東方回顧録   作:ヤマタケる

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博麗霊夢編

「あ~暑い、暑い。」

 

そう言いながら何かが入っている袋を持ってある場所へ向かう青年、森近霖之助がいた。

 

時は10年前の夏、幻想郷の技術があまり発達していないこの時、ある一つの命が誕生していた。それを祝うために彼が向かった場所は博麗神社だった。

 

博麗神社に到着した霖之助は神社の方へと歩く。賽銭箱の目の前に来た瞬間、彼は鋭い視線を感じ、神社の中を見る。そこにはおぞましい形相をして彼をじっと見つめる女性がいた。言われなくても表情を見れば分かっている。そう思って彼は賽銭箱の中に金を1銭入れた。その瞬間、女性がガッツポーズを取り、先程霖之助が入れた金を取り出し、それを見つめ始めた。そんな彼女に霖之助は言う。

 

「君はそうやって参拝客をもてなしているのかい?」

 

「当たり前でしょ?そうしないと家計が忙しいんだから!」

 

「まぁそれはさておき、産まれたんだろう?子供が。」

 

「子供?えぇ、そうよ。今連れてくるからそこで待ってなさい。」

 

そう言うと彼女は神社の中に入っていった。10秒も経たない内に彼女は寝ている赤ん坊を連れて来た。霖之助は赤ん坊を見ながら言った。

 

「可愛い子を産んだんだね。それで、名前は決めたのかい?」

 

「えぇ、勿論よ。この子の名前は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢、博麗霊夢よ。」

 

「博麗霊夢か、いい名前だね。彼女をこれから博麗の巫女としてやっていけるように育てていかないとね。」

 

「えぇ、そうね。私が頑張らないと。」

 

「あ、それとこれ僕からの祝いのプレゼント。」

 

そう言うと彼は何かが入っている袋を彼女に渡した。彼女はすぐにその中身を見た。中に入っていったのは赤ちゃん専用の服等が入っていた。彼女は霖之助に笑みを見せて言った。

 

「ありがとな、霖之助。」

 

そのまま彼女は霊夢を連れて神社の中に入っていった。そして霖之助も香霖堂に帰っていった。

 

 

 

だが2年後、突如彼女が命を落とした。博麗家と霧雨家の争いで彼女は力尽き倒れた。霊夢は彼女の帰りが遅いと目を覚まし、神社の外へ出た。そこには血まみれで倒れている彼女とそれを見つめる長身で後ろ髪が腰まで伸びていて前髪は一部が前に垂れている青年がいた。霊夢はすぐに彼女の元へ行った。そして彼女を揺らしながら言った。

 

「お母さん!お母さん起きてよ!」

 

「れい、む・・・私はもう、駄目だ・・・私は・・・もう命が、ない。」

 

「そんな!お母さん駄目!起きてよ!」

 

「ハァ、ハァ・・・霊夢、もう少し、寄りなさい。」

 

彼女に言われた霊夢はすぐに彼女に泣きながら飛び付いた。泣く霊夢を彼女は抱き締めながら言った。

 

「ごめんね、霊夢。私は、少しの間しか、お前を見ることが、出来なかったよ・・・本当、に、ごめんね・・・」

 

彼女の目からも涙の粒が零れ始めた。泣く二人を青年は黙って見ることしかできなかった。そんな彼に彼女が言う。

 

「グ、グランチ・・・頼みが、あるんだ・・・」

 

「何かな?卿の頼みは私が引き受けよう。」

 

そう言うと彼は彼女の元に腰を下ろし、彼女の冷たい手を握った。そして彼女が言う。

 

「霊夢を・・・霊夢を任せたよ・・・私はもう、無理だ・・・紫と共に、この子を・・・。」

 

そう言った瞬間、彼女は息絶えてしまった。霊夢は泣きながらも彼女を抱き締め続けた。青年の顔には悔しい表情が浮かんでいた。そして独り言のように言った。

 

「・・・承知した。彼女は私と八雲紫で育て上げよう。」

 

 

 

 

そうして青年と霊夢の生活が始まった。青年は霊夢を起こしては毎日家事のやり方やスペルカードの使い方等を教えた。そして休憩の時、霊夢が青年に言った。

 

「ねぇ、おじさんはお母さんとどういう関係なの?」

 

「私かね?腐れ縁のようなものだよ。」

 

「腐れ縁?」

 

「後に知ることになるよ。さて、私は少し出掛けてくるよ。君はそこで待ってなさい。」

 

そう言うと彼は霧のように消えていった。彼が消えた瞬間、スキマが霊夢の目の前に現れ、その中から一人の女性、八雲紫が現れた。そして一人で彼を待つ霊夢に言った。

 

「霊夢ちゃん、疲れたでしょ?私とご飯食べようか。」

 

「いや、私はあのおじさんが帰って来てからにする。」

 

「あら、そうなの?じゃあ私もここで待っていようかしらね。」

 

しばらくすると青年が帰って来た。彼は紫がいることに気付き、言った。

 

「おや、スキマ妖怪、来ていたのかね。」

 

「えぇ、ちょっとご飯を食べたくなってね。」

 

「そうか、まぁいい。さて、昼食にしようか。」

 

そう言った瞬間、霊夢は飛び上がりながら青年の足に飛びつく。そんな彼女を抱き上げた彼はそのまま神社の中に入っていった。紫も中に入っていく。料理している彼に霊夢はニヤニヤしながら見る。そんな彼女に青年は言う。

 

「こらこら、料理は出来るまで秘密だよ?」

 

「はーい!」

 

そう言うと霊夢は紫の元へドタドタ走っていった。そして飛びついた。紫は押し倒されたものの、すぐに霊夢を抱き上げた。そして言う。

 

「ちょっと、急に飛びつかれたら痛いじゃない。」

 

「あはは、ごめんなさ~い。」

 

そう話している内に料理をし終えた青年がやって来た。彼が作ったのはみんな大好きなカレーライスだった。それを見た瞬間、霊夢はすぐに食いついた。それを見た青年と紫は思わず笑ってしまった。そしてその後に二人もカレーを食べる。食べ終わると霊夢はすぐに眠ってしまった。それを見た紫は青年に言った。

 

「可愛い子ね、元気で。」

 

「しっかりとした大人になってもらいたいものだな。」

 

「ところで、あなたは私のしたいことに乗ろうと思わない?帝王梟雄。」

 

「卿のしたいこと?それは霊夢がよき存在になってからにしよう。今はやる気が出ないのでね。」

 

「そうなのね・・・」

 

「スキマ妖怪よ、私は現実世界に戻る。霊夢の記憶から私を消しておいてくれたまえ。彼女と戦う時がいずれやって来るからね。」

 

「分かったわ、あなたとの戦いも期待してるわよ。」

 

そう言うと彼は寝ている霊夢の頭に手を置いた。そして言った。

 

「良き存在になるのだよ。また会おう。」

 

そして彼は神社から出てそのまま霧のように消えていった。彼が消えた後、紫は霊夢の頭のところにスキマを展開した。そしてその中に手を入れた。そして彼女の記憶から青年メルト・グランチを消した。紫の顔には涙が零れていた。彼女が消えた幻想郷が悲しかったからである。

 




次は魔理沙さんの過去を見ましょう。彼女にも色々なことがあったんですよ。
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