DOG DAYS ~蒼の救世主~   作:雷の温度

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第六話:心の声とオモイテ ~人生上手くいかない~

 

 

 

ガレット駐屯地

 

 

二人の勇者、スバルとシンクの初めての戦はビスコッティが勝利した。その為今夜は勝利したビスコッティの戦勝祝いとしてミルヒオーレによるコンサートが行われる。ミルヒオーレは世界的な歌姫であり、彼女の歌を楽しみにしているものは多く、ガレット領国の者にも沢山のファンがいる。そんな中ここでは、戦後の後始末をしている所、日も沈み始め綺麗な夕日時である。ガレット軍はしばらくの間何度もビスコッティに宣戦布告をしていたため、その度に駐屯地をビスコッティ領内に広げていたが、今日の戦の敗北により明日の朝撤退を予定している。今はある程度の撤退支度をすませミルヒオーレのコンサート会場に向かう者や、酒盛りをしている者たちもいた。

 

 

「今日の戦、負けてしまいましたね」

 

「そうじゃな。だが戦いとは時の運じゃ、こういう事もあろうて」

 

 

側役であるビオレがそう言い、レオンミシェリが答える。その顔は笑顔だった。何かに期待し、希望を得た様な。

 

 

「レオ様、負けたのに嬉しそうですね?」

 

「そうかのう?まあスバルは当初の予想以上の働きをした上に、ビスコッティ側にはまだまだヒヨっ子ではあるが素質のある勇者が召喚された。これからの戦はもっと活気あるものになるじゃろう」

 

 

ビオレは正直レオンミシェリを疑っていた。疑ってはいるが別に信頼していないわけでは無い。寧ろビオレは心配していた。ここ最近の主はビスコッティに対し過剰なほどに戦をしかけいる。それはもう何かに憑りつかれたかのように。そんな主が今日戦に負けたと言うのにも関わらず笑っていたのだ。側役としてレオンミシェリをずっと見ているビオレは数日のあいだ戦に勝つことがあっても主の笑顔を見るどころか、いつも険しい表情しか見ていなかった。そんな主が今本当に笑っているのだ。疑問に思ったビオレはそれと無く聞いてみた。しかしレオンミシェリの言葉には全くの嘘は感じられなかった、本気でそう思っているのだろう。ならばと思いもう一つの疑問を投げかける。

 

 

「それもそうですね。ですが、何故今のこのタイミングで勇者召喚を?ビスコッティ側がやるならまだしも・・・・・・・?」

 

「それは・・・・・・・」

 

 

レオンミシェリの表情が暗くなる。レオンミシェリはこの質問を今日の内にうんざりと言うほどされていてうんざりしている。そこに信頼している家臣からの同じ質問と言うこともあり後ろめたさも感じ始めていた。そんな事とはつゆ知らずビオレはまくしたてる様に言う。

 

 

「だんまりですか?正直に言います。最近のレオ様はおかしすぎます。これまでの度重なる戦によりガレットがビスコッティを侵略しようとしているのではと疑問に思う者も居ます。加えて今の状況での勇者召喚。そして今まで姉妹の様に育ってきたミルヒオーレ姫様に対する態度の変わりよう。どうなさったのですか?」

 

 

そう言うビオレはいつもの優しい笑顔とは裏腹に心配そうであり辛そうな表情である。家臣なのに頼ってもらえない悔しさ。側役として居たのに主のここまで変貌の原因に気付けない不甲斐なさ。様々な感情が膨れ上がっていく。

 

 

「レオ様が隠している事は・・・・・・・・、我々家臣にも言えないのですか!?」

 

「・・・・すまんビオレ、今はまだ、言えぬ・・・・・・。じゃが、時が来ればいずれ話す、それまで待ってはくれんか?」

 

「レオ様・・・・・・・・・・・」

 

 

レオンミシェリは本当に辛そうな顔をしてビオレに謝罪し、ビオレは顔を俯かせる。そんな主を見て辛いのは自分だけではなく主もだと悟り、主にこんな顔をさせたことを悔やみ、もうこんな顔にさせまいと顔を上げいつもの優しい笑顔で答える。

 

 

「わかりました、そこまで言うならもう聞きません。ですが困ったときはいつでも我々を頼ってくださいね!」

 

「すまない・・・・」

 

 

少しでも主の心の拠り所で居られるように、少しでも主の力になれるように、少しでも早くこの前までの主に戻ってもらえるように、そんな思いを込めてビオレは言った。そのかいあってかレオンミシェリの表情は先ほどよりは明るくなった。

 

 

「ビオレ、ワシはスバルの所へ行く。後始末の指示は任せた」

 

「わかりました」

 

 

そう言ってスバルのもとへ向かう主をビオレは見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん・・・・・・、ここは・・・?」

 

 

目の前に見知らぬ天井・・・・・と言うより布?が広がる。テントか何かか?とりあえず体を起こして今日の出来事の整理をしよう。えっと確か、隕石が落ちてきて、謎の猫改めチェイニーに連れられフロニャルドに来て、レオンミシェリ・・・・・姫に言われて勇者になって、ビスコッティの二人と戦って・・・・・・。なんか色々あり過ぎたな、夢みたいだ。

 

 

「ようやく起きたか、この寝坊助勇者め」

 

「あ、ひ「閣下と呼ばんか」・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・はぁ」

 

 

姫様居たんだね。なんか溜息吐きながらこっちに来るけど、溜息吐くと幸せ逃げますよ?そんなに姫と呼ばれるのが嫌なのかね、かわいいのに。確かに姫様カッコいいから閣下でも似合うけど、なんか悪者みたいじゃん?どこぞのデーモンとは違うじゃん?

 

 

「・・・何故最初に言ったときは閣下と言ったのに今は姫なんじゃ?」

 

「だって姫様凛としててカッコいいけど、かわいいじゃないですか」

 

「かわっ!な、何を!?」

 

 

照れてる照れてる、やっぱかわいいじゃないかこの人。てかこの人、美人とは言われてもかわいいとは言われ慣れていないクチだな。

 

 

「はぁぁ・・・・・・・、姫と呼ばれていては周りの者に示しがつかん。呼び捨てでもいいからどうにかならんか?」

 

「うーん・・・・・」

 

 

そうだろうか?ビスコッティのとこのミルヒオーレ様だっけ?あの子ミルヒ姫様とか姫様とか呼ばれて慕われてない?

 

 

「じゃあレオh「却下」・・・・・・レオ様で」

 

「許可する」

 

 

即答で却下されたので無難にレオ様にしました。いい加減いじり過ぎるとまた鉄拳を喰らうやもしれんしね。

 

 

「そういえばレオ様、今日の戦はどうなったんですか?」

 

「我々の負けじゃ、お前の所為で・・・・・・・・・、と言いたいところじゃが、そういうわけでもない。ビスコッティの勇者と親衛隊長がお前が寝とる間に頑張っただけじゃ」

 

「レオ様も言いますね」

 

「ワシをからかった罰じゃ」

 

 

まあ俺が寝てたのはレオ様の所為でもあるけどね。にしてもシンク君とエクレちゃんがねぇ、リベンジしたいしまた今度正々堂々と戦いたいな。それにしてもレオ様が負けたのにあんま落ち込んでないな、ただ単に顔に出てないだけか?いや、でも俺まで召喚して勝とうとした戦だ、何かしら最初と変化があってもいいはず。大体なんで俺を召喚したんだ。俺としてはその御陰で助かったけどさ。聞いた話だとガレットはビスコッティを侵略する勢いで戦を仕掛け勝ってきている、だから俺を呼ぶほど疲弊していないはず。

 

 

「レオ様、一つよろしいですか?」

 

「なんじゃ?」

 

「何故俺を召喚したのですか?ガレットは俺を呼ぶほど疲弊していなかったと聞きましたが?」

 

「・・・・・・新参者の貴様までそれを聞くか?言ったであろう、揺るぎなき勝利のためと」

 

 

露骨に態度が変わったな。これは俺の他にも散々聞かれたな?

 

 

「新参者の俺から見てもこれはおかしなことです。それにレオ様は今揺るぎなき勝利のためと言いましたが今日ガレットは負けました。なのに何故あなたは平然として居られる?今のあなたはこの結果を丁度よかったと思っているように見える」

 

「貴様には関係ないであろう。ワシは領主で貴様の主じゃ。貴様は黙ってワシに従っていればいい」

 

「その領主がそんな不安定な状態で下の者が付いて来ると?俺はごめんですね」

 

「貴様、言わせておけば!!」

 

 

俺がそう言うとレオ様が殴りかかってくる。しかしそんな信念もへったくれもない逆上しているだけの拳なんて簡単に受け止められる。

 

 

「どうしたんですか?いつものあなたなら俺なんて簡単に殴り飛ばせるんじゃないですか?」

 

「くっ・・・・・・」

 

 

拳を下げ、俯いた。

 

 

「・・・・きさ・・・・な・・が・・・・・・かる」

 

「はっきり言ってくれないと何を言ってくれないと分かりませんね」

 

「貴様に何が分かると言ったのだ!?」

 

 

そう言って顔を上げるレオ様の顔は初めて会った印象とは全く違い、ただ泣いている一人の少女のものだった。

 

 

「信じたくもない未来に踊らされ、変えられぬ運命を変えようとしてもどうにも出来ず、微かな希望に頼るしかないワシの何がわかる!?」

 

 

そう怒鳴り散らすとその場にへたり込んで声を殺すようにして泣いている。仕方ないよな。レオ様は領主とは言え多分俺と歳は変わらないはず。俺もだが、そんな心が成熟しきっていない少女に領主だなんて正直無茶な話だと思う。なのにレオ様は皆が望む領主であろうとし、凛々しく弱味を見せずに頑張ってきたのだろうか。今まで差しのべられた救いの手を払いのけ一人で背負おうとしてきたのだろうか。だとすればそれはどれだけ大変で辛いことだろうか。頼れる人が居ない、人に頼ることが出来ないのは辛いことだ。

 

 

「俺は今日レオ様と出会ったばかりだ、だからあなたの事なんて全く分かりません」

 

「っ!」

 

 

だから俺がその手を伸ばしてみよう。

 

 

「ただ俺はあなたの勇者だ。だから頼ってくれれば俺はレオ様を助けますし守ります。レオ様の事だってこれから少しずつ知っていけばいい」

 

「・・・・・・・・・」

 

「だから俺を頼ってもらえませんか?」

 

 

そう言って俺は俯くレオ様に手を差し出す。さあ、俺は手を出した。後は彼女がその手を受け入れるだけだ。

 

 

「スバル・・・・・・」

 

 

俺の名を呼びレオ様が俺の手を取ろうとする。

 

 

「ワシは・・・・・・・・・・」

 

「レオ様大変です!ミルヒ姫様が!!」

 

 

しかしそれはビオレさんの介入により阻止された。

 

 

 

 

 




スバルは人より過酷な人生を送っているはずなので少し人より達観しています。だからレオ様にこんな態度をとりました。他にも理由あるんですけどね。

てかなんやかんやで第六話行ってるけどまだフロニャルドに来て一日目終わってないんだぜ?
こんなハズじゃなかった・・・・・・orz

P.S.
今までの誤字、脱字を修正しました。
お見苦しいところをお見せして申し訳ないです、次回からは気を付けます。
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