊長。
トラックの爆発とセルジュニアの襲撃により重傷者多数、大至急救援を求む!』
『こちら東ビル!
セルジュニアだ!
セルジュニア二体を目視で確認!
交戦中!』
『撃て!
とにかく当てろぉっ!!』
飛び交うように携帯無線からは一方的に流れる戦況が発せ続けるが、味方の損失、混乱ばかりで何一つ有益なものは無い。
誤解を招かないように説明するが、彼らは市街地での対ゲリラに特価した精鋭なのだ。
セル討伐に駆り出された部隊とはまた違った戦闘箇所での精鋭部隊...それらが現在進行形で蹂躙されている。
「そ...そんな、もう来たの!?」
「あいつらって...東都機動部隊対ゲリラ部隊だろ!?
昨年の戦闘競技会でずば抜けてた部隊が!?」
「俺達も...セルジュニア!
10時の方向!」
東都第59普通隊の一員は、訓練でしか扱ったことのない銃器を構える。
...が、時間にして僅か5秒も経たずに8人が命を奪われる。
首を掻っ攫われたり、胴が二つに千切れたり、胸部を貫かれたりした隊員もいたが、あまりにも素早い攻撃に何が起きたか分からないうちに絶命した者がほとんどだ。
生き残った2人の片方も、首元を握り上げられている。
セルジュニアは甲高い声で笑っているが、絞められている隊員は声すら出せずにもがく。
足掻く右手が太もも辺りに手が当たり、ようやく拳銃がある事に気がつく。
照準は全く定まらないものの、
装弾数は9発、1発でも人の命を簡単に奪うことの出来る凶弾は虚しくもセルジュニアには全く効かない。
してやったり顔で笑い続けるセルジュニアの腕に一瞬力が入ったと思うと、鈍く何かが潰れる音とともに首が地面へ落ちた。
「あ...あぁ...ぁ...。」
残された兵士は力なく座り込んだ。
股間辺りが生暖かく湿っていこうが、意識が飛びそうになろうが、顔が様々な種類の水気でぐしゃぐしゃになろうが、彼らは逃がしてはくれないだろう。
目の前にはセルジュニアが4体、その全ての瞳がこちらを見ている。
この玩具はどうしようか?
圧をゆっくりかけて潰そうか?
1本ずつ腕をもいでいこうか?
腹を絞って中身を絞り出してみようか?
まるで子供が虫を殺すかのような好奇心旺盛な視線を向けて近づいているが、殺意も間違いなく含まれている事は感じざるを得なかった。
「...ヒック...誰がぁ...タスケデェ.....」
どうやら彼らは、腕や足をもいでいく考えでいるようだ。
抵抗しようと動こうとするが、体に力が入らない。
そんな時だ。
セルジュニアは一斉に飛び除けていく。
次の瞬間には頭上から足が降って地面に突き刺さる。
瓦礫が顔面にぶつかり思わず倒れ込む。
その間にも次々と何かが降り立つような気配がする。
「もう止めでぐれ!
死にだぐないよぉ!」
「おい大丈夫か!
しっかり...うわ、漏らしとるじゃんか...。
おい、大丈夫か?」
聞いたことない声だが、聞き覚えのある言語でセルジュニアでは無いと気づいて体に力が戻る。
目の前には複数の人物がいたが、声を掛けたのは黒い道着を着た長髪の男だろう。
「間に合って良かったです。
立てます?」
「あなた...誰ですか?」
「俺ですか?
ラディッツと言います。」
またドラゴンボール超が新章に行くみたいで嬉しいです。
予約しておかなきゃ!
カプセルコーポレーションは完全に誤入力です汗
訂正させていただきしたのでご了承ください汗
くまはやさん、ご指摘ありがとうございます汗