弱虫兄貴のリスタート   作:バタピー

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明けましておめでとうございます、本年もこの誤字脱字だらけのダメダメ自己満小説をよろしくお願いします。

誤字脱字修正済み R2 1/12


忘れがちだが、アルコールは程々に

「…なんだぁここぉ?」

 

 

知らない天井である。

この台詞も何回目であろうか?

確かに自分は外で飲んでいたはずである。

それが今や、部屋の中…振動からして何かの乗り物の中にいる事がわかる。

 

 

「目が覚めましたか?」

 

 

トランクスの声。

頭がまだグワングワンするが、頭痛やら体のだるさはまだない。

体にアルコールがまだ残っているだろう。

 

 

「トランクス、ここはどこだぁ?」

 

「話す前に、まずは水を飲んで下さい。

クリリンさん達から預かってきました。」

 

 

瓶に入っていた透明な飲み物、口をつけて初めてわかった。

 

 

「…これは水じゃない、日本酒だ!」

 

「えぇっ!?

参ったなぁ…ちょっとパラガスさんに聞いてみます。」

 

 

トランクスは部屋を出る。

酔いもあって上手く聞き取れなかったが、何かを取ってくるのだろう。

してこの輸送機はなんだろう。

先日の輸送機の車内では無いので、カプセルコーポレーションの別な輸送機なのだろうか?

色々と思い出さなければ行けないことがある。

…そうだ、時間は?

翌日には大会があるのだから、どこかへ向かっているとしたら会場へ戻っておかないと後々面倒になる。

酔って寝たから、面倒で自宅へと引き戻されているのだろうか?

 

 

(イカン…久しぶりに飲んで少しやってしまったか?

こうなるなら"ヘパリの力"でも飲んでおけばよかったなあ。)

 

 

飲み会における反省は大体飲みすぎが原因である。

そんな当たり前の事なのに、飲み会になると大体忘れてしまうものだ。

ラディッツだってそこそこの年齢だったのだから、現代の時には飲む量は大体知っていた。

今回は久々だったので忘れていたのだ。

 

 

(とにかく、ブルマに戻してもらうように…いやランチさんか?

どっちにしろ引き返さなきゃならん。)

 

 

「ラディッツさん、お待たせしました。

パラガスさんが水を持ってきて下さいました。」

 

「パラガスさん?」

 

「少し飲みすぎかな?

まさか宴会中とは知らずに、済まなかったな。」

 

 

隻眼のマントを羽織った色黒の男が、水を持って部屋に入る。

その男を知っている。

いや、正確に言えばドラゴンボールを知っている者ならば、誰もが知るあのサイヤ人の父親なのだから知っている人の方が多いだろう。

 

 

「パラガス…パラガス!?

えっパラガス!?」

 

「そこまで動揺しなくても良いだろう。

同じ下級戦士のサイヤ人なのだから…と言っても、知らないサイヤ人の方が多いのかもしれんがな。」

 

 

話はそういうことでは無い。

先程の説明通り、誰もが知るあのサイヤ人の父親なのは知っている。

だが問題なのは、その有名なサイヤ人の方だ。

 

 

「そんな事はどうでもいい。

今やお前はベジータ王に仕えているサイヤ人の最後の生き残りなのだからな。」

 

「いやいや、それよりどうしてこうなった!?」

 

「あぁ、そうだったな。

お前は寝ていたから知らないのだろう、伝説の超サイヤ人についてな…。」

 

 

ラディッツはここで寝落ちしていた時の状況を事細かく知る事になる。

南の銀河を破壊し尽くした伝説の超サイヤ人について。

話を聞くにつれ、ラディッツの顔はどんどん青白くなっていく。

 

 

「俺に父さんは止められませんでした。

ラディッツさんからも何か「…逃げるんだ。」…え?」

 

「逃げるんだぁ…勝てる訳が無い!

伝説の超サイヤ人っていったら最強過ぎて知らない奴はいないんだ。

ってかパラガス!

俺達を巻き込むんじゃねぇ!」

 

「一体何を言っている?

お前もサイヤ人の端くれなら多少は腹を括るのだな。

トランクス王子、何かあれば私になんなりと仰ってください。

私は着陸の準備をして参ります。」

 

 

パラガスは踵を返して部屋を出る。

未だ酒が残るラディッツは、立ち上がろうとするも力が上手く入らないのもあって床に突っ伏した。

事態は最悪の方向へまっしぐらに進んでいるようだ。

 

 

「なんてこった…次の相手はブロリーだと?

どうしよう…どうしよう…。」

 

「ラディッツさんどうしたんですか!?

俺にもわかるように説明して下さい!」

 

「…俺はドラゴンボールについて詳しく知っている程の人間じゃないがな、それでも凄まじく強い奴や印象に残る奴は有名になる。

パラガスもそのうちの一人…あいつは伝説の超サイヤ人の父親なんだ。

そして息子の名前はブロリー…。」

 

 

ドラゴンボールを詳しく知らない人間でも、名前だけでも聞いた事があるキャラクターはいくらかいる。

後に孫悟空の好敵手になっていくベジータ、超サイヤ人になるきっかけにもなったフリーザの二人は、アニメやジャンプ・単行本から有名になった悪党である。

そんな王道のアニメや漫画ではなく、ファンしか見ない劇場版のキャラクターで有名になったキャラクターは数を数えてもなかなかいない。

余程の事が無い限りだ。

それを奴は体現させてしまう程の強さと凶悪さを誇っている。

あまりの強さに、劇場版放映から何年も経った今でもある意味で人気を博し、某動画投稿サイトでも彼を主人公としたネタ動画や、二次小説作品…それどころかリメイクもされて再び劇場版の敵キャラクターとして再臨する程である。

 

 

「伝説の超サイヤ人 ブロリー。

悟空も一方的に蹂躙する程強い奴だ。

どうやって倒したか知らないけど、超サイヤ人2いや、その先の形態でも勝てないレベルの強い奴だ。」

 

「そんな奴が!

けどそんな無茶苦茶な奴なら、もう気を感じてもおかしくないはずです。

もう到着の準備をすると言っていたのに、そんな大きな気をまだ感じてませんよ!」

 

「ブロリーは確か、悟空に対して尋常じゃない程の恨みつらみがあるんだ。

悟空がいたせいで凄まじい化物へと覚醒した。

アイツがいないならブロリーも凄まじい気を出さないと思う。

…が、俺が来たせいで色々と相手が強力化するか余計な敵とつるんでる可能性が高い。

こっちはベジータ含めて3人しかいない。

今回も油断は出来ない、いや…敗色濃厚。」

 

 

悲壮感たっぷりに話すラディッツに、トランクスも顔が暗くなっていく。

フリーザの地球来襲、セルジュニアの包囲網、究極体セルの時にも前を向き続けていた男がこれほどまで言うまだ見ぬ敵 ブロリー。

ようやくこの時代と未来を救ったのにも関わらず、どうしてここまで困難が待ち受けるのだろうか。

 

 

「ラディッツさん、他に何か思い出せますか?

何かブロリーの弱点…いや、弱点でなくても何かほんの些細な事でも良いですから。」

 

「うーん…。

ダメだ、今は頭が全然働かないや。

もう少し酔いが冷めないとまともに考えられん。」

 

 

未だクラクラする頭。

正常な時でも思い出すのに一苦労するのに、泥酔直後の麻痺しかけてる脳が働く訳が無い。

500mlのペットボトルに入った水が無くなり、2本目を開けた時だ。

室内の重力がほんの少し変わる。

どうやらどこかしらに着陸する体勢になったようだ。

館内の電灯も、赤色の電灯に切り替わり、扉のむこうは慌ただしく駆ける兵士の足音がし始めた。

 

 

「あとはどうやってベジータ連れてトンズラするかだな。」

 

「父さんは頑固ですから…なるべく時間稼ぎをしてみるしかありませんね。」

 

「そうだな…とにかくなるべく戦わないように、逃げ専門に回るぞ。」

 

 

………

 

……

 

 

 

船はゆっくりと地表に降り立ち、無数の兵士が出迎えに出てくる。

王の帰還。

ベジータを新しくこの星の王に迎え入れ、新たなサイヤ人帝国を作り上げようと集まった者共である。

 

 

「新たな帝国を築き上げる為に掻き集めた、宇宙中のならず者達です。

そしてあそこに見えますのが、私の息子です。

何なりとお使いください。」

 

「…ブロリーです。」

 

「お前もサイヤ人のようだな。」

 

「はい。」

 

(あれが…伝説のサイヤ人ブロリー…。

俺が覚えてる以上にヒョロっとしてんな。)

 

 

ラディッツの記憶の中では、筋肉隆々でまさに怪物と揶揄してもおかしくない存在だった。

それが今は、とても気弱で優しそうな青年だ。

あまりに恐ろしいと思って気を消していたラディッツだが、念には念をでこのままにする事にした。

まずは敵を知らなくてはならない。

一行は車に乗り換え、宮殿へと向かう。

ベジータはパラガスと同乗し、ブロリーはトランクスとラディッツと同乗して行くこととなった。

 

 

「…ブロリーさん。

あなたはサイヤ人と言っていましたが、超サイヤ人にはなれるんですか?」

 

「超サイヤ人…ですか?」

 

「えぇ、髪の色が金色になって、凄まじいパワーアップをするんです。

ご存知ありますか?」

 

「…いえ、俺は何も知りません。

親父からも特には聞かされていません。

ただ、()()()()()()()()と言われる事が…。」

 

「高め過ぎるな…?」

 

「はい。

俺自身もよく分からないんですが、気を高め過ぎると記憶が無くなってしまうんです。

そのせいで親父の目に傷をつけてしまって、気を制御する装置を付けられました。

気の操作を身につけたら取ってやると言われ、今は色々な星に出向いて特訓しているんです。

最終的には星を壊さなければいけませんが…俺はこんな事したくはないんですが、きっと親父にも何か考えがあって…。」

 

 

ブロリーは涙目になってうつむいてしまう。

この話はどうやら嘘ではないらしい。

トランクスも罰が悪い顔になってしまった。

まさかこんな裏事情があったとは思わなかったからだ。

 

 

「それは…俺も色々と失礼でした。」

 

「いいんです。

でも、これだけ少なくなってしまった他のサイヤ人に会えたのは、嬉しいです。」

 

「ブロリー、超サイヤ人を知らないなら、伝説の超サイヤ人について何か知らないか?

金色では無く、緑色の髪の…まるで怪物のようなサイヤ人について何か知らないかい?」

 

「今回襲ってきているサイヤ人ですね?

これに関しても俺は何も知らないんです。

親父の方が詳しく知っていると思います。」

 

「そうか、ありがとう。」

 

 

特に情報を得られず。

唯一はブロリーが暴れているのは自分の意思では無いという事。

そして気を高め過ぎている時の記憶は無いという事。

という事は、怪物のようになっている時は別の人格になってる可能性が高いという事だ。

 

 

(深い悲しみによって生まれる伝説の超サイヤ人ブロリー。

パラガスのスパルタ教育の影響で、もうこの時点で相当悲しみが溜まっているのか。

それで悟空が来て何らかのせいで爆発。

額の制御装置をぶっ壊して覚醒した訳か…。

ならば、パラガスさえいなければ…ってやらかしたらそれこそ覚醒しちゃいそうだし…。

難し過ぎ。)

 

 

想像以上の難題である。

この話、ブロリーとパラガスさえ倒せばすんなりと終わる話である。

だがブロリーの救済を少しでも考えると、途端に一筋縄ではいかなくなる。

自分の制御内でベジータ達に復讐するパラガス。

自らの実力を試したい一新のベジータ。

覚醒したら最後の父親想いのブロリー。

生き残って地球に帰りたいラディッツとトランクス。

 

ベジータ以外は色々な内情を隠しながら、宮殿へと到着する。

そこでは既に食事の用意が出来ており、早速食い始める新ベジータ王。

良くもまぁさっき食ったばかりなのに…と思いつつ、トランクスとラディッツはちまちまと軽く口にしながらも、対策を練ろうとする。

 

 

「パラガス、伝説の超サイヤ人ってのは一体どんな奴なんだい?

俺達は倒しに来たってことだけど、相手を知っておきたいんだが。」

 

「ラディッツよ、先程相当狼狽えておったが貴様如きが敵うと思っているのか?」

 

「あ あれは酔ってておかしくなってただけだ!

まぁ敵を知ってて悪い事は無いだろう?

なるべく詳しく具体的に教えてくれ。」

 

 

ベジータも飯を頬張りながら聞き耳を立てる。

多少なりとも伝説の超サイヤ人の事を知っておきたいようだ。

パラガスもそれを察して話す。

 

 

「そうだな…あまりに強すぎて、奴が気を高めるとこの星全体が震え上がる程だ。

接近しようにも奴のエネルギーボールが凄まじく近づけないほどだ。

情けないが、奴の顔を拝む程近づけもしなかった。」

 

「オーラの色とかは?

体格くらいなら分かるだろう?

性別は、声色は、フリーザよりも強いのか?」

 

「オーラは間違いなく金色だ、まさに言い伝え通りの伝説の超サイヤ人のようにな。

体格は貴様よりも大きいだろう。

間違いなく男だろうな、女サイヤ人なんてもう存在しないのだからな。

私はフリーザの姿も戦闘力を見た事がないのでな。

それについては答えられんな。」

 

 

ラディッツの質問に一通り答えた時だ、一人の兵士が飛び込んできた。

 

 

「申し上げます!

トトカマ星に超サイヤ人が!」

 

「出るぞパラガス!」

 

 

 

意気揚々とベジータはパラガスとブロリーを連れて、今のところ存在すらしない伝説の超サイヤ人討伐に出掛けてしまう。

残されたラディッツとトランクスは、少しでも情報を得る為に新惑星ベジータを散策に出る事にした。

…だがこの星の環境は酷かった。

宮殿を出れば荒れた大地ばかりが続き、新惑星ベジータと名乗るにはほど遠い程荒んでいることがわかる。

 

 

「…こんな砂だらけの星が新惑星ベジータねぇ。

パラガスは一体何を考えているんだか。」

 

「ラディッツさんの言う通りなら、恐らく父さんに復讐をした後この星を捨てるつもりなんでしょう。

それなら地球に直接来れば良いはず…。」

 

「ベジータさえ倒せばいいだけなのか。

もしくはそこそこ強い奴を引き連れここで皆殺しにし、その後地球を征服するとかか?」

 

「どちらも有り得ますね。

いずれにせよ、パラガスは父さんを殺すつもり…何としてでも阻止しないと。」

 

 

ふと、前方に大きなクレーターを見つける。

いや、クレーターでは無く巨大な掘削地とでも言えるだろうか。

そのまわりに機材や様々なケーブルを見た限り、人工的な穴なのだろう。

手がかりを求め二人はその穴へと降りていく。

穴は2、30m程深く、直径も50m程でかなり大きい。

その地底では、何十人もの者達が這いつくばるように働いていた。

 

 

「労働者…ですか?」

 

「わからん、とにかく話を聞いてみよう。」

 

 

状況を知っていそうな、歳を重ねていそうな人物を探す。

そして該当しそうな一人を見つけ、声をかけようとした時だ。

老人が力尽きたかのように前のめりに倒れる。

 

 

「あ!

だ 大丈夫です!?」

 

「やめろ!

俺達サボっちゃいねえんだ!」

 

 

そばにいた子供と思われる子が老人を庇うように立ち塞がる。

その目は敵意に満ちていた。

まずは誤解を解かなくてはならない。

 

 

「待ってくれ、俺達は何も悪い奴じゃないんだ。」

 

「そうなんだ、それより大丈夫ですか?」

 

「うぅ…シャモ、そいつらは警備兵じゃない。

すまない、足がもつれてしまってな。

ワシらに何か用か?」

 

「俺達は他所の星から来たラディッツとトランクスと申します。

少しこの星について色々聞きたいことがありまして。」

 

 

老人は周りを見渡し、話をするなら人気のない所へと案内をする。

少し歩いて大きめの窪みに入り、シャモと呼ばれた子供と老人は腰を下ろす。

 

 

「ワシはシャモ星人のシモ、こっちは孫のシャモ。

で、この星について聞きたいと?」

 

「えぇ、俺達はパラガスって奴に色々あって来る事になってしまったんです。

出来れば仲間を連れて元の星に帰りたいんですが、この星の状況とかパラガスについて何かご存知でしょうか?」

 

「知ってるも何も、アイツらは俺達をこき使う悪い奴らなんだ!」

 

「シャモ、言葉に気をつけなさい。

…分かりました、ワシが知ってる事をお話しましょう。」

 

 

怒るシャモを制し、老人シモがゆっくりと話し始める。

彼らはシャモ星人。

この星から少し離れた所に存在する星から拉致された民族。

元々この新惑星ベジータは、シャモ星の衛星だった。

今から一年前程前、突如そのシャモ星にパラガス一味が現れ、数少ないシャモ星人を全員弾圧、そして惑星へと連れ去り奴隷のように労働を強いられる事となった。

労働の目的はこの星のエネルギーをとにかく得ること。

しかもパラガスはかなり急いでいるようで昼夜を通して働かせられたそうだ。

歯向かうものはパラガスの側近の二人を筆頭に見せしめのように皆殺し。

シャモ星人は泣く泣く従うしかなかった。

 

 

「パラガスはワシらを物としてしか見ておらん。

何人の同胞が飢餓と疲労で野垂れ死んでいったか…。

ラディッツさん、トランクスさん、可能ならば今すぐにでもこの星から出ていくんじゃ。

サイヤ人なんざろくな奴がおらん。」

 

 

(惑星シャモを征服せず、何故こちらの衛星へわざわざ運ぶ必要があったのだろうか?

この星でなければいけない目的があるのか?)

 

(パラガスの側近二人?

ブロリーともう一人は誰だ?

また俺の知らない奴が出てくる可能性が高いな。)

 

((それと、この人達を助けなきゃ。))

 

 

二人の意見は合致した。

この星を逃げる前に、シャモ星人を助けなければならない。

一通り聞いたところで礼を言い、早急に宮殿へと戻る。

先程の大量の食事がまだ残っていたのは幸いだった。

それらを全て宮殿内にあった箱に詰めて、シャモ星人の元へ運ぶ。

彼らは全員とても痩せ細っていた。

それでも労働させられては倒れてもおかしくない。

シモ老人が倒れたのも、飢餓によるものだろう。

とても足がもつれたようには見えなかった倒れ方を見れば合点がいく。

 

 

「これ全部、俺達が食っていいのか!?」

 

「働く理由は知らないけど、まずは飯を食わなきゃな。

ここにあるものは全部食べちゃっていいよ!」

 

 

警備兵の目を盗みながら、シャモ星人は交代交代で食事にありつく。

彼らの食いっぷりを見る限り、本当に食料は僅かしか与えられていなかったのだろう。

 

 

「ワシらのために…すまぬ。」

 

「いいんですよ、誤解も解きたかったんで。」

 

「俺達はパラガスと同じサイヤ人なんです。

出来ることなら、あなた達を救いたい気持ちなんです。

パラガスの悪事は、俺達が何とかしてみせます!

だからそれまで、皆さんも耐えてください。」

 

 

いよいよ後に引けなくなってきた。

シャモ星人を救うならば、どうしてもパラガスとブロリーと、謎のもう一人の側近を倒さねばならない。

殺すのではなく、倒さねばならない。

 

 

………

 

……

 

 

 

「クソ、超サイヤ人なんざ影も形もいなかった!」

 

「申し訳ありません、ただいま懸命に捜索している次第であります!

今しばらくお待ちください。」

 

 

トトカマ星から帰ってきたベジータは、超サイヤ人の痕跡すら見つけられず苛立っていた。

超サイヤ人をぶちのめし、自らの実力を確認する。

その機会は目の前にあるのにお預けになっているのだから。

 

 

「あ、おかえりベジータ。

収穫ゼロか?」

 

「黙れラディッツ!

役に立たないのならば口を閉じていろ!」

 

 

憂さ晴らしにもならないが、ラディッツに八つ当たり。

嘘でも伝説の超サイヤ人が出てこなければ、そのうちファイナルフラッシュでも撃たれそうな勢いだ。

 

 

「ラディッツ、この星の観光はもう終わったのか?」

 

「あぁ、この星が如何に素晴らしい星かよくわかったよ。

なんでこんな荒れた星にしたのか理解に苦しむね。」

 

 

皮肉たっぷりにラディッツが返す。

 

 

「お前も知ってる通り元惑星ベジータも、そこまで良い星ではなかった。

この星がどうもそのイメージと被ってしまってな。

何か問題でも?」

 

「パラガス様、超サイヤ人捜索の範囲を広げようと思っているのですがいかがでしょうか?」

 

 

突如、背後から赤い肌の男が現れる。

何やら三頭身チックで目付きが悪い。

 

 

「パラガスさん、そちらの方は?」

 

「あぁ、トトカマ星にいたので紹介が遅れましたな。

私の側近のアボとカド。

ならず者達の中でも戦闘力がツートップの者でございます。」

 

 

その言葉と同時に、カドの後ろから青肌のアボがスっと現れる。

体型も顔つきも…肌の色以外瓜二つの男だ。

あまりに瓜二つすぎて、アボとカドが重なれば日食のように体が綺麗に隠れてしまう。

 

 

「アボ…カド?」

 

「そうだ、彼らも伝説の超サイヤ人に立ち向かう戦士の二人だ。」

 

「そんなヤツらが居なくても、俺一人で片付けてやる!」

 

 

ベジータは興味が無いと言わんばかりに、用意された自室へと戻る。

その場から固まったままのラディッツ。

 

 

(側近って、ブロリーの事じゃなかったのか!

しかもこの2人…フリーザよりも強くねぇ。

とりあえずコイツらは知らないキャラだが何とかなりそうだ。

やはり問題はブロリー。

覚醒する前に倒して、パラガスも倒すしかない。)

 

「ふむ、とにかくお前達に任せる。

さぁトランクス王子、ラディッツ。

明日もいつ伝説の超サイヤ人が現れるかわからない。

今日はもうゆっくり休んで、明日に備えて下さい。」

 

 

パラガスはそう言い残すと、踵を返して奥に消えていく。

これ以上の詮索は出来ないと判断し、トランクスとラディッツも自室へと戻る事にした。

 

 

---

 

--

 

-

 

 

「あと少し…あと少しで悲願は達成する!

せいぜい短い間の王様気分を味わうんだな!」

 

 

 

画面に映る超巨大な岩石のかたまり。

いよいよ目視でも確認出来るほどに近づくグモリー彗星。

この星の終わりも、復讐の完遂も目前である。

あと数日いや…もう数時間で積年の恨みが晴らせることが出来るのだ。

すぐそばで絶命している部下のモアの始末すら必要無い。

この星ごと捨てるのだから。

 

 

「なるほどね、そういう訳ならもう時間が無いな。」

 

「えぇ、もうこの星は明日で消えて無くなる。

明日で全てを何とかしなければいけませんね。」

 

 

アボやカド、ブロリーは何も言わずに椅子に腰掛け、パラガスの事を見守っている以上、今ここで出来ることは何も無かった。

だが気を探り続け、異変を感じて部屋を盗み見たのは正解だった。

この経緯を知らなければ、明日も周辺探索に出掛けてそのまま成仏する事になっていただろう。

 

 

「アボ、カド。

奴らをしっかり見張ってこの星を出ないようにしろ。

スカウターだけに頼るな、奴らは気を消す事も出来るだろうからな。

手は出すなよ?

感づかれないように、しっかり朝まで寝かせておけ。

なにかあればすぐに呼べ。

ブロリー、お前は宇宙船をすぐに動かせるように予備電源を入れておけ。」

 

「やべっ、部屋に戻ろう!」

 

「分かりました。

ラディッツさん、俺は明日早く起きてシャモやシモさん達にこの事を知らせます。」

 

「わかった、明日に備えてしっかり寝とけよ。

何もしなけりゃ、ぐっすり寝れるからな。」

 

 

手短に打ち合わせを済ませると、大急ぎで自室に戻る。

布団を被って狸寝入りを決め込んでしばらくすると、部屋の扉が僅かに開く音がする。

ほんの少しの間の監視の後、扉は静かに閉められた。

 

 

(バレてないよな?

…クソ、流石に用意がいい。

入念に計画されたんだろうな。

ここまで恨みがあるって…ベジータの野郎何しでかしたんだよ!

癇癪起こして誰かぶっ殺して恨みでも買ったのか?)

 

 

当たらずとも遠からず。

正確に言えばベジータの親父が作り出した恨みなのだが、今のラディッツには露知らず。

 

 

(伝説の超サイヤ人ブロリー。

どうしよう。

対策練ろうにも、悟空は最後はどうやって倒したんだろ?

一方的にやられてるイメージしかなくて、悟空がやり返している姿を想像出来ない…。

…元気玉かかめはめ波か?)

 

 

ラディッツの辛うじて導き出した答えは残念ながら的外れである。

ドラゴンボールが大好きという人ならご存じかと思われるが、最後はZ戦士達が悟空にエネルギーを送り、限界以上の強さを手に入れて一撃で葬ると言う最後なのだが…。

今の状況では味方は3人しかおらず、頼みの主人公も死している。

はっきり言う。

絶望的である。

 

 

(俺が一気に超サイヤ人3になれば…せめて超サイヤ人2。

そもそも悟空は超サイヤ人2でブロリー倒してたんなら…。

考えるのやめよ。

泣きそうになってきた、おやすみ!)

 

 

隕石衝突で消えてなくなるか、ブロリーに八つ裂きにされるかの二択しか無い彼らに勝機はあるのだろうか…。

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