月一試験。
多くの激戦を繰り広げられる中、遊理は風紀委員からの刺客:デュエルチェイサー
様々な思惑が、思いが交錯する舞台で正義と意思がぶつかり合う中、追い詰められていく遊理。
果たして逆転への糸口はつかめるのだろうか――
*
遊理:LP1800
手札:1枚
モンスター:
・《No.39 希望皇ホープ》攻3700
・《閃珖竜スターダスト》攻2500
・《
攻1000
魔法・罠:
・セット
・セット
・セット
・《No.80 狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク》希望皇ホープ
Pスケール
赤:《
青::
フィールド:
SC:3
フィールド:《アクセル・ワールド》
手札:8枚
モンスター:
・《ゴヨウ・ディフェンダー》攻1800
・《ゴヨウ・チェイサー》攻3600
・《ゴヨウ・ディフェンダー》攻1800
魔法・罠:
・《一族の結束》
・《便乗》
Pスケール
赤::
青::
フィールド:《召喚制限-エクストラネット》
SC:4
「私のタァーン!!!」
遊理:SC:3→4
「私の
私は手札の二枚目の《
「さらにチューナーモンスター《トラパート》を召喚!」
上下対称のポーズをとる魔法使いのようだが戦士族である。
攻600
「私はレベル3の《ゴヨウ・ディフェンダー》二体にレベル2の《トラパート》をチューニング!!」
《トラパート》が笑い声をあげると光り輝き、その身を二つの光り輝く緑色の
そして二体の《ゴヨウ・ディフェンダー》がそれぞれその身を三つの星へと姿を変える。
「絶対なる権力への呼び声が、飽くなき追跡者の王を呼び覚ます!! デミ・アクセルシンクロ――!!!」
「なっ!?」
「お上の威光! 思いしれ! レベル8! デミ・アクセルシンクロモンスター《ゴヨウ・キング》!!!」
それを大きく振りかぶると取り出された灰色のカードに火花が走り、カードに描かれていた権力者の王がその姿を取り戻す。
そして縦に並んだ
攻2800
「デ、デミ・アクセルシンクロですってぇ!!?」
「っ? デミ・アクセルシンクロって?」
「ふむ、知らない天草嬢にも説明しておくがデミ・アクセルシンクロとはかの不動 遊星が開拓したシンクロモンスターとシンクロモンスターのチューナーによってのみ、召喚できるアクセルシンクロモンスターを呼び出すアクセルシンクロ召喚。
これには本来ならば一人一人が善も悪も超越した境地「クリアマインド」へ至らねばならないのだ大筒木財閥が科学的に研究し、それを簡易化させることで生み出された紛い物のアクセルシンクロ召喚。それがデミ・アクセルシンクロというわけだ」
驚く真理也を他所に疑問を抱いた花恋へ灯衣からの説明が行われる。
ちなみにデミ・アクセルシンクロ召喚は簡易化したからと言って召喚難易度が高いのは変わらず、現状行えると大きく知られているのは現セキュリティ長官である男性。かつては【鬼の牛尾】と恐れられた男だけであったがここにもまた、学生でその境地へたどり着いたものが現れたことで会場の注目が遊理たちが戦う第五レーンへと向けられていく。
『――へぇ~……私と同年代であんな簡単にデミ・アクセルができる子なんて初めて見たよ!』
「(それには同意するけど……結構やばい気がする)」
「さらに手札から魔法カード《貪欲な壺》を発動!! 墓地のモンスター五体をデッキに戻してカードを二枚ドローする!
私は墓地の正規召喚されていない《ゴヨウ・ディフェンダー》二体、《トラパート》、《アタック・ゲイナー》二体をデッキに戻してシャッフル。そして二枚ドロー!!
そして手札から《死者蘇生》を発動! 墓地に残した《ゴヨウ・ディフェンダー》を特殊召喚!!」
美花の言葉に遊理が同意を示すと
そして四枚まで回復した手札を使って残しておいたシンクロ召喚していた《ゴヨウ・ディフェンダー》を呼び出した。
攻1000→攻1800
「さらに私の場に存在する《ゴヨウ・ディフェンダー》の効果を発動! 現れるがいい! 二体目の《ゴヨウ・ディフェンダー》!! さらに二体目の《ゴヨウ・ディフェンダー》の効果で三体目の《ゴヨウ・ディフェンダー》を特殊召喚!!」
再び現れた一体目の《ゴヨウ・ディフェンダー》の両側に並ぶように飛び出してくる二体の《ゴヨウ・ディフェンダー》。
攻1000→攻1800
攻1000→攻1800
「そして《ゴヨウ・チェイサー》の攻撃力はフィールドの地属性・戦士族・シンクロモンスター一体に付き、その攻撃力を300ポイントアップする。
フィールドには自身を含めて五体の地属性・戦士族・シンクロモンスター。よって1500ポイントアップ!!」
攻3600→攻4200
「行け! 《ゴヨウ・チェイサー》!! 偉大な英雄が使う竜の紛い物を詐欺で捕縛せよ!!」
『詐欺言うな!!』
「スターダストを対象に永続罠《追走の翼》発動!! フィールドのシンクロモンスターを対象にこのカードがフィールドに存在する限り、対象のモンスターは戦闘及び相手の効果では破壊されない。
そして対象のモンスターがレベル5以上の相手モンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時、そのモンスターを破壊し、対象のモンスターの攻撃力をターン終了時まで、この効果で破壊したモンスターの元々の攻撃力分アップさせる! 迎撃しろ、美花!!」
『おっけ!!』
「『
《追走の翼》から降り注ぐ光の粒子を纏い、投げられた十手をはじき返しながら突撃。突撃したスターダストの勢いは《ゴヨウ・チェイサー》の上半身をえぐり、消し飛ばす。
そして《ゴヨウ・チェイサー》のパワーをスターダストは吸収する。
攻2500→攻4400
「ふん。強化系カードがあったか。何もしなければ楽にしてやったものを。《ゴヨウ・キング》でトラピーズ・マジシャンを攻撃ぃ!!
この瞬間、《ゴヨウ・キング》の効果発動!!! このカードの攻撃宣言時、ダメージステップ終了まで自分フィールドの戦士族・地属性・シンクロモンスター一体に付き、400ポイント攻撃力をアップする!!
私の場には《ゴヨウ・キング》自身と《ゴヨウ・ディフェンダー》が三体! よって1600ポイント攻撃力をアップ!!」
攻3600→攻5200
「攻撃力5200!!?」
「さらに素材となった《トラパート》の効果により、貴様はダメージステップ終了まで罠を使うことはできない!!」
「くっ!! 手札の《
「無駄だ!! 手札から速攻魔法《サイクロン》! 言わずと知れたその効果で《
罠も使えない今、攻撃力5200の攻撃を受ければ敗北は確定。
手札に残しておいた最後の砦も破られ、頼れるのは散らばるアクションカードのみ、遊理は加速してアクションカードへ向かわざるを得なかった。しかし……
「貴様のような下賤なくずが奇跡に頼ろうなど百年早い!!!」
「うがぁっ!!?」
『遊理っ!!?』
真横に追走してきた
これではアクションカードを取ることさえできない。パワー負けしている遊理のD-ホイールではアクションカード確保の妨害に走る
そして《ゴヨウ・キング》が縄の付いた十手を投擲し、それはトラピーズ・マジシャンの腹部を貫いた。
「(こんなところで負ける、美花を馬鹿にする奴なんかに……!!)」
『――ヒヒヒ、ハハハハッ!!!』
「っ!!?」
「なっ!!?」
だがその直後、腹部を貫かれているというのにトラピーズ・マジシャンが飛び上がり、空中に浮かんでいたアクションカードを弾き飛ばす。
弾かれたアクションカードは流れるように遊理の手元へ向かい、キャッチする。
「っ、すまない! アクションマジック《ダメージ・バニッシュ》発動!! 一度だけだが戦闘ダメージを0にする!!」
トラピーズ・マジシャンが笑い声と共に爆散するのを確認しながらなぜ精霊のカードでもないカードがあんな行動をしたのかは疑問を抱きながらも遊理が発動したのは《ダメージ・バニッシュ》のカード。
《回避》や《奇跡》と違ってモンスターを守れない為、外れと言えるだろうがこの状況では悪くないカードだった。
「この卑怯者め!! モンスターがアクションカードを取っていいなどアクションカードのルールにはないぞ!!」
「そもそもアクションカードをモンスターに取らせるのはダメなんてルールはない」
「ぐぅぅ!! だが《ゴヨウ・キング》の効果を発動!! このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したそのモンスターを自分フィールドに特殊召喚するか相手フィールドの表側表示モンスター1体を選んでコントロールを得ることが出来る。
私は後者の効果で貴様のドラゴンのコントロールを奪う!!」
『ちょっ!!? 離せ、このっ!! 乙女の背中に乗るなっ!!』
トラピーズ・マジシャンの行動に
だがその怒りは収まらず、《ゴヨウ・キング》が縄でスターダストを拘束して
内心、はらわたが煮えくり返りそうな感情に襲われながらも遊理は効果だと割り切った。
「トラピーズ・マジシャンの効果発動! 戦闘か相手の効果によって破壊された時、デッキから【
……現れろ! 二枚目の《Emトリック・クラウン》!!」
爆散したトラピーズ・マジシャンの粒子が再び集まって現れたのは自己蘇生効果を持つトリック・クラウン。
結果的にダメージを受けることになるが最終的にはこれで防ぎきれる……!!
守1200
「貴様から奪ったドラゴンでその【No.】を攻撃!!」
「この瞬間、ホープの効果発動! このモンスターは
「ふん、臆病者め。なら《ゴヨウ・ディフェンダー》でトリック・クラウンを攻撃!」
《ゴヨウ・キング》を背に乗せてスターダストは飛翔する。
空高くから《ゴヨウ・キング》に使役され、ホープを攻撃しようとするがホープはその効果により消滅。場に残っていたトリック・クラウン目がけて《ゴヨウ・ディフェンダー》が十手で貫いて破壊する。
「トリック・クラウンの効果発動!! 1000ポイントのダメージと引き換えの蘇生!!」
再びポンとコミカルな爆発と共に復活したトリック・クラウン。
それによって遊理のLPは削られていく。
守0
遊理:LP1800→800
「ちぃ、ならばその雑魚を粉砕しろ!!」
スターダストの背に乗っていた《ゴヨウ・キング》が縄の付いた十手をトリック・クラウン目がけて投げつけて粉砕する。
これで遊理の場にモンスターは居なくなった。
「《ゴヨウ・ディフェンダー》二体で――」
「――リバースカードオープン! 《エクシーズ・リボーン》!! 墓地からエクシーズモンスターを特殊召喚し、このカードを
墓地よりよみがえれ!! 《No.39 希望皇ホープ》!!!」
がら空きになった遊理の場に再び希望は蘇る。
白い翼を広げてとても頼もしい後ろ姿、さらに
攻2500
「ふん。カードを三枚伏せてターンエンド!!」
遊理:LP800
手札:0枚
モンスター:
・《No.39 希望皇ホープ》攻2500
魔法・罠:
・《追走の翼》スターダスト
・セット
Pスケール
赤:《
青::
フィールド:
SC:4
フィールド:《アクセル・ワールド》
手札:0枚
モンスター:
・《ゴヨウ・ディフェンダー》攻1800
・《ゴヨウ・ディフェンダー》攻1800
・《ゴヨウ・ディフェンダー》攻1800
・《ゴヨウ・キング》攻3600
・《閃珖竜スターダスト》攻2500
魔法・罠:
・《一族の結束》
・《便乗》
・セット
・セット
・セット
Pスケール
赤::
青::
フィールド:《召喚制限-エクストラネット》
SC:9
「(伏せカードは《リビングデットの呼び声》と《魔宮の賄賂》と《神の宣告》……相手が何をして来ようと私の勝利は揺るがない)
リビングデットと二枚のカウンター罠がフィールドにセットされた今、相手の行動は封殺できたも同然だった。
しかし――
「――僕のターン」
遊理:SC:4→5
遊理にとっても疑問だった。
精霊でもないトラピーズ・マジシャンがなぜあんな行動を取ったのか。精霊だったならまだ納得はできたが少なくとも初めてトラピーズ・マジシャンをもらったときや精霊が見えるようになってからはその精霊にあったことなどない。
だがそのおかげで今、デュエルを続けられているのも事実。なら……
「(その思いには応えないといけない。けど……)」
思い浮かべたのは一枚のカード。
相手の手札は0、墓地発動の防御カードは頼りない一枚のみ。ならば伏せカードを封じてあのカードを呼び出せば勝つことが出来る。
しかしそのためにはレベル4のモンスター二体とフィールドの魔法・罠カードを除去しなければならない。
でも……
「ククク……首一枚繋がったようだが敗北というお前の闇はすぐそこまで迫っている。
さぁ、何もできないならターンエンドするがいい! ひたすら暗い絶望の闇に突き落としてやろう!!」
悩む遊理に勝利を確信し、
その瞬間、遊理の脳裏に過ったのは一瞬でも呼び出そうと考えてしまった黒い竜。
――遊―! ―理! ―――
――ソ―――シ―ヲ―――ウ―ロ――
思考に入り混じるノイズ。
溢れ出す黒い衝動。心の内側に溢れ出したコールタールよりも黒いそれは黒い衝動となって遊理を飲み込んだ――
*
「――っ」
「む? どうかしたのか、天草嬢よ」
「……何でもない」
スターダストを呼び出した遊理とデュエルチェイサーの
ふと花恋が何かに耐えるように表情を強張らせ、胸元で強く手を握り締めていた。
「(体が、熱い……)」
「むっ、本当に大丈夫か?」
「大、丈夫……」
それはまるで何かに共鳴するかのように。
ズキズキと胸が痛む。ドクドクと激しく心臓が脈を打って燃えるように熱い血流が全身を駆け巡る。
頬も紅潮して美しい水銀色《メタリックブルー》の瞳も光を失い、虚ろな様子に灯衣が心配そうに声を掛けた。
この程度の苦痛は薄気味悪い薬物を投与された時やエデンの実験デュエルの時のダメージに比べればどうということはなかった。
それよりも……
「――ごちゃごちゃうるさいな」
「なんだと!?」
その瞳は戦意にこの場には混じってはいけない殺意を混じらせ、見開かれた元の金より色濃い黄金の瞳は目の前の敵を睨み付ける。
「〝
「させんぞ!! カウンター罠《魔宮の賄賂》! 貴様が一枚カードを引く代わりに相手の罠・魔法を無効にして破壊する!」
「なら自分の
エクシーズモンスター一体をリリースして
「くっ!! それを通すわけにはいかん! カウンター罠《神の宣告》! LPを半分支払ってモンスターの召喚か魔法・罠の発動を無効にして破壊する!!」
豹変した遊理が発動した《トラップ・スタン》を
セブンストアは無効にされたが手札の総数は減っていないし、相手LPを削って一気に伏せを二枚潰せた。
「自分の
手札から魔法カード《ハーピィの羽箒》発動!! 相手フィールドの魔法と罠を全て破壊する!」
「な、なにぃっ!!?」
そして最後に残った天使のバトンを使い、引いたカードから現れるのは遊理のフィールドに現れる虚空に浮かぶ羽箒。
それが一振りされるとフィールドに訪れた烈風が
「さらに《
先ほど同様、《
顔の左側に仮面をつけており、胸元には三日月の意匠を持つエンブレムが付けられている。
攻1600
「墓地から《ギャラクシー・サイクロン》の効果発動! このカードを除外することで表側表示の魔法・罠カードを一枚破壊できる! 《
地面に空いた穴から放たれたのは白銀の竜巻。
それは容赦なく《
攻1800
「レベル4のモンスターが二体……!!」
「〝
「尽きぬ憎悪を宿す竜よ! その牙を研ぎ澄まし、反逆の狼煙を上げろ!! エクシーズ召喚!」
渦から強烈な闇が溢れ出すと紫電のような稲妻が走る。
目の前の敵を打倒す反逆の狼煙を上げるために。
「ランク4! 愚鈍なる力に抗う反逆の牙! 《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!!」
そして現れたのは一体の竜。
ホープやトラピーズ・マジシャンに相反するような深い黒紫の細身ながらも刺々しい体躯。背に宝玉のような球体が付いた角錐を吊り下げたような翼。両腕に剣軸に宝玉を埋め込んだ刃の如き突起、そして全てを貫く反逆の逆鱗が発達した顎下の鋭い牙。
攻2500
「ふん! 少し慌ててみれば出てきたのは攻撃力2500の雑魚か。所詮はこけおどしというわけだな」
「ならばその身をもって知れ。怒りを!! 〝
その身に持つ
《ゴヨウ・キング》の攻撃力を奪え! トリィィズン・ディスチャァァァジ――ッ!!!!」」
《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の周囲を漂っていた二つの光球が両腕の刃の如き突起に存在する宝玉に吸い込まれる。
すると背中の双翼が音を立て、火花を上げて広がり、吐き出すかのように紫電が放たれる。
そして放たれた紫電は《ゴヨウ・キング》に絡みついて雁字搦めに縛り上げるとその攻撃能力を奪いとり、放った紫電からダーク・リベリオンは自身の攻撃力を高めていく。
攻3600→攻1800
攻2500→攻4300
「ダーク・リベリオンの攻撃力が……」
「《ゴヨウ・キング》を上回った……」
「な、な、なぁぁっ!!!?」
「バトルだ! 《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》で《ゴヨウ・キング》を攻撃!!!」
矢が放たれるかのような勢いでダーク・リベリオンは翼に雷の翼膜を展開して飛翔する。
それは目の前の敵を討つために。例えどれだけ傷ついても戦い抜く反逆の意思を貫き通すために。そして――大切な全てを助け、今度こそ守り抜くために。
「――いけ、ダーク・リベリオン! 淀み切った権力の玉座を砕け! 反逆のぉライトニング・ディスオベイ!!!!」
「ひぃっ!!?」
ダーク・リベリオンがその身に纏う殺気。
それを直に浴びて竦んだ様に
胴を貫かれ、体内という体の内側へダーク・リベリオンの反逆の牙から紫電を流し込まれて巨大な爆発を引き起こす。
そしてその衝撃は
「う、うわああぁぁぁぁぁ――ッッッ!!!!!」
*
「――また、やってしまった……」
第五レーンの出入り口に戻って停車してヘルメットを取ってみれば勝者だというのに思わず、ため息をついている遊理。
禁じ手と定めて散々使いたくないと嫌っていたというのに結局ダーク・リベリオンを使ってしまう選択をした自分が嫌になってきた。
これじゃ、何も変わってない……まるで成長してない。
『大丈夫だよ。遊理』
「美花?」
『遊理は変わってる。前に進んでるよ?』
そんな落ち込む遊理の心を読んだ様に励ます美花。だがそれでも遊理の表情は暗いまま。
ダーク・リベリオンには何かがある。いつも此奴を呼び出すと自分の何かが切り替わったように何か別の意思が混じっていた。
そのため、使用を自粛していたのだがデッキから抜いてもいつの間にか紛れ込み、高ぶると衝動的に呼び出してしまう。
「遊理君!」
「遊理ちゃん!」
落ち込んでいた遊理に駆け寄ってきた命、真理也、灯衣、そして真理也に連れられた花恋が出迎える。
一応、勝者である以上はこれ以上落ち込んでいても仕方がない。少なくとも今はこの勝利を喜ぶべきだろう。
「……お疲れさま」
「……ありがとう」
「ふむ! チェイサーズ期待の新人と我が同志のもう一つの切り札。見せてもらったぞ! さっそく策を練らねば」
「いや何をする気だお前は!!?」
花恋から飛び出してきたねぎらいの言葉に一瞬驚きながらも感謝の言葉を交わす。しかしその余韻は隣でわるだくみを始める灯衣を相手にしてすぐさま吹き飛んだ。
こいつを放っておいたら間違いなく、一騒動を起こしかねない。そう思い、灯衣を問い詰めようとしたその時だった。
『――イカサマだ』
ふいに何処かの誰かが悪意を放つ。
そしてその言葉は瞬く間に共鳴し、伝染し始める。
「そうだ! モンスターにアクションカードを取らせるなんて卑怯だろ!!」
「そうよ! あのオシリスレッド、勝つために何か細工したのよ! そうに決まってるわ!!」
「こんなデュエルは無効だ!! インチキ野郎はこの島から出ていけ!!」
伝染した悪意は罵倒となって遊理を責め始める。
教師たちはそれを諌めようとするも聞く耳を持たない生徒たちの言葉に会場が勝利者であったはずの遊理へ疑いの視線を向け、彼を排斥する方へと変わっていく。
まるでそれは予定調和のようで計画的なそれを見て嗤う一人の青年がいた。
「――ヒャハハ。少し煽ってやるだけで証拠もないのにここまで爆発するとはな。いやはや、こいつらの民度の低さに呆れを通り越して笑えて来るね」
大筒木 栄一郎。
その傍にめぐるを連れて彼は試験場の中の特別席で嗤う。
「あいつはイカサマをしている」
一度根付いた噂はそうそう消えることなく独り歩きして知らず知らずに奴を傷つけていくだろう。
そして疎外感を覚えた奴が退学してこの島を去るというシナリオだったのだが証拠もなしにここまでヒートアップするとは。
いやはや、本当に恐ろしいのは人間ということか。
「――そうだ! 貴様のような悪党はこの島にいる資格などない!! さっさと消えろ!!」
「出ていけ!! 英雄のコピーカードを使った犯罪者はこの島から出ていけぇ!!」
「そうよ! アンタみたいなやつはこの栄誉あるアカデミアから出ていきなさい!!」
「ちょっと待ちなさい! なに勝手なことを言っているのよ!! そんな証拠自体ないでしょうが!!」
観客席から《閃珖竜スターダスト》の存在とトラピーズ・マジシャンの行動を理由に責め立てる生徒たちや先ほどまで戦っていた
だが生徒たちの罵声は増すばかりでむしろ真理也の反論からさらにヒートアップしている。命は怯えたように頭を抱えてしゃがみ込み、花恋は煩わしそうに観客席を睨み付けていた。
「――見苦しいな」
「ってわけだ。やかましい外野どもは黙りやがれ、一人一人ぶちのめすぞ!!!!」
その時だった。
背中に氷柱を入れられたような底冷えする声が響くとともに怒りと侮蔑が混じった怒号が試験場に響き渡り、静まり返った。
ふとその声のした方向に視線を向けてみればそこにいたのは金色の髪を持つ童女とバンダナを巻いた白髪の青年。
生徒会会長の鳳凰院 ミレアと副会長の月宮 才牙だ。
「だ、だがこいつは「そもそもライディングでモンスターにアクションカードを取らせてはいけないというルールはない」しかし!!」
「それにそいつの……《閃珖竜スターダスト》だったか? こちらの召喚反応検知器でもコピーカードや違法なカードとしての反応はなかった。
そいつのドラゴンは紛れもない正式なカードだな」
なによりも
「大体不正の証拠など何処にある? これ以上、騒ぐというのならばこの私。鳳凰院 ミレアが相手となってやるが?」
「~~~っ!!! ふざけんな! 化け物の相手なんぞできるか!!!」
見下し、邪悪に笑うミレアの言葉に怯えながら罵声を浴びせて
そしてミレアは遊理の方を向くと遊理の表情は自然と硬いものとなっていた。
「中々、面白いデュエルだった。特にあの連続で呼び出した装備エクシーズ・モンスター二体を一体に集約させてダイレクトアタックを狙う戦術。あれはいいものだ」
「結果としてはカウンターを食らいましたけどね」
「だがすぐさま取り返しただろう? いずれは私の下でその剣を振るってもらいたいものだ。
……それはともかく、これからも面白いデュエルを期待しているぞ? ではな。行くぞ、才牙」
「おうよ。……いつか俺とデュエルしてくれよな」
少しの話の後、ミレアがまるで遊理が生徒会へ所属するかのような言い回しで遊理への期待の賛辞を言って去る。
その後ろについていた才牙も遊理への戦意を見せながらミレアの後を追っていく。
ただただ静まり返っていた試験場。
撒かれた悪意の種が発芽する波乱の月一試験は無事に終わった。しかしどこか後味が悪く、不吉な未来を暗示するような形で。
*
「――どういうことだ?」
試験場の天井中心に吊り下げられた試験管席。
その中でも最高責任者であるアリソンは睨み付けるように視線の先の人物――遊理たちが所属するZクラスの担任であるコスプレを普段着とする少女 防人 瑞葉へ問いかける。
《閃珖竜スターダスト》の存在はもちろん、遊理が最後に召喚した漆黒の竜《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》についてもだ。
召喚方法を冠するドラゴン。あれほど高い利便性や破壊力を持つならば有名になっていてもおかしくはない。
しかし。彼のあのドラゴンは全くの無名。学院データベースにさえ存在しなかった。
少なくとも担任の彼女ならば見たことがあったのではないかと思ったのだが……
「んん~……瑞葉は分かんないや♪ 授業でも使ってるの見たことないもん。
あっ、でも使ってたドラゴンシンクロがイグニスター
「……そうか」
だが瑞葉も認識していなかった様子だ。
いくら担任といえど生徒のデッキ内容を把握しているわけでもない。
特にエクストラデッキはデュエルモンスターズにおける解明できない不思議の一つだったりする。
未確認のカードが増えていたり、カードが消えていたと思ったらいつの間にか戻ってきていたり……
まぁ、デュエルモンスターズの不思議には触れていけないこともざらではないのである。
「しかし……あのカードは一体……なんで遊星の《スターダスト・ドラゴン》に……」
「十六夜先生。気になるのであれば自分で確かめた方がいいかと」
「……えぇ。そうね」
そして同じく試験管席にいた教師 十六夜 アキはアリソンに諌められ、いずれその答えを聞くことを決めてそう答えた。
どうも、今回の話がだいぶ無理やりでマンネリ化してもっとうまく書きたいけれど文才のなさに涙が出そうで餓えた牙持つ毒竜でも呼んでやろうかと思ったアポリアです。
様々な思惑が渦巻く日常は中々刺激的ですけど現実では関わり会いたくないアンタッチャブルですね。
それはともかく、ここで断言しておきますがトラピーズ・マジシャンは精霊にはなりません。トラピーズ・マジシャンはある意味、精霊に近いけど精霊ではない。
TF風にするならばお気に入りカードの一枚なので遊理の様々な要因が派生した結果、トラピーズ・マジシャンは精霊の様に行動してしまったというわけです。
もしもおかしい、計算が違う、誤字めっけなどがあればガンガンご指摘ください。
様々な感想が私の心を照らす光指す道となる!
さて、アクションカードです。
《ダメージ・バニッシュ》
アクション魔法
(1):自分が戦闘ダメージを受ける場合に発動できる。
その戦闘ダメージを0にする。
カードをドロー出来ない《ガード・ブロック》
手札に加わってすぐに使えたり、自爆特攻にも使えるという点では差別化はできなくはない。
次は【
《
通常魔法(制限カード)
自分の
(1):自分フィールド上に表側表示で存在するエクシーズモンスター1体をリリースして、
自分のデッキからカードを1枚ドローする。
さらに、この効果でリリースしたエクシーズモンスターのエクシーズ素材の数だけ、
自分のデッキからカードをドローする。
《
もちろん、制限カード化。どうせだから引いた分だけ
遊理「今日の最強カードは《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》」
《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/闇属性/ドラゴン族/攻2500/守2000
レベル4モンスター×2
(1):このカードのX素材を2つ取り除き、
相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの攻撃力を半分にし、
その数値分このカードの攻撃力をアップする。
遊理「効果はいたって単純。その
遊理「たとえ相手がどれだけの強力な敵であろうと抗う反逆の牙。その牙で全ての敵を貫け!!」
遊理「反逆のぉライトニング・ディスオベイ!!!!」