愉悦神父の息子のSAO   作:神納豆

2 / 4
 二話目どうぞ‼︎‼︎


デスゲームの始まり

「あれっ、ログアウトボタンがねぇ」

 

 

「何?」

「そんなわけないだろ、よく見てみろよ」

 

 そう言われたクラインは目を見開いてもう一度探し始めた。

 俺の方はどうなっているのかと思い、ウインドウを開いて自分も探す。

 だけど、ログアウトボタンは影も形もなかった。

 

 

「やっぱどこにもねぇよ。コトミネはどうだ?」

「いや、俺の方もなくなっていた。キリトはどうなんだ?」

「まさか、そんなはず……」

 

 

 そう言ってキリトも探し始めた。だが、しばらくして顔を上げて首を横に振った。

 

「ないな」

「だろぉ。

 ま、こんなバグも出るだろ。今頃運営は半泣きだな、GMコールが殺到してるだろうから なぁ」

「クライン、お前そんな余裕ぶっこいてていいのか。ピザ頼んだとか言ってたよな」

「そうだった!!」

 

 俺はGMコールした後、やべぇよオレ様のデラックスピッツァとコーラがぁーと叫んでいるクラインに近づいた。

 

「お前もGMコールしてみたらどうだ?システム側がログアウトさせてくれると思うぞ」

「反応ねぇんだよ、キリト。ああっ、もう五時二十五分じゃねぇか!お前ら他にログアウトする方法知らねぇか?」

 

 そう言われて俺は他にログアウトの方法を考えるが、俺はこのSAOのことをほとんど知らない。

 だからログアウトボタンを押す以外の方法を知らないのだ。

 

「俺は分かんねぇな、キリトは何か知ってるか?」

「いや…ないな。メニュー操作以外の方法はない」

「ちくしょう……戻れ!ログアウト!脱出!!」

 

 大声で叫び始めるクライン、だが何も起こらない。

 

「クライン、無駄だよ。緊急切断方法はマニュアルにもなかったんだ」

「…じゃあ、このバグが直るか、誰かが頭からギアを外すのを待つしかねぇのかよ」

 

 

 その会話を聞きながら俺はこれからどうなるかを考えていた。

 誰かが頭からギアを外すのを待つといっても、自分は現在一人暮らしの真っ最中。

 誰かが外してくれる可能性は万に一つもない。

 そのため自分がこの世界から出るには、運営側がこのバグを直すのを待つしかないのだ。

 

「でもよぉ…俺一人暮らしだぜ。お前らは?」

「俺も一人暮らしだ」

「俺は…母さんと妹の三人だ。だから外してくれる可能性はある」

「マジで!?お前妹さんいるのか。いくつだ?」

 

 突然クラインがキリトの妹発言に食いつき、詰め寄った。

 キリトは何とかあしらおうとしているが、いかんせんクラインがしつこいようなので助け船を出すことにした。

 

「クライン。今はそれどころじゃないだろ」

 

 そう言って俺はクラインの服の襟を掴んで引っ張る。

 クラインはぐぇと蛙が潰れたような声を出した。

 

「でもようコトミネ」

「でもも何もあるか。聞くならこの状況から抜け出してからにしろ」

 

 そう言うとクラインはようやくキリトから離れた。

 

「ありがとな、コトミネ」

「どういたしまして」

 

 その後もしばらく話し合っていると突然俺たちの体が青い光に包まれた。

 

「うぉっ」 「なっ」 「何!?」

 

 何が起こっているのか分からずに、されるがままになっていると風景がもとに戻った。

 草原ではない煉瓦作りの建物、このゲームに初めてログインした時に見た《はじまりの街》の中央広場の景色だ。

 今起こったのはおそらく運営側による強制的な移動。

 近くには先ほどまで一緒にいたキリトとクラインの姿があった。

 周囲を見渡してみると自分達と同じように強制移動されてきたであろうプレイヤー、その数およそ一万。

 今現在ソードアート・オンラインにログインしているプレイヤー全てがこの広場に集められていた。

 やがてざわめきの声が起こり、だんだんその音を大きくしていった。

 そのとき、突然上に文字が現れた。

 

「…Warking…System Announcement?」

「運営からのアナウンスがあるんだよ」

「やっと出られるのか?」

 

 

 そうしていると文字の中心がいきなり液体のように流れ出し、巨大な赤いローブのアバターを作り出した。

 

 

「何だあのローブだけのアバター?」

「あれは…ベータテストの時にGMが着てたローブだな。中に何もないけど」

 

 その中身のないアバターが何か言い様のない不安を抱かせる。

 そしてローブのアバターが白い手袋を左右に広げた。

 

『ようこそプレイヤー諸君、私の世界へ』

 

 あいつは何を言っているんだ?

 《私の世界》と言っていたが、どういう意味だろうか。

 周りを見ても皆唖然とした顔をしていた。キリトやクラインも似たような顔だ。

 さらにローブのアバターは続ける。

 

『私は茅場晶彦。この世界をコントロールできる、いわば神の様な存在だ』

 

「何…だと……」

 

 俺はローブのアバターが発した言葉に耳を疑った。

 

 茅場晶彦。

 

 このソードアート・オンラインの製作者にして、ナーヴギアの設計者。

 ゲームに全く興味のなかった俺ですら知っているほどの人物だ。

 俺たちプレイヤーが驚いている中、ローブのアバター——茅場晶彦——は続ける。

 

『君たちはすでにログアウトボタンが消えていることに気付いているだろう。だがこれは《ソードアート・オンライン》の本来の仕様である』

 

「仕様とはどういうことだ?」

 

『君たちはこれからこの城の頂に到達するまで、ゲームから出ることはできない』

 

 城?城とは何のことだろうか。

 しかし、次の茅場の言葉にそんな疑問はかき消された。

 

『……また、外部の人間がナーヴギアを停止させることは有り得ない。

 もしそれが試みられた場合——』

 

 

 辺りを静寂が支配する。

 

 

『——ナーヴギアから発せられる高出力マイクロウェーブが、君たちの脳を破壊する。』

 

 

 

 おれは開いた口が塞がらなかった。

 脳を破壊するということは、殺すということだからだ。

 

「何言ってんだアイツ。そんなことできるわけねぇ、そうだよなキリト!」

 

 確かに、そんなことできるとは思えない。

 どうなのか俺もキリトの方を見る。

 

「いや……できる。ギアの重量の約三割はバッテリセルだ。俺たちの脳を焼き切ることは可能だ」

「でも…停電とかあったらどうすんだよ」

 

 その時の声が聞こえてたように茅場がまた続ける。

 

『具体的には、十分間の外部電源切断、二時間以上のネットワーク切断、ナーヴギア本体のロック解除、分解、はかいのいずれかの条件によって、脳が破壊される。

 今現在、残念ながらすでに二百十三人のプレイヤーが永久退場している』

 

 もうすでに二百人以上の人間が死んでいる。

 これが現実であると、事実であると認めたくないが、それを冷静に受け止めている自分がいる。

 

「なんだよこんなことできるわけねぇ。とっとと出せよ。これも全部オープニングなんだろ。そうだよなぁ!」

 

 そう喚くクラインを嘲笑うように茅場は続ける。

 

『諸君がゲームから解放される条件は、アインクラッド第百層にいる最終ボスを倒してゲームをクリアすること。

 そうすれば生き残っている全てのプレイヤーが安全にログアウトされる』

 

 再び辺りを静寂が包み込む。

 城とはすなわちこのゲームの舞台である巨大浮遊城、アインクラッドなのだ。

 

「第百層だと⁉︎できるわけねぇ!ベータじゃろくに上がれなかったって聞いたぞ‼︎」

 

 百層などという途方もない目標。

 遠い道のりを死という重すぎるペナルティを背に進まなければならない。

 絶望に座り込みそうになるが、気力で立ち続ける。

 

『最後に、この世界が現実である証拠を見せよう。ストレージに私からのプレゼントがある』

 

 俺はすぐさまメニューウインドウを出す。

 周囲のプレイヤーもウインドウを開き、広場に鈴の音が響く。

 プレゼントのアイテム名は《手鏡》。

 取り出した手鏡を手にしてみるが、なにも起こらない。

 周りを見渡してみると、突然プレイヤー達が白い光に包まれ、自分自身も同じ光に呑み込まれる。

 ほんの数秒で元に戻ったが、プレイヤーの顔が全て変わっていた。

 自分の手鏡を見てみると、現実の自分の顔が映っていた。

 なぜ自分の顔が?と考えていると、

 

「お前がクラインか⁉︎」「おめぇがキリトか⁉︎」

 

 という驚いた声が聞こえた。

 キリトたちの方を見てみると、キリトは中性的な顔へ、クラインは野武士のような顔へ変化していた。

 

「どういうことなんだ?キリト、クライン」

「ああ、コトミネか、俺もよく分からないけど、茅場が何か言ってくるだろ」

 

 そう言ってキリトは真上を見た。

 

『君たちはなぜ私がこんなことをしたのかと思っているだろう。

 私の目的はもうすでに達成した。この世界を創り出すことが私の悲願だったのだから』

 

 

『以上で《ソードアート・オンライン》チュートリアルを終了する。

 プレイヤー諸君、健闘を祈る』

 

 そう言ってローブのアバターは空中に消えた。

 そして——一万人のプレイヤーの感情が爆発した。

 さまざまな悲鳴、怒号、絶叫。

 広場に無数の叫びが響き渡る。

 

 

「クライン、コトミネ、こっちに来い」

 

 キリトにクラインと一緒に連れ出される。

 集団の外に出て一本の街路に入る。

 

「…クライン、コトミネ、よく聞いてくれ。俺は街を出て次の村に向かう。お前らも来い」

 

 俺とクラインは驚きに目を見開く。

 だってそうだ、たった今死ぬかもしれないと言われたのに自らその危険に飛び込むというのだ。

 

「俺はベータテスターだ、次の村までの道も危険なポイントも全て頭に入ってる。レベルが低い今でも安全に移動できる」

 

 キリトならば他のプレイヤーよりも多くの情報を持ってる。

 何も知らない俺はここに残るよりもキリトと一緒に街を出たほうがいいだろう。

 そう考えているとクラインが口を開いた。

 

「俺、一緒にゲームを買ったダチがまだ広場にいるはずなんだよ。置いてけねぇ」

「…そうか、コトミネは?」

「俺はお前と一緒に行こうと思う。キリトといた方が良いと判断した」

「…なら今すぐに行こう。クラインとはここで別れよう。何かあったらメッセージ飛ばしてくれ」

 

 そして街を出ようと歩き出すと、クラインの声が聞こえてきた。

 

「キリト!コトミネ!少しの間だったけど一緒に冒険できて楽しかったぜ!」

「俺も楽しかったよ、クライン」

「俺もだ、生きていたらまた会おう。急ごうぜ、キリト」

「ああ」

 

 

 そうして俺たちは街を出て、次の村へ走り出した。

 




 主人公の容姿はFate/Zeroの言峰綺礼と思ってください。

 批評、感想お待ちしてます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。