弱虫兄貴のリスタート   作:バタピー

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天下一"大"武道会

連日のようにCMでは天下一大武道会の事を放送し、それに伴いスポンサーのギョーサン・マネーの顔を見ない日が減ってきた。

修行を始めてから約1年…正確に言えば11ヶ月。

いよいよ金にものを言わせた大会が開かれようとしていた。

ある者はその賞金で豪遊しようかと思い、ある者は知名をあげようと思い、あるものは純粋に強い奴と戦いたいと思い…人それぞれさまざまな思いで臨むこの大武道会。

 

 

 

「ってなわけでさ、俺達もその大会出ることにしたんだよ。

宜しくな!」

 

「だろうと思ってたよ。

こっちは力押さえて出るからお手柔らかにお願いしますわ。」

 

 

カプセルコーポレーションで久々に顔を合わせる戦士達。

何故カプセルコーポレーションなのか…?

それはあと数分でわかる事なのだが、未来に戻ったトランクスがどうやら今日戻ってくるらしい。

もちろん生きていればの話だが。

 

 

「なぁクリリン、トランクスが生き残ってれば…あいつも大会に出るのかな?

出られると…俺、勝てる見込みいよいよ無くなるぜ。」

 

「まだエントリー間に合いますからね、多分話をすれば出るんじゃないですか?

ヤムチャさん頑張っていきましょうよ。」

 

 

近年は若手の台頭もあり、益々活躍の場が減っていく最古参の戦士 ヤムチャ。

彼ももう数年でアラフォー世代となり、彼の中ではこの大会を最後に武道家を引退しようと決めていた。

折角の最後の晴れ舞台を有終の美で飾りたかったのだが…下手したら最後まで噛ませ犬で終わる可能性が高くなった事に落胆を隠せない。

 

 

「天下一武道会みたいに、クジ運良ければヤムチャさんも準優勝も夢じゃないですよ。」

 

「結局運頼みかよ。

…ったく、神様に頼るしかないか。

あ、今はデンデだっけか?」

 

 

地球の神様の元修行をした事がある彼等にとっては、神様は実は近しい者である事はよく分かっている。

と言っても、神様が自分らより年下であるが故こんな事ですがりに行くほど根は腐ってはいない。

それはそうと何故この面々が揃って既にこの場にいるのか?

話は数日前に遡る。

 

 

---

 

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-

 

 

「あ、丁度いい所に。

ランチさん、ちょっとラディッツに手伝って欲しい事があるんだけど。」

 

「あらブルマさん、こんばんは。

ラディッツさんですか?」

 

 

とある昼下がり、丁度買い物から帰ってきたランチさんにばったり出会ったブルマ。

と言っても、敷地内同士の自宅の為会おうと思えばいつでも会えるのだがそんな事は御察しして頂きたい。

作者都ご…ばったり出会っただけである。

 

 

「ラディッツさんは今亀仙人様の所で修行をしてるので…良い返事が聞けるかわかりませんがどんなお手伝いです?」

 

「今度、天下一大武道会あるでしょ?

あのCMとかやってるやつ。

うちも一応スポンサーやってるから行かなくちゃいけないんだけど、参加する人もいるだろうから久しぶりに皆で集まらない?」

 

「いいですね!

ラディッツさんにもお声がけしておきますね。」

 

「それなんだけど、しばらく研究でドタバタしてて準備してなくてね…色々持ってくものあるからそれのお手伝いしてもらいたいの。

お願いランチさん、食事代とか滞在費とかこっちが全部持つから!」

 

 

両手を合わせてウインク付きでお願いするブルマ。

正直そろそろそういうキャラ作りは厳しいんじゃないかと思うが、相手はあの青髪モードのランチさん。

 

 

「そこまでしなくても良いですよ。

…そうだ!

クリリン君とかも一緒に手伝ってくれるかしら?」

 

「そうね!

人手は多ければいいもんね!

アタシからお願いしてみる。

じゃぁ…明後日、都合良さそうなら9時くらいにカプセルコーポレーションに来てね!」

 

 

---

 

--

 

-

 

 

「という訳で、ワシらも来たぞぃ。」

 

「……。」

 

「人手は多ければって言ったけど、エロジジイはさておきなんでセルまでいるのよ!」

 

 

両手を"意味ありげに"動かす亀仙人を足で制しながら怯えるブルマ。

確かに重労働だから手を抜きたい一心で招集した訳だが、まさかあのセルまで来るとはこれっぽっちも考えていなかった。

 

 

「いいじゃないですか。

セルだって大会に参加するつもりなんですから。」

 

「目の前でここまで言われるとは…ここは凹んで拗ねる演技でもすればいいのか?」

 

「あんたまでそっちのキャラでいかれると私がもたないわよ!

…まぁ人手が欲しいって言ったのは私だけど…悪い事したら悟飯君にやっつけてもらうからね!?」

 

((自分でやってくれよ。))

 

 

クリリンもヤムチャも、長年一緒に戦ってきた仲なのだからツッコミも声に出さずに心で言い放つ。

口に出さばもっとややこしくなる事も察している。

クリリンもヤムチャも共に休みで来てしまった以上、やることをやらねば面倒な事になることを知っているので、渋々手を動かし始める。

膨大な量の機器を外に出し、ブルマはカプセルに収納して輸送機に積み込んでいく。

ラディッツとセルは重量物を気を抑えて運び、ブルマにカプセルに収納してもらう。

亀仙人は、そんな二人の気の乱れを注視して見物を決め込む。

 

 

 

((((カプセルに入れて置くだけじゃん!))))

 

 

皆の息があった瞬間である。

午前中いっぱいを搬入作業に費やし、小休止を入れた時だ。

突然空が眩く光り、空中にHOPEと書かれた機体が現れる。

 

 

「良かった、トランクス生き残れたのね!」

 

「…ってことは、未来の人造人間をやっつけたって事か?」

 

「ついでに未来のセルもな。」

 

「流石だなトランクス。」

 

 

休憩を忘れて、皆立ち上がりトランクスを迎える。

機体はゆっくり地面へ降り立ち、未来のトランクスが顔を出す。

 

 

「皆さん、お久しぶりです!」

 

「待ってたわよ、首を長くしてね!」

 

 

ブルマが一目散に近づいていく。

時代は違えど、親子の対面である。

邪魔をする者は誰一人とていなかった。

一通りの挨拶を終えると、今度は周りにいた戦士達にも挨拶をする。

トランクスにとっても1年ぶりになる。

未来の世界も人造人間との戦いが終わり、世界中で復興が始まっていた。

その恩恵は、往復分のエネルギーを溜める早さにも繋がったようだった。

 

 

「…皆さんに会えたのは嬉しいですが、何故セルがここにいるんですか?」

 

「それはなトランクス、かくかくしかじかだ。」

 

「えぇ…かくかくしかじか?」

 

 

誤解をされないようにラディッツが説明する。

最初こそそんな成り行きに困惑するが、敵意のないセルの気や、亀仙人とラディッツのセルへの態度で信じる事にした。

一番大きいのは、あのセルと共に戦った事だろう。

 

 

 

「はぁ…そんな経緯があったんですか。」

 

「そんな訳で、難しいかもしれぬが普通に接しておくれ。」

 

「ふん、やけにうるさいと思ったら…。」

 

「ベジータ、やっと手伝う気になったか!」

 

 

 

朝から重量トレーニング室に引きこもっていたベジータがようやく顔を出す。

どうせ手伝いを頼んでも、「修行の邪魔だ、消えろ。」とでも言いそうだったから、元より声すら掛けてなかったのである。

どういう風の吹き回しか?

 

 

「ブルマ、トレーニングドローンが使い物にならん。

新しいのを用意しろ。」

 

「あんた今月に入って何個目かわかって言ってんの!」

 

「ベジータ、お前も手伝ってくれると助かる…。」

 

「そんな雑用事なんぞ手伝う暇は無い。

超サイヤ人を超える修行の方がよっぽど重要だ。」

 

「働かざる者食うべからず。

じゃぁアンタは、大会前のバーベキュー絶対呼ばないからね!」

 

 

ピクッ

踵を返してトレーニングルームへ戻るベジータの足が止まる。

まさかバーベキューがあるとは思っていなかった。

好機と言わんばかりにブルマは畳み掛ける。

 

 

「みんなには内緒にしてたけど、A5ランクの神坂牛たっぷり用意してあるの。

あとスポンサーになった前金で近騨牛や比内コーチンやブラックポーク、西京Xもあるのにね〜、残念だわ!」

 

「……チッ、俺の分は絶対残しておけ!」

 

 

一度は背中を向けたが、特上肉がお預けとなるのならば話は変わる。

やり取りを微笑ましく見ていたトランクスも混ざり、凄まじい速さで荷が詰められる。

午後の時間も余裕で残して、搬入は終わる事となった。

ベジータとトランクスは修行の為にトレーニングルームへ、ヤムチャもクリリンも解放されたが、ラディッツとセルと亀仙人は会場まで手伝う羽目になる。

 

 

「それにしても、ギョーサン・マネーって凄いな。

どんな奴か知ってる?」

 

「一代で大金持ちになった資産家よ。

その筋の人からすれば結構有名。

カプセルコーポレーションの発明品を世に出す時も、たまにスポンサーになってくれてるけどね。

でも、顔に「いつか抜かしてやるぞ。」って書いてあるジジイだから、あんまし良い気はしないけど。」

 

 

性格は良いとは思わない…ブルマは遠回しにそう言っている。

まぁ金持ちは一癖二癖くらいあるものなんだろう。

特に平々凡々だった彼と、最近造られた人造人間と仙人様には縁のない世界だ。

 

 

「さぁ…見えてきたわよ。

あれが天下一代武道会 会場よ。」

 

 

位置は正確には覚えていないが、島全土に渡って造られた巨大な武道場。

そして観覧席とイベントスペース。

観覧席の抽選が外れた人用に、小高い丘からは辛うじて武道場が見える計らいも垣間見える。

一言で言えば、凄い。

 

 

「これ、島全部会場?」

 

「そ。

島ぜ〜んぶ買い取ったらしいわよ?

さぁ、今度は荷物運ぶわよ!」

 

 

 

………

 

……

 

 

 

「つ 疲れた…。」

 

 

結局、ラディッツが帰宅したのは寒さ残る23時。

帰りの飛行中も座禅の時間に割けられた為に、舞空術が使えず遅くなってしまった。

ランチさんには連絡を入れて、先に寝てもらうようにお願いしていたので、リビング以外は真っ暗である。

 

 

(大会は五日後…俺は一体どこまで強くなっただろうか?

一年でそんな成果が分かるほど強くなってんのかな?)

 

(それはそうと、天下一大武道会か。

これも現在にゃ無かったと思うけど…また変な事でも起こるんかな?

それか、本当にちょっとした大会なのかな?)

 

 

残念ながら前者の方なのだが、ラディッツはまだ知らない。

近づいてくる気配を消した者達も、何かしらの計画を実行しているパラガスと言う男も。

 

 

--- 四日後 ---

 

 

「という訳で、じゃんじゃん食べていいわよ!」

 

『いっただっきまーす!!』

 

 

大会を翌日に控え、大体の面子が揃ってお花見兼バーベキューが行われ始めた。

面々?

悟空とピッコロ以外の面子が揃っている。

あとはお馴染みの戦士達である。

トランクスのエントリーも無事に済んでいる。

あとは大会に万全の状態で臨むだけである。

 

 

「ヤムチャさん、もう呑めませんって〜。」

 

「とか言いながら4杯も飲んでるからいけるって〜。」

 

「呑みも足りんが、女子も足りんのぉ〜。」

 

「おいおいじいさん、俺が化けてやろうか?」

 

「ウーロンはダメだよ、不細工が出てきちゃう!」

 

「…いつもこんな調子なのか?」

 

「いや、俺もここまでダメになってるZ戦士を見るのは初めてだ。

悟飯、あまり良くない手本だから気をつけろよ。」

 

「は はい、でも楽しそうですね!」

 

 

 

お酒という物は、百薬の長にもなり、人の理性を消し去ってしまう劇薬にもなり得る。

健全な大人をダメな大人に、ダメな大人を更にダメにする魔の集まりになる事もあれば、様々なドラマを生み出す事もある。

残念ながら、目の前の歴戦の戦士達はダメな戦士達が多数を占める会になっている。

 

 

「クリリン歌え歌え!

翼をください歌え!」

 

「いやいや、俺はもう翼無しでも飛べますってぇ〜。」

 

「僕達は天使だったでもえぇぞ〜い!」

 

「亀仙人、なんであんたの口からそれが出るんじゃい!」

 

 

 

結局ラディッツまでも、日本酒を口にしてから歯止めが効かなくなった。

結局この飲み会で健全な大人だったのは、セルだけと言うなんともまぁ無様な形になってしまった。

ベジータはその残念な様子を、傍から見るだけである。

ちゃんと全ての肉は制してあるので、歓談から抜けた形だ。

 

 

(超サイヤ人を超える…か。

どうすれば…やはり最初のように何かしらの怒りがきっかけになるのか?

いや、そんな単純では無いだろう。

今の悟飯を見て感じても、以前とそこまで変わりがない。

あの溢れるようなパワーは、身を震わすようなパワーはわかっているんだ…。)

 

 

結果がわかっているのに、そこまでの経過が分からない。

全てのピースが揃うのにまだ何かが足りない感覚。

そしてそのピースが何なのかがわからない。

ただひたすらに過重力で修行してても無駄なのはわかっていた為に、最近ではトレーニングルームで考え込む事が多くなった。

イメージ…ひたすらにイメージを重ね、自分の気をそのイメージに近づけるように…。

それでもただ似せているだけに過ぎず、自分に当てはまることの無いピースである。

 

 

 

「それではこのクリリン、歌わせて頂きます!

舞空術がありますが、翼をください!」

 

「よっ、クリリン期待してるぞ〜!」

 

「………。」

 

 

超サイヤ人を超えて、更にその向こう側にある超サイヤ人3(スリー)にならなければ、魔人ブウに敵わない。

そう断言した未来を知っているラディッツは能天気に手拍子でクリリンをはやし立てている。

能天気にも程がある、7,8年で下手したらもっと早まると言っていた張本人があの調子では話にならない。

 

 

(まずはあの野郎を超えない限り、悟飯にも、カカロットの野郎にも追いつけやしない!

だが、ラディッツにも…あのカカロットの息子にも頭を下げて戦ってもらおうなんざ…反吐が出るぜ!

クソッタレ!)

 

 

苛立ちを抑えるように串焼きの肉をいっぺんに頬張る。

腹は満たされず、心も満たされず…。

時間だけが過ぎていく。

そんな時だ、上空から音がしたのは。

 

 

「いぃま〜〜ワタシのぉ〜〜…願ぁあ〜いごとがぁ〜〜……あ?」

 

 

音に気がついたのはベジータだけでは無い。

すっかりデキ上がった者達も気が付くほどの轟音だ。

その音は何かの爆発音や、悲鳴でもない。

カプセルコーポレーションでもたまに聞くジェットエンジンのような音。

上を見上げれば、満開の桜の合間から高音に熱せられた炎が見える。

それは次第に爆風に変わっていき、ロケットのような巨大な機体が丘に着陸する。

必死で身の回りの荷物が飛ばされないように手を伸ばすが、肉やら酒やらがあまりの強い風に吹き飛んでしまう。

周りの観光客も同じくであるか、非常識な光景に逃げるか…。

 

 

「おいなんだよ!

折角の肉が台無しじゃねぇかよ!」

 

「そうよ!

これだけ苦労したのに良くも飛ばしてくれたわね!」

 

「野郎、出てきたらぶち殺してやる!」

 

「ランチさんが言うとおっかねぇけど、悟飯ちゃんの料理を飛ばすとはゆるさねぇべ!」

 

 

この出来事に怒りを顕にしたのは女性陣だ。

自分達が折角手を込めて育てた肉達がそっくり地に帰ってしまったのだ。

特に金髪モードのランチさんは両手にMac10(短機関銃)を構え始めた。

本当に殺すつもりである。

ただ出てきた相手が少々悪かった。

着陸と同時にハッチが開き、10…いや、100人規模でサブマシンガンを携えた兵士が続々と周りを警戒しながら現れたのである。

流石のランチさんも、舌打ちしながら銃を仕舞わざるを得なかった。

周りの戦士達も手を出さずに静観を決める。

酔っている人間も、現実味の無い光景に口をポカンと開けて眺めるだけだ。

兵士達が全員出揃った所で、親玉らしき男が一人遅れてハッチを降りる。

白いマントをひらつかせる色黒の壮年の男。

 

 

「…探しましたぞ!

ベジータ王!」

 

 

周りの人間には目もくれず、気にもたれていたベジータに向けて歩き出す。

名前を知っている…ならばベジータの知り合いなのだろう。

 

 

「俺の名前を知っているのか?

貴様は誰だ?」

 

「お初にお目見え致します。

私はパラガスと申します。

惑星ベジータが消えた今、あなたを新たなる王としてお迎えに上がりました。」

 

「ベジータ王?

おいベジータ、お前いつから王様になったんだ?」

 

「口を慎んで頂けますかな?

このお方はベジータ王が亡くなられた今、サイヤ人の正式な後継者であらせますぞ。」

 

 

酔ったヤムチャの茶化しにも紳士に対応するパラガスと言う男。

確かにベジータを知っていたかのように一発で見つけ、なおかつ尻尾がある。

サイヤ人には尻尾があるのは確かな印。

それはラディッツにも当てはまるが故、皆信じるしかなかった。

だが何故何年も経った今更なのだろうか?

 

 

「パラガスか。

久しぶりに聞いたぞ。

確か、惑星ベジータが爆発する直前に島流しになった…と、俺は聞いていたが?」

 

「はい。

恥ずかしながら私は、辺境の名前も無い星に島流しになりました。

ですが、惑星ベジータが隕石の衝突で消え、サイヤ人一族はほぼ全滅。

他の星への侵略中の貴方様を助けるのは、同じサイヤ人だと思い、星を脱出。

そしてお出迎えの準備をして参りました。」

 

「ほう?

それにしては随分と時間が掛かったようだが?」

 

「ベジータ王を出迎えるにあたり、新たなる兵士と新たな惑星ベジータ、そしてベジータ王に相応しい宮殿の建設の為でございます。

そして、大変申し上げにくい事にございますが、伝説の超サイヤ人が度々新惑星ベジータを攻め、何度も我々の生命が脅かされて来た為でもございます。

南の銀河を破壊し尽くし、遂に我らの新たな星にまで。」

 

 

終始立膝をつき、頭を下げて一部始終を話すパラガス。

その言動、行動、態度はベジータを新たな君主に迎えるようなものであった。

そしてまた新たなワードが出てきた。

伝説の超サイヤ人…伝説の超サイヤ人とは、あの金色の戦士のことでは無いのだろうか?

 

 

 

「ラディッツさん、あのパラガスって男を知っていますか?」

 

「……Zzz。」

 

「ラディッツさん…ラディッツさん起きて下さい!

……ダメか…。」

 

 

今まで静かだと思ったら、ラディッツは眠気に勝てずに寝てしまっていたのである。

トランクスが必死に揺さぶるも、ジェットエンジンの音や爆風でも起きないという事は、途中で飲んだ日本酒が相当効いたようだ。

 

 

「伝説の超サイヤ人か…夢物語かと思われていたが。

本当にいるんだな!?」

 

「はい。

そやつのせいで遅れ参じたのは事実であります。

この左目も、奴にやられた傷でございます。

奴を倒せる者は…ベジータ王!

あなたしかいません!」

 

 

願ってもないチャンスだった。

強い者と戦えば超サイヤ人2になるきっかけを得ることが出来るかもしれない。

ラディッツでもなく、カカロットの息子 悟飯でも無い。

それが伝説と言い伝えられている超サイヤ人ならば、相手にとって不足は無い。

天下一大武道会なんぞ、最早どうでもいい。

 

 

「良いだろう。

パラガス、案内しろ。」

 

「父さん!

大会はどうするつもりですか!

母さんも何か言って下さい!」

 

「そうよベジータ、今更あんたが王様になってどうするつもりよ!

そんな暇があるなら大会に勝って賞金取ってきなさいよ!」

 

 

呼び止める理由が賞金とは如何なものか。

気の利かない呼び止め方もあるのか無いのか、ベジータは無視して宇宙船へ歩み始める。

もちろん王様になる事が動機な訳では無い。

ラディッツを抑え、悟飯の力を超え、生き返るであろうカカロットを超越する為の足がけとする為である。

その為には大会なんかよりも伝説の超サイヤ人を倒す方が賢明だと思ったからである。

 

 

「あなたも良ければどうぞお手伝い下さい、トランクス王子。」

 

「…オレはお前の協力をしに行くんじゃない。

父さんを手伝いに行く、それだけだ。」

 

「待ちなさいトランクス、だったらラディッツも連れて行きなさい。

どーせベジータの事だからロクなことにならないんだから、せめてベジータよりも強い奴がいた方がいいでしょ!?」

 

 

一理ある。

ベジータはプライドが高い上に頑固なのだから、万が一の時に力ずくでも制止できる人がいると心強い。

 

 

「そうだな、セルだと嫌だろうし、悟飯が行けばセルがもしもって時に困るからな。」

 

「…ちょっと俺たち情けないですけどね。

そんな訳でトランクス、ちょっと今酔い潰れてるけどラディッツも頼むよ。

あと少し水を飲ませてやってくれ、酔いが覚めた時に楽だからさ。」

 

 

ヤムチャとクリリンがラディッツを担いで宇宙船へ乗せてやる。

トランクスも申し訳無いと一言残し、宇宙船は多くの兵士とパラガスを乗せて空の彼方へ飛んでいった。

 

 

「…んもぅ!

ベジータもトランクスもいないんじゃ、賞金と旅行はお預けね。

その代わりにあのキョーサン・マネー(クソジジイ)からたっぷり資材レンタル代搾り取ってやるわ!」

 

 

あからさまに苛立っているブルマは焼き鳥の串を5本まとめて貪る。

今声を掛けてはいけない…一同はアイコンタクトで意見をまとめあげた。

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